Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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明けまして、おめでとうございます
( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆

今年もよろしくお願いしますm(_ _)m


張り切って雪像作り

 

 

 

現在、村人の全員がロズワール邸へと集合している。

 

無論、招集をかけたのはスバルだが、領主であるロズワールにしっかり承認を得ている。

盛大に執り行うと。

 

 

ただ、村人たちにはこの極寒の地となってらるロズワール邸周辺は辛いのではないか? と危惧をしていたが、それも問題なしで杞憂だ。

全員が事前に催し物について事前にある程度聞いているので(意味はいまいちだが)、しっかり防寒対策はしているから。

更に付け加えて、パック・ベアトリス・クルルの三者が寒波を封じ込めてる結界を少しだけ外側に広げた程度なので、広がった分寒さは抑えられている。

 

それにもしも、危なかったら直ぐに適温である屋敷の結界の外へと退避~と言う注意事項も備えているので、安全対策はバッチリだ。

 

 

そんな安全対策など無意味!

と、思える光景も広がっている。

 

 

 

 

 

 

子供は風の子—————。

 

 

 

 

 

 

開催直前、子供たちが我さきにとやってきて燥いでる姿を見て、スバルがぼそりと呟いたが……、言わんとする意味はツカサにもわかった。

寒さなんてなんのその。風の子なら暑かろうが寒かろうが関係なし。

村で遊ぶのと何ら変わらない、寧ろパワーアップしてる子供たちを見たらよく解る、と言うモノだ。

 

 

そして、予定通りの時刻になるとスバルは手をツカサの方へと差し出し。

 

 

「んじゃ、兄弟。頼むぜ」

「良いよ。取り合えず、スバルの要望通りに出来てる~……と思うかな? でも大丈夫? 頭濡れるし、何より寒いでしょ?」

「こっからホットになるんだぜ! 全く問題ねぇよ!」

 

 

バサッ‼ と羽織ってるマント(の様に見えるジャージの上)を傍目かせて、ツカサにつくてもらったスバルデザインの王冠? それとトーチも雪像で拵えている。全て装備完了でいざ出陣。

 

 

スバルは村人の皆の前に躍り出ると、これまた用意したちょっとした高台の上に立ち、大きく息を吸い込む――――。

皆もスバルが来たのを察し、雑談をしていたのを止めて注目。

あの賑やかな子供たちでさえ空気を読んでスバルに集中した。

 

それを確認した後、スバルは大きく口を上げて宣言する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「降り積もる雪が屋敷と心を覆っていきました! 一面、白・白・白の景色! だが、明けない夜は無い様に止まない雪も無いのです! 寒空なんてサヨナラよ! ロズワール邸季節外れの雪祭り!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高らかにそう宣言すると、今度はいつものスバルポーズ(足を横に大きく踏み出し左手を上げて指を掲げるポーズ)

 

 

 

「みんなぁぁぁ!! ニューヨークへ行きたいかぁぁぁ!!?」

「「「――――――……??」」」

 

 

群衆の皆さん、一緒に盛り上がりたい気分ではあるが、如何せんスバルの言う【にゅーよーく】の意味がよく解らない。

それでも、ノってくれるのが子供たち。

別に気にせず、ただただ本能が赴くままに子供一同、両手を大きく上げて―――。

 

 

「「「「おーーーー!!」」」」

 

 

と返した。

それを見たスバルが再び。

 

 

 

「どんな事をしてでも、ニューヨークへ行きたいかぁぁぁ!??」

 

 

 

 

次は、もう皆が一緒に続く。

子供たちが先陣を切ってくれたのに、進まない訳にはいかず、大人たちも意味はそっちのけで、大きく腹の底から、寒さを吹き飛ばす様に。

 

 

 

【おおおおおおお!!】

 

 

 

 

と、勇ましく返事。

場の盛り上がりは増しに増し、まさに熱気渦巻く。

 

 

「にゅーよーく、ってなに?」

「スバルの故郷にあった町なんだって!」

「あいとよくぼーがうずまく町なんだって!」

「うずまき~~~~!!」

 

 

子供たち限定で、(と言うか、最初に根掘り葉掘りスバルから聞いた)ニューヨークの名の意味は教えて貰ってる子供たち。

でも、幾らなんでも……と、大きくため息を吐くのはツカサだ。

 

 

「子供になんて単語教えるんだよ、スバル……。愛と欲望って。オイ」

 

 

ビシッ! と思わずツッコミを入れる~~~が、スバルには当然聞こえない。

何故なら、結構離れているから。

 

