Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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た~~いへ~~ん、たいへんたいへんヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪

つーかーれいたー(/・ω・)/

ギャアアアΣ(゚∀゚ノ)ノギャー


何とか投稿デス……orz


ソレの名はゼロ

これまで、どうやって暮らしていたのか、どうやって息をしていたのか、どうやって自分が生きてきたのか、――――全てが解らなくなる。

 

記憶が、思い出が、魂が、目に見えない刃でゆっくりと削られ、軈て消失していくのが解る。

 

幸か不幸か、魂の全てが消失したら、恐らくは生ける屍も同然になってしまうのだろう事は、今の状態でも理解できた。

 

その時までの辛抱だと、自虐的に笑む事も出来よう。

これ程の痛みを未来永劫抱えて生き続ける苦悩がこの先も続くくらいなら、その方がマシだから。

 

 

心が死に、生ける屍となり……、そこから先が全く視えない。

故に待ち遠しく思いつつも、そこに待つ深淵の先が怖くてたまらない。

 

 

《彼》は、光だった。

だから闇の中に居る訳がない。これから向かう先に、彼がいるとは到底思えない。

後を追ったとしても、きっと彼はそこにはいない。

 

 

「――――――――――」

 

 

地獄の苦しみ。

これを解った上で、彼は自分に味合わせたかったのか? 交わりはしなかったが、身体を重ね、心を重ね、唇を交わした間柄。情の中でも最上の愛を互いに感じられた間柄。

そんな相手に、ここまでの苦悩を求めようと言うのか?

 

 

いや、違う。解っている。解っているんだ。

心が、魂が削られたせいか、自身が二分してしまった様に思える。

時を戻す事が出来る彼が、あの最後の姿の彼が、一体何を想ってそう行動したのか。

 

 

 

【■■が、オレの生きた証】

 

 

 

幾度も幾度も世界をやり直し、やり直し、繰り返し、繰り返し……軈て袋小路に追い込まれた。道がどこにも通じていない、繋がってない所にまで追い込まれた。

(ゼロ)になる事を恐れた彼が、時の旅の中で、残してしまった者達の苦悩を、苦しみを視てきた彼が、それを選ばざるを得なかった理由。

解る、解るんだ。

 

 

「―――――――――」

 

 

自分の身を切る方が良い。

愛する者を失う悲しさに比べたら、愛しい人を失う苦しみに比べたら自分の身体を、命を、幾らでも差し出せる。

 

偽物じゃない、全てが本物の世界。やり直しを続けた世界は全て本物。何度も、何度も、何度も、彼は自身の死を視た。

 

たった1度でも、ここまで苦しいのにも関わらず、彼は何度も繰り返しながら、死を視てきた。それが、あの姿に なって現れた。生気を感じられない、一切の温もりを感じられず、黒い髪は白に染まり、目の中は淀み、袋小路に追い込まれた身体は、もう既に枯渇していた筈だ。

 

 

「―――――――――」

 

 

そんな時……、不意にその手を見た。

その手の中におさめられているのは、一本の羽根。

それは、彼が大地と共に天へと昇り、この世界から消失した後の事。

その名を呼び続け、呼び続け、声が枯れても、血反吐を吐いても、周りが止めても、一切構わずに、泣いて、泣いて、泣いて、泣き叫んだ後、空から落ちてきてその手の中に納まった。

 

まるで、形見であると。最後の生きた証であると言わんばかりに自分の元に戻ってきた羽根。

緑色の羽根は、彼が精霊と一体化した時に纏っていた。

それを手に取り、また泣いた。泣いて泣いて泣いて泣いて……気が付けば今のこの場所に来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――そして、また……世界が流転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生の実感がないからこそ、この場所に誘われたのだろうと本能的に解る。

 

何故なら、つい先ほどまでの身を焦がし続けてきた悪夢が、まるで夢の様に淡く、儚く、消失していったから。痛みも悲しみも、全て塗りつぶされた様な感覚。

 

 

 

「……………なら、迎えに、来てくれるもの、でしょう?」

 

 

 

言葉を話す事が出来る。

どうやって声を出していたのかさえ思いだせそうになかった筈なのに。

 

