Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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第4章開始しますヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪

色々難しい……((+_+))


永遠の契約
門出


「ようこそっ!! ボクの城へ! まさか、こんなにも早くにボクの夢が実現するとは思わなかったよ! いや、改めて思う。死後の世界がこれ程までに輝いてみえるなんて思いもしなかった! ボクの知識量が如何に乏しくて、微々たるもので、僅かしかないという事が、君に、いや貴方様に巡り合えて、心底思い知らされたんだ。だからこそ、持ちかけてくれた遊びは、ボクにとってこの上ない、類を見ない、無上の、絶頂の、究極の、最上の、至上の、至高の、モノであると断言できる! 貴方様と出会えて、直ぐに別れてしまう結果になってしまった時はボクも凄く残念だと思っていた、枕を濡らし、断腸の思いだったんだけれど、この世界に間違いなく居るというその事実だけで、貴方様と繋がっている事を実感したんだ。そう考え始めたボクの精神は最早、常に最高潮に達しているいっても決して過言ではないだろう。そう、これは男女の関係で言い表すとすれば、最愛に等しい、生まれたままの姿で飛び出し、抱きしめ、性欲の限りを尽くしたい、と思ったんだ! 勿論、一方的な片思い、過剰な愛の押しつけである、と言う事は解ってる。ボク自身が見てくれには少々自信があるからと言って、無遠慮に無防備に、無神経にそのような事をしたりはしない。貴方様と言う存在は、ボクにとって未知で、不確定で、不確実で、不確かで、これまでの400年分の知識を総動員した所で、意味を成さない。1にさえ到達しないと断言できる。ああ、これほどまでにボクの強欲を満たしてくれる……、いいや、満たすなんて生易しいものじゃなく、溢れ漲り、軈ては決壊し知識の濁流となって流れ続けるだろう。これまで培った時間がまるで足りない、無になったと言っても良い――――」

 

 

 

ここは天国と見紛う世界か。

暖かく穏やかで、情熱でも溢れている様な世界。その中心には小高い丘があり、白で装飾されたガーデンパラソル、テーブル、椅子があり、熱弁しつつも空席に案内し、国賓的な相手に対して配慮を怠らない。

この世界は、この熱烈に熱弁している彼女(・・)の心境そのものを現している事だろう。

 

それには当然訳がある。

 

 

「ちょっとばかり、アソビを変更してみたんだっ♪ まずはこちらの話も聞いてもらいたい、かな?」

「!!」

 

 

延々と出続ける彼女の口に、人差し指を当てて、片目をぱちんっ、と閉じる。

 

 

触れられた事、触られた事、至近距離で、こんなにも近くに顔がある、肌がある、手がある、温もりがある。彼女の熱はいよいよ臨界に達しようとしていた。

顔を真っ赤にさせた後、ぼふんっ! と小さな煙を頭上に浮かべながらも、コクコクっ! と勢いよく顔を上下させる。

 

 

「今回のお題はさ? 君が、君たちが俺たちを見つける事(・・・・・)を目的としたアソビ……だったよね? あっ、受け答えはして欲しいよ」

「!!」

 

 

取り合えず、黙って話を聞け、と言われていたと思っていたのだろう。

両手でどうにか言葉を口にするのをこらえていた彼女だったが、そういった意図が一切視えない。

寧ろ、会話のキャッチボールを望んでいる様に見えた。一方的に話をしてばかりだった自分を諫めたい気分の様だ。

 

無論、それも熱が入ればすぐに忘れそうな気もするが、それも愛嬌。

 

 

「そう、そうなんだ! ボクは頑張って貴方様を探そうとした! 勿論、貴方様の相方様――――」

「言い難いでしょ? 貴方様~~なんてさ?」

 

 

