今日の世界は、何色?   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

今回から、投稿頻度を前回言った通りの頻度に変更します。今までの頻度では、ほぼ毎日執筆していましたので、数日は休憩をはさみながら取り組みたいと思った次第です。お許し下さい。

さて、今回はもうお分かりの通り、あのバンドが登場します。…一番最初に出すべきだったかもしれませんね……アハハ。

そして、お気に入り登録:酔生夢死陽炎さん、ENDLICHERIさん、ユウキにゃんさん、腹黒白兎さん、青粉さん、✨zero✨さん、daisuku0903さん、土谷ァさん、妖魔 桜さん、雪の進軍さん、まっちゃんのポテトМサイズさん、るるるるんさん、ゴールデンウラガさん、tori@さん、ゆーとんさん、お気に入り登録ありがとうございます。

では、物語へご案内しましょう。



5.盲目の才能(1)

[CiRCLE 受付]

 

 

「あ、リサちゃん、いらっしゃい!Roseliaの皆、もう来てるよ!」

 

 

「は~い!さ、お姉ちゃん、行こ!!」

 

 

「分かったわ。ちょっと先に行ってらっしゃい。私も少しやる事あるから」

 

 

「…?分かった~」

 

 

そう私が言うと、少し不思議そうに私を見るリサ。ここまで来て今更私が何をやるのか、考えても思いつかなかったのだろう。…折角レベルの高いバンドの練習に行くのだから、私もそれ相応の態度で臨まないといけないと考え、こうした次第。そして、それにはまりなさんの協力が必要。…リサには秘密にしたかったのもあり、リサには先に行ってもらったのだけれど。

 

 

「…まりなさん、空き部屋ありますか?良かったら案内してもらいたいんですが…」

 

 

「リサちゃんには内緒の事ですか?」

 

 

「…えぇ。少しばかり、驚かせてみたいなと思いまして」

 

 

それを聞いた彼女は、「成る程、分かりました」とだけ言い、私の車椅子を押しながら、空いている且つリサ達のいる場所より幾分か遠い部屋へと案内してくれた。…こういう所で細かい気配りが出来るのは、かなり大人な証拠とも言える。…私の中で、密かにまりなさんへの好感度が上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[CiRCLE 6番スタジオ]

 

 

「…一緒に来たは良いものの、何をするんですか?」

 

 

「そうですね……この部屋にあるギター、持って来てくれますか?」

 

 

分かりました、と一言だけ告げ、彼女は一時退室する。…ブランクとか大丈夫かしら。正直、これからやろうとしている事は、音楽をやっている人からしても常軌を逸した事だと思う。私も、やろうと思ってやり始めた頃、我ながら狂ってるのか、と問いただしたくなる程だ。

 

…と、そんな風に昔を懐かしんでいると、足音が1つ。恐らくまりなさんだろう。足音が早い事からするに、急いでくれた様子。サービス精神旺盛でありがたい。

 

 

「どれが良いのかを聞き忘れたので、取り敢えず使いやすそうなものを選んできました」

 

 

「ありがとうございます。それ、貸してもらえますか?」

 

 

「良いですけど……弾けますか?」

 

 

「…恐らくは」

 

 

そう言いながら、私はギターを触る。…ふむ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。演奏は出来そうね。そんな事を考えながら、私は昔練習の時に弾いていた曲を弾く。

 

 

「……嘘」

 

 

…私には、才能がある。昔からそうだったと両親から言われていて、やった事はある程度まで、あるいは平均より上手く出来る。ただ、私はソレをあまり喜ばしいモノとは感じられなかった。やるもの全てがプロ級にできる等であれば、まだ自信を持てたりしたのであろうけれど、(私はそうであったとしても)嬉しいとは思えない。

 

基礎の土台が人よりあると考えたら、少しは良く見えるかもしれない。でも、やはり器用貧乏という言葉が、ソレを許さない。世間では様々な事が出来る人は羨ましがられる事もある。ただ、当人からしたらそんな事はないなんてケースもしばしば。どの分野も特出していないせいで、自分が人よりも出来ていると感じる場面が少ない。ソレが、当人を傷つける。私もそう思う事があったり。

 