 

「ようやく、死に誘われる様になった。……随分と、長く感じたわ」

 

 

ここは死する世界。

あの白の世界と何処となく似ている感じがするが、死を連想させる方が遥かに強い。

 

先ほどの通り、全ての苦しみが、痛みが、塗りつぶされて、無になってる様な感覚がするから。

それも全て、彼の苦しみの上で成り立っていたと言う事も知らないで。

 

或いは、不死身で無敵で、英雄な彼ならば大丈夫だと勝手に思い込んだその報いだったのだろうか……。

 

 

 

 

『――――漸くだ。漸く決まった。ここから始まる。始める』

「……………。どうせ迎えが来るのなら、ツカサ(・・・)が良かった。一目だけでも、会いたかったわ」

『そうか。それは残念だった。―――我は………ゼロだ』

「そう。………皮肉なものね。今になって、ゼロが本当に迫ってきたなんて」

 

 

 

 

そんな時に不意に後ろに気配を感じた。

不意じゃない。最初からずっといた様なそんな感覚。驚く事もしない。

 

ただその後ろの存在が彼―――――ツカサじゃない事だけは解った。

そしてその名乗りを聞いて、ラムは嘗ての事を思い返す。

 

ゼロになる事を恐れ、ゼロが迫る事を恐れ続けた。

ゼロに抗う様に、共に抗う様にと決めた。

 

そして、ゼロと出会った。

確かに、なんという皮肉だろう。互いに誓い合った心の半身が失われた後に、ゼロがやってくるなんて。

 

振り向く事もせず、ただ淡々と言う。

 

 

「さぁ、ラムを連れて行きなさい。何処に行くのかは、知らないけれど。……もう、何処でも良いわ」

 

 

死へと通じる最後の門、その門番、死神、色々と連想させるが、早く自分を―――ラムと言う存在を消してくれるのであれば、なんでも良かった。

願わくば、最後に一目会いたいが、それが叶うとは思えない。

 

だが、そんな僅かな願いでさえも叶う事は無かった。

 

 

 

 

『連れて行く? 何を言っているんだ。――――連れて行く訳なかろう』

「………は?」

 

 

 

 

愛しい人に会うどころか、連れて行く事もしない。永遠に苦しめと言うのだろうか。

 

正直、怒りを覚えた。

 

でも、随分久しぶりに感じる感情だ。

 

 

 

『何度も何度も繰り返して繰り返して、あの男の背に乗ってきたのがお前達だ。……もう、そろそろ、自分の足で進む時ではないのか?』

「………否定はしないわ。ただ、生きる意味を失った以上、進む未来()はない」

 

 

 

何度も何度もツカサには助けられた。

身体も心も、全てを助けてくれた。

愛しさで身を包んでくれた。

そんな彼がいない未来に歩を進めるつもりはない。

連れて行かないのであれば、ただただ立ち止まるだけだ。

 

 

 

 

 

そんな時だ。

一筋の光明が――――視えたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふむ。……その先に、もしかしたら―――――待っているかもしれない(・・・・・・・・・・・)、としてもか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界に色が戻る。

場面は再び元の場所へ。

 

 

 

「ラムの前に現れたソレ(・・)は、ゼロ(・・)と名乗ってました」

 

 

 

エミリアとスバル、フレデリカ、そして背後のオットーもラムの説明に耳を傾け続けた。

客観的に、にわかには信じがたい事実ではあるが、ラムを知る者からすれば それが虚言の類であるとはどうしても思えない。

 

 

 

「……進む先で見つけてみろ、とゼロは言ってました。後戯れ(ゲーム)だとも言ってました」

 

 

全て終えた後、ラムはいつものラムに戻っていたのだ。

フェリスに案内されて、エミリアやスバルと合流した時には既に戻っていた。失い、憔悴し、自我の崩壊の危険性などフェリスに言われていて、まだツカサの事でさえ認める訳にはいかずに足掻いていたと言うのに、ラムまで……と悲痛に満ちていた一行の肩透かし感は言うまでもない。

 

