Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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怠惰、暴食、強欲………

纏めて面倒見れるのって、ラインハルトさんを除けば、アヤマツ系当のスバル君………、まぁ、、ご都合主義満載、神様(笑)な、クルルの中に居る《ナニカ》くらいじゃないかなぁ………(-ω-;)ウーン


















――――こりゃ、やっぱやべぇ!??Σ(゚д゚lll)ガーン


優しい夢・メニュー画面※考える時間④

全ての確認をし終えた後、ツカサはとある部屋に訪れていた。

入り口に兵士、中には衛生兵や医師、治癒術の心得のある者は全て揃っている。

 

だが、その全員の表情が重く、険しいものになっていた。

 

その理由は明白だ。

部屋の中央に陣取っている寝台、その上に眠らされている人物がその理由だ。

 

この部屋に来た時点で、経過報告は聞いていた。

暴れて、叫んで、暴れて、叫んで、暴れて………、どんな薬でも魔法でも止まる事がない。自分自身の力で治し、また暴れるを繰り返し続けた。

整っていた顔立ち、肌艶、髪――――全てが乱れ、所々に血が付着している。

 

これでも比較的良い様だ。

 

最初は抑えに徹していた兵士たちを含めた全員も、今は手を止めている。もう、暴れる事が無くなったから。

だから、何度も身体を拭い、綺麗にし、身なりを整える事が出来たのだ。

 

クルシュが好きだった彼の姿を、あのままの状態にはしてはいけない。

 

主と言う大きな光を失い、道しるべを失ったも同然な者が殆どだったが、それでも彼女の意思を数分、数十、数百、数千、数万分の一であったとしても継ぎたい。それらがあったからこそ、この者達は誰もが手を止めなかった。

 

 

彼が――――フェリスの精神が崩壊するまで。

 

 

 

「…………」

 

 

僅かに目が開き、光のないその瞳の中は暗黒が広がっている。

瞳孔が開き、生きているかもわからない状態となってしまっていた。

ほんの僅かだが息が漏れる音と静寂仕切った室内に響く衣擦れ、鼓動、それらがフェリスが生きている証として、場に響き続けた。

 

 

だが、それだけなのだ。

 

 

 

 

もしも―――フェリスがフェリス自身を見たとしたなら?

 

そして、治そうと躍起になってる周りを見ていたとしたら?

 

 

 

【生きる意志に欠けてるヤツ嫌いにゃ】

 

 

 

そう言って、一笑していた事だろう。

救いたくても救えなかった命が幾つもある。助かりたいと涙を流し、生にしがみつこうとしながらも、無情にも突き放されてしまった命も幾つも見てきている筈だ。

 

だからこそ、フェリスはそう言って笑うと思う。

それが例え、自分自身の事であったとしても。

 

 

フェリスにとっての【生きる意志】。

それは、クルシュだけだった。それが今の彼を見ていたら嫌でもわかるというモノだ。

 

 

 

ツカサは、ゆっくりとフェリスの傍へと歩いた。

その歩む道に、少しでも障害になると思った兵たちは明け渡す様に離れて行き、軈てフェリスまでの道が綺麗に出来上がる。

 

 

「フェリス様は、もう―――――……」

 

 

 

メイド服を着たカルステン家の侍女であろう女性が、その目に涙を浮かべて、歩み寄ったツカサに伝えた。

手を握っても揺すっても、もう何も反応しない。

先ほどまでの暴れていた時の方が良かった。青の力で害される方がまだ良かった。誰もが絶望していた。

 

 

「驚いた。……本当に、驚いたよ。フェリスのそんな顔を、見る日が来るなんて……」

 

 

ツカサはそっと腰を掛ける。

侍女もゆっくりと離れた。

 

もうこのまま一生目を覚まさない状態か、或いは死か。そんな二択しか残されてないとされている。

 

それでも尚、一筋の光に賭けてみたい、とも思っていた。

ルグニカが英雄の一人が目の前にいるのだから。

 

