Re:ゼロから苦しむ異世界生活 作:リゼロ良し
長かったデス<m(__)m>
幾千幾万と繰り返し続けてきた破壊と創造。
如何に餓鬼がそのままデカくなっただけのレグルス。屁理屈と自己弁護、何処まで行っても利己的、そんなレグルスであったとしても、頭が冷えて考え始めるだけには十分過ぎる程の時間が経っていた。
「あのさぁ、一体」
『いつまで無駄な事をする気だ? だろ?』
「ッ~~~。この僕の」
『思考を勝手に君が押し付けるな!! 権利の侵害だ!! 下等生物が!! だろ? 同じ事の繰り返しとはまさにこの事だな』
「~~~~~~!!!」
とはいっても、レグルスにとっては相手は未知の敵であり、煽りのスペシャリストでもある。
更に加えれば一言一句、違えない言葉を確信をもって言い返してくる所も気味が悪く感じるが、それ以上に激昂して潰さずにはいられない、と煽り耐性が限りなく低いレグルスは、また同じ様に繰り返した。
権能を存分に使いまくった圧倒的な破壊である。
壊しても、壊しても、直ぐまた元に戻る。
こういったやり取りが更に続いたが……漸く完全に頭が冷えたレグルス。
自分自身の権能がここまで通じない相手は初めてであり、だからこそ冷めた(と言っても異常なまでに時間がかかったが)。
自らに対しての攻撃も通じてないから千日手、意味を成さない、全く無意味な時。
「君と遊んでやるのは」
『もう飽きた――――。解った。そろそろこちらの種を明かそうか。……お前はもう、終わりだ』
「はぁ? 一体何を言い出すのか。君は学習能力ってものが無いの? 君の攻撃だけど一体僕に対してどれだけ傷をつける事が出来たの? これだけ時間があって、これだけ何度も攻撃してきて、全く視えてない君の低能さには、呆れ果てて言葉も出なくなってくるってもんだよ。まぁ、僕は優しいからさ。教えてやる事に関しては別に構わないって思う様になってきた所に、また無礼な物言いをして、優しい僕にも、平和主義な僕にも我慢の限界ってものがあるんだよ。でもまぁ、僕には僕で愛する妻たちを家に待たせているし、そろそろ帰ってやらないと妻たちも心配するだろうからさ、今日はここまでにして、後日徹底的に――――」
そこまで言った所で、ツカサは指をぱちんっ! と鳴らせた。
途端に、周囲を覆っていた岩山が崩れ落ちる。
レグルスとツカサを球体状に、広く広く覆っていた山々は粉微塵となって崩れ落ち、軈て貫通する。
そこから見えてくるのは、地を照らす朝日の光――――などではない。
空に瞬く無限の光。
そして何処までの深い暗黒。
レグルスとツカサの足場だけを残して、全てが消失。
「――――! こ、ここは!?」
転移でもさせられたのか、と目を見開くレグルス。
そんな驚くレグルスに対して、ほくそ笑むのはツカサだ。
「……お前は、あの星の病気だ。だから星から追い出す事にした。それだけの事だよ」
徐々にツカサの身体が崩れ落ちていく。
最後の灯、と言わんばかりに、緑と赤の輝きを瞬かせながら。
「一体、一体何をしたぁ!!? ここは何処だ!? この僕を一体何処に連れてきた!!」
「―――流石だな。大気を封じ込めていたジ・アースを解除した状態で。……
「!!」
無意味に、無価値に、無駄に攻撃を続けているだけだとレグルスは思っていた。
それこそレグルス自身がそれを言えば完璧なブーメラン発言になるが。
「何故、何時、僕の、この強欲の権能を――――!」
「答えてやる義理は無いな。……それに俺は欲したけど、
そう言うツカサの身体は、既に半分までが消失。
鮮やかな粒子を宙に散りばめ、消失、消滅を感じながらも、満足行くと言った笑みを浮かべ続ける。
「その停止した心臓、鼓動を始めるのは一体いつだ? 本当に永遠に止めたままでいられるのか? あの世界の外に出てきても?」
「―――――ッ!!? まさ、まさか、まさかまさかまさかまさか!!?」
認めたくない、だがそれでもこの場所は、上も下も右も左もない暗黒の世界。遠くで鮮やかに光っている光点が見えるが、この場を明るく照らす程のモノではない。
そして、レグルスは、この光景には見覚えが当然ある。
毎日、毎日、毎日、毎日―――――太陽がその役目を終え、月へと交代したその後に、見る空。曇りの無い空は、何時もこんな感じだった。
「ああ、
首下までが完全に消失。
後は頭を残すだけとなった。
「ふざけるな! ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな!!! 僕を元の場所に戻せっっ!!」