仄かな笑みを浮かべたまま、対面する様な形で、用意された空席に腰を下ろす。

穏やかに笑うその姿は、見る者全てを魅了する―――と言っても決して大袈裟ではない。

彼女が知る中で、同じ属性、最も位が高いと言って良い【色欲】であったとしても、足元にも及ばない程のナニカを感じた。

 

 

「俺、僕、我、私、ワタクシ………ふんふん、今回は《俺》にしとこうかな」

 

 

腕を組み、足を組み、決して逸らせない視線を真っ直ぐに見据え、吸い込まれそうになるその悪魔的、神秘的、幻想的、妖艶的なその魅了を一身に浴びて身悶えしつつも堪えきる。

 

 

 

「俺の事は……【ナニカ】。いやっ、ちょっと待って。それじゃ使い回しだし。ちょっと捻って……」

 

 

 

名を教えてくれる。

その甘美の至上さは、一体どう表現すれば良いのだろうか。

この世のありとあらゆる知識を、叡智を求め続け、溜め込み、世界中のあらゆる人間に求められてきた存在をもってしても、―――言葉を見つけられなかった。

 

それは、目の前の存在がただ単に普通の人間的な会話を求めて、しようとしているだけに過ぎないというのに、それでも彼女は――――【強欲の魔女】には最適解が、その言葉が出てこなかった。

 

 

 

 

「そうだな、【ゼロ】でよろしくどーぞ♪ あの子(・・・)にも紹介した事だし、丁度良い」

 

 

 

 

そして、言葉がなかなか出てこない中、漸く出てきた言葉が、印象があった。

 

 

「何だか、随分ヒト(・・)に近づいた様な………」

 

 

 

それが不敬な発言ではないか、と。立場を弁えない発言ではなかったのか? と

これまでは、自分が、自分達が()の立場だったから、失念していた。

そして、改めて心に刻んだのだ。上には上がいて、その果ては見えないのだと。

 

事、知識に関しては絶対を持っていた彼女であっても、例外ではないのだから。

 

 

そんな思わず絶望してしまう程の失言に、彼女は顔を強張らせる。謝罪の言葉を羅列しようとしたが。

 

 

 

「はっはっはっは! それは嬉しい嬉しい評価だね。【我が愉悦】何よりも優先させる、って言ってもさぁ、折角このヒトの世(・・・・)に一欠片でも降りてきたんだ。ヒトにある程度は近づけてないと困る。随分久しぶりなんだし。―――――それにしても、何個前の世界(・・・・・・)だったかな?」

 

 

 

笑顔で許してくれた事に、心底安堵すると同時に、抑えきれない好奇心が全面に出てくる。

指を折り折り、数えている仕草。一体何の数を数えているのか?

 

最早疑っていない。

言わずもがな、それは【世界の数】

 

ここのモノではない、別の世界。自分も知らない世界の知識が目と鼻の先にあるのだ。

 

 

 

「ゼロ様っ!!」

「あ、様いらないよ?」

「ゼロくんっ!!」

「……ふふん。知りたい? 色々と」

「勿論、勿論、勿論だともっ! 沢山、沢山聞かせてはくれまいか!?」

 

 

 

小高い丘に、穏やかな風が舞う。

彼女は、椅子から飛び起き、テーブルを超えて、相手に―――ゼロの手を取る。

 

ゼロを、求める彼女の姿に、にやりと笑って見せた。

 

 

 

「ゼロに抗う少女を待つまでの間、アソビに付き合ってくれるならね? お嬢さん」

「勿論さっっ! なんでもするよ! なんでも捧げるよ! ああ、出来るなら――――」

 

 

 

折角、名を呼ばせてもらってるのだ。

ならば、自分の名も呼んでもらいたい……、と思ったその時。

 

先を呼んだ様だ。人差し指を額に当てて言った。

 

 

 

 

「エーキードーナっ!」

「~~~~っっっ!!」

 

 

 

こんなにも甘美なモノがこの世に存在するのだろうか?

