Re:ゼロから苦しむ異世界生活 作:リゼロ良し
ペテさんヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪(∩´∀`)∩
まぁ、まだすこ~~しだけ、デスが<m(__)m>
頑張ります!
スバルはさんざっぱら笑い飛ばした。
只管笑って笑って笑って――――ようやくオットーを解放。
「いや、ほんっと!! 助けてくれてありがとうございます。って、素直に言いたくない気分になったんですが!? 主にナツキさんが居るだけで」
「おー、なんて言い草。命の恩人グループなんだぜー、オットー。商人なのに、悪い噂たっちゃうかもなぁ~~。それって、死活問題なんじゃないの~~? ほれ、今回の件とはまた違った意味で」
「ド外道か!! なんで、ツカサさんの友達のアンタは、そんな外道でいられるんですか!? ああ、もう! ありがとうございます! 死活問題より、実際に死んじゃうかもしれない問題の方が何倍も嫌でした! 生きた心地なんて、ちっともしなかったですからね、チキショウ!」
オットーとは前回、必ず会おう――――的な、感動的な場面で別れた。
魔女教の連中がオットーを付け狙おうとした時、ツカサも文字通り見た通り壁を張って追っ手を防いだ。
絶対に無事。絶対に大丈夫――――と疑ってない状態で、別れて……今回の合流。
いろんな意味で安堵して、その照れ隠しにはしゃいで見せるスバルの気持ちは分からなくもないだろう。
ただ、オットーに関しては、当然ながら
前回の最後は、王都での再会以来で、スバルとツカサは兄弟分、程度の認識しかない。
だから、いろんな意味で理不尽極まりない仕打ちだったと言えるのだが、それを考慮しても命拾いしたこの現状は喜ぶしかないのだ。
何せ、山間の洞窟の奥で磔にされ、生贄寸前だったのだから。
ツカサのテンペストでも、ラムの千里眼でも届かない部位に居た事もあって、本当に幸運だと言える。
まさに悪運。
「――――ほんと良かったよ、オットー」
オットーの肩に手を回すのは、ツカサだ。
そして、オットーはこれ見よがしに、散々な扱いをされたスバルに対して、毒を吐く。
「お友達として、付き合う人は選んだ方がいい、って思っちゃうのは僕だけですかねぇ? ツカサさん!? とんでもないド外道ですよ、ナツキさんは!」
「…………」
わざと、スバルにも聞こえる程度の大きさで、告げ口をする形で言う。
幾ら兄弟分とは言っても、オットーからしたら、ツカサは国をも認めさせた英雄であり、友達だ。スバルと比べたら絶対的に上であるという認識。
ラムがここに居たら、間違いなく【当然よ。何を馬鹿な事を考えているの】と言い切って見せるだろう。
そんな事をオットーは言っても、ツカサが答えるのは1つしかない。
スバルに対しての事じゃなく、オットー自身の事。
「ははは。今、今言えるのは、ほんとによかったって事だけだよ、オットー。無事で何より」
「――――――ぅぅぅぅ、つ、ツカサさんは、僕を何度泣かせるおつもりですかぁぁ……、僕、僕が泣く時は………」
色々と我慢して、それとなくふざけて、気を紛らわせてるつもりだった。
だが、ツカサのそれは、芯から……、心の底から心配をして、そして助かった事に対して喜んでくれている。
ここまで自分の事を想ってくれる友達がこれまでにいただろうか?