ただ、私がその才能を良く思わない理由は、他にある。単純明快、()()()()()()()()からだ。才能がある人への期待は、嫌でも大きくなる。それ自体は仕方ない事とは思うけれど、ソレを向けられる当人がそれを是とするかはまた別の話。

 

…まぁ、そんな事もあったので、私は才能を嫌い、今まで封印してきた。ただ、私としてもそろそろ前を向いて行こうと思い、才能と向き合う事にした。

 

 

「……ふぅ、まりなさん、どこかミスタッチとかありましたか?」

 

 

「…ううん、目立ったミスは無かったよ。それにしても、凄いですね」

 

 

…そう、この目を見るのが、私は好きじゃない。期待だけが独り歩きして、私と言う人間を置き去りにする、その目が。ただ、今回のまりなさんの目はソレ一色ではなさそうだけれど。

 

 

「まりなさん、ピアノって持ってこれますか?」

 

 

「…ピアノ?少し待ってて下さいね」

 

 

そう言ってすぐに探しに行ってくれるまりなさん。…何度も御免なさいと、心の中で感謝をした私だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[CiRCLE 1番スタジオ]

 

 

「…もうこんな時間なのね。皆、休憩にするわよ」

 

 

相も変わらず、彼女らRoseliaの演奏は、友希那のその一言で一先ずの終わりを迎える。別のバンドの受け売りをするなら、これが彼女らの()()()()()

 

 

「……おっかしいなぁ…」

 

 

「……?今井さん、どうしたんですか?」

 

 

「いやぁ〜、ちょっとね……」

 

 

そんな中、リサの様子がいつもと違う。休憩に入ってからずっとどこかを気にしているように感ぜられる。当然、落ち着きもない。いつも通りでない彼女を、皆が心配している。

 

 

「…何か悩みでもあるのですか?良ければ相談に乗りますが……」

 

 

「ううん!そんな大層な事じゃないから!」

 

 

そんな紗夜の一言も、無情にも一刀両断。大体こう言う人間は何か悩んでいると暴露したも同然。それを紗夜は知っている。

 

 

「…嘘ですね?そうやって言うのは、悩みがあるからこそ言うものなんです」

 

 

「うっ……」

 

 

鋭い正論に、思わず声を出しながら狼狽えるリサ。それを逃さないとばかりに、紗夜以外もリサに詰め寄る。そんな状況を無情にも打ち破ったのは……

 

 

「…あら?タイミングが悪かったかしら?…出直した方が良いかしら?」

 

 

「お姉ちゃん!もぉ~、遅いよ!」

 

 

リサの姉こと、月代だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そういう事なら言ってください。かなり心配したんですから……」

 

 

「あはは…ゴメンゴメン!皆を驚かせたかったからさ~。にしてもお姉ちゃん、随分遅かったね?」

 

 

全く…と言いながら溜め息を漏らす紗夜ちゃんを見る辺り、本気で心配していたようね。リサってば……。

 

それにしても、いきなりソレを聞かれてしまうとは…まぁ、何気なく流しておけばいいかしら。それに、私も色々聞きたい事もあることだし。

 

 

「思ったよりも時間かかったのよ。…それで、今は休憩中?」

 

 

「うん、さっき休憩に入ったばっかりなんだ~」

 

 

…私的にタイミング悪かったわ。演奏してる所聞きたかったのだけれど。…撮ってあるものとかないかしら?

 

 

「演奏の様子を撮ったものとかあるかしら?聴いてみたいのだけれど…」

 

 

「それなら、こちらのを聴いてください」

 

 

「あら、助かるわ。ありがとう、紗夜ちゃん」

 

 

待ってましたとでも言わんばかりの早い応答と同時に、紗夜ちゃんから映像の再生手前まで操作が終えてあるスマホを渡される。見る予定だったのかしら。あるいは…見せる気でいたとか?……なんて、あまり知らない人相手にそんな事をする訳もないわよね。

 

そんな大した意味もない考えを遠くに投げ捨て、ソレを再生する。勿論、イヤホンを付けて。こういうのは出来る限り音量大きめに聴きたい派なので、迷惑が掛からないようにしなくてはならない。社会人として、いえ、人として当然の事。今時そうしていない人など、殆どいないのではないだろうか。

