5週目ヒロインは今度こそ添い遂げたい 作:四週目のヤンデレちゃん
運命の相手。
それは伴侶として残りの人生を共に生きることを誓い合うとても大切な人のこと。
『ねぇ、お母さん。私の運命の相手はイケメンかな?』
『あら、のんちゃんはイケメンの人と結婚したいの?』
『ううん。お母さんとお父さんみたいに優しくて美味しいご飯をいーぱい作ってくれる人と結婚するの!
だから、その人が私のことを好きになってくれるようにね、のん綺麗になる!』
『お父さんと私の子だもの。のんちゃんは世界一の美人さんに決まっているわ』
古ぼけた母親との記憶。
その時の私はきっと、いつか運命の人が自分を迎えにきてくれるんだという夢を見ていた。
『……ごめん』
私の初恋の人、
少しエッチで普メンで、これといって見所もない冴えない男の子。
どうしてこの人を好きになってしまったのだろう?
私は学校一の美少女だ。成績だって良いし運動も出来る。読者モデルにスカウトされたこともあった。
普通に考えれば、釣り合う訳もない。
だけど恋は理屈じゃない。
木崎先輩は料理が上手くて、とっても優しい。誕生日にくれたネックレスは今でも宝物で、何気ない会話の一時は日々の疲れやストレスを忘れさせてくれた。
いつの間にか、単なる後輩と先輩という関係では満足出来なくなったんだと思う。だから『好きです。付き合ってください』と私は勇気を出して告白したんだ。
この時は木崎先輩と今までよりもっと幸せな毎日がこれから始まるんだと思っていた。
でもフラれたらもうおしまい。
こんなに出来た女の子を振るなんて木崎先輩はバカな人だ。
女の子は気持ちの切り替えが早いんですよ。今さら後悔しても遅いのです。
木崎先輩はキモオタみたいな見た目だから新しい女の子を見つけるのにだって苦労するに違いない。その点、私は見た目実力共に最強だから木崎先輩よりもいい男なんて、いくらでも……見繕える。
でも、あぁ………わたし、フラれちゃったのか。
まさか断られるなんて思っていなかったから少しだけ悲しい。
木崎先輩。今ならまださっきの言葉を取り消してあげてもいいですよ。
のんは人を見た目じゃなくて中身で判断する出来た女の子なので。
木崎先輩と一緒にいると私は胸がポカポカするんです。
だから、ねぇ
……どうして!
『俺と付き合ってください!』
『うん!』
▼△▼△▼
木崎先輩が木崎先輩の幼馴染である女とくっついた。
それから私は、新しい男を作る気にもなれず、ただ高校生活という惰性の日々を過ごした。
たまに木崎先輩と仲睦ましく過ごすあの女の姿を見掛けるが、私は木崎先輩と顔を合わせるのが嫌で、いないフリをする。
だからどうして先輩が私じゃなくて、あの女を選んだかは未だに分からないけど、木崎先輩はエッチだからあの女のメロンみたいなおっぱいに誘惑されたんじゃないかというのが私の中で一番信憑性が高い憶測だ。
何せ完璧な私の唯一の欠点は、まな板にのせた大福餅ぐらいの小さな胸だ。それ以外は何一つとして劣っていない。
あの女はバスケット部のレギュラーらしいが、断言出来る。それだって私の方が優れていると。
なにせ中学の私はリアル
一年ぐらいブランクはあるが、確実にあの女よりも私が上手いと自信を持って言える。
『はい、あーん』
『おい止めろよ。こんな所で』
木崎先輩に作って貰った弁当の中身を木崎先輩の口に運んでいる。
木崎先輩はあんなに恥ずかしがっているのに自分が楽しいから止めないのだ。
あーあ、本当に木崎先輩はなんであんな女を選んだんですかね。
私だったら木崎先輩の為に美味しいお弁当を毎日用意してあげるのに。人の目が気になるなら、校舎裏で二人でこっそり食べ合うのに。
『……あそこにいるのが私だったらな』
頬杖をついて負け惜しみみたいに呟きます。
『えー、新入生の諸君は慎ましく……』
と、ある日目覚めたら入学初日に時が巻き戻っていました。
これはのんちゃんが今までいい子にしていた結果ですかね?
時間逆行とか並行世界とかオカルト臭い話は苦手なんですけど、これで木崎先輩との出来事をやり直せると思うと胸がワクワクしてきます!
待っていてください木崎先輩!
今度こそのんが幸せにして見せます!
この後、四回やり直した。
桃月のん(今作の主人公)
文武両道。
髪がピンクっぽい(地毛)
小さい胸がコンプレックス。
好きな相手には尽くすタイプ。
愛が重い。
最初の選択肢で「いいえ」を選ぶと、どれだけ好感度を上げても結ばれないという初見殺し設定持ち。
なまじ初対面の印象が最悪なせいで、初手で桃月エンドにたどり着くのはほぼ不可能だと言われている。