不慮の事故で行方不明になったPが記憶喪失になってまったくの別人としてアイドルの前に現れる話 作:草葉 ヤス
前話投稿が2か月前。あの頃はにちかも美琴もいなかったのか・・・。
執筆に2か月もかかっている訳でなく、単純にサボっていたから2か月開きましたどうもごめんなさい。
謝罪も終わったんで第2話どうぞ。
重い足を無理やり持ち上げるようにしながら、事務所への道を歩く。
空はまるで私の気持ちを映しているように、どんよりと分厚い雲が覆っていた。
時刻は12時42分。あと5分ほどで事務所には着くだろう。そして真乃とめぐるとこれからの事を相談する予定。でも、何を話せばいいのかわからない。これからのお仕事の事だろうが、今までどの仕事にもプロデューサーが関わって、手伝ってくれていたから、プロデューサーがいないとなると
そんなことを考えながら歩いていると、あっという間に事務所の前に着いてしまった。283プロダクションと書かれた扉のに手を掛けて、一度深呼吸する。
扉を開けて、第一声は何を言えばいいだろう。めぐるとは昨日気を失って以来何も喋れていないけど、何て言えばいいだろう。心配かけてごめん?めぐるは大丈夫?プロデューサーが無事だったらいいね?どれを言えばいいのかわからず、ドアノブを握る手を動かせない。
「・・・灯織?」
「わっ!」
考え事をしているところに話しかけられ、驚いて後ろを振り向く。
そこにはいつもと同じ服装をしためぐるが立っていた。しかし目の下にはクマが出来ており、どことなく元気がない。
「めぐる、えっと・・・」
「・・・灯織っ!」
何かを喋ろうとしたところで、めぐるが私に飛び込んできた。咄嗟の事に反応できず、勢いに負けて扉へと押し付けられるような形になってしまう。めぐるが私をギュッと抱きしめるが、普段よりも力が強い。締め付けられるまでとはいかないが、背中に回されている腕に力が込められているためか少し痛い。
「灯織、もう大丈夫なのっ!?何処か具合が悪いとか無い!?」
「め、めぐる、大丈夫だから、ちょっと離れて」
「えっ・・・、あっ!ごめんね!」
私がそう言うとめぐるは一言謝ってパッと離れる。少し痛む背中をめぐるにバレないように少しさすってから、私はめぐるに向き直る。
「めぐる、心配かけてごめん。私は大丈夫」
「っ!・・・ハァ、良かったぁ・・・」
そう告げるとめぐるはその場で大きく息を吐きながら、再び私に寄りかかってきた。さっきとは違う、やさしさのある抱擁。めぐるの腕が再び私の背中に回されてくるのとほぼ同時に私もめぐるの背中に腕を回した。
「ごめんね、灯織。わたし、あの時自分の事でいっぱいいっぱいで、灯織に気づいてあげられなかった」
「そんな、私こそごめん。めぐるが苦しそうにしてたのに、私は何もできなくて・・・」
「ううん!灯織は悪くないよ!私が・・・」
「め、めぐるこそ悪くないよ、私が・・・」
「「・・・・・アハハッ」」
二人してそう言いあうと、何だかおかしくなってつい笑ってしまう。昨日の夜からずっと気分が落ち込んでいたが、めぐると話せたことで少し気持ちが晴れた。
「よかった。灯織、笑ってくれて」
「うん。ごめんね。ありがとう」
「もう、また・・・」
「あれ?灯織ちゃんにめぐるちゃん?」
声を掛けられた方を見ると、少し驚いた様な表情をした真乃が立っていた。
「真乃」
「真乃!」
めぐるが後ろを振り向いて真乃に気づくと、私から離れて真乃に抱き着いた。
「ほわっ、めぐるちゃん。おはよう」
「うん、真乃も。ごめんね、大丈夫だった?」
「うん。私は大丈夫だよ。めぐるちゃんは・・・」
「私も大丈夫!・・・完全に、って訳じゃないけどずっとクヨクヨしてたらプロデューサーに言われちゃうから、元気出せって!それに、二人を見たら何だか気持ちが落ち着いたよ!」
めぐるがそういって真乃から離れる。目の下のクマは取れていないが、いつもの様な明るい笑顔に戻っていた。