 

 

「……ふむふむ」

 

 

そう聴き入る予定ではなかった私にとって、この曲に聴き入っているのは、ちょっとした予想外の出来事だったりする。本格派のバンドとは聴いていたし、妥協が嫌いな人達ばかりだとも聞いていたけれど、正直ここまでの出来だとは思いもしなかった。メンバーが高校生である事も加味してこのクオリティを想像するのは、些か厳しい。そう思わざるを得ない程に、彼女らの音楽は形作られている……と思う。保険を掛けておくと、私は音楽に精通している訳でもないので、さっきまでのそれらしい意見は、全部素人の意見である。天才であろうとも、経験には勝てない。

 

 

「…どう?」

 

 

少し経ってソレを聞き終わり、私がイヤホンを外す。それを待っていたのか、リサがそう声をかけてくる。…どうって、素人の意見をもらったところで、マイナスになる可能性の方が高いでしょうに……。…まぁ、聞かれたのなら答えるけれども。

 

 

「貴女達なりの真剣さや、音楽の個性はあるわ。結構しっかりと基礎も押さえられているし、それを応用する事も出来ている。正直に言うなら、高校生のレベルはおろか、一般のバンドのレベルはもう超えてるかもしれないわね」

 

 

「ホント!?」

 

 

私の分析に、思わず大きな声を上げるリサ。声こそ上げていないものの、後ろの方で安堵している様子を見せている……燐子ちゃんとあこちゃん、だったかな?

 

…ただ、私から言わせてみれば、()()()()()()。…この意味、納得していない友希那ちゃんと紗夜ちゃんは察しているのかしら。

 

 

「……()()()()()()()?欠点などを言われると思っていたのだけれど?」

 

 

と、疑問に感じたのか、友希那ちゃんがそう訊ねてくる。まぁ、そうよね。欠点を何1つ言われないのは、評価をもらう側としては腑に落ちないでしょう。…なら、答えましょうか。

 

 

「そうね…私から1つ言うなら……()()()()()()()()()()()、かしらね」

 

 

「…?どういう意味ですか」

 

 

唐突にそんな狂言を聞いて情報整理が追い付いていないのか、紗夜ちゃんが猜疑心満載の表情でそう訴える。他の皆も同様の表情。まぁ、そうよね。こんな事を指摘する人なんて、まずいないでしょうし。…ただ、こういった世界でクオリティの巧拙に付随して止まないのが、()()()()()()()()だ。少なくとも、そことの苦戦は避けられないと思っている。

 

 

「貴女達の技術は、色々な人が聴いても高いクオリティを持っていると言うレベルまで来ているわ。それこそ、その道の人達と渡り合えるのではないかと、期待を持てる程に」

 

 

「…それが……どうして常識と…関係してるんです…か?」

 

 

未だに思考に暮れている皆を代弁するかの如く、燐子ちゃんが私に問いかけてくる。…やはり高校生、まだまだ成長途上にあるからこその甘さ、未熟具合がこういうところに見れる。仕方ない事ではあるけれど、彼女らがそれなりの道を歩んでいる以上、いずれ知らねばいけない事を黙っておく事もない。

 

 

「さっきも言った通り、それだけで終わってしまうの。技術は高いね、だけ。その状態とプロを比較して、貴女達には1つ、明らかに欠如しているものがあるわ」

 

 

「…それは?」

 

 

……本当ならここまで肩入れする予定もなかったのだけれど。この子達の本気のオーラにあてられたのかしら、私も本気で向き合いたいと思ったから。…貴女達に、私からの試練を。

 

 

 

 

 

──精神論、よ

 




という事で、5話が終わりました。

投稿されたこの話を見て、「何かタイトル変わってる?何だ(1)って」と思った方もいるかもしれません。これを執筆している時、思ったより文字数が多くなりそうでしたので、前後編に分ける事にしました。次回はこれの続きからとなります。重ね重ね、申し訳ないです。…流石に、(3)まではいかないと思います。

尚、アンケートは継続中ですので、是非ご回答下さい。

次回『6.盲目の才能(2)』
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