だが、オットーは知らないのだ。
ツカサも、勿論スバルだってそう。
何度も繰り返す。
それは目に見えない傷。魂に刻んだ傷。
悲劇の数だけ受けた傷。それを全て抱いて……歩いている事を。失っていた命を、滅んだ町や村の記憶を、魂に刻み付けている。
何度も、何度も、明日が来る事を願う。
その夢を決して捨てずに歩き続ける。例え、その先に塞がれた袋小路があったとしても、必ず命が繋がり、続く様に歩みを止めない。
悲劇をいくつも超えて、いつも探し続けている。本当の希望を。
「……兄弟は心底熱い人間だ、ってこったよ、オットー。良かったな? こんな所某桃色な彼女に見られちゃった日には―――――、桃色の死神と化しちゃうかもよ?」
「グスッ――――も、もう! ナツキさん! このタイミングで何言うんですか! 連想しちゃったじゃないですか! すごく怖いメイドさんの事っ!!」
その後、当然ながら絶大なる信頼を得ているツカサとスバルの保証だ。
オットーの身分はちゃんと保証された。
保証はされたが、まずどうして魔女教に捕まったのか? なぜここに来たのか? 尋問開始である。
「で、どういう経緯で捕まったんだ? オットー。お前、フルールって村にいたんじゃなかったのか?」
「なんでナツキさんが僕の動向を把握しているのか、怖い所ではありますが………」
フルール在中、その情報は勿論ループの賜物である。
「あー、えっと……そのぉ……、非常に言葉にしにくい個人的な都合で……」
「まぁ、言いたくないならいいよ。――――ところで、話変わるけど、今さ、この領地に集まる行商人って、メイザース辺境伯の屋敷に小金目当てで集まるヤツが大半なんだよな。若しくは、どこかのオトモダチに頼る気満々、って感じなヤツ? 後者だったら、スゲーうまくいく可能性極大だしなぁ」
スバルの言葉にオットーの顔があっという間に真っ赤に染まった。
「話全然変わってないんですけど!?? もう、全部わかってますよねぇ! わかったうえで聞いてますよねぇ!? ええ、そうですよ! もうツカサさんがメイザース領に戻ったって話仕入れて、直ぐに向かったんですよ! メイザース領に関しては、行商人の間でも色々儲け話が飛び交ってて、兎に角皆出し抜いてやろうとも思って! だから悪路突っ切ろう、ってやったら運悪く奴らに取っ捕まった間抜けですよ! ええ、他力本願極まってる上に金儲け、悪巧み!! おまけに最悪な連中! 白鯨にも会って、魔女教にまで出会って、間抜けっぷりが磨きがかって! さあ、笑え! 笑わば笑え!」
オットーの慟哭に、ツカサは深くため息。
初めて会った時も白鯨に苛まれた。自画自賛をするわけではないが、あの時一緒に行動をしてなかったら、あの時落ちた竜車がオットーの所じゃなかったら、彼はこの場にはいないだろう。
それに加えて、実の所―――オットーとの旅で、妙な連中と出くわしたことがある。今思えば、あの黒装束の連中は魔女教だったのだろう。
どういった理由か、まだ王選も始まってもないのに、ハーフエルフであるエミリアの事をかぎつけたのか、その下見なのか……、よくわからないが、問答無用で襲い掛かってきたループがあった。
無論、よくよく事情が分かってなかった当時のツカサは、ただ只管回避する事ばかりを選んでいたので、オットーは知る由もないが。
「オットーは、すごく不幸体質なのは分かったから……、ほんっと自重してよ?」
「ぅぅぅ……、わ、わかってるつもりなんですよぉ……、でも、でもでも、向こうからやってくるので……」
オットー自身も痛い程自覚しているので、ツカサの一言に、ヨヨヨ~と項垂れてしまった。
そんなオットーを見て、今度はスバルが。
「そうなんだよな。オットー。お前さんの事、兄弟から聞いてるぜ。いや、これまでも含めて、マジで無事でよかったよなぁ。……ちっ、オレも思わず貰い泣きしちまいそうだぜ……」
「なんですか!? その人を小馬鹿にしたような安っぽい涙は! 胡散臭いの通り越しちゃいましたよ! 寧ろこうまで対照的だと逆に凄いんですが!?」
「だろ? オレが目指す背中―――遠すぎて霞んじまうぜ……」
「いつまでその臭い小芝居続けるんですかねぇ!!」
一仕切り、スバルとオットーの小芝居が終わった所で。
「まったく……、ラムさんが居ないから、僕はただ感謝をするだけで終わっていた筈なのに、ナツキさんがその部分を担うとか。―――性格悪すぎですよ」