「じゃあ、事務所の中に入ろっか」
私がそう言って扉を開けて中に入ると、後ろに二人がついてくる。
事務所内はいつもの喧騒がウソのように静まり返っており、奥の事務室代わりの場所にははづきさんがパソコンと向かい合ってデスクワークをしていた。
「あ、灯織ちゃん、真乃ちゃん、めぐるちゃん、おはようございます~」
「「「おはようございます!」」」
「はづきさん、少しソファーをお借りしていいですか?」
「はい、大丈夫ですよ~。何か飲み物を出しましょうか?と言っても今はコーヒーしか無いんですけど~」
「大丈夫です、お気遣いありがとうございます」
はづきさんに一声かけてソファに腰かける。はづきさんは昨日の事があったからかこちらを不安そうに見つめていたが、すぐにパソコンへと向き直った。
「真乃、話って・・・」
「うん、灯織ちゃん、めぐるちゃん、全国ツアーの話なんだ」
「やっぱり、そうだよね・・・」
真乃の口から全国ツアーの単語が出てきて、めぐるがそれに頷く。
「社長から聞いた話では、全国ツアーは1年後にスタートするんだって」
「1年後、かぁ。何だか遠いような近いような」
「うん、それで、私が二人に聞きたかったのは、全国ツアーに出るかどうかの確認なんだ」
「確認?なんで?」
めぐるが不思議そうに頭をかしげる。わたしも顔には出していないつもりだが、内心は同じことを思ったが、すぐに真乃の気遣いだと気が付いた。恐らく、精神的ショックで私たちがアイドルを続けられるかどうか不安だったのかもしれない。昨日めぐるはへたり込み、私に至っては倒れてしまったのだから、真乃の気持ちも最もだろう。
「えっと、もしかしたら二人はアイドル続けるのを辛いかなって思って」
「えっ!そんなこと・・・」
「・・・真乃」
「灯織ちゃん?」
めぐるの声を遮るように声を出す。
「私なら大丈夫。それにきっとめぐるも。全国ツアーはプロデューサーが私たちも持ってきてくれた仕事だから、全力でやり遂げないと」
「うん!真乃が私たちを心配してくれてるのはわかったよ!ありがとう!でも私は全国ツアーやりたい!プロデューサーがとって来てくれた仕事だもん!」
真乃の手を握りながら、瞳を真っすぐ見る。
「ほわっ、それじゃあ」
「283プロダクション、全員一致で開催決定だな」
「ほわっ!」「わっ!」「うわっ!」
いつの間にか後ろに立っていた社長の声に驚いてみんな
「社長、いつの間に・・・」
「社長!全員一致って・・・」
「あぁ、昼までの間に各ユニットの代表者から連絡が入ってな。各々例の事件でショックを受けている者もいるが、あいつが取ってきた全国ツアーを絶対に成功させると言っていた」
「ほわっ、じゃあ・・・」
「あぁ、我々283プロは全国ツアーを開催、そして大成功させる。それにあいつも死んだと決まったわけでは無いし、遺体も発見されている訳では無い。私は生きて帰ってくると信じている!それと仕事の事について心配はいらない!私が直々に皆の事をプロデュースしよう。これでも昔は腕利きのプロデューサーだったからな、安心していいぞ」
社長が力強くそう言い切って腕を組む。
「お前たちには、というより全てのアイドルもだが、現在入っている仕事を完了したら最高のパフォーマンスをするためにしばらくはレッスンを中心としたスケジュールを組む。忙しくなると思うが、弱音を吐くなよ!」
「「「はい!」」」
私たちが社長の言葉に力強く頷くと、社長は満足そうに笑って社長室に戻っていった。社長室の扉が閉まるとめぐるが勢いよく立ち上がる。
「真乃、灯織、頑張ろうね!」
「ほわっ、うん!絶対成功させて、プロデューサーが帰って来た時に驚かせよう!」
「うん、頑張ろう!」
私たちは決意を胸に立ち上がった。全国ツアー大成功へ向けて。
タイトル詐欺が酷いのでさっさとPを出したいなぁと考えています。
まぁ次話では流石に出てくると思います。