いや、自身の存在を、死後の存在であることを考えたらこの世〜と言う表現は些か違うだろうか。

それでもあの世とも言えない。現世に留まっているからそれは違う。

でも、この世だろうとあの世だろうと、今の世界だろうと死後の世界だろうと、これ以上は無いとエキドナは断言できた。

 

 

「ふふふ。よしよし〜」

 

 

そんなエキドナの心を読んだとでも言うのか……、目の前の絶対的な存在、唯一無二の存在、強欲の全てを満たしてくれる存在は朗らかに笑うと今度はエキドナの頭を撫でてくれる。

幼子が親に対して抱く感覚………の様なものをエキドナは体感する事が出来た。

 

自身には、無縁だと思っていたというのに。

 

 

 

そしてーーーー

 

 

 

永遠に続いてほしいと心より願っていたと言うのに。

2人の蜜月が始まると思っていたのに。

余りにも短く………終わりをむかえてしまった。

 

 

 

 

 

 

「あーーー、ドナずるいぞーーーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

何故なら、早速、間に割り込まれてしまったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――曇天の空模様。それはまるで自分達の幸先が悪いことを暗示させている様にも思える。

 

 

「もう、行くのか。ナツキ・スバル」

 

 

屋敷の門の外にまで見送りに来てくれる女性。

彼女の顔もまた、この空模様の様に曇っている、と言って良い。

はた目から見れば、十分過ぎる程凛々しいお姿だ、と言われるだろう。民衆の前に立てば、遺憾なくその存在感を発揮する事間違いなしだろう。

 

だが、彼女の事を知る者ならば、傍にいて、よく知る者ならば、その心境は解るというものだ。それが、彼女の様に風見の加護が無かったとしても、解る。

 

 

「クルシュさんがそういってくれるのは有難いんだけどさ。……そろそろ、やらなきゃいけない。いい加減にしねーと、叱られちまうよ。…………その、叱ってくれんのを待つってのも良いかって思ってる俺もいるんだが、それ考えちまうと、遠ざかっちまう様な気がして……な」

 

 

誤魔化す様に頭を掻きむしり、ナツキスバルは、目の前の女性、クルシュ・カルステンから視線を外して正面を見た。

 

 

クルシュ邸の前には、複数の竜車が並び、皆がせわしなく動いているのが解る。

彼らはアーラム村の住人だ。

 

不安しかない、自称騎士を先頭に駆り立てた、チートなしの魔女教討伐……だったが、大方の不安帳消し。見事【怠惰】の大司教を退け、屋敷と村の安全を確保する事は出来た。

 

 

前回のループと異様だ、ズルい、狡い! と喚きそうになった、喚いたのは言うまでもない。

 

 

そう、前回の【怠惰】……最初の討伐の際は、【怠惰】の名を持つペテルギウスは一度吹き飛んでそれで終わりだった筈なのだ。

無論、ヤツの憑依先である【指先】も、スバルのループ知識を用いて、アジトの地図と対話鏡を奪い、迅速的かつスムーズに全て潰す事が出来た。

正直、超広範囲索敵能力+五感の共有の凄まじさを改めて痛感させられたのは1度2度3度……数えきれない。

 

だけど、それでもノーミスで、ペテルギウスまでたどり着き、これまたノーミスでペテルギウス討伐が出来た。

無論、一人で出来る訳がないので、気障な精霊騎士の手を借りて。

感覚を共有する【ネクト】を使用する事で、ユリウスにもスバルの視界……即ち【見えざる手】が見える様になったのだ。

 

後は簡単。見えない攻撃や憑依の手段こそが、凶悪極まりない初見殺し能力だったペテルギウス。全てを潰した後は、ユリウスの剣技の方が何枚も上手。スバルもちょこっと手を貸して無事討伐……となったのだが、ペテルギウスはなんと、己の肉体が滅んでも精神は――――! 的なノリで、某長編アニメで出てきそうな祟ってくる神みたいに、バケモノになって追いかけてきたのだ。