「ラムがいない間に、ツカサの事盗ろうってか? そりゃ、悪鬼となってオットーを地の果てまで追いかけまわすだろうよ、決定事項」
「変な風に言わないでもらえますかねぇ!? 友達で、感謝も十全に、それだけですよ! 僕にそんな趣味はありません!!」
「はいはい、取り合えずその辺で……、えっとOK?」
「おう、OKだ!」
「お、おぅけ、ってなんです?」
スバルに習ったスペルを活用する事で、スバルの気を引く事も出来るだろう、と判断したツカサ。
案の定上手くいって、注目してくれた。
「オットー。これからは安全確保を間違いなく出来るまで、皆と一緒に居て。……それと、一つ聞きたい事がある。ケティの事だけど」
「助かりますよ、ツカサさん! えっと、ケティさんの事、ですか? 王都で別れて以来一度も会ってませんが。確か、ケティさんも独自に動くとは言ってましたが、細かい所までは」
「ケティはもうどこにもいないよ。……アイツは魔女教の間者だった」
「――――――は?」
ツカサの大告白を聞いて、数秒後、オットーは大絶叫をするのだった。
「そら、魔女教であり、行商人の方も相応にやっとったんやろ。慣れ親しんだ相手が、まさかの魔女教。ビビるわなぁ!」
「スゴーーびびった! でも、半べそかいて洞窟でビービーいってた時と比べたら、おにーさん、元気になった! チョーよかった!」
「って、ちょっと待ってください! 黙っててくれるって約束してませんでしたっけ!?」
ケティの正体にビックリしてたら、男の子の恥ずかしい部分を暴露されるという結果に繋がってしまって、またまたオットーは大絶叫。
今の今までも、泣いていたのに、裏で泣いていたからって何だってんだ? とはスバルは言わないが。
「ああ、そりゃ仕方ねぇ。うんうん。あの魔女教相手だぜ? 安心しろ。オレは誰にも言わない。ここにいるオレと兄弟と、ミミとリカードと、あと【鉄の牙】と、討伐隊だけの秘密ってわけだ」
「それって、最早公然の秘密では……?」
「涙の数だけ強くなれる、って言うし。今後見返していければ良いんじゃないかな? オットー」
「うぅ! ツカサさんの優しさは大変ありがたいのですが、今はすごく染みます! ええ、傷にとても染みる!! 治る薬なのかもしれませんが、すごーーーく染みる!!」
涙目になるオットーの肩を叩くツカサ。
「色々ご愁傷様だった、って言いたいけど、儲け話の件はオレからもロズワールさんに言ってみるから。とにかく生き残る事だけ、オットーは考えてて」
「つ、ツカサさぁぁん……」
「おう! 強く生きろよオットー! 白鯨に魔女教ときて、最早天運地に落ちた。つーか見捨てられたかもしれねーが、兄弟は見捨ててねぇからな。もちろんオレもだ」
「だから、どーしてナツキさんが言うとこんな釈然としないんですかねぇ!!」
本格的に、オットーとのやり取りは終了した。
オットーは加護の力もあり、竜車の操縦はお手の物だし、非戦闘員かもしれないがやる事はここにもある……と言うわけで色々仕事をしてもらうという事で配置についた。
「知人との感動的な再会。もうよかったのかい?」
「
「……了解した」
テンペストを改めて発動させて、周囲を警戒するツカサ。
そして、そんなときスバルは苦虫をかみつぶしたような顔をする。
「―――ったく、兄弟が信じてる相手は間違いない、って思ってる自分と、疑うべきは疑え、って思っちまう自分もいる。オットーは大丈夫だ、って分かってる筈なのに……結果裏で小細工して、汚れる様な仕事のやり方して……、我ながら性格悪いな、おい」
「ふふ。それはある意味君の美徳でもあるかもしれないな。……凡そ、ツカサが持っていない部分を君が担う。ある意味では理想的な2人だと、私は思う。―――今回の件も、君のその性格の悪さが我々を救った面も、決してない訳ではない筈だろう? 誇りに思うが良い。――――人には言わないほうがいいと思うが」
「何べんもある意味つけんなっつーの! お前の性格の悪さもなかなかのもんだぜ。まさにプラスとマイナス。オレとじゃ、反発するわけだ」
オットーの事を少しでも、ほんの少しでも疑え、と思っている自分とツカサなら大丈夫頼り切れ、と思う自分。どっちも情けなさすぎる自分だ、と自虐する所にユリウスの言葉だ。
喜んでいいのか悪いのか、実に微妙な誇りを伝えられ――――その代わりにユリウスも同類だと告げる。
