5週目ヒロインは今度こそ添い遂げたい 作:四週目のヤンデレちゃん
木崎先輩とこうして学校に通うのは、一体いつぶりだろうか。3週目、4週目はバスケ部に入っていたから三年ぶりかもしれない。
細やかな会話や合わない歩幅。何もかもが懐かしく感じて思わず顔が緩みそうになる。
「きょ、今日はあれだね……暑いね」
「そうですか?
涼しいほうだと思いますけど」
天気予報が確かなら今日の温度は21度。冬ならともかく夏の季節にしては涼しいほうだろう。
果たして木崎先輩は暑がりだったろうかと記憶を遡って、暑がりといえば二週目の冬の雪山で遭難しかけた時のことを思い出す。
『平気平気。俺、暑がりだから』
(うひぃ!)
変な声が漏れそうになって、慌てて口を抑えた。
「どうかしたか?」
木崎先輩は私が急に顔を抑えたものだから何かあったのかと声をかけてくる。
危ない、危ない。
木崎先輩カッコいいセリフランキング4位だから我慢出来たけど、トップ3なら我慢出来なかった。
やっぱり木崎先輩イケメン……じゃない。咄嗟に隠したけど、こんな砕けた品のない顔を木崎先輩には見せられない。
「悪いですけど、もう少し間隔を開けて歩いてくれません?」
「……すいません」
こんなことで木崎先輩が私を軽蔑するとは思えないけど、木崎先輩にはなるべく綺麗な自分を見て貰いたい。
「そう言えば、今日は転校生が来るらしいですよ」
「あー、女子たちの間で噂になってた。こんな時期に転校生なんて珍しいって」
「何でも
そういう人はお高い私立の学園に行くものがセオリーなんじゃないかと木崎先輩は呟く。
普通ならそうだろう。だけど、あの女――
あの女とは2週目で多く関わったが、最後まで目を離したら何をしでかすはわからなかった。
だからまさか、2週目の木崎先輩の心を射止めたのがあの女だった時、口をあんぐりと開けて驚いた衝撃は今でも覚えている。
穀野加澄より胸は小さくて、その他は私に劣っているものだから完全にノータッチだったのだ。
(……ふふ、今ごろは学校ですかね)
3周目の当初。またやり直せたのはいいものの、ライバルが増えてしまったと私は頭を抱えた。だけど
だからここに来る前に件の子猫を回収すれば木崎先輩と
それでも木崎先輩の行動次第では多少は馴れ馴れしくしてくるが、4週目で本人に確認を取っているので下心からの行動でないのは分かっている。あれは純粋に木崎先輩を友人として好いているからこその行動だ。
つまり、一つは潰せた。
残るは
今度こそ私が木崎先輩と幸せになってやる!と桃月は野心を滾らせる。
「ふふふふふ……」
「(何だあの怪しい笑みは。やっぱり何か企んでいるのか!?)」
▼△▼△▼
「……はぁ」
学校への道なり、
「折角驚かせようと思ったのに。ノンちゃん家にいなかったな」
項垂れる彼女の手には少し黄ばんだ写真が一枚。
幼い桃月のんと楠亀聖奈子が無邪気に遊び合う光景が収められていた。
天然。
髪は金髪(地毛)
お金持ち。
木崎公則が大好き(聖奈子ルートの場合)
桃月のんが大好き(全ルートの場合)
攻略難易度は低めだが、百合の間に挟まって邪魔な片方を退けたというスレがネット掲示板で広まって以降、プレイヤーに最も嫌われるルートとなってしまった。
『百合の間に挟まる木崎は死ね』というフレーズは界隈で有名である。