 

正直、スバルは生きた心地がしなかった。

エミリアに対しても危険が迫っているという、これまた前回のループにないパターンも広がっていて、自分一人だと、難易度がハードどころの話じゃなくなるのだと、痛感させられた。

 

 

だからこそ、この達成感は素晴らしかった、と言える。All OR NOTHING! とどこかで聞いたことのあるセリフが頭を過る。全てを得るか、亡くすか、それに勝ったのだと最後は諸手を上げた。

 

文句なしのハッピーエンドだった。

 

 

 

 

だが、それも直ぐに闇に蹴落とされる。

今も尚、闇の中で藻掻いている状態だ。空模様所の話じゃない。

 

 

 

「不甲斐ねぇ……オレ一人じゃどうしようもない、ってのが改めて痛感させられた。でも、だからと言って、ここで止まってる訳にはいかないんだ。……クルシュさんに対して、申し訳なく思うが、きっと進展がない。ずるずる世話になりっぱなしになるってだけで」

「返しても返しきれない対価を当家は受け取っている。故に、そこは気にする必要はないナツキスバル。エミリアを含め、な」

「ご厚意だけ、ありがたく貰っておきます。……クルシュさんも、色々とやる事が残ってる筈だ。課題だってある。白鯨に怠惰の件然り、他の連中もそう。下手討つと欲張り商人チームも迫ってきそうですからね」

「アナスタシア・ホーシンか。無論、手立てを考えてない訳ではない。無用な心配だナツキスバル。……卿は、卿達がしなければならない事に、集中してくれ。私達も、その助力になる。惜しみはしない」

 

 

此度の討伐の件。

 

確認できた白鯨・怠惰の件は、王選候補者さん陣営の共同作戦、と言うべき内容だったが、現状を見れば、アナスタシア陣営が頭1つ抜け出た印象が否めない。

無論、クルシュ陣営が負けている、とははた目から見れば言えないが、此度の討伐戦、相応の傷。……それは紛れもなく、アナスタシア陣営と比べると、クルシュ陣営の方が遥かに大きいからだ。

 

そして、そんなクルシュ陣営よりもはるかに……はるかに大きく傷を抉り、更に磔にされて、身動きが取れない。そんな状況にされたのが、エミリア陣営。

 

 

ハーフエルフと言う素性を明かしたエミリア。

 

 

後に芝居であると判明したが、最初は王選の当て馬―――と、ロズワールが言った通りだ。

あまりにもエミリアの容姿、種族は世間に対しての風当たりが強かった。世界を滅ぼしかけた【嫉妬の魔女】の特徴と瓜二つともなれば……、スバルは決して納得は出来ない事柄ではあるが、払拭するのには相応の時間と手間がかかるだろう。

 

でも、それでも心強い仲間がいた。

どんな困難であっても、一緒に居れば笑って乗り越えれると信じて疑わない、そんな唯一無二の友人が、親友が、兄弟が、……この国の英雄が傍に居た。

 

 

だから、きっと大丈夫だと思っていた。後は、自分こそが、スバル自身が横に立つに相応しい男になるだけ。自分次第だ、と考えていた。

エミリアの騎士として、――――英雄の一翼として、隣に立てる様に。自称をのけた騎士。目指すは英雄。長き道のりだが、到達して見せると思っていた。

 

 

 

 

それはエミリア陣営の大きすぎる痛み。

それは英雄の消失。

 

 

 

ルグニカ王国承認、最上位勲章授与、文句なしの英雄。

 

 

 

リーファウス街道の大地の一部と共に、消失。

 

 

兄弟が戻って来てみれば、何処にもいなかった。

笑って待っていてくれるとそれこそ信じて疑ってなかった。

自分の事だけを考えていれば良い。兄弟の心配なんて、10年どころか100年、1000年早いと思っていた。

 

戻ってきたら……、何処にもいないのだ。

 