 

「ツカサも気になるかしら? バルスのような欲に忠実な男が愛と欲望が渦巻く、と言う程の魔窟よ。つまりツカサの男の性が疼くというもの、と言えるわね。………ハッ」

「自分で言っといて、鼻で笑うのヤメテよラム。そもそも、気になるも何もスバルの話は、半分以下でしか聞いてないから、そこまでキョーミ持てなかったよ」

 

 

両手を広げて、首をぶんぶん、と振ってるツカサに対し――――。

 

 

「ほらほらほらぁぁ、兄弟もノリにのって!! ニューヨークへ行きたいかぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

地獄耳か? いやいや、さっきのツッコミ声は完全に聞こえてなかった筈なのに、何故今のが聞こえているのか。

 

兎にも角にも、皆の視線が一気に集まってる。

そんな場面で、スバルの話は半分以下~とテンションを下げる様な空気読めない解答をする訳にはいかず。

 

 

「お、おおおお!!」

「きゅきゅ~~~!!」

 

 

取り合えず、肩に乗ってるクルルに手を伸ばし、むんずっ!! とひっつかむと、スバルに倣って右手を掲げて大きく声を出した。

 

クルルも結構雑に扱われたのだが、気分よく、鳴き声と共に右手を挙げて、更には自分の額の紅玉を光らせてサンシャイン! な演出まで追加。

アドリブで無理矢理な筈なのに、ここまで盛り上げるさまは、まさにエンターテイナー。

 

 

【うおおおおお!!!】

 

 

その光景が妙に神秘的だったらしく、場の盛り上がりが更に増した。

 

 

「さぁさぁ、我が自慢の兄弟も今日と言う日を寝ずに楽しみに待ち続けて疲れて、最後は女中の胸の中! 夜はハッスル×100 男の性! うらやまけしからん! と思う事なかれ! その鬱憤を今日と言う日に全てぶつけよう!!」

「(だーかーーーら!! 子供の前で何言ってんだ! つーか、冤罪どころか捏造だ!!)」

 

 

と、言いたいが取り合えず何も気にせず盛り上がってるようなので、どうにか堪える。

 

 

「なるほど。色々と溜まっている、という事ね」

「なんでこういう時だけ、スバルに乗っちゃうのかなぁ、ラムさんは!」

 

 

にやり、と妖艶に微笑むラム。

寒さで? 頬が朱色になってるラム。

何処となく捕食者な雰囲気を醸し出すラム。

異性として考えても、非常に魅力的な筈、普段から自画自賛している様に、十分過ぎる程美少女の分類に入る筈なのに……。

 

 

 

―————やっぱしちょっぴり怖い。

 

 

 

それは兎も角として。

 

 

「さぁ、今からルール説明! っつっても、いたってシンプル! あ、簡単、って意味な? 皆で雪像を作って、独創性と創造力を競い合う! 優勝者には豪華景品も用意してるからなぁ!」

「えー、にゅーよーく行けるの!?」

「あ~~、期待させちゃって悪いがそれはちょっと遠すぎる! 無理だ! けど、ニューヨークに勝るとも劣らない、素晴らしい優勝賞品を用意したからな! さぁさぁ、優勝目指して、頑張ってくれぃ!」

 

【おおおおおおお!!!】

 

 

流石に異世界からやってきたスバルの故郷にご招待するのは無理がある。

どうやってやってきたのかもわからない現状だから。

それはそれとして、第1回チキチキ ロズワール邸雪まつり! の始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、この異常気象を逆手にとって、お祭りにしちゃうなんて……やっぱし、スバルの発想力と言うか想像力と言うか、いろいろ規格外と言うか……その、うん。すごい! ただただすごい、って単語しか浮かばないや」

「どーかんどーかん。僕としてもまさかの一言だよ。発魔期の僕の力で村の皆と遊ぶ~、なんて発想。スバルくらいしか持ちえないと思うよ? ツカサも出来なかったみたいだしね」

「いや、オレ基準にしたり、比べられたりしても困りますって。そっち方面でスバルと競ってませんし、敵う気もしません」

 

人には得手不得手と言うモノが存在する。

スバルの突拍子も無く奇抜で、それでいて合理性もあって、そんなアイディアを湯水の様に連想させるのは最早一種の才能だ。

到底真似出来る物じゃないし、出来るとも思っていない。

 

 