レグルスは、慌てて腕を振るう。
だが、この場所にはレグルスが武器にしていた空気は無い宇宙空間。放たれる大気の刃、全てを両断する刃は放たれる事は無かった。
顔半分消えた所で、にやりと笑う。
「あぁ――――……なるほど」
不意に、1つの結論が浮かぶ。
「
もうあと少しの命。
そんな中で、得た結論に、そのパックの名をここで呟いたのには、理由があった。
あまりにも、状況が似ているからだ。
そう、パックが怠惰ペテルギウスにエミリアを奪われ、魂まで凍てつかせた、と言ったあの世界線。あの時とあまりにも酷似している。
レグルスは、ラムの命をーーー……。
心情の中、深層域であってもあの地獄を悪夢を思い返すのは耐えられない、と彼は直ぐに考えを改める。
パックの心情だけを考える。
あの巨獣は契約に従ったとはいえ、世界を破滅させる所までいった。
世界を破滅させる序章として仇を、……ペテルギウスを殺した時の、その最後の時は、きっと口角をあげて笑ったと思う。
相手が憤慨し、激怒し、軈てそれはどうにもならなくなって絶望に沈む事だろう。
最後まで、それを見る事はどうやら叶わない様だが、それでも
もう、戻れないというのに、
だからこそ、笑う。
そして、激怒したレグルスの顔が徐々に驚愕の顔に変わる。
この場に連れてきた張本人が、このまま姿を消すとなれば、いよいよ死へのカウントダウンが始まる事を、レグルスは察したからだ。
ぼろ、ぼろ、と最後に残った足場も消失する。
「――――最後の最後で、ようやく叶う」
レグルスは、彼のその笑顔を確かにみた。
醜い程歪めた顔で、彼をーーーツカサを見た。
そして、それを合図にまた笑う。
「……その顔が視たかったよ。馬鹿」
それだけを言い残し、ツカサの身体は完全に消失した。
ありえない、ありえないありえないありえない。どういうことなんだよ。意味が解らないよ。なぜ僕がこんな目に遭わなけりゃならないんだよ。僕を、この僕を一体誰だと思ってるんだ。僕は、大罪司教【強欲】レグルス・コルニアスだ。この世で最も満たされていて、最も個として確立した! 唯一無二であり、絶対であり、何一つかけた要素のない存在だ!
なのに、なぜこんな目に遭わなけりゃいけない。ただ、ちょっとだけ遊んでやった。遊んでやっただけなんだ。いや、本気を出して遊んでやった。敬意を払い、全力で遊んでやっただけなんだ。相手に対し、敬意を払い、常に全力で立ち会う事、それは騎士道精神、ってヤツにもつながる筈なんだ。ふざけるな、ここまでこの僕がしてやったと言うのに、何故こんな報いを受けなければならないんだ。わけのわからない不条理を受けなければならないんだ。平和を願っているだけの僕に、どうしてどうしてどうして。恩を仇で返した意味が解らんヤツも、僕がアソビを捨てて、本気で殲滅する事にしたら、直ぐにでも消滅、粉微塵、バラバラのぐちゃぐちゃになってた、って言うのに、調子に乗るだけのって途中で消えやがって、死にやがって。死んだら終わりな筈なのに、死んでも尚、この僕に付きまといやがって。つきまとい気質、性犯罪者だって言うのか? 僕には美しい妻がいる。可愛い妻もいる。男なんてお断りだって言ってるのに、なんでこうも付きまとうっていうんだ。同性愛者だって言うのか? 考えられない。吐き気しかしない。嫌悪感しかない。もう、何もかもが煩わしい! なんでこうなったって言うんだ。僕はずっとずっとこれまでうまくやってきた筈なのに。何年も何十年も百数十年もずっとこうして、誰より忠実に大罪司教をやってきた。初めて魔女因子に選ばれてこの権能を手に入れて、稼ぎの悪いくせに酒浸りの父親とぐちぐちと毎日毎日不平不満を垂れるばかりの母親と僕の取り分まで虎視眈々と目を光らせてる卑しい兄弟たちを皆殺しにして、僕を小馬鹿にしようとした目で見てくる村の連中も、僕をあんなどうしようもない村と家に押し込んだ町の連中も、そもそも町や村を何もせずに放置して、無能運営されてた国の連中も全てバラバラにして全部消してやったんだよ! これが
