Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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やっと戻ってきたエキドナさんヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪




永遠の契約
白の城の中で


 

 

「随分警戒している様じゃないか。こんな幼気な1人の乙女を前にして」

「……悪ぃな。確かに幼気感は否めないが、それでも《強欲の魔女》なんて名乗った相手に警戒するなは無理な相談だ」

「へぇ……。まぁ、それもそうだね確かに。ボクもそれなりにヒト(・・)に近づけたかも? って思っちゃってたんだけど、まだまだ足りないらしい。これは手落ちだ」

 

 

不機嫌さは表立っては出ていない。

それでも、表面上はエキドナは楽し気に笑っている様にも見える。

 

 

「キミも聞きたい事が山ほどありそうだ。無論、ボクも同じだけどね。……でも、闇の中に足を踏み入れる事を躊躇している。逆鱗に触れるかわからない状態。故に無言で出方を窺っている、と言った所かな?」

 

 

エキドナの言葉は、耳の中に入ってくるが、頭の中には上手く入って来ない。中々に理解が追い付かない。

 

正直、スバルは今でも駆け出し逃げたい。

力の限り全力で。この世界がどこまで続いているのかは理解できないが、それでもこの目の前の強欲の魔女と対面し続けるよりは幾分かマシな気がしてならない。

 

 

「ッ…………」

 

 

でも、そんなスバルの弱い気持ちを抑えて奮い立つのは、この眼前の圧倒的な存在だけが自分が、そしてラムが探し、追い求めている宝物を、自分にとってかけがえの無い存在(・・)を知っているという確信だ。

 

その確信を前にすれば、恐怖心なんて二の次に押し込める事が出来る。無論、死だけはどうしても躊躇してしまうが。

あの痛み・苦しみには慣れる事は無いから、と言うのもあるが、それ以上にこの命を命がけで守ってくれたあの男に向かう最悪な厄災、呪がまた蝕んでしまうかも、と思えばそう易々と命を賭けるなんて言葉も出せないし、出来ないのだ。

 

それにラムとの約束の件もある。

 

どういう訳か、ラムは死に戻りや記憶・読込(セーブ&ロード)で起こる時空間の歪みを察知する事が出来る様なので言い訳が出来ない。

愛の力とはどこまでも偉大で強大か……。と、他人ごとの様に思えるが、絶対に命を最後の最後まであきらめる訳にはいかない。

 

 

「どこまでも無視をする、か。やれやれ、ここまで来てしまえば本格的に傷付いてきたよ。こんなか弱い一介の乙女を前にして、男の子にそんな目で見られて。………これでもボクは今傷心中なんだ。更に傷を広げようとするその行為、何も思わないわけじゃないだ」

「何度も聞くが、お前の中の乙女ってのは《死亡フラグ》ってルビ振ってる様にしか聞こえねえよ。確かに期待はある。ものすげー期待値は高い。でも、それと同等、或いはそれ以上の危険値があるんだ。……それを感知するオレん中の警戒センサーの反応が尋常じゃねぇんだよ」

 

 

兄弟の為に、わが身等今更惜しくは無い。

でもそれでも、無駄死にをして安い命を消費して、また消耗させるなど考えたくもない。それはあの苦痛より、死ぬより、何よりも痛い。

それでも、この眼前の見た目少女は明らかに白鯨や怠惰のそれに匹敵する。いや、それ以上だとも言える。

無策で突っ込んでいける相手じゃないのだ。

 

 

「ふむ。決意は満ち溢れている。だけど、それ以上に警戒しなければならないナニカ(・・・)が、君の中には存在している、か。当然だとは思うけれど、それはボクにはどうすることもできないな。ただ、ボクが言える事はせめてお茶が冷める前に席についてくれる事を望みたいだけだよ。――――有意義な(・・・・)時にする為にも」

 

 

目の前の凶悪が、根源とも言えるべき魔女と言う象徴が、解りやすい餌を引っ提げて、更に一歩迫ってきた気がした。

有意義、と言うのは、このエキドナにとってだけじゃない。間違いなくスバル自身にも言える事だと。

 

だが、いい加減覚悟も決める。

 

仮に、エキドナの要求を断った所で、進展は無い。

この何処まで続いてるか解らない一見穏やかな平原はどんな魔窟より、魔境よりも恐ろしく、厄介な場所だと思っているから。

 

その出口の場所も、その扉の鍵も、全てを知っているのがこのエキドナであり、選択肢は無い。少なくとも、今死なない選択肢はそれしかない。

 

 

「わかった」

「ほう? 判断が早くなった気がしたよ。何か気が変わる事でもあったのかな?」

「じたばたしてぇ気分だが、じたばたしてられない場面だ、って事も理解しただけだよ。……んでも、1個だけ聞かせてくれ。オレは今、真っ暗な遺跡の中にいた筈だ。気づいたら別の場所ってのも経験が無い訳じゃない。でも、理由が解らないってのが気持ち悪い」

 

 

