安心したまえ!
何故って?そりゃあもちろん…
ぷぎりょっぢゅるるぅぁ!
人里
「…誰だお前」
「私か?私は鬼人正邪。しがない天邪鬼だ」
「そーか。なんで俺の家にいる?」
「いやぁ…すごい反逆者がいるって聞いてな。桁外れの力を持ってると聞いて」
「そうか。生き物大体理由なんてそんなもんだ。大層な理由があったら追い出してたけどな」
「じゃあ理由聞く意味ねえだろ」
…聞く意味がないからだろうが。男のロマンだよ男のロマン。ヒーローになりたい、悪役になりたい、それがロマンだ。まあ俺の場合漫画なんか読まなかったが。雨のせいで飯が湿ってる…
「…ほら、やるよ」
「いらん」
「そんな痩せ細った身体で痩せ我慢なんてしたら骨になるぞ」
「失礼な奴だな」
「ああ、元から貧相だったか」
「初対面で言うことじゃねえだろ!」
翌日 寺子屋
「なんでお前まで来るんだ」
「来るなって言われたからだ」
「誰だ…お尋ね者確保!」バッ
「やべっここ寺子屋か!?」
「ぬんっ!」バギィッ
「へぶぁっ」
…自分がお尋ね者だってこと忘れてたな。でも確か手配書も5年前のだろ。顔にそんな面影って残るもんかな…?わからん。
「…帰るか」
「ん、そうか」
「…お尋ね者が二人歩いたところで捕まること間違いなしだな」
「里の守護者に傷つけたんだ巫女も来るぞ」
「巫女は来ない。あいつはそう言う奴だ。あいつは俺を責めれない」
「?」
「そもそも、俺も捨て子だったからな。あいつは俺を見て見ぬふりしたんだ。あいつが10歳くらいだったから…確か10年くらい前だわな」
「ほー」
「しかも、俺に向かって石投げてきたしな。寺子屋のそいつも見て見ぬふりだがな」
「そりゃすまんこと言わせたな」
「さーて物色だ。飯飯」
「堂々と盗みに入るな」
数分後
「やはり残業用の菓子があるか。カップラーメン…湯が必要か。金も取っておかねえとな」
「そんなこと必要か?」
「俺くらいになると生活に金がかかるもんだ」
「意外と手間暇かかることで」
数週間後
「…てめえとツーショットで手配書載りやがった」
「こりゃひでぇな」
「んー、とりあえず外彷徨くか」
「外?」
人里外
「この豚のような妖怪は腹の部分が美味いんだ」
「完全に野生児じゃねえか」
だまらっしゃい。美味いぞこの豚肉は。そう言いたいが喋ってる時に最高のタイミングを逃してしまったら大損害だ…よし、後3秒…1…2…ここ!
「最高の出来上がり!」
「…美味そうな匂いだな」
「一口もくれてやらんぞ。天邪鬼にゃ」
「ああっ!?そ、それは困る!」
「なんてな。ほら、こいつは…豚の足だ」
「食えるか!」パシンッ
「なんでだ」
美味いのに…
翌日 人里路地裏
「…ま、こうなるんですわな」
「お尋ね者は大変だな」
「俺は生まれから少しくらい同情されてもいいと思うんだがな」
「んー?…見つけたぞ!」
「おい、お前に用があるやつがいるぞ」
「冗談きついな」
「て言うかもうついてくんな」
「お尋ね者を捕まえろー!」
「よし、行くぞ天邪鬼」ガシッ
「きっんぇ!?」
「そーれ!」ブンッ
…今あいつ何か堪えたよな?
「うわぁぁあぁあ!?」
「いやぁぁあぁあぁ!?」ドッカーン!
「…家帰って寝よ」
自宅!
「ったくもう…なんでこうもポスターが俺の家に貼られるのか。この!」ベリッ
『夢は叶う!』
「んなわけあるか!」ベリッ
『自殺やめよう!みんなの未来!』
「あってたまるか!」ベリッ
『みんなと一緒に生きよう!』
「無理なんだよ!」ベリッ
なんでこんな胸糞悪いのがうちに貼られてるんだコラ
翌週
「よ」
「…なんだ、生きてたのか」
「酷すぎるんじゃないのか?流石に私とお前で口調が似てるからって投げ捨てるのは」
「待て、それ以上はいけない」
「…はぁ。脱獄面倒だったよ」
「そうか。天邪鬼め、楽だったんだろうな」
「…そんな言い方しなくてもいいだろ」
「こんな言い方しかできんのさ」
隅を見ると俺が昨日夜に食おうとした飯があった。それを拾って食って、容器を捨てる。これじゃただのホームレスとなんら変わらん。もはやホームレスの方が楽じゃねえかな。
「…燃えるゴミは水曜日だな」
「んぁ?木じゃねえの?」
「地域によって差があるのさ。ここは水曜だ」
「ふーん」
…あ、こいつ疑ってるな?まあ嘘だけど。燃えないゴミが今日なのは本当だ
「知ってるか?人間ってのは燃えるらしいぜ」
「んなこと聞いてもないよ」
「俺が捨てられたの燃えるゴミの日なんだぜ」
「…またその話か。親に捨てられた話は響くからやめてくれ」
「ゴミ回収の野郎ども見て見ぬふりどころか邪魔の一言で済ませてたんだぜ。笑えるぜ」
「ひでえ親もいるもんだ。で、反逆を私は今まで見てないんだが」
「…今更か。もう終わってるよ」
「?どう言うことだ?」
「…確か人里ででっけえ花火が上がった日、あったろ」
「ああ。新聞でも結構話題になってたけど」
「…あれ、俺がやったんだ」
「すげえな!」
「両親を火薬代わりに使ってな」
「え?それだと発射できないだろ」
「ああ。あの時は苦労したぜ。なんせ隣人さんから」ギュッ
「…そうか。終わってたんだな…」
「どうした。急に抱きついたりして。そんなことされてもお前のことなんとも思わんぞ」
まったく、こいつの天邪鬼ってのはどうにかならんものか。流石に暑っ苦しい。
「…おーい?」
「…私は天邪鬼だからな」プスッ
「ん?」
「…お前のことを可哀想だと思ったら、哀れだと思ってやるんだ」
「それとこの注射器は何が関係あるんだか」
「…ただの麻酔だ」
「そうか。ちゃんと眠れそうだな」
「…まあな。その代わり、私と一緒に居てもらうが」
「オイオイオイオイいきなりの急展開はみんな困るからって」
「ちなみにさっき麻酔薬って言ったアレ、麻薬だから」
「…ワオ」
その後、俺の脳は見事ぶち壊れこの正邪とかいう奴と一緒でなければトイレに行くことすらままならなくなったとさ。おしまい
「…ってわけだ坊主ども」
「嘘だ」
「嘘じゃねえよ。俺も嘘だと思い込みてえけどよ。命大事に逃げてきたんだ。麻薬で今も頭がおかしくなるけど」
「へー」
「…正直、お前さんが現実にいるのかさえわからん」
「失礼だな!」
「済まんかったな。それじゃあ俺はぁご!?」
「…ダメだろ。頭が壊れてるんだから、外に出たら」
「んぐっ…!」
「ほら、帰るぞ。私の家に」
「…離せよこれ」
「嫌だね」
「即答かよ。世の中世知辛いね」
「お前だけ世知辛いねだけだ」
はっきり言って明るい未来とかよりも明るい今を大事にしたほうがいいと思います