 

 

普段ならば、それも考えられない。

英雄と称していたとしても、永年に渡り言い伝わった英雄と言うわけではない。英雄の家系、その血筋と言うわけでもない。日も浅く関係性が極めて乏しい状態、全てが謎に包まれている異国人なのだ。

その様な者に頼り切るなどと、クルシュが見ていたら、フェリスが見ていたら、きっとお叱りの言葉が屋敷中に飛ぶ事だろう。

 

それを解っていても、解っていたとしても、縋る物がもう他に無い。それを叱る者が他にはいない。光がもうない。

 

……だからこそ、現れた光に縋るしかないのだ。

 

 

 

「驚いた。……驚かされた。だから、そのお返しをしようか」

 

 

 

薄く、それでいてハッキリとその顔には笑みがあった。

不思議な感覚に場が包まれる。まるで見ている者全てに安寧が訪れる……、そう思えてしまう程の穏やかななにか。

 

 

「繰り返してきた。何度も、何度も。全部救いたくて、悲劇を全部無かった事にしたくて、オレは繰り返してきた。見えない傷は、フェリスにも治せない。あぁ、そう言えば治せない傷(それ)を見せてもフェリスには驚かれたんだったかな。……じゃあ、今回のであいこか」

 

 

フェリスに向かって、笑っていたツカサは 真剣な顔になって、ハッキリと告げた。

 

 

 

 

 

「―――オレは、こんな終わりは認めない。絶対に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェリスは―――泡沫の夢を見ていた。

 

不思議だった。悪夢なんかじゃなかった。夢の中では精神も安定していた。

全く制御できなくなってしまった心と向き合う事が出来た。

 

なぜ、なぜ出来る様になったのかは自分でもわからない。

 

 

ただ―――わかるのは……。

 

 

 

『フェリス……』

 

 

 

目の前にいる。

手を伸ばせば届く。

友達(・・)の姿がそこにはあった。

 

 

 

『余はそなたに口酸っぱく告げた筈だったのだがなぁ……、一人で考え過ぎるな、と。たった一人の友からの忠告でさえ、聞き入れられんとは、余はその程度の男なのか』

 

 

 

わざとらしくお道化て見せる姿。

懐かしい―――とは言えない。常に傍にあり、常に傍で導いてくれる。クルシュと同じで、フェリスの半分は、彼の物なのだから。

 

 

 

『黙っておらんで、何か申したらどうだ? それとも、余の顔なぞ、遠の昔に忘れてしまった、と申すか?』

 

 

 

お道化ていた姿にどこか寂しさが含まれている。

如何に泡沫の夢だったとしても、夢であると認識できていたとしても、この人にそんな顔をさせたくないフェリスは、勢いよく飛び出し。

 

 

『で、殿下の事を忘れるなど―――! わ、私のたった一人の友達を、忘れる事なんて……ありません』

『ぬ? まだ言うのか。余はこうも言った筈だぞ。余は最初の友ではある、だが、最後の友にする必要などはない、一人になってはならんと告げた筈だ。寧ろ厳命だ厳命』

『っ、っっ……、で、でんか……わた、わた、わたし……は……』

 

 

伸ばせば届く距離に、かの姿がある。

驚くべき事に、触れる事さえできる。

 

夢―――と言う言葉で、それだけで 片付けられる程のものじゃない。

 

フェリスは大粒の涙を流した。

情けない自分の元に、友が還ってきてくれたのだと。

 

 

 

『わたし、わたしは……、ひとりに、なってしまいました………』

 

 

 

夢であっても、優しい夢であったとしても、もう半分の存在であるクルシュを失った痛みまで忘れさせてくれる程優しい夢ではない。

いっそのこと、全てを忘れさせてくれればと思う事だってあるが、失ったものがあまりにも大きい。その心は、魂は、失ったものを求め続け、軈て同じ道を歩くだろう。

 

 

