今日の世界は、何色?   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

はい、バンドリ小説の新作、遂に第4作目が解禁となりました。前作は私が選んだバンドリキャラを軸に執筆しましたが、今回は読者の方のアンケート結果を参考に、今井家を軸に話を展開するお話です。果たして、どんな物語が待っているのか、さほど期待せずにお楽しみ下さい。

では、物語へご案内しましょう。



1章 巡り合う者達
1.盲目の女神


[???家 ???の部屋]

 

 

「……ちゃ…、お……ん!」

 

 

「…っん……ふわぁ~…もう朝なのね」

 

 

「おはよう、お姉ちゃん!朝ご飯、もう出来てるよ!」

 

 

「そうなの。分かったわ」

 

 

とある家族の朝。どこの家庭にもありそうな、日常の1ページ。妹が姉を起こす。あるいは逆の事なぞ、現実においても有り得る話だ。そんな日常のワンシーンは、見る者の心をどこか和ませてくれる。

 

 

「じゃあ、いつものをお願いするわね?リサ」

 

 

──あまりありふれていない、とある事情さえ無ければ、の話ではあるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[???家 食卓]

 

 

「うん!やっぱりお母さんの筑前煮は美味しいね!ね!お姉ちゃん!」

 

 

「ふふ、そうね。リサは昔から筑前煮が好きだものね」

 

 

「うん!」

 

 

朝食。アタシの家の今日の朝ご飯は和食づくし。その中でも特に目を見張るのが、お母さんの筑前煮。アタシの好物でもあり、アタシが料理をする上での目標でもあるソレは、アタシが食事を楽しみにする理由のある程度を占める。口に運んで咀嚼すると、旨味が広がる。

 

そんな朝の何気ない日常。最近は幼馴染の(みなと) 友希那(ゆきな)がリーダーのバンド、Roseliaのベース担当として、バンドマンでもある分忙しいけど、アタシの生活はとても楽しいものになっている。

 

それもこれも……

 

 

「…月代、体の調子はどう?」

 

 

「今日は大丈夫みたい。今日は散歩でもしたい気分よ」

 

 

──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からあるモノだけれど。

 

 

 

 

 

1つ、アタシ達の昔話をさせて欲しい。さっきの言葉について、かなり深い関わりを持つ話になる。アタシがまだ、かなり小さかった頃(具体的に何時かは覚えてないけど)だった。アタシとお姉ちゃんの2人で買い物に行く事があった。お母さんに言われたものを買って、さぁ帰ろうとしていた時の事だ。

 

 

──ねぇお姉ちゃん!あの公園に行きたい!ダメ?

 

 

 

──良いわよ。それにしてもリサ、あの公園が好きなのね。

 

 

 

──うん!友希那ちゃんとよく遊んでるから!

 

 

ふと、帰り道にあった公園で遊んでみたくなったから、お姉ちゃんにそうお願いした。お姉ちゃんはそれを快諾してくれた。…今思えば、アタシがこんな事を頼まなければ、今みたいな事にはならなかったのかな。

 

それで、アタシは気分が舞い上がったように嬉しそうにしていたのを、昨日のように覚えている。そして、さぁもうすぐ公園に着くぞって時に……

 

 

──…!?リサ!!

 

 

 

──…え?

 

 

アタシは最初、何が起きたのかが、点で理解が出来なかった。お姉ちゃんに突き飛ばされた事は分かったけど、どうしてそうしたのかまでは分からなかった。ただ、アタシがさっきまでいたであろう場所に目を向けると、否が応でもその疑問の答えは返ってきた。

 

 

──……お姉…ちゃん?

 

 

そこには、お腹と目の辺りから大量に血を出しているお姉ちゃんが、倒れ伏していた。…そう、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その時のアタシは色んな感情が入り混じって、何も出来なかった。ただ、たまたま近くを通りかかった人が救急車や警察を呼んでくれたのが、不幸中の幸いだった。

 

そして、どうやってアタシ達の情報を聞きつけたのか、お父さんとお母さんがアタシ達の所に来て…

 

 

──リサ!月代!

 

 

 

──リサ、怪我はないか!?

