ヴァルキュリアが強すぎる   作:yua

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真の主人公サイドが態勢を立て直すデウス・エクス・マキナ的な敵が身内で足を引っ張り合う的なアレ


04歴史の歯車が回り始める

ガリア公国の正規軍が首都に押し込められる中で、ガリア公国各地で義勇軍や遊撃部隊による反抗の兆しが現れ始めた。

時を同じくして三将軍(ドライ・シュテルン)の陣営に武器弾薬の補充が順次行われ、ガリア戦線の緊張が最終決戦に向けて収束していくと思われたこの時にアルバートの元に届いた封書がマクシミリアン貴下の首脳部に衝撃を走らせていた。

「アルバート将軍は査問会への召喚を求められている」

マクシミリアンが発した言葉にセルベリア、イェーガー、グレゴール、そしてアルバートは口をつぐんだ。

「召喚の理由は明かされていない。とにかく、この…」

薄っぺらく装丁もない真っ白な封書をマクシミリアンは忌々しげにテーブルへ叩きつけた。

「『説明責任』を果たさねばアルバートは軍事法廷にかけられるとある。説明責任とやらの内容も書かずに、だ」

ギチリ、とマクシミリアンは唇を強く噛む。

砂漠で本来の目的であるヴァルキリアの遺産の手がかりを見つけ、ガリア方面軍の武装も充実し始めた今になって本国からのアルバートの実質的な強制召喚の要請。明らかに嫌がらせか、マクシミリアンに戦功を立てさせたくない派閥の暗躍が見てとれる。

「う~ん…何で今何だろうか?」

首を捻るのはアルバート=オデッセイ本人である。

「誰かの差し金であろう」

断定した口調でマクシミリアンはグレゴールを睨む。その視線にグレゴールは目も反らさず、背をピンと立て、無感情な鉄面皮を貫く。

「いやいや、それなら首都を包囲した時が一番嫌がらせになりましたよ」

「我らの出鼻を挫く為であろう」

確かにこれから、と言うときに横槍が入るのは著しく気勢を削ぐ。実際、お通夜の様なこの場の雰囲気がそれを証明していた。

「殿下、首都包囲の時かその前に召喚していればガリア軍相手にはもうちょい手こずりましたぜ」

だが、イェーガーもアルバートに賛成する。

実際、当時の内実を知る者なら断定出来るのだ。それくらいに、ガリア侵攻三週間で武器弾薬の類いは底をつき、ガリア方面軍は継戦能力を失っていた。

「…確かに」

戦略に疎いセルベリアも頷く。

「ぶっちゃけ、グレゴール将軍の密告の線は無いッスよ殿下」

ぶっ、とイェーガーとセルベリア、ついでにマクシミリアンが吹き出した。マクシミリアン貴下の監視役として公然の秘密ではあるが、本国に密告書を送っているグレゴールの目の前で話す事ではない。グレゴールも目を見開き(こいつ、マジか)見たいな顔で見ている。

「おま、おま…お前ぇ~~~!?」

マクシミリアン、キャラ崩壊する。

「まあまあ、落ち着いて下さい殿下。事ここに至れば俺らは運命共同体ですよ、ねぇグレゴール将軍?」

今にも自分に掴みかかりそうなマクシミリアンを片手でいなしながら、アルバートはグレゴールへと矛先を向ける。

「……確かに私がここで本国に戻るという選択肢はないな」

三将軍としてマクシミリアン貴下で戦功を立てながら、ガリア方面軍の内実を探っていたグレゴール。スパイとしての立場を抜きにしても中々に危うい立ち位置になっていた。

「連邦との小競り合いか本格化し出した今、ガリア戦線に穴を開けるのは本国も望む所ではない」

グレゴールの言葉はそのまま帝国首脳部の言葉でもある。

それは連邦との戦争が総力戦に至る可能性を示唆していた。世界に冠たる二大大国が全力でぶつかり合う余波は周辺諸国、ひいては世界全てを巻き込む戦争の勃発。

「世界大戦(ワールドウォー)……」

数年前から軍事関係者の間で囁かれ始めた世界終末への引き金。

ブルリ、とイェーガーは体を震わせた。もし、そんな事が現実になれば自分の祖国は再興を待つ事なく歴史から消える。

「殿下…」

ガリア公国を陥落させたとしても、二大大国の総力戦となればマクシミリアンの脆弱な派閥では不穏分子として握り潰されかねない。ヴァルキリアであるセルベリアならばマクシミリアン個人は守れるかもしれないが、それは巨大な野心と力を望むマクシミリアンの意に叶う事ではないだろう。

「…アルバート、貴様は何日あればここに、この場へ戻って来れる?」

「一…三ヶ月あればお土産も持って来ますよ」

「土産は要らん。二ヶ月で戻れ、我が元へ」

常ならば超然とし、全てを見下すマクシミリアンの瞳が真剣な輝きでアルバートを見つめる。

「我が主君の望むままに」

アルバートもまた粛々と膝をつき頭を垂れた。

服装こそ軍服の二人だが、そこだけ切り取れば物語の中の騎士と王の場面であるかのようで…セルベリアは自分こそがそうありたいと願うアルバートとマクシミリアンの関係に羨望と嫉妬の入り交じった視線を送っていた。




ここまで。
こっからは何もないよ。
マクシミリアンがガリア公国で○○と○○して豊富なラグナイトとオリ主を馬車馬の様に働かせて○○に立ち向かったり、真の主人公からオリ主が逃げまくる話とか誰か書いて下さい。

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