死ぬなよ、絶対に死ぬなよ! ※コレは、フリではありません。   作:リゼロ良し

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ラインハルトさんが圧倒するのは決まってる事なので、キンクリ……ではなく省略気味w


屋敷の一週間
真夜中の晩餐会


 

 

「まぁ、たまには こーいう深夜の食事会、そんな趣向も良いじゃなーぁいかい?」

「そうそう、君には聞きたい事山ほどあるしね? ロズワールもこう言ってるから、ちょっと付き合ってよ」

 

 

 

 

 

腸狩りとの死闘、それが終わりを告げ 今 次なるステージへ。

 

 

これまでの数日間、ルグニカ王国で過ごしてきた衣食住環境を考えたら、一足飛び足……どころか、何足も飛び越したかの様な位の高い場所へと誘われていた。

 

 

ツカサとしては、あの後―――色々(・・)とあって、彼……スバルに聞きたい事が聞けなかったので、ラインハルトの提案、アストレア家にて、客人として持て成すと言う歓迎も断りを入れ、スバルの方を優先させたのである。

 

 

 

―――確かに話は聞いてない。だが、ツカサの中ではある程度仮説が組み上がっていたりする。

 

 

ここで、少々時を遡ってみるとしよう。

 

あの死闘。

 

 

 

――結論から言うと、襲撃者である腸狩りのエルザは逃亡。スバルが重症である。

 

 

 

 

 

あの場面。

腸狩り、と名乗る殺人女エルザは 完璧に不意を突く攻撃が出来ていた。

実際、あのままツカサを突き刺していれば これまでの様な幻視ではなく、現実のものとして現れていただろう。

 

そんな窮地をまるで白馬に乗った王子サマを連想させるかの様に、颯爽と現れ救って見せたのがラインハルト。

 

 

そして ラインハルトは、剣聖の一撃を持ってエルザを消し飛ばした。

この世界の頂である、と称した直感が正しかったと認識した瞬間でもある。

 

 

剣聖の一撃は、あまりにも強大。剣聖を象徴するとも言って良い彼の本来の剣を抜く事なく、ツカサと同じように盗品蔵の中にあった一振りの剣で、エルザを消し飛ばしてしまったのだ。

 

 

ツカサに貫かれ、吹き飛ばされた後は、今度はラインハルトの天を割るような一撃で消し飛されてしまった。

 

何度も何度も驚かされてきた女ではあったが、流石にこれ以上は無い……と高を括っていたのが、また間違いだった。

 

厳密には違うが、自分(・・)は3度死に3度生き返っている。

エルザはまだ2度目だ。

 

あの致命傷から立ち上がってきた事もしっかりと頭の中に入れておくべきだった。

 

殺人鬼(エルザ)も2度立ち上がる。

 

 

狙いはツカサでも、ラインハルトでもない。

 

 

心底戦闘を楽しんでいた戦闘狂は、この時初めて本来の標的に牙をむいたのだ。

そう―――少女エミリアに。

 

 

ラインハルトからは距離があり過ぎる事、ツカサ自身はまだ動けないと言う事、何よりラインハルトが消し飛ばしたと思っていた心理の隙をついた事も有り、最悪の展開が起こりそうだった矢先、唯一動ける男、スバルが男を魅せた。

 

 

 

 

これまでにあった余裕の類は一切ない一瞬の邂逅をたった一発に賭けているエルザとエミリアの間に入り、ロム爺の棍棒を盾に彼女を守って見せたのだ。

 

 

 

 

 

 

ここだけを見れば、スバルが最後にエミリアを救って大団円となる筈だったのだが……。

 

 

一体何処の達人技だ? とスバル自身も言いたくなるような事が起きた。

 

全くスバル自身も気付けていなかった。

エルザの振るった渾身の一撃は、棍棒を盾にしていたのだが、その棍棒ごと腹を斬られていた事に気付けなかった。

 

 

数秒後……、スバルが助けた少女エミリア。まだエミリアと言う名を知らなかったから、助けたお礼に名を知りたいと願った。

願いに応える為に、心からお礼を言う為に 少女はエミリアである、と告げたのだ。

 

その直ぐ後に、和気藹々とした空気だった筈なのに……スバルの腹が開き、噴き出したのである。

 

 

 

 

 

 

 

そして、色々あって スバルもツカサも、エミリアと遅れてきたラムと共に、ロズワール邸へ。

 

