今日の世界は、何色?   作:Cross Alcanna

9 / 10
どうも、Cross Alcannaです。

さて、私も予期しなかった後編でございます。自身の計画性の無さを痛感する限りです。ただ、時間を取って考える程の余裕がないのも事実なので、出来る限りでどうにかしてみます。
話題は変わりますが、ハーメルンの最近のランキングが某ウマ娘に染まりつつあります。少しやる気が失せつつあるのが、事実です。……色々規定が厳しいのに、皆よく書くよなぁ。

そして、☆10評価:ななみのれいさん、☆4評価:村ちゃんさん、お気に入り登録:ななみのれいさん、aideyikiさん、刃こぼれした日本刀さん、ジノン01さん、流離いの旅人さん、エルコンドルフィンさん、辛口過ぎる唐辛子さん、オロナインさん、フルタカさん、グロウさん、鳴神風月さん、ペルセウスさん、白黒パノプティコンさん、ryouki@さん、菊山雄介さん、ありがとうございます。

では、物語へご案内しましょう。



9.眩しい夕焼け、見る事能わず(2)

[CiRCLE 5番スタジオ]

 

 

「へぇ~、リサさんってお姉さんがいたんですね!ちょっと意外ですね!」

 

 

「あはは…よく言われるよ」

 

 

所変わって、アフロの練習スタジオ。つい先程、ここに着いたばかり。ついでに言えば、リサが質問攻めにされている。…いえ、質問攻めとは言えないかしら。まぁ、細かい事は置いといて。「そろそろ戻らないと、友希那達に怒られそうだから…ゴメンね?」と言っている。確かに、何だかんだ言ってそこそこの時間が経っている気がする。時間も、時計が見えない以上、外の環境音なりで判断しなければならないのが、ネックなところ。これについては、流石に私も不便に感じている所ではある。

 

そんなこんなで、「迎えに来るからね~」とだけ言い残して、リサはスタジオを去った。すると、先程までリサに話しかけていた子の声の主が、今度は私に対して話しかけてきた。

 

 

「それにしても、リサ先輩にこんな綺麗なお姉さんがいたんですね~、ビックリしました!」

 

 

「モカちゃんは話だけはよくリサさんから聞いてたけどね~」

 

 

あら、やっぱりそうだったのね。あの子、身内の自慢をよくする子なのよね。最初は恥ずかしかった記憶があるわ。…今ではもう慣れ切ってしまったけれど。

 

……生憎、綺麗な顔と言われる事が多いのだけれど、自ら確認する方法がないから、果たして自分がどんな顔をしているかが分からないのよね。だから、自信を持てば良いのか困る事がしばしば。…この話、前にもしたかしら?

 

 

「知ってる子もいるかもしれないけれど、リサの姉の今井 月代よ。リサがお世話になっているようね」

 

 

「いえいえ!こっちこそ、リサさんにはよくお世話になっています!」

 

 

あら、ボーイッシュな声。声だけで判断するのもはばかられるけれど、中々な男前ね。同性から惚れられてそうな気がするわ。

 

それはさておき、まだ休憩中なのかしら?それとも、先程休憩を取り始めたばかりなのかしら?いずれにしろ、演奏を始める雰囲気は未だ感じ取れないわね。…質問攻め、長くなるかしら。そんな未来を予測していると、スタジオの扉が開く。すると、驚きの声が1つ上がった。

 

 

「えぇ!?月代さん!?どうしてここに!?」

 

 

「あら、つぐちゃん?つぐちゃんもアフロのメンバーだったのね。世界は狭いのね」

 

 

その声に聞き覚えがあるように感じた理由はすぐに分かった。彼女は羽沢(はざわ) つぐみ。例の商店街にある羽沢珈琲店の看板娘であり、店主の娘だとか。私もあの店の雰囲気や料理の味が好きなので、よく顔を出しては、つぐちゃんと話をしたりする事もよくある。

 

彼女がバンドをやっているとは、時々話題に上がった事もあり、そこまでの驚きを覚えることは無かった。…という事は、残りのこの子達が親友って事ね。親友バンド……楽しそうね。

 

 

「つぐみ、知り合いなの?」

 

 

「うん!よくウチに来て話をしてくれるんだ!」

 