ラムはレムがいない状態でもしっかりと身嗜みを整え、着替えも済ませ、部屋に入ってきたスバルには毒を吐き――――いつも通りだった。

 

ただ1つだけいつもと違う事もある。

そのいつも身に着けている髪留め(カチューシャ)には緑に輝く羽根が備え付けられていた事だけ。

 

 

 

ラムの復活もそうだが、英雄喪失と言う耐え難い苦痛に光明が見えた事は、カルステン家においても福音。圧倒的な福音だった。まるで闇に沈んでいた地に、光が差した様。

 

ツカサは大丈夫だ、と最初から解っていたスバルもラムから話を改めて聞いて安心する。それと同時に、ラムの言うゼロについては不信感しか覚えなかった。

 

 

「って、随分趣味が悪ぃゲームだな、オイ!! それってひょっとして……つーか、ひょっとしなくても、兄弟がいっつも毛嫌いしてた【ナニカ】ってヤツがゼロって名乗ってるだけじゃねーか。高確率で」

「え? え? 何か、って何? 人の名前、なの?」

「ゴメン。エミリアたんは、あの兄弟にも嫌いなヤツ(・・・・・)がいたって事聞いてなかったんだね。パックは知ってたか?」

 

 

スバルの問いに対して答える為、エミリアの中に居たパックがひょい、と身体を出した。

その長い尻尾を身体に巻きつけつつ、考えを巡らせる……が。

 

 

「ボク自身が聞いた訳じゃないし、そんな話題も無かったから、わかんないかなぁ。ツカサだけじゃなくて、クルルもそんな事言ってなかったしね? ただ………、何となくわかる事はあるよ」

「なぁに? パック。解る事って」

「ツカサの異常体質。それに未知の大精霊(クルル)の存在。どれもこれもあまりにも異質過ぎてたからこそ、目を逸らしちゃってた部分があるんだけど……、ひょっとしたら、クルルかツカサの中、オドの奥の奥に、外からじゃ検知出来ない部分に、彼らじゃない何か(・・)が居た、って事になるんじゃない? 名も解らないそれ。だから ツカサは【ナニカ】って呼んでた。って感じ? 殆ど推察だけどね」

 

 

ふむふむ、とパックは頭の中で自身の考えを並べつつ―――続けた。

 

 

「得たいの知れないナニカ。ツカサ程の男が意味なく嫌うなんてありえないと思うよ。……これまでも大精霊であるボクの枯渇したマナを快復させたり、バラバラ、グチャグチャ、不自然を通り越してたツカサのマナを紐解く様に治していったり、マナ切れを一切起こしてる様子も無かったクルルの存在。……ひょっとしたら、これってクルルの力じゃなくて、そのナニカが絡んでたのかもね。クルル自身が嘘ついてる様には感じられなかったけど」

 

 

パックの説明を一通り聞いた後にスバルは拳を鳴らせた。

 

 

「その辺の解答を聞く為にも、ラムが言った様に兄弟を探して答え合わせする必要がある、って事だな。ぶっちゃけ、味方なのか敵なのか、そんなわかりやすいカテゴリーに入ってない奇妙な存在っちゃ存在なんだが……今は前に進むっきゃねーよな」

 

 

 

実際な所、スバルはある程度の本質は知っているつもりだ。

相手は典型的な愉快犯だ。

色々と楽しんでる節があるのは、スバルだって解ってるつもりだ。途方もない巨大な力を持つナニカ。本人は自身の事を全知全能の神? と冗談交じりに言っていたが、実際の所単なる冗談とは思いにくい。

 

 

「よくあるラノベの神様的なポジションのヤツが、介入してきたってやる事成す事1つ!」

「……ゴメン、ちょっと何言ってるか分かんないかな」

 

 

よく解らない単語に、エミリアは首を傾ける。

解らなくて良い、とスバルは想ってる。あまり触れて良い存在じゃなさそうなのはこの場ではラムの次に解っているのがスバルだから。

 

 

「兎に角、オレ達がすべき事はロズワールとの合流。色んな意味でも手を借りてぇし、何なら兄弟の情報を持ってる可能性だって十分だ」

 

 