因みにオットーとは別れた。

《大分雑な扱いを!》 と嘆いていたが、言ってる意味を理解出来た者は殆ど居なかったので、また今度……と爽やかに。

 

正直、オットーには悪いと思っているが ツカサ自身にも優先順位と言うモノがあるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今。

ラム・エミリアが先に状況を説明。

峠を越したとはいえ、未だ予断を許さないスバルの状態を更に良くする為に、行動し…… そして、スバルの治療が行われている間に、ツカサがこの超豪邸の主であるロズワールと面会した………のだが、いつの間にか、時間が少々遅れすぎている晩餐会が始まったのだ。

 

 

 

「本当は、スバルも挟んで、色々とお話をしたかったんだけど、パックやロズワールがどうしても、って聞かなくて……。ほんと困った人(?)達でごめんね? ツカサもすごーく疲れてると思うのに」

「いや、こっちは大丈夫ですよ。大分休憩も取れましたし。今は……、ちょっと圧倒されてるだけだから……。これまで 野営が基本だったし、城下町では格安宿を手配してもらうつもりだったのに、こんな大豪邸…………。それもこんな深夜にこんな豪勢な………」

 

 

 

振り返ってみてもまだまだ足りない。

本当に色々とあった。

 

それに、ここ数日間の事を考えたら、あまりにランクが上がり過ぎた超豪邸で招待されて、混乱も極まっているかもしれない。

 

 

「お客様お客様。お気遣いなさらずに、どうぞごゆっくりと」

「お客様お客様。過労で倒れてしまうと面倒だからゆっくりしときなさい」

 

 

「倒れる、って言うのは笑えないね。事実 ラムの前で倒れた事あるし。……それに取り合えず、ラムも色々と驚かされた要員の1つ、って感じかな……」

 

 

桃色髪のメイド、ラムもどうやら このロズワール邸で働くメイドだった様だ。

そして、これも初見では驚くだろう。ラムと瓜二つの顔があったから。

 

ラムの双子の妹、名をレムと言う。

 

ラムとの息の合った行動や言動は、中々に混乱させてくる要員の1つだったりしている。

確かに疲れはある程度は大丈夫となったとはいえ、頭の中が大変なのは変わらないから。

 

この双子を見分けるポイントは、違う色の髪。レムは青い髪。そして2つ目に言葉遣い。ラムは少々乱暴気味なのが目立つが、レムは懇切丁寧。

3つ目は………身体的特徴に、かなり接触する事柄なので、割愛。

 

 

そして、ツカサにとってこれまた色んな意味で助かるが、色んな意味で心労も味わされると言う極めて珍しい事柄が起きていたりもする。

 

 

「きゅきゅっっ!」

「クルルほら、これ食べてみるのよ」

「きゅ~~♪ きゅ~~♪」

「(きゃー、なのよ!)………ふ、ふんっ! 何食べても自由かしら? ベティが許すから、どんどん食べるのよ。そこのニンゲンも、悪い奴じゃない事は解ったかしら。だから、さっさと歓迎されるが良いのよ」

 

 

精霊クルルを膝に抱え、小動物を扱うかの様に並べられた豪勢な食事をスプーンを使ってせっせと甲斐甲斐しく、忙しなく、クルルの口に運ぶ少女…… いや、幼女が1名。

小動物にしっかりと世話をしてくれている幼女の絵面。

名をベアトリス。

 

勿論、只者ではないのは明らかで、色々と察している。

 

ぱっと見ただけでも、この見た目幼い姿なのに、この深夜まで起きている事……もそうだが、何より飲酒をしている方。一切顔色を変えずに飲んでる姿を見ても……。

 

 

 

このロズワール邸に来て怪訝そうな目で見てきていたが、いつの間にやらクルルと仲良くなってしまっていた。

 

 

 

この幼女+小動物の絵面。

微笑ましい光景ではあるが、クルルの事を知っている身からすると、そこまで笑っていられるワケも無い。

クルルのお陰で、歓迎ムードになってくれたこの幼女……ベアトリスだが、先の闘いでクルルの扱い(剛球ストレート)を聴いたら、怒り狂うかもしれない事もある意味悩みの種だったりしている。

 

 

 

「ベティがこんなにも仲良くなれる精霊と出会えたのは、僕にとってもスゴク好ましい事だよ。改めて、感謝の意を……だね、ツカサ」

「いや、ほんとに何もしてないんだけど……、気付いたらクルルの方が懐いた、みたいな感じ? 受け入れてくれたベアトリスさんにこそ感謝だよ。……扱いづらいし」

「クルルを扱いづらいとは、何たる暴言かしら? クルルは今に最高の存在になるのよ。にーちゃとベティの次くらいの」

 