 

「あの雰囲気が、私にとって凄く良いのよ。こんななりだから、人の目を気にしてしまうのよね、無意識に。でも、あの店はそこまで神経質にならなくても歓迎してくれるから、有難いのよ」

 

 

そう、それこそが、あの店を気に入っている最大の理由でもあった。店の雰囲気に合った客層になるのか、あの店の客は基本懐が広い人が多く、私に気兼ねなく話しかけてきてくれたり、歓迎してくれる。正しく理想と言って、相違は無い。

 

さて、そんな事を言っているうちに、どうやら時間は過ぎていたらしく、蘭ちゃんの練習再開の一声が、それを私に自覚させる。私も自分で車椅子を操作し、邪魔にならなさそうな場所まで行く。……変な所に向かってないと信じて。

 

 

「さっきはここでミスしてたから、この曲から通しでやってみるよ」

 

 

そんな一言に、メンバーが同意する。親友なだけあって、連携と言うか、一体感は並ならない程だ。

 

 

「……いくよ」

 

 

その一言によって、アフロの演奏が始まる。バンド演奏を直に聴くと毎度思う事ではあるけれど、迫力や乗せられた想いがこれでもかと言わんばかりに伝わり方が違う。何かを媒体に伝わるか否かでここまで変わる事に、現代社会のちょっとした勿体なさを感ぜられる。

 

因みに、今練習している曲は『ロキ』。皆お馴染みみきとPさんのボーカロイド曲であり、本家をはじめ、歌ってみた動画も再生回数を伸ばしている屈指の有名曲。近年の有名ボカロ曲に挙げられるものとして、この曲はほぼ真っ先に挙げられるだろう。

 

そんな詳細はさて置き、彼女達の演奏をしっかりと聴き、分析しないと。彼女達も、(素人や見知らぬ人に教授されるのを嫌わなければ)少なからずアドバイス等を欲したりするだろう。その為に私は、()()()()()1()()()()()()()()()()()()聴き入る。

 

……あっ、ベースが少し不安定。注意して聴かないと分からないであろうレベルではあるけれど、原曲を何度も聴いているはとからしたら、多少違和感を覚えうるだろうか。ベースは一見影響力が少ないように思えるが、思った以上に全体に影響をもたらす。それを自覚していれば、ここは見逃して良いかもしれない。

 

そう言えば、このバンドはダブルギターなのね。差程珍しくはないとは言え、私はあまり見かけなかった事もあり、少し新鮮な気持ちになった。

 

そんな主観はさて置いて、ギターについては目立ったミスは見受けられない。ただ、片方のギター担当はボーカルも担当しているらしく、音の入り等で不安を感じる音が聴こえる。同時に何かを行う事はプロでも難しいので、仕方ないと言えば仕方ない。ミスしていないだけ良し、なのかしら。

 

キーボードはと言うと、少しタジタジな様子。本人もさながら、音もである。1()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだけれど、それに結果が伴っていない典型的な例。血眼になって探しさえすれば、この手のバンドマンはかなりいるだろうし、何もこの分野だけの話でも無い。何処の界隈にもいるだろう。練習スタイルと自身の能力との相性が良くない事が主な原因なので、教えれば治るとは思う。

 

ドラムについてなのだけれど……和太鼓の叩き方?それともこの子特有のクセ?いずれにしろ、変と言わざるを得ないソレが、唯一の気になる点かしら。タイミングやリズム形成はそつなく出来ているように思える。出来だけで言えば、ボーカルを担当していないギターの子と同等くらいかしら。

 

ボーカルについては、1つだけ。ギターとの両立が、第三者には不安定に聴き取れてしまう事、目立つ点はこれに限る。彼女の声質に対しては特出した指摘点は無いと思う。特段マイナスなクセも見受けられないので、治す必要は無いだろう。

 

……ここまでの分析を終えて、私は彼女達の名前を前もって聴かなかった事に、少し反省の念を覚える。名前と声が一致していれば、情報の整理がかなり楽になるのに、今回はそれをしなかった為に、少し情報整理にいつもよりも脳のキャパを割り振らなければいけない。…地味に面倒なのよ、これが。

 

 

