なんて書けませんでした。
地底
「…まーたクビになっちまったなぁ」
「また?貴方何かやったの?」
「んー…さあ?俺自身仕事中の記憶とかがないしな。それにしてもこうも連続で首切られると自信が無くなっていくよ」
「それはダメでしょ…ここに住んでいけば良いのよん」
「あーどうすっかなぁ」
「…聞いてる?」
「聞いてる。家も丁度無くなったしなぁ」
「え?」
あれは厳しい出来事だった…この地底で俺の家だけ大火事。原因は分からず、周りに火が付くこともなかった。俺の家だけが、というのは少しおかしい。が、俺もそんな恨まれるようなことはしてないと思う。多分。
「…燃えたんだよ。それは物凄い勢いでな。クビと同時に燃えてんだ何かの因縁を感じるぜ」
「貴方少し疲れてるのよん」
「そのよんってのをやめなさい。とは言っても、流石に疲れてな。数年くらいは何も出来なさそうだ」
「あらあら」
「そろそろ地上に居る有名な巫女さんに頼んで退治してもらえねーかなーなんて思ってたり」
「は?そんなこと私が絶対に許さないわ」ガシッ
「うおっ…なんだお前いきなり怖いな…」
「あ、ごめんね。驚かせちゃったかしらん?」
「だーもうそのんを付けるのをやめてくれと言ってるだろう」
「ごめんなさい」
「謝るときは結構素直なんだよな」
…とは言いつつも、精神がボロボロなのでヘカーティアの家に転がり込もうかなとも思っている。部下がいるらしいからあまり贅沢は言えないと思うけどな。それまでに次の仕事見つけなきゃなぁ…毎回首切られてるからそんな期待せずに行ってみるか…
「じゃ、また明日かしら?」
「…そうなるな。仕事見つけて来ねえと」
「あ、そうそう」
「ん?」
「自分の体を売って稼ぐような商売したら…絶対に許さないわよ。殺してでも止めるから」
「止めるのに何故殺すのやら。そんな仕事、この地底だと鬼しか雇わねえよ」
「それならヨシ♪」
…なんであいつあんなに俺の心配するんだろうか?ちょっと怖いな…
「…不思議なもんだなぁ。鬼の四天王がビビりまくる相手だってのに」
翌週
「…不採用通知ばっか。住所が焼け跡だから手渡しで受け取ったけど…住所かなぁ」
「あら、また不採用通知?」
「黙っててくれ。こんなにも断られると流石に傷つく」
「そうなの…」
「そういうもんなの。俺は頭も身体の出来も悪いからこうなるのは当たり前なんだけどさ」
「そう。一人の時間が欲しいの?」
「平たくいうとそうなるわなぁ」
「…わかったわ。私が空気を読んであげるわよん」
「そのよんをやめなさい」
…その後ヘカーティアは消えていった。どうやって消えたかは知らん。そして俺は焼け跡を掘って、俺が入れるくらいの穴を作った。これで今夜は過ごすつもりだこのやろう。今まで焼け跡の上だったけど流石に恥ずかしいからな。
「…はーあ。不採用通知しかないってのは悲しいな…ほぼ自業自得だけど。笑えねえ」
翌日
「どう?涙流した?」
「流してねえって確信してるから聞いてるだろ」
「バレちゃった」
「…はぁ。すまん、引っ張ってくれ」
「はいはい」グイッ
「さんきゅ。さて今日も大量の不採用通知が届くはずだ」
「今日は空気を読まずにここに居続けるわよん」
「そのんをやめなさいっての」
「良いじゃないの。おしゃれかしらん?」
「嫌な語尾だなほんと。一通目…不採用。今の配達員も哀れみな目で見てたな今」
「そうなの?」
「そう。もう配達員の中では『不採用通知受取人』なんて言われてるからよ。それくらい俺はずっとクビになってんのさ。ていうか三十もあるのに不採用しかない」
「もはや強運ね…」
「これが運ならどれほど嬉しいことか…当たりもしない葉書を送り続けてる気分だよ。書類の時点で落とされてんだから」
「ふうん。もう諦めて私の家に来れば良いのに」
「そう考えてはいるんだがいかんせん、あんたに迷惑かけるだろうって思ってよ」
「…そう」
…不採用不採用不採用。採用は一つもない。なんでだ。ステータスか。ステータスかこのやろう。あー、もう心がボロボロだよ。悲しさで沈んじゃうよ。
「採用ひとつもなし」
「…迷惑にならないって言ったら来るのかしらん?」
「?なんの話だ?」
「さっき言った、『迷惑かけるかと思ってよ』ってことは裏を返せば迷惑じゃなきゃ住むってことよね?」
「ああ、まあそうなるな」
「それなら!今からでいいでしょ!私たちのおうちに帰りましょん!」
「だからお前んをやめろって」
「良いじゃない!」
ヘカーティア宅
「…本当に来てしまった」
「客人用のお部屋もあるわよん!」
「…ありがとな」
「良いのよ別に!貴方のためだし」
「そりゃ嬉しいこった」
「フフッ。だから、今からすることも貴方を思ってのことなのよん」
「?何を」
ガシャン!と音が立ってあら不思議。窓にも扉にも鉄格子。出ていくことは無理そうだ。果て客人にトイレをしたいと言われたらどうするつもりなんだろうかヘカーティア。幻覚でもない鉄格子に触れてそんなことばっか考えているといつのまにか入っているヘカーティアに話しかけられた。心臓に悪い
「ねえ」
「うわっ」
「何よ。そんなに驚くことはないと思うけどん?」
「言い方がダメだろ」
「…それはそれとして。私は、あなたが苦しまないように導いてあげるのよん。女神として相応しいでしょ?」
「それは知らんが。トイレとかはどうするんだ?」
「トイレ…それなら目隠しさせて私が導くわよん」
「逆にストレスだよ」
「なんで?」
「なんでってお前なぁ」
「良いじゃない。私にとってあなたはそれほど大事な人なのよん。ね?」
「ね?って…」
「好きな人を救いたい。そう思うのは妖怪も人間も神様も変わらないって聞いたわよ」
「知らん」
「じゃあ今知りなさい。私はあなたのことが好きだってことを」
せっせこらせと働いてる主人公を見たヘカーティアさん、導く使命感を感じるもそれが後々一目惚れだと気が付いたか!?
それに反し主人公!ひょろりひょろりと手の上で踊る踊る!