「当然ね。ツカサがバルスの真似をするなんて、このラムが許さないわ」

「言うと思った。しないし、出来ないから安心してってば。それより、ラムはどんな雪像作るの?」

「………もう決めてるわ」

 

 

ラムは少しだけ考えるそぶりを見せると、何だか晴れ晴れとした様子、何かを決心した様子で前を見据えていた。

そして、それだけ答えると歩み始める。

一体、どこへ到着するのかはわからないが……。

 

 

「何だか嫌な予感がする――――」

「……変なトコで読心術使わないでください」

 

 

いつの間にか、頭上へとやってきていたパックが、ツカサの心情を呟く。

明らかに楽しんでるこの猫精霊に苦言を呈しながら、ツカサも予定通りスバルの方へ向かうのだった。

 

 

「どーせ隠せないならお祭り騒ぎにしちまえば良い作戦! バッチリだよね、エミリアたん!」

「ふふっ。私もシャカリキ頑張ってすごいの作るからね!」

「しゃかりきって、今日日聞かねーなぁ……」

 

 

エミリアとスバルが楽しそうにしている所悪いんだけど……、一応景品的な仕事もツカサは任されていたので、その再確認の為スバルとエミリアの下へ。

 

 

「仲良しさんな所ごめんね、取り合えず、クルルに頑張って貰って景品用のちょっとした玉作成できたよスバル。何の特殊な効果も無いけど、これで良い?」

「良すぎるな!! それ!!」

「わぁぁ、すごーく綺麗……。クルルの額の石と一緒だね? 大変だったんじゃないの?」

 

 

ひょい、っとスバルに投げ渡した石は、エミリアが言う様にクルルの額で光ってるルビーの宝石……のソレに近い輝きを発している。

でも、それは太陽光などが反射して光ってる様に見えるだけで、別にクルルの様に魔法を発動させたりしている訳ではない。

分類上はただの石、と言う事になるんだが……。

 

 

「宝石商も真っ青だよ、兄弟! コレ、店出したら一生安泰どころか、超大金持ちになんじゃねっ!?」

 

 

高価なモノ、超高級宝石を手渡されてスバルは思わず声が裏返る。傷でもつけたら大変だ。

幾ら見た目中身共に高校生で、セレブな生活している訳じゃなかったスバルでも、宝石の希少価値くらいは想像は出来るのだ。

 

これをエミリアにプレゼントした日には―――――、と妄想がはかどる。

 

 

 

「絶対ヤダ。無から有を作るのって相当しんどいみたいで、気軽な気持ちでやってみたんだけど…………」

 

 

 

ツカサはひょい、とクルルをつまみ上げて続ける。

 

 

「メチャクチャ疲れました」

「きゅきゅきゅ~~~」

「お、おう。ごくろうさまでした? なんかスマン……」

「や。折角のお祭りだし、なんとか頑張ってみたよ。スバルだって豪華景品用意したんでしょ? 毎日毎日何度も何度も~って感じなお祭りって訳じゃないし、頑張れるよ。でも、商売は絶対ヤダ」

 

 

そう言って笑うツカサを見て、スバルは引き攣った笑みを浮かべた。

確かに、豪華景品を謡った。それも盛大に。でも、どう考えてもツカサの宝玉(それ)に比べたら霞む。霞むどころじゃなく、掻き消える。

この世界じゃ多分絶対に手に入らないモノではあるが、それでも――――――――。

 

 

「あ、なるほど! つまり、ツカサはラムにプレゼントする為にも、あまり増やしたくない、って事でしょ? それ、すごーく良いって思うの」

「え?」

「!」

 

 

エミリアの言葉に首を傾けるツカサ。

スバルはスバルで、身体に電流が走った様に痺れあがる。

 

確かに、異性に宝石プレゼント~なんて、男の甲斐性。男の格が上がりそうなイベント逃したくない。高飛車なお嬢様キャラでもない限り、宝石渡されて嫌な顔しないだろう。

 

そして何より、エミリアになら絶対に似合う筈だ。

 

ぜひとも、今後に起るであろうイベントを成功させるためにも、何より直近でデートイベントもある。明らかに乗り気じゃなかったエミリアの様子は、パックの発魔期のせいだと分かった今! 全てが終わった後のデートイベントにて、トゥルーエンド、ハッピーエンドを迎えるためにも………。

 

 

「兄弟。ここはひとつ商談を――――」

「だからヤダってば。色々な事が控えてるのに、あまり力使い過ぎたくない。……スバルにも解ってもらえると思うんだけど?」

「はい……。重々承知しておりまする……」

 