スバルの知る限り、この世界(・・・・)においては、表裏に最も通じてそうなのがロズワール・L・メイザースだ。

ツカサやナニカ基、ゼロについては枠外感が否めないが、それでも様々大小枝分かれしてる道の先に、交わる先に、あの道化姿がどうにも浮かんでしまう。

 

そもそも、あの道化師は何のつもりで今回の魔女教襲撃に関与しなかったのかも気になる所だ。もしも対策を練って対応策を講じておけば……こんな事態にそもそもならなかったかもしれないのだから。

 

 

「てな訳でだ姉様。バッチリアイツ見つけて、しっかり慰謝料払ってもらう事にしようぜ。心配かけたお詫びに、ってな」

「ハッ。ならバルスには今直ぐにでもラムに謝罪と慰謝料を払ってもらいものだわ」

「ええ!? って待て、一体なんの慰謝料だよ!」

「突然ラムの話を遮って勝手に話を続けて勝手に盛り上げて、挙句の果てにこのラムを不快にさせた。当然の罪よ」

「かーーー、姉様ならそういうだろうさ! んでも、今回のに関しちゃ、人一倍頑張らせてもらうつもりだって意味でしゃしゃり出ちゃったよ。その変の意気込みだけは買ってもらいたいもんですがね~」

「人一倍って。バルスには掛け算がわからないのかしら? 一倍にしても意味なんてないわ」

「確かにそうだけども! 俺の故郷じゃ、人より頑張ることをそう表現するんだよ! この時の一倍は二倍、三倍って意味なの。オレ、めっちゃ頑張るって事なの」

「―――バルスが頑張る? 不安しか残らないわ。一倍が二倍、三倍って、余計な手間がラムたちに降りかかりそうよ。そもそもバルスの頭は大丈夫?」

「わかったよ! 言い直すよ! 雑用だろうが情報収集だろうが、みんなの二倍も三倍も頑張らせてもらう! これで良いだろ?」

「ええ。少しは認めてあげなくもないわ。でも、バルスがラムたちの二倍も三倍もだなんて現実的じゃないわね。寧ろ一倍だって怪しいものだわ」

「ごめんラムちー姉様! 掛け算の件、そこだけは完璧に忘れてくれ! すっげー客観的に自分みて辛くなってきた」

 

 

ラムとスバルの小競り合い? を見てこれまで口を挟まず聞き手に回っていたフレデリカは口元に手を当ててクスクスと笑う。

 

ツカサについては、間違いなく自分以外の皆の事の方が詳しいし、信じるに足るだけのモノを持っているとも思ってる。

伝え聞いてきたた話を纏めたら……、正直驚きを通り越す程の活躍を見せてる殿方がツカサ。まさしく次世代の英雄の名に相応しいとも思うが、それ以上にフレデリカが思うのはやはりラムの事。

 

確かに可愛くない後輩ではあるが、長い付き合いだ。幸せになって貰いたいし、幸せな顔を見て居たい。

だからこそ、ラムが復活した事は我が事の様に嬉しいし、これからも少しでも力になりたいと思っている。

 

 

「見つける……」

 

 

だからこそ、ラムが幸せになるには、その隣には絶対に彼が必要である、とフレデリカも当然思っている。

だが、現時点ではあまりにも情報が少なすぎる。世界中の全てを探せ、と言う事なのだろうか? それこそ雲をつかむような話だ。

カルステン家と同盟を結び、夫々の出来る限りの手を尽くしたとしても、到底足りない。

 

 

「進む先、と言うのは……」

 

 

少ない中で、気になる情報の1つがラムが言う【進む先】

下手に闇雲に探すよりは良いと思えるが、その先とはいったいどこを差すと言うのか。

 

 

「……兎にも角にも、まずはメイザース領へ、ですわね」

 

 

今まさに進んでいる先にあるのがメイザース領だ。

そこにまさか―――と安直には考えられないが、可能性0とも言い切れない。

 

 

 

「……ラムではありませんが、責任を早々に取らなければならないと思いますわよ? ツカサ様」

 

 

 

 

淡い期待を胸に、一行はメイザース領へと向かうのだった。

 

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