 

 

それ以降の事を、アタシは殆ど覚えてない。脳が記憶するのを拒絶したのか、はたまたアタシが気絶したのか、どうかは分からないけど。それから覚えているのは、起きてから家でお姉ちゃんについて話された事だった。分かった事を簡潔に言うと、こんな感じになる。

 

1つ、お姉ちゃんの命に別状は無く、お腹の方は手術でどうにかなったらしい。

 

1つ、アタシ達の方にぶつかってきた車は、よそ見運転をしていたらしい。

 

 

 

 

 

──1つ、お姉ちゃんの目は、修復が聞かない程に潰れてしまった事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リサは今日どうするの?バンドの練習?」

 

 

「…うん、今日は新曲を練習するんだ!」

 

 

「あら、それは良い事を聞いたわね。じゃあ近いうちにライブをやるんじゃないの?」

 

 

昔の事を思い返していると、不意にお姉ちゃんが今日の予定について声をかけてきた。咄嗟にバンド練習があるって答えたけど…もしかしたらお姉ちゃん、アタシと一緒に散歩しようとか思ってたのかな。……そうだとしたら、正直に言わないでお姉ちゃんと散歩したかったなぁ、なんて思ったり。…友希那達に迷惑がかかるから、しようと思っても出来ないんだけど。

 

 

「時間は大丈夫なの?」

 

 

「へ…?……あぁっ!?もうこんな時間!?急がないと!!」

 

 

どうやら思っていた以上に時間が経っていたらしく、ギリギリ集合場所に着くかどうかの時間帯に。お姉ちゃんが確認してくれなかったらと考えると……あぁ怖い。そう思うのと同時に、アタシは昔の事を思い返したせいか、少し悲しい心情になった。…バンド練習、大丈夫かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[CiRCLE 1番スタジオ]

 

 

「…ふぅ、良い時間ね。少し休憩にするわ」

 

 

所変わって、バンド練習をする主な場所である、ライブハウスCiRCLE。あの後は一応ギリギリではあるけど間に合って、特に演奏に縺れもなく今の今まで練習していた。その練習も一区切りし、友希那の一声で各々の休憩時間の謳歌が始まった。

 

友希那と紗夜(氷川(ひかわ) 紗夜(さよ))は自身が間違えたところや改善すべきと思った場所の確認と共有をしている。音楽に一途な友希那と、根っからの真面目な性格の紗夜らしい休憩時間の過ごし方。良くも悪くも、それと決めたら一直線に進む2人が、時々心配になる事もあるけれど。

 

一方であこ(宇田川(うだがわ) あこ)と燐子(白金(しろかね) 燐子(りんこ))は、何やらスマホを2人で見ながら話をしている。…NFO(最近流行ってるMMORPG)のイベントが近いとか何とか聞いたから、恐らくソレの話だろうか。…アタシも後で確認しておこっと。

 

NFOの話が少し出たから、ここで1つ。どうでもいいかもしれない情報だけど、何気にRoselia全員NFOをやっていたり。キッカケは「皆でNFOやりたいんです!」っていうあこの何気ない一言だった気がする。最初は友希那と紗夜が渋ってたけど、いざ始めると紗夜が本格的に楽しみだして、今では空いた時間があったらやってるみたい。…まぁ、友希那は相変わらずなんだけど。

 

 

「…そうだ。お姉ちゃん、今何してるのかな~」

 

 

今朝、お姉ちゃんについて考えていたからか、不意にお姉ちゃんの事が脳裏に浮かぶ。そう思いながら、アタシはメッセンジャーアプリを開き、お母さんにお姉ちゃんについて尋ねてみる。本来ならお姉ちゃんに直接聞けばいいんだろうけど、お姉ちゃんはメッセンジャーアプリなんてやっていない為に、電話でもしない限りは連絡手段がない。朝、散歩がしたいって言ってたから、お母さんと散歩に行ってるんじゃないかと踏んでの、お母さんへの確認でもあったり。

 

 

「あれ?リサ姉、何してるの~?」

 

 

と、スマホと睨めっこしてるアタシを見て、あこがそう尋ねてきた。それに皆が追うように、他の皆もこっちに来る。…何か、そんな大事みたいにされても……こっちが恥ずかしくなるんだけど。アハハ。そんな事を心の中で思っていると、友希那が皆に向けてこう言った。

 

 

「…リサ、また月代さんの事を聞いてるんじゃないの?」

 

 

「アハハ…正解」

 

 

やっぱりね、といった具合の顔をする友希那。それを聞いた皆も、またか、みたいな顔を浮かべる。…実を言うと、これは1回2回といった回数このやり取りをした訳ではなく、結構頻繁にやってるやり取りだったりする。友希那曰く、例の件からリサは月代さんに過保護な傾向になりがち、との事。…そんな事ないんだけどなぁとは言いたいものの、何となく自覚している上、音楽以外に存外疎い友希那にまで言われるんだから、否定できない。

