Re:ゼロから苦しむ異世界生活 作:リゼロ良し
(-ω-;)ウーン
( ..)φメモメモ
頑張ります(゜.゜)
「ラムちゃんならだいじょーぶ。スバルきゅんの10倍は強い子だから」
「わーってますけど!? 姉様がスゲーのは、超わーーってますけど!? そんな憐れむ様な目でみんな!」
ラムからの言伝のついでに、フェリスはラムの現状をスバルに伝える。
そうはいっても、ラムとフェリスとでは相性が良い―――とは言えない。出歯亀の件、逢引の邪魔の件で、触れれば殺すオーラがラムに宿っていたのは言うまでもない。
だが、当然ラムも公私のけじめはつけるし、弁えているので、ガン無視やら毒舌やらは、流石にフェリスには言わない。
雰囲気だけにとどめてる。
―――それはそれで高威力なのだが。
「―――それで、ホントに屋敷に帰るの?」
「あん? ……そりゃな。ここで静養するって言う選択も無い訳じゃねーが、アーラム村の皆の件もあるし。……何よりも、兄弟の件だ。ロズワールにも一報入れて、取れる手段を全力でする。……こっちでするより、戻って色々と確認したりして、具体的に
「べぇーーつぅーーーにぃーーー? フェリちゃんってば、そんな風に感じてにゃいもん。……まぁ、クルシュ様の命令は絶対にゃし? ………ツカサきゅんの想いもクルシュ様を通じて聞いちゃった訳にゃし。フェリちゃん自身に想う所がにゃいわけじゃにゃい……。そこまで性格悪くにゃいもんネ。スバルきゅんとおんなじで」
ばつが悪そうに、フェリスは空を見上げた。
痛いほど、青い色の空が広がっている。
青とは癒しの称号、国一番の治癒の力を持つ者の称号な筈なのに……、心の傷までは癒す事が出来ない。
クルシュも無事だった。白鯨戦では命を落としてしまったメンバーも居たが、怠惰に関しては討伐隊の殆どが五体満足。
大勝利と言って良い戦果を得て、王選に向けても幸先が良いと言えるが、どうしても心が晴れない。
「なんでそこで俺の名出すんだよ」
「ぷーいっ」
フェリスはプイっ、とそっぽ向いた。
「………悪い未来を見た。その先のお前の姿を見た。泣き崩れ、泣き叫び、精神が崩れる。そんな姿を見た。耐えられなかった」
「―――――」
それは、ツカサから聞いた、と言う事にしている事。
実際はスバル自身もその光景はしっかり見ている。魂に焼き付けている。
あの世界で必ずやり遂げる、未来をつかんで見せる、と共に心に、魂に刻みつけたのはスバルも同じだからだ。
だからこそ、クルシュの風見の加護であっても、【ツカサから聞いた】と言うそれが有る意味虚言であるとは見抜けなかった。
「お前からすりゃ、バカバカしい、荒唐無稽な話だって一蹴すっかもしれねぇ。……でもな、俺みたいな無知蒙昧にして、天涯孤独、弱肉強食なら速攻で食われそうな側の男が、ここまでやれたのは、兄弟のおかげだ。……兄弟がいてくれたから、ここまで来れてる。
「バーカ。嘘だにゃんて、フェリちゃんが思う訳にゃいじゃにゃい。スバルきゅんを、……ツカサきゅんを嘘呼ばわりしちゃうと、クルシュ様の事まで嘘つきって言っちゃう事ににゃるんだし!」
頭がパンクしようが、爆発しようが、しっかり頭に刻み付けておく事にしている。
【強欲】と【怠惰】
魔女教と相手にする為に、魔女教に勝つために、繰り返し続け、その繰り返しの中で、クルシュにもしっかりと告げたらしい。
何故戻ってきたのか、未来で起きた事、クルシュ自身の運命、全てを話した。
一体、どう云う力が働いたのかはわからない。
本来は、共に過去へと戻る為には、セーブポイントに一緒に戻る為には、相応の術が必要となる筈だった。
だが、クルシュはそんな記憶は無いとだけ言っていた。
どうやら、あの時が止まった白の世界には入っていない様だった。
何故、クルシュは記憶を保持する事が出来たのか。本人もわからない、ただただ朧気だが覚えている、記憶に残っているとだけ言っていた。
まるで、単独で時を超えたかの様に。
そして、どうやらその現象はラムにも起きていたらしい。
【強欲】と【暴食】