 

『ふむ?』

 

 

 

だが、そんな大粒の涙を流すフェリスとは対照的に、彼はいったい何を言っているのか? と首を傾げだした。

視界が涙でぼやけているのにも関わらず、その姿をフェリスはハッキリと視認する事が出来る。

 

 

 

『ふっ……フェリスよ。よく考えてみるが良い。……もしも、だ。もしも、本当にそなたが一人になってしまった、と言うのであれば、この余の隣には、かの女子が、逞しく、素直で、可憐で、……何よりも尊く、そして愛おしい女子が、余の隣におる筈。………そうは思わぬか?』

『ッ―――――え』

 

 

 

優しい泡沫の夢なのなら、彼ともう1人……この場に来て欲しい人がいる筈だ。

彼に言われて周りを、辺りを見渡すが、この世界には2人しかいない。

 

 

 

『うむぅ……。余も久方ぶりに言葉を交わしたいと思った所ではあったのだが……、いやいや、残念などと思ってはならん事くらいわかっておるぞ?? だがな、しかし……』

 

 

 

彼は、いつ、どこにいても、肝心な時に言葉を濁してしまう。

もしかしたら、最後の時も――――。

 

 

 

『クルシュ様に、殿下は何も言えてないのですか? ………へたれの、ままでしたか?』

『何を言う!! ちゃぁんと、余は告げたぞ! 恐るべき未来計画! 妃に迎え、フェリスを騎士とし、末永く共にいる、この計画を! ………確かに今生では叶う事は無かったが、次なる世界では必ず成就して見せると、心に決めておる! だからこそ、魂となりてもそなたらを想い、獅子王たれと言い聞かせておるのだ! ここまで出来るのは余以外におらんぞ! わっはっはっはっは!』

 

 

 

最後の最後には想いの丈を伝える事が出来たのか、と少し安心するフェリス。

だけどこれは悲しい話。……その筈なのに、もう叶わない話なのに、………偽らざる笑顔と声のままに、彼は告げてくれている。

それよりも、取り乱し、泣き叫びそうになったというのに、普通に話をする事が出来るのも驚きだった。

 

 

 

 

そして、彼は大きく口を開けて笑ったのちに、また―――真剣な顔になって……。

 

 

 

 

 

『フェリスよ。……まだ終わっておらん。フェリスも、クルシュも、まだ何も終わっておらん』

『え……?』

 

 

 

何が終わっていないというのだろう?

確かに優しい夢かもしれないが、目を覚ました時にすべてを忘れて、また絶望におとされるに違いないと思っていても、言葉にして欲しいと思っていても、ほんの一瞬甘いだけの致死性猛毒である言葉は聞きたくない、と思っていた。

 

 

だが、想像していた言葉とは全く違う。

 

 

 

『全く。あの様な男が世に存在(・・・・・・・・・・)するなどと……、世の中は理不尽である! ……いやいやいや、だが早計だ。余も負けるつもりは毛頭無い!! だがだがだが……、クルシュは返事をしてくれらなんだしなぁ……。むむむむむむ、だが、こちらへ来た時こそが真の勝負と言えよう!』

 

 

 

一体、何を言っているのだろう?

あの男とはいったい誰の事を差しているのだろう?

 

 

いや、フェリスの中では薄々だが、わかった気がしていたが、それはありえない。

 

 

この目の前にいる彼は――――フェリスの中に存在するだけの記憶の残滓。

なのにも関わらず、……その男を知っている筈がない。フェリス自身が言わせる筈もない。

 

 

こんな、一人の少女を取り合う男の勝負! みたいな展開になるわけがない。

だって、3人いつまでも一緒―――が幸せだった夢の筈だから。

 

 

 

『フェリス。忘れるな』

 

 

 

いつの間にか、彼の周囲には光で満ちていた。

1人で唸っていた彼は、よくもまぁ、コロコロと表情を変えれるものだなぁ、と感心させられる。

 