 

スバルの願いも脱無しく、ツカサに一蹴されてしまった。

それにバトルパートに関しては完全なお荷物である、と自覚してツカサに物凄く世話になっているのも自覚してるので、直ぐに頷いた。情けない感MAXな気分だけど、間違いなくエミリア陣営最強格の男を自分の甲斐性の無さで消耗させる訳にはいかないだろう。………普通に。

 

 

「………でも、そっか。ラムにっていうのは」

 

 

項垂れてるスバルをしり目にツカサはボソリと呟いた。

何かをプレゼントする、なんて事は今までやってないし、考えた事も無かった。

スバルの雪まつりの景品~と言う名目で軽い気持ちで考えてやってみて、大変な目に合ったけれど……、急拵えだったからと言う理由もあるし、それなりに時間をかければ行けるのではないだろうか? と考えたのだ。

 

そして、勿論プレゼントを上げる対象を考えてみれば――――。

 

 

 

「ふふふっ。すごーく仲良しだもんね」

 

 

 

エミリアの言う通り。

顔が赤くなり、熱くなるのを実感しつつ……自分の中に確かにある()の部分もしっかり見据えつつ………、ツカサは頬を指先で搔きながら小さくうなずいてみせるのだった。

 

 

「お? そーいやぁ……」

 

 

取り合えず、エミリアプレゼントは自力で、そもそも今回のデート? では別に考えていた事もあるし、今更感あるが、あまり頼るのも情けないので、と気を取り直し皆の様子を見て回ろう――――と考えた時、1つ思い出した。

 

 

「ちょいと兄弟失礼! オレ、野暮用思い出したから、任せて良い?」

「うん? 問題ないよ。一応、オレも審査員の1人になってるからね」

「っしゃ。よろしく頼んだ!」

 

 

スバルはそういうと、ロズワール邸へと入っていった。

それを見送るツカサと困惑するエミリア。

暫く考えて考えて、それでも解らなかったのでエミリアはツカサに聞く。

 

 

「ツカサ。スバルどうしたんだろう? 皆の事審査する、ってすごーく意気込んでたのに。見てなくて大丈夫なのかな? あ、見るのは完成したのだけって事? でも皆が頑張って作ってる姿も見るべきって私は思うな」

「スバルはきっと呼びに行ったんだと思うよ? ほんの少しでも、スバルの方が遅かったら、オレが行こう、って思ってたから」

「え? それって―――」

「あははっ。直ぐに解るよ。きっとスバルの事だから、余計な事までして――――」

 

 

ツカサが解説するまでもない。

エミリアもスバルが向かった先に心当たりがあった。直ぐに答えを導き出せた筈だった。

 

でも、ツカサが解説するよりも、エミリアが自力で答えを導き出すよりも早くに―――。

 

 

「ぷろびっしべすっ!??」

 

 

ロズワール邸の一室、窓から盛大にスバルが落ちてきたのである。

 

 

「あーーー! スバルがふってきた!」

「ゆきと一緒におちてきた!!」

「しろい恐怖を知るがいい!! そりゃーーー! 皆こうげきだーー!」

 

 

目立つ子供たちの制作場に落ちてしまったので、今度は雪合戦に巻き込まれるスバル。

 

 

 

「ベアトリスさんを呼びに行った、でも余計な事して追い出された、って所じゃないかな?」

「ふふふっ。スバルならすごーくありそう! ………でも、ベアトリスの事もしっかり考えてくれてるスバルってやっぱりすごーく優しい」

「だね。………ん」

 

 

ツカサは、ゆっくりと手を翳して小さな風を生み出す。

その風は、ツカサの身体を包み込むと、ゆっくりと浮上させた。

 

 

「ツカサ?」

「ベアトリスさんはきっと断ったと思うけど、やっぱり皆で雪まつりを楽しみたいからさ? オレも何とか誘い出してみるよ」

 

 

そう言うと、ツカサは軽く手を振って開けっ放しになってる部屋の窓の方へと向かった。

そんな後ろ姿を見たエミリアは、目を細めながら微笑む。

 

 

「そう。ツカサも一緒。すごーく優しい」

 

 

花開く笑顔を向けて、ツカサを見送ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく! アイツはほんとトンデモないヤツかしら!」

 

窓の外を見下ろし、頬を膨らませているのはベアトリス。

口では怒っていても、その表情は何処か穏やかにも見えた。

 

 