「……どうでしたか?出来れば何か意見を聞かせて欲しいんですが…」

 

 

と、演奏が終わったのか、蘭ちゃんが私に話しかけてくる。恐らく、他の子も私の方を見ているのだろう。ただ、そうは言っても彼女らの中でも名前を知らない子がいるのも事実。今のうちに聞いておかないと、と思う私は、名前を訊ねた。

 

簡潔に纏めると、ボーカル兼ギターは蘭ちゃんで、ギターオンリーの子はモカちゃん、キーボードがつぐちゃんとの事。ここまでは知ってる子だから、問題無い。先程の演奏とその子を連結するのに、多少時間がかかる位だろう。

 

残りはドラムとベース。少し印象に残った2つが、私が知らない子(片方は聞いた事がある子)だ。ドラム担当は、宇田川(うだがわ) (ともえ)。今思えば、たまに商店街の店の人と話をしている声と似ている気もする。

 

祭りの時期が近い時、1度だけ和太鼓の話を巴ちゃんの声と商店街の人の声でしていたのを、今思い出した。成程、だから太鼓のクセが付いているわけね。納得納得。

 

それで、ベース担当が上原(うえはら) ひまり。難しい漢字を沢山習った身としては、【うわはら】と読みたい気持ちが強いのだけれど、正しい読みは【うえはら】。混同しないようにしないと。

 

…何処かで聞いた事あるような名前だと思ったら、リサのバイトの話にたまに出てきたような。確か、バイト仲間のモカちゃんが、客としてスイーツを沢山買うひまりちゃんを、値段ではなくカロリーを言いながらレジに通すとか言う女子に対する所業とはとても思えない事をよくしているそうな。……彼女達の間では、通例なのかしら?

 

…そんなこんなで一通りの挨拶を済ませ、一段落ついたこの状況下で、私は次の言葉を切り出す。

 

 

「…と言うより、良いのかしら?意見とは言え、素人同然よ?素人の意見を聞いた所で、それが吉に働く事も少ないのに……」

 

 

「大丈夫です。リサさんから『お姉ちゃんの意見、かなり参考になるから!』って言われてるので」

 

 

「…あの子ったら……」

 

自然と、肩を下げながら出るやや深めの溜め息。繋がりがあったとは言え、ここまで私の事が行き渡ってる事に、若干頭を抱えたくなる。

 

…もしかして、リサの知り合いのバンドマン全員に行き届いているのかも。それこそポピパやパスパレ等、あまり無いとは思うけれど、RASとか。もう少し度が過ぎれば、プライバシー侵害もいい所よ。……まぁ、別に許せない事でも無いから、どうとは言わないけれど。……私ってば、身内に甘いのかしらね。

 

 

「じゃあそうね……各担当毎にアドバイスしましょうか」

 

 

先程までのナイーブな思考を東京湾に放り投げ、私は気持ちを切り替える。彼女達も、何だかんだ時間が惜しいと思うだろうし、パッパと始めましょうか。

 

 

「まずはベース。ミスタッチが多いわ。ベースは一見影に隠れがちに思われるけれど、思う程影に潜んではいないわ。寧ろ、間違うと顕著に表に現れる。まずやるべき事はそこね。他については、追々。」

 

 

「うっ……」

 

 

図星を突かれました、と言わんばかりにそれらしい反応を露わにするひまりちゃん。自覚はあったのかしら。だとしたら、指摘した所の解決も早く終わりそうね。

 

 

「次にドラムだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、私はリサが迎えに来るまで、アドバイスをしながら練習を見ていた。熱が入り過ぎたらしく、リサが来た事にも気付かなかった事を知ったリサに、少し怒られてしまったわ。取り敢えず私は、これから気を付けるとだけ言っておく事にした。

 

…にしても彼女達、とても青春って感じの関係だったわね。高校特有の友情と言うか何と言うか。ともかく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 




と言う事で、9話が終わりました。

今話をもちまして、バンド邂逅編完結です。次話からは、個別(アンケート)編に突入します。順番は、アンケート結果の上位から話を執筆する予定です。

それと、活動報告をあげましたので、そちらの確認もお願いします。この小説にも大きく関わりますので、是非。

次回『10.トゲのある綺麗な想い』
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