 

 

そして、光で包まれたと同時に、ハッキリと言葉が耳に届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『クルシュは、大丈夫だ。――――信じて待つがよい。例え、終わる世界(・・・・・)であったとしても、最後まで……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目に光が宿り、勢いよく身体を起こす。

泡沫の夢から覚め、現実と言う悪夢が戻ってきた筈だというのに、破壊の衝動は一切起こらない。

 

それを目の当たりにした周囲から驚きの声、表情と共に……、軈て抱きしめてくれた。

 

何故こうなったのか、一体何が起きたのか、それを理解する事が出来ない。

理解するよりも早く―――侍女から伝言を受けた。

 

 

 

【大丈夫。必ず何とかする】

 

 

 

短く、そう告げられた。

何が大丈夫なのか、と憤慨したい――――筈だったのに、心が軽くなる。それも強制的に。まるで、彼が傍で抑えてくれているかの様に。

 

 

 

『言ったであろう? ―――――信じて待てばよいのだと』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どういう、風の吹き回しだ?」

「どういうってひっどいなぁ、ボク、いっつもこんな感じじゃなかった?」

 

 

全てを終えて、後はスバルと合流して戻るだけと言う場面。

 

ナニカ(・・・)が顔を出した。

 

 

いや、最初から分かっている。

この愉快犯は、なんの気まぐれか……。

 

 

「フェリスに夢を魅せたのはお前だろ」

「ふむぅ。やっぱボクと君は繋がってるからバレちゃうんだね♪」

「………………」

 

 

フェリスを助けてくれた。

それは間違いない。

 

だが、どうしても手放しで喜ぶ事が出来ないのだ。

 

この愉快犯が齎してくれた力は、そのほとんどが良い方向へと進む活力になっている。

時を遡る力もそう。スバルの身の内にいる存在との事もそう。英雄としての力もそう。

 

根源はこの存在の筈なのだ。感謝こそすれど、もう邪見にして良い相手じゃない……と言う事くらい、頭の中ではわかっているのに。

 

 

「それでいーんだよ」

「!」

「ボクは好きにさせてもらってるだけ、ボクが楽しめそうな事をしてるだけ。その結果、どっちに転ぶか(・・・・・・・)は、その都度のお楽しみ。なんだから。勘違いしちゃヤダよ? 単なる都合の良いお助け精霊~ってわけじゃないからね? 最後に信じられるのは自分が持ってる力!」

「……勘違いなんざ、するか」

「ふふっ。あ、一応言っておくケド、ボク、君の親の仇! とか、嫁の仇!! とかじゃないよ、って事だけは言っておいてあげる」

 

 

 

そうとだけ告げると、姿を消した。

記憶の無い以前の話をしているのだろうか、と一瞬思ったが……、もう戻らないモノだと認識しているので、特に気にはしない。

 

それに、そんなわかりやすく、単純な事で嫌悪する様な相手じゃない事くらい、もうわかっている。

 

 

「すまん兄弟。取り合えず全部済ませてきた。……エミリアは、大丈夫だ」

 

 

丁度スバルが戻ってきた。

タイミングが良いのか狙ってたのか、もう考えるのを止める。

 

 

 

「そっか。良かった」

 

 

 

そうとだけ言うと―――再び白の世界へ。

 

世界を巻き戻そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メニュー画面・考える時間。

 

 

 

 

 

 

遡る時が、これまででも特に短いのでは無いだろうか。そして戻るメンバーもスバル一人だけだからだろうか。思った以上に消耗はしていない。

僥倖だった。

 

或いは、身体が慣れ始めているのかもしれない。

これが、成長と言うモノなのだろうか……。

 

「スゲーな。死にそうになる度にどんどん強くなるとか。やっぱ兄弟サ●ヤ人? スーパーついちゃう??」

「その、さいやじん、ってのは知らないって前に言わなかったっけ? ………でも、毎回言うけど、それを言うなら、スバルの方も十分凄いから。怠惰(アレ)と戦う覚悟が、より厳しい戦いをする覚悟が出来たってのが特に」