 

 

「お姉さんは……元気なんですか?」

 

 

「うん、ほら。今はお母さんと散歩に行ってるんだって!」

 

 

お姉ちゃんについて尋ねてきた燐子に答えるように、今し方返ってきた返答と写真を見せる。お母さんの「一緒に散歩してるわよ~」という返事と、口角を少し上げてにこやかに笑うお姉ちゃんの写真を見て、思わずその場の全員が和む。

 

 

「…相変わらず、物凄く美人な方ですね。同性として、羨ましい限りです」

 

 

とは、紗夜の言葉。お姉ちゃんと会った事があるのは、この中だと燐子と友希那だけだったはず。友希那はお隣だから、結構顔合わせをしている。燐子は確か…買い物をしてる時にバッタリ会ったんだっけ?一応、アタシに姉がいる事も、目が見えない事も、軽くではあるけど皆には伝えている。もし練習中にお姉ちゃんに何かあっても、すぐに駆け付けられるようにっていう意図で。…でも、良いお姉ちゃんだっていう自慢がしたかったのも、あるんだけどね。

 

 

「…月代さん、調子は大丈夫なのかしら?」

 

 

「うん、今日も調子が良いって言ってたから」

 

 

そういえば、あの件があってから、友希那がアタシの事をより気にかけてくれるようになった。…自惚れじゃないと良いけど、身内に何かあったから、アタシも何か心に傷を負ってると思ってくれてるのかな?…ホント、自惚れが過ぎるね~アハハ。

 

 

「そう…なら良いのだけど。…さて、そろそろ休憩も終わりね。また練習に入るわよ」

 

 

友希那のその一言を機に、アタシらのスタジオは、再び音楽に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[今井家 リビング]

 

 

「ただいま~」

 

 

「あらリサ、おかえりなさい」

 

 

練習でヘトヘトになってるアタシを笑顔で出迎えてくれたのは、アタシのお姉ちゃんこと今井(いまい) 月代(つきよ)。盲目の美女と、アタシは勝手に二つ名を心の中でつけていたり。そう言うのにもしっかりと訳があるわけで、お姉ちゃんは身内贔屓を差し抜いても、屈指の美人なのだ。それはもう、アタシは勿論の事、すれ違う様々な人が足を止めたり、羨ましそうに見たりする程には。服装が変わると、雰囲気までもがガラリと変化するからね~お姉ちゃんは。

 

 

「お姉ちゃん、散歩はどうだったの?」

 

 

「とても気持ち良かったわよ。やっぱり外の空気を吸うのって、良いわね」

 

 

…そうそう、お姉ちゃんの事について1つ、補足しないといけない事があるんだけど。

 

…正直、「どうしてお姉ちゃんの散歩にお母さんがついていくのか?」なんて思った人もいるんじゃないかな。…まぁ、お姉ちゃんがそういう気分だったんじゃ?なんて言われたら、返す言葉も無いんだけど。それについて、答え合わせをしておくと……

 

 

「リサ、ちょっと台所に行きたいから、手伝ってもらえるかしら?」

 

 

「は~い」

 

 

…そう、お姉ちゃんは、()()()()()()()()()。足自体はちゃんとあるんだけど、盲目になったせいでしっかりと足を使う機会がめっぽう減って、足の筋力が衰えていった。お医者さんは、盲導犬を付ける事を勧めたけど、何故かキッパリソレを断った。そしてお姉ちゃんは、足の筋力が回復困難になるまでになってしまった、と言う訳。

 

 

「…ねぇ、リサ」

 

 

「ん~?」

 

 

そんな事を思っていると、ふとお姉ちゃんが尋ねてきた。ソレは、至極単純な内容だった。

 

 

「……貴女、今楽しい?」

 

 

「…うん!」

 

 

アタシはそう答えた。…伝わってないよね?アタシのちょっとした罪悪感。……ただ、アタシの答えを聞いたお姉ちゃんが浮かべた少し悲し気な表情が、少し胸に残った。

 




という事で、1話が終わりました。

今回のメインキャラである今井 月代さんが登場しましたね。盲目に足も使えないとの事でした。…リサも含め、何かあると感じた方もいるかもしれませんね。その辺りは、追々言及されるかも…?

話は少し変わりますが、アンケートを近々貼るかもしれないので、その際はご回答の程、宜しくお願いします。そして、投稿頻度について、もしかしたら変更があるかもしれませんので、その時は活動報告にてご報告します。

次回『2.見えぬ貴女の今』
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