「あはは……。やっぱり、スバル余計な事した?」

「余計どころの話じゃないのよ。このベティーの頭に雪の塊をのせてきたかしら! 侮辱するのにも限度ってものがあるのよ!」

「侮辱……と言うより、スバルはベアトリスさんとも遊びたかったんだと思うよ。……大人ぶってても、何処か子供っぽくて。村の子供たちと遊ぶ時なんか顕著に表れてて。やっぱり皆で遊ぶ方が楽しいって思うから」

「お前も人の事言える立場かしら? 物凄くブーメランで、頭に突き刺さってるのよ。この屋敷中を子供と駆け回ってたヤツがどの口で言えるのかしら」

「―――それは……ごもっともな事で」

 

 

以前、屋敷の中で追いかけっこをして遊んだ事が確かに在った。

最初はいくら何でも―――と思ったが、ロズワールは笑って許可を出したし、その日はスバルも下男の仕事休みだとかで、思いっきり遊びに付き合わされて巻き込まれた。

 

ラムには色々と苦言を貰い、レムはレムで子供と遊ぶスバルが可愛いと頬を緩め―――間違いなく平和で幸せな空間が出来上がっていたが、ベアトリスの指摘通りなので、ツカサは何も言えず。

 

 

 

「まぁ、だからこそ、かな?」

「?? 何がかしら」

「オレもスバルと同じ。ベアトリスさんとも遊びたいな、って。一緒に参加してほしいかな、って思ってるよ」

「…………」

 

 

ツカサの言葉にベアトリスは言葉に詰まる。

その間に、ツカサの肩からひょい、と跳び出したクルルがベアトリスの頭の上に乗った。

 

 

「きゅきゅぃ」

「クルルも、だって」

「あ、ボクも同意見だよ。ちょっと乗り遅れちゃったけどね」

 

 

次にパックもやってきた。

間違いなく好意的な精霊二匹。ニンゲンの中でも好印象のツカサから誘われていて、ベアトリスは黙っていられる訳もない。

 

 

「クルル……、にーちゃ………。むぅ」

 

 

そして、ベアトリスはゆっくりとした動作で踵を返し、部屋の外へ。

基本的に禁書庫から動こうとしないベアトリスが外に出る時は、食事時くらい。クルルやパックと遊ぶ時も禁書庫の中で済ますので、今このタイミングで外に出ると言う事は、それ即ち―――。

 

 

「やったね」

「ええ。やりました」

「きゅきゅっ!」

 

 

一緒に参加してくれる、と言う意思表示。

パックもエミリア至上主義な所は当然あるが、それでもベアトリスの事は妹分として気にかけている。だからこそ、面倒を見ようとしてくれてるスバルは勿論、純粋に好意的に裏表なく接してくれてるツカサにも好印象―――どころか感謝をしたいくらいだ。

 

パック、クルル、ツカサの2匹と1人は、それぞれハイタッチを交わすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪像作りも徐々に形が整えられて行ってるのが見て解る。

特別審査員枠であるツカサも気合を入れてみなければならない、と襟を正した。

 

 

「城や鎧……凄いなぁ。雪でああも上手く造形が出来るなんて」

 

 

そしてその1つ1つのクオリティーの高さにツカサは驚いていた。

芸術性、創造性……多分どれも自分には難しそうなので審査員側で良かった、と何処か安心したりもしている。

 

スバルはこの手のお題は以前のらじーお体操のパック&クルルハンコで証明しているので、最後の砦として出場しても良かったのでは? とも思ったりしていると―――。

 

 

「寒いだけに喉元過ぎれば熱さ忘れる、ってかぁ!? 笑えねぇよぉぉ!!」

 

 

ちょこっと離れていても直ぐ解る大きな声が響いてきた。

 

勿論それはスバルのモノで、一際大きな雪像の前で絶叫している。

それは遠目からでも何を作ったのかはっきりわかるモノで……。

 

 

「これってウルガルム?」

「はい! ツカサ様。自信作です」

「あ、こちらもご覧ください。偏ってしまうのはどうかと思いましたが、想像以上の出来になったかと思われます」

 

 

グッと力を入れる村の青年団のお二方。2人が選んだモチーフは動物。

動物―――と言うか、魔獣だ。

1匹はツカサが言った通りウルガルム。

忘れる筈もない。何せ森の中でやり合った事があるし、スバルが腰を抜かしてしまってる意味も解る。死にかけたのだから当然だろう。幾らやり直せる力を持っていたとしても、死が安くなるわけでもないので気持ちは解る。

死ぬほど、死ぬよりキツイ目にあってるツカサなら猶更だ。

 