「兄弟が、ツカサが命賭けるって言ったんだ。目指せ英雄を心情としてるオレが、ここで立ち止まるなんて、あり得ねぇ。………エミリア一人助けて、レムも無事、オレらだけ全員無事ではい終わり、なんてゲスな考え、持てなかったよ。いや、元々持ちたいもんでもねぇが……、ちょっとは考えた。……でも、一瞬だ。考えたとしても、持てなかったんだよ」

 

 

 

ぎりっ、と歯を食いしばるスバル。

クルシュを巻き込んだのは言わば自分達だ。

白鯨を討伐し、それで終わりな筈だった所、無事だった兵士を援軍として寄越してくれて、最少限の兵力で王都へと帰還した。

或いは、しっかりと戦力が整っていたとしたら?

怠惰戦が完勝だったからこその後悔だ。

 

 

「今は後悔してる時じゃないよ。何せ、後悔を幾らしても、挽回できる機会があるんだから。幸運以外の何物でもない。オレの場合でも、スバルの場合でも。……繰り返しを許されている稀有な存在同士、ね」

「……互いに色々えげつねぇけどな。方や死ぬのがトリガー、方や戻れても結構苦痛継続&巻き込まれ時死より最悪とか。――――アレ? やっぱオレがいっちゃん足引っ張ってねぇ!?」

「………今ここに毒舌担当はいないからさ? 変なの求めちゃ駄目だよ」

「求めてる気は全然ないんですけどね!!」

 

 

ツカサもスバルも軽く笑う。

この場所だけだ。

 

時間と言う概念が存在しない場所。矛盾してるかもしれないが、あまり時間をかけてられる場所、と言うわけでもないが、それでも一度落ち着き、整理し、最善を模索する事は出来る。

 

 

「オレの索敵(テンペスト)が使えない以上、やる最善は1つ」

「ああ。地図持ってるヤツ速攻で叩く。んで、ケティの野郎も前回通り泳がせた後に拘束。爆発する危険があるって事が知れたのは良かった。兄弟がいなくても何とかなりそうだ」

 

 

フェリスがいる。

物騒な術式を刻まれてたとしても、ゲートからマナに干渉してあっと言う間に外す、なんてことも出来そうだ。

 

 

「スバルの話術にもかかってくるね。何で知ってるの? 当然の疑問だ」

「その辺りは、任せてくれ。――――今回は状況が状況だ。ふざけた雰囲気は出さねぇ。オレが間違ってたら、八つ裂きにしてくれて良い、って勢いで無理にでも信じさせる。ケティの件で、嫌でも信じる様になるとは思うがな」

「……時間遡行で、やっぱり一番厄介なのは、相手への説明……だなぁ」

「そりゃあそうだろ。……でもま、一人じゃない。だから、なんでも出来る。――――やってやる」

 

 

スバルは拳を前に出した。

 

 

「オレの隣にはエミリアたんとレム。……そんでもって、兄弟はエミリアたんの懐刀」

「え? 今オレ、道具扱いされてるんですか?」

「ちっげーよ! なんっつーか、その、何となく雰囲気で分かってくれっての! これでも大判振る舞い! 何せエミリアたんの懐を譲渡してんだぜ?? あのローブ以上のエミリアたんの香り! 最高じゃねーの!」

「いや、それは全然嬉しくないんだけど――――でも、まぁ」

 

 

ツカサは苦笑いしながらも、拳を突き出した。

 

 

「ペテルギウスの野郎は、オレが仕留める。……だから」

「ああ。オレは暴食と強欲。ライ・バテンカイトスとレグルス・コルニアス。奴らから、クルシュさんを逃がす(・・・)

 

 

 

互いの目的を再確認。

 

 

 