マイナス同士だから反発し、プラスなツカサだからこそ、惹かれ合うのだと。
「はいはーい、そこの性格悪いお二人さん。ちょっとお話してもいーい?」
そんな中で、更に一番性格が悪そうな猫耳男娘がやってきた。
「なんだ? 性格悪い猫耳」
「まー、なんて言い草にゃんでしょ! ツカサきゅんが忙しくしてるから、気を使ってスバルきゅんたちに~、って思ったフェリちゃんの慈愛。それにみんなの為に一生懸命尽くして尽くして尽くしているのににゃー」
「ツカサは今、周囲を視ていてくれている。ネクトと重ね合わせる必要は今は無い様だから、我々が聞くよ。それにフェリス。君の尽力には常に救われている、とも言わせてくれ。わかったことは?」
「んっんー、魔女教徒の話。指先のことはなんとなーく解ってきた、って事にゃよ」
魔女教徒たちは一人残らず殲滅されている。
あの自爆の件を考えたら、生け捕りは非常に危険だから仕方ないにしても、青の称号を持つフェリスからすると、それは複雑なのかもしれないが、皆の命、危険には変えられない。
「死体漁りして何か分かったってのか?」
「にゃ~~、すごーー嫌な言い方! スバルきゅんには教えてあげにゃーい!」
「って、悪かった悪かった。そろそろガチで真面目で行く。指先の事はなんでも知っていて損はねぇからな」
フェリスもスバル同様に、これ以上はふざけるのはやめにして、検証結果を告げた。
「まず、魔女教の死体を幾つか調べてみてわかったのは、自害用の猛毒になる魔石が仕込まれてる、って所。でも、ケティのソレはまた違う。ツカサきゅんが、ケティがやる前にやっちゃってるからある意味検証は出来にゃいんだけど、ほぼ間違いなく爆裂術式が仕込まれてる、って言っても良いにゃ。……自殺用と巻き添え用、だネ」
一体どれだけの人間を殺すつもりなのだろうか。
あの爆発の威力は、直ぐに現実逃避をしてしまったスバルでもわかるくらい凶悪なモノだった筈だ。
それこそ、建物くらい余裕でぶっ飛ばしてしまいそうな勢いの爆発。
アレが10本分と考えたら、憂鬱になる。
「情報漏れ対策っつーより、大罪司教の【憑依】のためっぽいな。身体を取り換えるのが死ぬ前提なら、気絶とか拘束とかされる事を考えりゃ、自殺っつー対策は必須だ」
「爆発の術式……おそらくは外部から発動させる方法もあるだろう。……ツカサが見せてくれた未来の光景。あの爆発が意図的に外部から行われれる可能性を考えてみれば、より恐ろしく感じる。確かに、未来でも見据えていなければ、回避することは極めて困難だ」
「んっんー、取り合えず、死者になっちゃったら発動はしないのは間違いにゃいよ。本人のマナを利用して発動させるわけだしね?」
「へー……、つーか、なら死んでるヤツから情報色々つかんだフェリスって、結構……いや、メチャクチャすげーんじゃね??」
生きているからこそ、マナが身体を循環し、そしてそのマナから様々な情報を調べる事が出来る。
フェリスは元々凄い魔術師なのだが、スバルにここまでストレートに言われたのは初めてだったりもする。
「そりゃ、フェリちゃんだもん。とーぜん、デショ! 他には指先のマナ残滓を他の死体と比べたら一目瞭然。生きてたとしても、外す事も簡単にゃ」
「おお!! やっぱスゲーよ! 流石フェリス!」
スバルは、今度はフェリスのその細い手を取って上下にぶんぶん、と遠慮なく振った。
「にゃにゃにゃ! だーかーら、当然だにゃ、って言ったじゃん! ま、一重に? じっくり調べる事が出来る状況を作り出してくれたツカサきゅんや、スバルきゅんの情報、色々見抜いてくれたおかげでもあるにゃ」
スバルを見て、そして今も尚警戒を続けてくれているツカサを見てフェリスは言った。
「見てわかるとーり。もう、甘ちゃんな事言ってられにゃいよ? あいつらの自害は他を確実に巻き込む。……今回はツカサきゅんがいてくれたおかげで被害は0に抑えれた。―――意味、わかる?」
「わからないわけあるか。あんだけ優しい兄弟が、道を示してくれたんだぜ? オレがしり込みしてられっかってんだよ。……大事な人たちとあの外道ども。天秤に乗せる事自体烏滸がましいわ」
覚悟を問いただすフェリスの瞳。
そこに一切躊躇する事なく、スバルは頷いて見せた。
今更何を迷う事があろうか。