 

本当の意味で沢山の種に囲まれて、ツカサは苦笑い。頬をポリポリと掻くと、上座に座っていたロズワールが パンっ! と両手を合わせて宣言。

 

 

「さぁさぁ、親睦を深めて行こうじゃなーぁいか。我がメイザース家は、君に多大なる恩義ができたわけだーぁからねぇ? も・ち・ろ・ん? まだ眠ったまーぁまのナツキ・スバル君も同様だ。もう大丈夫。必ず助かると約束しよう」

 

 

当然、ほんの数時間前に、スプラッタな光景を披露したスバルはここには居ない。

そして、少々略したが、ツカサがこのロズワール邸に来た理由は、スバルにある。

 

 

「かの剣聖の提案も首を横に振り、我がメイザース家にまで来た きーぃみの目的は、スバル君に用があるから、ここに留まったと聞―ぃているよ? まーぁさか、男色家とはわたぁしも思ってなかったけどね。まーぁ、君とはわぁーかりあいたい気が存分にするよ」

「………ものすっごく迷惑な冤罪発言をイキナリするのは止めてくれるかな? 心の底から否定しておくよ。俺にそっち(・・・)の趣味は無い。……後、ラムもレムさんも、そんな目で見ないで。地味に傷つくから」

 

 

何の脈絡もなく、男色家(ホモ)疑惑をぶっこんできたロズワールに、苦言を呈する。

妙に慌てたり、やや大袈裟な表現をしたりすると、突然生まれたヒドイ冤罪いえ、この豪邸であり、ここらの一帯の領主様でもあるロズワールの言葉の方の信憑性? が完全に勝って誤解が深まりそうな気がする、と言う事を心得ているからだ。

 

 

何処で心得たかは解らない。言うなら魂にでも刻まれていた、と言う方が正しい。

 

 

 

そんな表情をあまり変えない様子だったからこそ、ホモ疑惑は何とか回避できた……と思っておこう。数歩後ろに引いて、まるで汚物を見るかの様なラムやレムの様子は和らいだ、と。 世の中には、同性愛者と言う者はきっと居るだろうから、話を聴いただけで、本人(ではない。仮定の話)の前でそんな視線を向けるのは如何なモノかと。

 

 

「姉様姉様。ああおっしゃられてますが、信用に足る方でしょうか」

「レムレム。ああおっしゃられても、信用するのは難しいと思うわ」

 

 

「レムさんは兎も角。ラムは オレに1つ2つ借りが出来た、とか言ってなかったっけ?」

 

 

 

はぁ、と大きくため息。

 

もう忘却の彼方にされてそうな気もするが、一応。

ラムと最初に出会った時、彼女は迷子(・・)を捜していた。

 

探す為に、オットーやツカサと手を組んだ。

 

結果―――見つけ、合流する事が出来た。ある意味 巨大な風? の様なモノを目印にしてくれたから、ツカサのお陰である、と言ったも良い。……それに、ツカサ自身も迷子の彼女(・・・・・)に、ラムの事を聞いて裏を取っている。

 

 

そう――――迷子とはエミリアの事。

 

 

 

成り行きとはいえ、エミリアを第一に発見したのはツカサ。

ココから、ラムにとっての借り発言に繋がるのである。

 

 

 

 

それを見ていた少女―――エミリアは堪えきれずに笑っていた。

 

 

「ふふ、ふふふっ」

「はぁ……、こんな色々大変なのは、今寝込んでる彼に責任を押し付ける事にしますか。……もっとも、スバルは、血涙でも流しそうな気がするけどね? 今日のこの晩餐会の場に居ない事に」

「け、血涙? 血の涙!? どうして??」

「ん? それは………」

 

 

エミリアの方を見て、そして考える。

あの場のスバルの様子を、出会ったばかりだと言うのに、ほんのちょっとだけ、エミリアが治癒魔法の為に、と接触しただけだと言うのに、ああも敵意……恋敵とでも言うべきだろうか、そんな嫉妬の念を向けられ続けていたのだ。

 

 

こうも、エミリアが笑う場面。

 

 

スバルが見れず、自分が見たともなれば、騒がしくなるのは目に見えている。

 

 

「彼に……スバルが起きた時にでも聞いてみると良いよ。大分騒がしくなると思うけど」

「う~ん……、すごーく解る気がするけど、何だか残念な気分」

 