「また、王都で会おう」

「それ死亡フラグっぽいから止め――――ッ! って言いたいが、同感で、絶対だ。王都で兄弟が余裕綽々で待ってる姿が目に浮かぶぜ。……クルシュさん達と一緒にな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、元の次元へと戻る。

 

ラムとの再会。

それは願った形では決してない再会。

 

そして……ラムには包み隠す事なく全て告げた。

ラムに隠し事はしない。それを約束しているから。

 

 

「――――事情は分かった」

 

 

腕を組み、頷くラム。

ここからどうするのか――――これもまた、ある意味第一関門だ。

 

 

 

 

 

 

 

「ラムを置いていくのだけは許さないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その関門に堂々と立ちふさがるのは、他の誰でもない。ラム自身だった。

 

 

「でも、ラムはもう戦えない筈だ。フェリスからもこの先言われる。これは絶対(・・)だから」

「…………」

「それに聖域には、理由は聞いてないけど、フレデリカさんは行く事が出来ない。だから必然的に案内役として、ラムとレム、2人の手が必要なんだ。だから……」

「聖域はレムに任せなさい。ラムもレムも、場所は知っているし、古馴染みもそこにいる。あっちはラムがいない事に文句を言ってきそうだけれど、贅沢は言わせないわ」

 

 

是が非でも、ラムはついてくる。

そう言っている。

 

 

 

 

手練れである筈のクルシュでさえ、命を落とした場所。……死地と言って良い場所へ。

 

 

 

 

「お願いラム」

「嫌よ。……絶対」

 

 

ラムは、頑なだった。

いつも以上だった。

 

 

「ツカサ。今回の相手は最悪よ。他の誰でもない。ツカサ自身がそれを解ってる筈」

「――――――ッ」

「目的が、魔女教を撃退じゃなく、クルシュ様達を逃がす(・・・)ってツカサが言いきってる時点で」

 

 

【暴食】と【強欲】

 

ラムも知らない訳がない。

その危険性も、当然ながらツカサ以上に知っていると言える。

 

何せ、ロズワールの屋敷へとやってきて、エミリアを王候補として推薦する立場を取った時点で、魔女教との衝突は避けられないと踏んでいた。

調べれる範囲では遠の昔に調べている。

 

相手は一騎当千どころの騒ぎじゃない。

国の全戦力を用いても、どうなるかわからない相手なのだ。

 

 

「……ツカサの力なら、情報収集をして、最善を模索する事だって出来る筈。今回だって、そのために戻ってきた筈なのだから」

 

 

時間遡行の能力、やり直す事が出来る能力の最大の利点は、その情報収集力に在る。

例え敵わない相手だったとしても、何度も挑戦すれば光明が差すかもしれないし、他の手立てだって見つかるかもしれない。悪かった所を改善し、繋ぎ合わせ、最後には導く。

 

それが出来るツカサだからこそ、これまで乗り切る事が出来たのだから。

 

 

 

だからこそ、そんなツカサだからこそ、【逃げ】の一択を取った時点で、ラム自身が知っている以上に危険な相手、その強大さを理解する事が出来るというものだ。

 

 

「ッ――――――。で、でも。そんなヤツの所に万全じゃないラムを一緒に連れて行くなんて」

「戦うのではなく、逃げに徹するだけなら、今のラムだって役に立つわ。竜車もレム程じゃないにしろ、扱えるし、手は多い事に越したことはない。クルル様のお力をお借りすれば、ラムも戦う事だって出来る。ツカサが言っていた事よ? 1人じゃなくて、2人なら、って。………それに」

 

 

ラムは、ツカサをまっすぐ見据えて、告げた。

足手まといになる可能性も十全にある状態でさえ、ツカサと共に行くと頑ななラムの真意。

 

 

 

 

 

 

「ラムが傍に居れば、ツカサは馬鹿な事(・・・・)を考えたりしないでしょう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ノミ以下さんやライ君が出てくるのは、次の話くらいでしょーか(∩´∀`)∩


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