そして、もう1匹は……。

 

 

「確か、これって……」

「私自慢の作品。ギルティ・ラウです!」

 

 

あの魔獣使いが乗っていた魔獣だ。獅子、馬、蛇と言ったいろんなモノを組み合わせた様な魔獣。どっちも良い思い出ではないのは確かだ。

 

 

「出来はスゲーし! インパクト重視なのも〇! でも、心の傷がガッツリえぐられる配慮はマイナス点! なので残念ながら7点です!」

「10点中7点だからそれなりには高得点って事かな? うーん……、それにしてもこんな立派な雪像になっちゃって、……こいつら、あっという間にやっつけちゃったからちょっと悪かったかなぁ、って思っちゃうかな……」

「悪く思わなくて良いから! 魔獣だから! やっちゃってくれてなかったら、オレは勿論、連帯で兄弟もメッチャやばかったから!!」

 

 

ギルティラウは燃やして、最後にウルガルムもツカサ、ラム、レム(ついでにスバル)でフルボッコにした。

選んだ魔獣が岩豚であったなら、少なくともあの2匹よりは大変だった、と思えなくもないが……ある意味あの2種の魔獣も不憫である。

 

 

 

 

 

 

そして、合流したスバルとツカサは改めて各作品を眺めていて―――1つのこれまた異色な作品に出合った。

もうその作品はスッポリとシーツ? に覆われていてぱっと見は解らず、他の城や鎧、先ほどの魔獣の造形達と殆ど変わらない作品だと言えるが、何より作者が際立ってる。

 

 

 

「――――」

「あら、ツカサ。遅かったわね」

 

 

そこにはラムの姿がある。

そして、無論ラム1人ではない。レムの姿もそこにはあった。

 

 

「これはレムと姉様の姉妹合作の雪像です!」

 

 

2人で力を合わせて完成させたとのこと。

 

 

「いや、めちゃデカいな、これ。さっきの魔獣よりもデカい……と言うより、幅広くないか? ひょっとしてレムと姉様、2人2つずつ、仲良く並んで作った、って感じか?」

「あらバルスも居たの。存在を認識するのに時間がかかってしまったわ」

「存外な扱いしてくれんなぁ、姉様。つーか、オレ兄弟の前に立ってんだけど?」

「学の無いバルスでも、ラムとレムの超芸術的作品に引き寄せられてきた、と言う事ね。ええ。納得だわ」

「聞いちゃいねーな……」

 

 

それはそれとして、確かに気になる出来と言えばそうだ。全容がはっきりしない点も、興味をそそられるポイントになってる。

 

 

「レムは嬉しいです。姉様とどうしても参加して遊びたかったですから」

「ははぁ、だから力が入って大きく仕上がった、と」

「はい!」

「レムとラム、2人の技術と姉妹愛を結集した自信作よ。ロズワール様からも高得点を得られたわ。恐れおののくが良いわ、バルス」

「なんでオレだけに攻撃的なの!? そろそろやめてくれない!? こう見えてもオレ審査員だからね!? 心象悪いと高得点に望めないよ!?」

「ま、まーまー。それでこれ、見せてもらっても良い? 一応、ロズワールさんとスバル、ムラオサの3人とオレが特別枠の審査員だから。拝見させてもらうよ?」

「ふふ。さぁ見てみるが良いわ」

 

 

ラムは自身満々にわざわざ風の魔法を使って色々と演出して、シーツをめくって見せた。

 

 

「これが、姉様の指示とレムの微力によって出来あがった最高傑作です!」

 

 

レムの一言により、ラムは殆ど何もしてない事が判明したのだが……、それ以上にこの作品に目を奪われてコメントが出てこなかった。

スバルは思いっきり目を見開き、顔を引き攣らせてる。

ツカサはツカサで、放心状態。

 

それも仕方がない。

 

 

「おーやおや。君たちもラムとレムの力作を見に来たようだねーぇ」

 

 

そこへまるで見計らったかの様にロズワールもやってくる。

とんでもない力作を高評する様に。

 

 

 

 

 

それは寝そべってるスバルの背にツカサが乗り、何やら指を指している構図。

 

 

 

 

 

まるでスバルが空を飛んで、その背にツカサが乗って大空へ飛び立つ構図……に見えなくもない。

 

 

 

「いや、そんな上等なもんじゃねーだろこれぇぇぇぇぇぇえぇ!!」

 

 

 

 

そしてスバルの慟哭が響き渡ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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