怒りと憎しみは何も生まないなどと綺麗事な厨二小説みたいなのは腐る程読んできたわけだが、実際に体験してから言ってもらいたいものだ。
アーラム村を焼いた連中を、村人全員の苦悩と絶望に満ちた死に顔を、……そして、エミリアを殺した連中を。
大罪司教【怠惰】担当 ペテルギウス・ロマネコンティ。
それは、ツカサだけじゃない。スバルにとっても標的。出来る事なら、実力が追い付けるのなら、この手で引導を渡してやりたい相手だ。
生憎、それが叶う事が無さそうなのが残念な所ではあるが。
最高戦力が整っているというのに、わざわざ難易度ナイトメアに持ってくる意味が解らないから。
「ふーん。ホント、スバルきゅんってマシになったんだネ。と言うか、ツカサきゅんの傍にず~~っといて、あの体たらくが情けにゃさ過ぎだった~~ってのもあるけど」
「その辺も理解してるつもりだ。目標と理想が目の前にいて、お手本にもしてなかった以前までの自分をぶん殴ってやりてぇよ」
「ふふ。ま、フェリちゃんから褒められるには、まだまだ足りにゃいケド、頑張ってネ」
「褒めて貰うつもりはねーよ。……まだ、な」
スバルの事がフェリスは元々最初から嫌いだった。
可愛い顔して、どこまでも辛辣。何処となく性質はラムに近い。
だが、おそらくはフェリスこそが王都で出会った人たちの中で、最もスバルを厳しく評価している人物だ。
おそらくは同族嫌悪――――……、以前それを口にしたのを覚えている。
自ら戦う為の力に欠けた者同士なのだ。
「嫌ってた、ネ。今はフツー。んで、ツカサきゅんは、フェリちゃんのクルシュ様狙ってるなら、超嫌い」
「アホか。ラムとツカサを見てて、なんでそんな風に感じる? つーか、ラム激怒待ったなしだろ」
「んーにゃ。ラムちゃんはラムちゃんで、色々割り切りそうな気がするんだにゃ~。必要なら構わない、みたいにゃ? んで、誰が来ても負けにゃい、って感じ?」
「クルシュさんが王になって、その相手に英雄であるツカサをって感じか? 国にとって必要だから、って感じに考えてるのか? ご生憎だな。王になるのはエミリアだ」
「ふふ~~ん、ちょーし、乗らないでよネ」
フェリスはエミリアが王になる、と言う言葉に対して、一笑に付す……事はしなかった。
たった小さな一歩でしかないが、彼女はこの村の意識を、ハーフエルフに対する認識に変化を齎せた。
それは、彼女自身ではなく、側近のスバルやツカサの力である事は間違いないが、それでもエミリアの身内であり、陣営の一員の功績だ。
小さな、それでいて間違いなく一歩を踏み出した。時を重ねれば、それが大いなる一歩と繋がるかもしれない、と否定はできないからだ。
だが、だからと言って負けるつもりは毛頭ない。
クルシュを王にする。
それは、かのお方に誓った事でもあるのだから。
そして―――ツカサが戻ってきた。
「
「こちらも準備は十全に整った」
ツカサがそう一言短く告げる。
そして、隣にいたユリウスも整った事を告げた。
それだけで十分だ。十分過ぎる。
皆も既に集まってきている。
後は、あの時同様、スバルの号令待ちだ。
「さぁ、今度こそ決着だ。―――怠惰と運命様に、目に物見せてやろうぜ」
―――そして、何度目になろうか。もう思い出したくもないが。
「―――ようこそ、おいでになりました。寵愛の信徒よ」
幾つもの災いを世に齎してきた存在。
その魔の手が、最愛の人に、親愛な人たちに向けられた。
こうなれば、交錯するのは最早必然であり――――運命だ。
あの思い出したくもないもうここではない世界で出会った時と同じ場所で、同じ姿で。
いや、厳密にいえば少し違う。
森の開けた先にある洞穴の中ではなく外だから。
作戦の通りに。
「ワタシは魔女教大罪司教、【怠惰】担当――――」
幾度顔を合わせたとしても、この男だけは心を許す事は出来ない。
何度繰り返しても、同じ答えしか見つからない。
妥協点を見つけ合おう、なんてマエムキなケント―も出来ない。
「ペテルギウス・ロマネコンティ、デス!!!」
【ペテルギウス】
ペテルギウスが名乗ったのとほぼ同時に。
ここにはいないツカサと、そしてスバルも確信をする。
ユリウスのネクトで2人の感覚をつなげた訳でもないというのに、ほぼ同時にその名を頭の中で呟いた。
説明はできないが、確信が持てる。
その顔も、声も―――今日この場限りで終わりにしよう。
さぁ、終わりの、始まりだ。
「司教様、よ」