 

そう言って笑い続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしてもまぁ、ツカサには感謝だけど、僕はクルルにも感謝してるんだ。マナ不足だったから姿を出すのは無理だった筈なのに、見た事も無い術式で僕にマナを供給してくれたんだから。こんなの今まで無かった事で驚いちゃったよ。結構長く生きてきた精霊なのにね~ 僕」

「きゅ? きゅきゅ??」

「そっ、君だよ、君。クルルの事言ってるんだ。ありがとーって」

「きゅ~~っっ♪」

「にゃーーんっ♪」

「はわわわ! にーちゃにクルル、最高なのよ~~♪」

 

 

 

 

普通に会話していた筈の猫のような精霊、パックがクルルと話? をしていて猫鳴き声になった時は、思わず吹き出してしまう。

ベアトリスもパックとクルルに囲まれて、ご満悦な様子だった。

 

 

そんな時、ロズワールと目が合った。

その化粧姿と口調は、中々慣れそうにない、と言うのが最初の印象だったが、今は割と普通だ。

 

 

 

「……聞けば聞く程、きーみはずぅ~いぶん型破りなお人のよぉーだ。マナが枯渇した大精霊様にマナを与えた事もそぉーだが」

「いや、その辺はあのクルルってのが色々とありまして……。それもどう説明したら良いかが解らなくて、混乱の要素になってます」

「ふっふっふ、謙遜はよぉーしたまえよ。それにエミリア様から聞いている。剣聖の全力の前で、魔法を発現させた、と」

「??? それは言ってる意味がいまいち……」

 

 

ロズワールの言葉に首を傾げていると、横で勝手に話しちゃった事がばつが悪いのか、エミリアは少々困り顔になりながらも、理由を説明。

 

 

 

「ほら、ラインハルトが本気を出した時……、ツカサが私達を守ってくれたよね? 見た事ない魔法だったけど……、壁を張ってくれたでしょ?」

「?? ああ。そうだったね。……ラインハルトの一撃が、その余波が絶対にこっちに来る、って言うのは解ったから」

 

 

アストレア家の剣撃を魅せる、と言うラインハルト。

剣を構えると同時に、その剣が光り輝き――――そして、天を割るかの様な一撃を振るった。

 

 

そして予想通り、想像を遥かに超えた余波がこちらへとやって来たから、咄嗟に壁を張っていたおかげで、被害なく済んだのだ。

スバルは、《お前の方が怪物だー!》と称していたが、その通りだと思う。

 

 

「その、それがあり得ない事なの」

「?? それってどういう……?」

「その、ラインハルトが本気で戦うと、周辺のマナは全部ラインハルトに集中しちゃうから、精霊使い()もそっぽ向かれちゃうの。それはマナを使う魔法にも言える事で、彼の本気を前にしたら、魔法は一切使用不能になるから」

 

 

つまり、ラインハルト本気verは、魔法使用不能領域(アンチマジックフィールド)の役割も果たしているとの事。

もし、魔法のみが攻撃や回復手段だったとしたなら、ラインハルトと相対しただけで終わりと言う事だ。

 

 

「性能と言うか特殊効果って言うか……凄いね。反則気味だ」

「そぉーだね。王国最強の名を欲しいままにしているのが、剣聖の称号だーぁよ? ……だからこそ、驚いてるんじゃなーぁいかな? 彼を知る者ならば、皆が知っている現象、騎士の間の常識。それを覆してしまった君の正体ってヤツにも すごーーぉく、興味があるんだぁ」

「ロズワール。リアの口癖真似るのは止めてってば すごーく は、リアだけ」

「おっと失礼」

「そ、そんな事気にしなくて良いのに」

 

 

 

 

 

この後、ツカサは 色々と説明。ラインハルトは信じてくれたが、ココに居る面子が信じて貰えるかどうかはさておき、説明はした。

 

 

オットーと出会い、白鯨と言う魔獣と遭遇し、ルグニカの城下町に来た事までを全て。

 

 

パックが読心が使える事は知っていたが、例え事実とは違っていても、自分が信じて疑わない(・・・・・・・・・・)ような狂人染みな思想をしていたとしたら、読心は意味を成さないだろう。

 

そう取られないと言う保証も無かったから正直 100%の安心は出来なかったりする。

 

 

 

因みに、その説明した事の中で、一番驚かれたのは《ラインハルトに勝った》と言う事だったりする。

 

 

ただの遊び事なのに……。

 


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