如何に、【怠惰】は一蹴出来る程の戦力を持っているツカサとはいっても、大罪司教2人を、それも世界に最凶、最強と恐れられ、城塞都市をたった1人で滅ぼし、英雄を屠った【強欲】を相手にする状態で、余裕があったとは思えない。
全てを救う事が出来るからこそ、心情を優先して、効率的、合理的な考えを省く事はあっても、心情を優先して、全てを失うなんて、そんな事はしない筈だ。
ツカサの意思で、共に戻ったのではない。
だとするなら……紛れもない。理由付けなんて無粋な事はしない。
【想いの力】
それに尽きるだろう。
「ブーーーー! スバルきゅん! とっととツカサきゅん探して、ラムちゃんにしっかり謝ってさっさと夫婦になれ~~~って、言っちゃって!!」
「お。おう?? 突然どーした」
「うるさーい。約束したからネ! ………戻ってくるまで、いや、これからもずっと。何がどうなろうと」
フェリスはまっすぐにスバルを見た。
そして、きっとその背後に居るであろう……ツカサに対しても。
「クルシュ様だけは必ずお守りする。紡いでくれた命、決して傷つけたりしない」
「―――――――ああ」
それは、フェリスにしかできない事だ。
傍に居続ける存在にしか、出来ない事だ。
「だから、約束しっかり守ってネ? じゃないと、体中のマナを暴走させて、狂い死にさせちゃうんだからネっ!」
「可愛い顔と声で、トンデモねー事言わないでくれますっ!?? ………(狂い死、か)」
この世の地獄を経験したスバルにとって、狂い死にさせるとは片腹痛い、と思わずツッコミを入れた最後には笑っていた。
死を経験し、入門編とはいえ死にたくても死ねない無間地獄も体験した。これ以上のモノは無い。……かといって、比べる耐えれると、フェリスの自称・狂い死に地獄を体感したい訳ではないが。
「いつまで準備に手間がかかっているのバルス」
「あ、スバル。ご挨拶はちゃんと済ませた? 他の準備は??」
そんな時、丁度エミリアと共にラムが戻ってきた。
ロズワールの指示ではないが、ツカサの付き人を全うできない以上、次点の仕事はエミリアの付き人だ。だから、彼女の傍に仕えている。間違ってもスバルの方じゃない。
兎に角、準備出来た、とグッと親指を立てて片目をぱちんっ、とスバルは閉じて答えた。
「その様子だと問題なさそうね。屋敷まで出発は出来る?」
「モーマンタイ。俺とパトラッシュで曲芸運転したって平気。なんなら、ウィリーしちゃうよ」
「よくわからないけど、すごーく嫌な予感するからうぃりーは禁止ね」
よくわからないいつも通りに徹するスバル。
エミリアも相当落ち込んでいたが、どうにか前を見なければと奮起をしているので、その気遣いをスバルはしているのだろう。
だからこそ、いつも通り、いつも通りにお道化て見せている。
そんな心情を当然ながらラムも察している。察しているからこそ、【ハッ】と小さく鼻を鳴らした。言葉にすらしない侮蔑の意思。全て見通した上で、その上で嘲笑ってくるラムの強さには、ただただ舌を巻くし、感心するし、脱帽するし、敬服で、目を見張る想いだ。
エミリア、ラム、スバルの3人が集まり、軈てもう1人。
「エミリア様。村人全員滞りなく―――」
ぺこり、とお辞儀をするのは長身のメイド姿。スバルよりも遥かに上背があり、グラマラスな身体、チャームポイントはそのギザギザの歯。フレデリカである。
「ハッ。バルスよりも遅いなんて、同じロズワール様のメイドとして情けない限りだわ」
「まぁ、嫌ですわ。全て時間通り、滞りなくです。それに私はこれでもラムの事を想ってお仕事に努めただけですのに、やはり貴女は可愛げのない子ですわね」
「何度も言ったわ。可愛げなんていらない。ラムは十分以上に可愛いもの。これ以上を求めるなんて、神罰が下るわ」
そう仄かに笑って見せるラム。
フレデリカも同様だ。
このフレデリカとラムのやり取りは、何度も何度も見ているが、やはり心がほっとする……、そんな感じがするのはスバルだけじゃなく、エミリアもそうだろう。
今でこそ普通に接しているが、ツカサが居なくなった当初のラムの事を思えば……、やはり胸が締め付けられる。
ほっとしていても尚、やはり失ったものがあまりにも大きすぎるが故に、落ち着かない。