ただ、そこに居たのは取り乱した英雄の愛妻ラム。

 

 

あの日、もう無くなった世界で見た光景の再来……否、それ以上のものだった。

絶望の全てを、この世のあらゆる不吉を、その身に纏い決して解かれる事の無い状態にまで陥ってしまっていた。

 

 

 

「……兎に角、色々と話し合いをしなければならないので、いっぺん全部持ち帰らせてください。ロズワールにも事の顛末を話とかなきゃだし、不安がってる村の皆も家に帰してやりたいんで」

「……そうだな。心休まるのは故郷。私も、諦めていない。信じて疑ってないとはいえ、心を打つこの悲しみは、どうしようもない。ならば、少しでも心休まる場所が良いだろう。家族が共にあれば、乗り越える事だって出来る」

 

 

最早何も言うまい。

無粋だ、と捉えたクルシュは目配せをした。

 

 

「それが済み次第、俺も全力でツカサの……、兄弟を探します。幸いにも色んな伝手がありそうなのもこちらには居るんで。クルシュさんばっかりに任せる訳にはいきません。………アイツは、俺たちの英雄でもあるんで」

 

 

ラムが聞いたら激怒しそうな事を言っちまったな、と心の中でぼやくスバル。

クルシュもそうだな、と軽く笑って見せると。

 

 

「当家も、重要事項の1つであると位置付けている。故に、そちらも相応の気概を以て当たるとここに宣言しよう」

 

 

ライバル宣言させられた様に聞こえた。

これまた、ラムが聞いていたら一体どうなっていた事か、と苦笑いする。

 

互いに笑いあった後。

 

 

「おっと。長話してて悪いな。もう少し待ってくれ」

 

 

スバルの地竜、パトラッシュが鼻息を荒くしてやってきた。

クルシュと楽しそうに話す事に思う所があるのか、無いのか、それはパトラッシュだけ、もしくは、パトラッシュと話す事が出来る加護持ちだけだろう。

 

 

「ふふ。地竜の中でも気難しいとされるダイアナ種が、こうも短時間で懐くとは。2人には驚かされる事が多いのを改めて感じさせられるよ」

「なんなんですかね? これに関しちゃ、一緒なんですが、ほんとただの直感だったんですよ。パトラッシュと、それに――――」

 

 

ちらり、と後ろを見る。

パトラッシュの様に近づいてきていない。

ラムと一緒に居る地竜の姿がスバルの目に入ってきた。

 

 

「ランバートもそう。単なる相性? だけで済ませちゃいけない気もしますね」

 

 

【白鯨】【怠惰】討伐の件もそうだし、【強欲】【暴食】に対しての立ち回りも そう。

パトラッシュとランバートは、その力を遺憾なく発揮してくれた。他の地竜だったとしたら、こうはいかない、と思える。

 

 

何処か、儚げにランバートを見ているスバル。

流石に違う地竜を見続けるのは、どうなのか、と思ったパトラッシュは気位の高い横顔をこすり付けて、固いうろこでスバルの手を鑢かけにした。

 

 

「ぎゃああ! 乗ってた時は気付けなかった! 想像以上に鱗が痛い! 大根おろしな気分!!」

「……成程。地竜がこのように戯れるのですな。勉強になったのと同時に微笑ましくも思えます。これも信頼関係の為せる業、ですな」

「本当に!? 猫がネズミを転がして遊ぶ~みたいな力関係の構図になってる感満載だよ? ちょっと兄弟の愛竜見てただけだってのに。あっちはもう絶対の主いるって解ってる筈なのに」

 

 

腕を削られたのは良い気付けになったのかもしれない。

その気付けに乗ってくれたヴィルヘルムにもある意味感謝だ。

 

悪い気持ち、運気が下がり続ける様な心持ばかりではいられない、と気を新たに持つ事が出来たから。

 

……或いは本当に、剣鬼にとっては、今の鑢られる激痛は、子供の児戯……戯れに過ぎないのだろうか? 