、僕の生き方で漸く僕と言う完璧な存在の一歩を踏みしめる事が出来た。僕が完成されはじめた瞬間だった。僕の僕しか出来ない生き方。何もいらず、無欲で、強欲なんてほど遠い、何もかもが煩わしい。常に満たされてる。持ってなかったんじゃない、いらなかったんだよ。押しつけがましい屑どもめ、僕は何もいらないって言うのに、与えた気になって上から目線で、可愛そうな者を見る目で、見下して押し付けてきた屑。満たされた僕に何も言わない人間だけが、言えない人間だけで構成されていればそれでよかったんだ。なのになんでアイツは邪魔をした。僕が何をした。何故あんなヤツが存在する。僕とはまた違う次元に居るって言うのか。今もどこかでほくそ笑んでるって言うのか? この僕を! ヤメロ、やめろ、やめろよ! 僕の事を見るな、僕の名前を出すな、僕の事を話すな、良い事でも悪い事でもやめろ。悪い事しかしてない、って思うが、それでも万が一にでも良い事を言ってたとしても、それを止めろ、息をするな、呼吸をするな、全てが煩わしい。そもそも、個で完結していれば、僕たちは出会う必要だって無かったわけじゃないか。基本分かり合えない。心は踏み荒らされずに済む方法なんてないんだ。なぜなら、お前と僕は全く別の存在、別の人間なんだから。リスクを払ってリターンを得に行くなんてどう考えても頭がおかしいとしかいいようがない。その頭の悪さには同情さえ禁じ得ない。冷静になってみればわかるって言うのに、その冷静って言葉すら知らないのか? いや、いやいや、僕以外の人間の全てがこれだ。全てこうなんだ。全ての人間が熱に浮かされてるだけなんだ。他人を求めるのなんてそれこそ無益で無為、無意味な事だって、普通に考えればわかる筈なのに、いやまてよ。普通って定義がアイツには当てはまらないって言う方が正しいのか。だから、あの偉そうな王候補の女の傍に無意味にいて、たまたま僕たちが歩いてるだけだって言うのに、突然襲い掛かってきた。普通の神経ならあり得ない。僕一人は残して、もう一人だけを解放するって言うのも明らかにおかしい。差別だ。あれの方が異常なんだ。食べる事しか頭になく、食べる為には全てを犠牲にして良いって考えてる最悪の思考の持ち主。アレを解放して僕をそのまま捉えるって、どういう頭の構造をしていたら、そんな結論になるのか、甚だしい事も極まってる。これだけ僕を侵害しておいて、まだ僕に何かを求めるっていうのか、要求を突きつけるのか。僕を返さないというのか。どこまでやれば僕は憐れまずに済むんだ。どれ程欲深いんだ。そうさ、そうさそうさそうさそうさそうさそうさ。
お前こそが強欲の名に相応しい、浅ましい、卑しい、どうしようもない存在なんだろっ!!
レグルス・コルニアスの心境である。
彼の権能を用いれば、その気になればこの世の物理法則の全てを無視して行動する事が可能だった。風を置き去る程早く、常識では測れない次元で刹那に、この世のものとは思えない程の圧倒的な力を以て殲滅が出来る。
その力を用いれば、必ず勝てた筈だ、とレグルスは信じて疑わない。
ただ、これだけは言える事だ。
最初の段階で言えば、それらの権能を全て使い、逃げに徹し、囲う牢獄からの脱出も容易かった事だろう、と言う事。
如何に巨大で強固な壁が眼前に広がっていたとしても、それは無限に出現し続ける訳ではないから。なかなか微調整が必要になるかもしれないが、何よりも大切にしている存在の元へと突っ切る様に、動けば彼は手段を変えらずにはいられないだろう。
ルグニカ王国方面へと破壊の衝撃を放ち続けたとしても、恐らく彼の性質状……それを止めずにはいられない筈だ。
但し、これも言える事。
彼は全て解った上で、ありとあらゆる手段を検討し、繰り返し続け、――――あの場でとれる唯一無二の最善策を用いた。
繰り返す事が出来ない存在であれば、その手からは絶対に逃れる事は出来ないだろう。
レグルスは足をバタつかせる。
蹴りを入れる。虚空を蹴り続ける。だが、彼のイメージする圧倒的で超常的な速度とは思えない、進んでいるのかさえ分からない状態が続いていた。
この世の物理法則の全てを無視する事が出来る最強の力。
だが、この場所は言わば
今はまだ良い。彼の権能が生き続けている限り、この場でも彼は生存出来る。
だが、権能が切れた時が最後の時。それがいつになるのか、レグルス自身にもわからない。
絶対的なタイムリミットは確実に存在しているが、それでも早くなる可能性だって大いにある。
その待つ時間こそが、レグルスのこれまで犯してきた罪を清算する時間となる。
だが――――幸か、不幸か。
「それは面白くない」
幸か、不幸か。
「つまらないなぁ、やっぱし」
誰にとっての幸運で、誰にとっての不運か。
「ん~~~~、あっ、そーだ。折角だし――――」
そして、ソレは 一体何を齎すのか。
「遊び方、変えようかな♪」
そして、世界は動き始める。
リゼロな世界では、星の形は丸いのかな? 大瀑布とかの存在忘れちゃってたけど( ´艸`)
リゼロな世界の宇宙から見たら、どんな風に見えてるのかな~~、と思っちゃいました<m(__)m>