まだ、バカみたいな話であったとしても、続けていた方が大分楽になる。
エミリアと言う主を差し置いて、そのメイドたちが勝手に盛り上がるとは何事かー! 失礼だーー、と普段ならば思うかもしれない状態だが、誰一人咎める者はいない。
フェリスも、クルシュもヴィルヘルムも、皆笑っている。
「ほいほーい。それ以上は帰ってから楽しんだ方が良いと思うのよねん。だって、名残惜しいケド、そろそろ出発のお時間だから」
ぽんぽん、と手を叩くのはフェリス。
いつまでも、気が休まるのなら、いつまでもしていて良い……とクルシュもフェリスも実の所思っているのだが、生憎仕事と言うモノがある。
その辺りは皆解っているので、皆がフェリス―――ひいてはクルシュに注目した。
一歩前に出たクルシュは姿勢を今一度正すと。
「まず、繰り返しになるが、此度の白鯨・魔女教討伐。私は……我々は決して忘れない。この恩義は、永遠に忘れる事は無いだろう。何れ来る雌雄を決する機会が訪れても尚、私は忘れまいとここに誓う」
「――――いえ、私は、私は、クルシュ様にお礼を言われるような事はなんにも。私、この数日はほとんど蚊帳の外だったので……」
「俺の活躍はエミリアたんの活躍、俺の兄弟の活躍は俺とエミリアたん――――いだっっ!!」
エミリアのモノ、と言うのならまだ良かったが、ツカサの功績まで自分のモノにしようとしたので、容赦のない踏み抜きがスバルの足を直撃した。
「じょーだん、じょーだんだっての。兎に角、俺も、兄弟もエミリアたんの活躍、その手柄はエミリアたんのものだ。受け取ってくれ」
「スバルきゅんの場合、やらかしもエミリア様のものになっちゃうけどネ」
「よけーーな事言うなっっ!!」、
恐縮するエミリアをスバルがフォローするのだが、なんだかんだと周りから駄目だしされてて、格好がつかない。
これもまた、雰囲気を少しでも良くする為には良い事なのかもしれない……と無理矢理思う事にする。空元気でも良い。
失ったものを取り戻した後に、思いっきり愚痴って、思いっきり罵倒して、思いっきり毒吐いて、……後は、思いっきり抱き着けば良い。無論ラムが。
「大丈夫です。これから私もしっかりと話し合いはしていきたい、って思ってるから。私も―――色々、出来る事を探していきたいと思ってます」
「――――――」
クルシュはまっすぐにエミリアを見据えた。
呪われた人生とも言って良いハーフエルフが背負った業の深さ、他人がそれを本当の意味で知る事は出来ないだろうが、それでも、真摯な瞳で見据えるエミリアは、それを受け止め、前へと進む覚悟は出来ている様だ。
失ったものばかり数えず、いや最後まであきらめずに全て胸に抱いて、前へと進みだす。
「……必ず、また会おう。エミリア、ナツキスバル」
「はい。……私は同盟を組んでいても、クルシュ様と対立する候補です。負けない様に、頑張ります」
「ああ、そうだな。受けて立つ―――と言える程、私は胸を張れる成果を残したとは言い難い。私は英雄に助けられたのだから。助けられた命、拾った命だ。……王国の英雄が私を救った。……それに恥じない生き方をする。ただ、それだけだ」
クルシュはそう言って表情を少しだけ和らげた。
そして、ラムとフレデリカの方を見る。
「ラムとフレデリカも息災でな」
「「―――クルシュ・カルステン様。我が主、ロズワール・L・メイザース様に代わり、御礼を申し上げます」」
息の合った、とはこの事なのだろう。
体格こそは違うが、ラムとレムがいつもシンクロをしている時と大差ない。礼儀作法も完璧だった。
「ラム」
「――――はい」
クルシュは、2人からの礼をしっかり受け取った後、再びラムを見る。
「その
「…………これは、ラムの生きる目的の1つですから」
「ああ。解る」
クルシュは少しだけ目を伏せる。
ラムの持つ
「以前、私とラムは同じと言ったが、どうやら
「いいえ。私はそうは想いませんが」
ラムはそう言うと、再び礼儀作法に乗っ取って、エイド服の先を摘まみ、頭を下げる。
「――――必ず、
「ああ。―――私も存分に、腕を振るう事にしよう」