 

 

 

「まぁ、責任もって、保護者の元にランバートは戻す決意だ、って事で納得してくれよ。パトラッシュ」

「フルッ」

「それと―――」

 

 

スバルはヴィルヘルムを見た。

 

 

「ヴィルヘルムさんともしばらくお別れになるのが残念です。……傷、養生してくださいよ」

「ご心配をおかけします。――――どうやら、この傷(・・・)からは、出血が殆ど無い状態に収まりました。それを幸いというべきかは難しい所ではありますが」

 

 

新たな決意に満ちた目をして、空を仰ぐ剣鬼。

永年追いかけ続けた仇を討ち、悲願を果たし、生きながらえてきた意味を全うした、とも言えた剣鬼が新たに続く意味を見出したのが、その肩の古傷。

 

 

それは、白鯨との一戦で傷つけられたものでもなければ、怠惰討伐の際でもない。

この傷を、ヴィルヘルムに、剣鬼につけたのは先代剣鬼……テレシア・ヴァン・アストレア。

 

【死神の加護】を用いてつけられた傷は、決して癒える事が無い傷。青のフェリスの力を以てしても同様。

そして、その加護は攻撃を受けた者が近くに居れば居る程に、効力を増すという厄介な代物。

 

 

そう―――その古傷が開いた、と言う事実がヴィルヘルムが新たに残った僅かな人生の全てをかける足る事実を告げている。

傷をつけた相手は死んでいる筈だから。白鯨と戦い、命を落とした筈だからだ。

この世にいない筈の妻からのメッセージに思えてならない。

 

それも、魔女教が来たと同時に開く傷。その因果関係は決して無視できない。

ヴィルヘルムは、魔女教を追いかけなければならないのだ。

 

クルシュも容認している事もあり、目的を完遂する為に走る事が出来るのも幸いだと言えるだろう。

 

 

 

スバルは思う。剣鬼は、14年もの歳月を亡き妻の為に捧げ、追い続けた。そして悲願を果たして尚も、燃え尽きる事なく、腐る事なく新たに追い続ける。

 

 

ここでどうしても連想させてしまうのは同じ状況となったラムの姿。

性別こそ違う。最愛を守った男として、ある種の憧れの気持ちは持たなくもないが、それでも実際に体験したいとは思えない。

残された者の悲しみを、よく知っているから。

 

そして……こうも当然思う。

 

ツカサがそれを考えなかったわけがない、と。

 

あのツカサが、その道を選んだという事は、他が全て塞がっていたという事だと。

この身か、最愛か、選ぶとしたらどうするか。そんなものはスバルとて一緒だ。断言できる。

 

 

 

 

ラムもきっと、そう思っている事だろう。

剣鬼と同じ道を歩む筈だと確信できる。

 

 

 

間違いない。ここで終わるわけがない。

ならば、自分に出来る事は一体なんなのだろう? 

足りない手で、足りない頭で、足りない能力で、ちょっとでもツカサやラムの為に―――――――。

 

 

「ほいほい、スバルきゅん。ラムちゃんから伝言預かってるよー」

「へ?」

 

 

そんな時だ。フェリスに突然話しかけられたのは。

それは実にタイムリーな内容。

 

 

 

「【足りない馬鹿バルス。余計な気遣いは無用よ。足りない馬鹿バルス。死になさい】だってぇ♪」

「前後に暴言!? かと思いきや最後に、一段とひでぇの来たなぁオイ!! そんでもって、声・雰囲気結構似てるよ! ヤメロ!!」

 

 




ま、まさかの……orz
主人公&ヒロイン交代危機!!!……(笑)








ギャッホゥ⁉️(゜o゜(☆○=(-_- )゙ラムパーンチ‼️
キャッホゥ!? (゜o゜(☆○=(-_- )゙ツカサパンチ‼️
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