転移の類はスバルも経験がある。

この世界に降り立ったのもそうだし、それ以降は死に戻りと彼の時間遡行(ループ)の力だ。最初の異世界転移に関しては理由が解らないが、それ以外はちゃんと説明が出来る事情。

でも、今回のは解らないなりに、その理由がわかる相手が目の前にいる。

 

 

「何故ここに来たか? それは恐らくは陰魔法に該当すると思われる。でも、残念だ。今君は勘違いをしているよ。君の肉体的な空間の移動を体験した訳じゃない。ただ、君は不機嫌気味だったボクに対する新たな癒し……、ボクのお茶会に招かれただけさ」

「不機嫌だった、っつーのは見てわかるわ! そもそも、お前の城ってのがわからねぇよ」

 

 

改めてこの小高い丘周辺を見渡していても―――――理解できない。

城と呼べるパーツが尽く消失しているからだ。今も穏やかとさえ思える微風が頬を凪ぎ、何者にも囚われないこの空間は、この世界は開放感に満ち溢れている。……それでも魔窟、魔境と感じるのは目の前の強欲の魔女と名乗るエキドナのせいだ。

 

 

「色々と説得力はあるにはある。けど、城は無ぇな。お前の領地、借金の形に椅子とテーブル以外持ってかれたって事か?」

「ふふふっ。なるほどなるほど、君()やっぱり面白いな。それにボクもいつまでも喪失感に浸ってる場合じゃなくなってきた。これ程までボクを前に減らず口を叩けたのは同じ魔女を除けば数える程しかいない。その数がまさか死後に増えるとは、本当何が起こるか解らないね。だからこそ―――面白い」

 

 

軽口に笑うエキドナ。

どうやら、本当に不機嫌さは無くなった様だ。

経験が乏しいと言わざるを得ないスバルであっても、不機嫌になった乙女は数度見た事があり、それが解消される場面も幾つかある。

それだけで女の内面が解る、なんて豪語するつもりは無いが、目の前のエキドナの事は信じてみようと思う。

 

 

自分に興味を持った。

 

 

それだけに関しては。

 

 

「わかった! オレも腹ぁ括る!! 席について、茶のひとつやふたつ、頂こうじゃねぇか!」

 

 

退けない。

退けない強い思いを背に、スバルは真っ白な椅子に腰かけると、同じく白で構成されたテーブルにある白のティーカップを手に取る。

城だけに白で構成ってか。洒落で言ってるのなら嘲笑の1つや2つ、プレゼントしてやろうではないか、と。

 

そんなスバルの行動を見てエキドナは少しだけ驚いた素振りを見せると、また面白そうに笑った。

 

 

「凄いねキミ。魔女の差し出したものを一気に飲み干すなんて。向こう見ず……と言うより勇敢。随分と勇敢な男のコの様だ。さっきまでの怯えが嘘の様だよ」

「はっ。今し方言ったつもりだけどな! 腹ぁ括ったってよ。第一、お前が俺を殺そうなんて思ったら速攻でやられる自信がある。オレの強さは模範的な一般ピープル並だからよ。この世界のバケモノたちと比べちゃ、そりゃ非力で無力だ。でも、だからと言って何も出来ない訳じゃねぇ。……腹くくった以上、やれる事なら何でもやる。魔女(・・)の差し入れだか何だか知らねぇが、ありがたく受け取ってやるよ」

 

 

最後にスバルは《ごちそうさまでした》と行儀よく〆て、エキドナの方を見た。

微笑んでる彼女のそれはまさに乙女と呼ぶにふさわしい容姿かもしれない。……雰囲気やこの場所を除けば。何処かのカフェでデートでもしてる場面で無かったのが残念だ。

 

 

「まぁ、オレの両手は埋まってるけどな!」

「へぇ、それは残念………とだけ、一応形式的に言っておこうかな。ボクもボクで、生涯共に有りたいと思った。……も居る、居たからねぇ。キミの様に埋まってる、と言う事にしておくよ」

「そかそか。そりゃ、今後のご健闘をお祈り~~~……の前に、この茶だけど」

 

 

スバルは、飲み干し殆ど空となったカップを見ながら聞く。

 

 

「なんつーか、味楽しむ余裕も無かったからアレかもだが、一体なんの茶なんだ? 無味無臭?」

「ああ、そのお茶はボクの城で生成したモノだからね。言ってしまえばボクの体液だ」

「っっっなんてもん飲ませてんだ、てめぇ!??」

 

 

椅子を蹴って立ち上がり、スバルは飲んだばかりのこのお茶ならぬ体液を吐き出そうとするが……全然上手くいかない。

 

 

「あぁぁ、ひょっとしたら、あの方がもしも、このお茶を飲んでくれていたら、キミの様な反応をしてしまうのかな……? いや、それは違う。ほとんど思いだせないが、あの方も新しい事を喜んでくれるボクと同じ。それにボクは見てくれだって悪くないと思うし、それも合わさって―――」

「回想入ろうとすんな! そもそも、いくら美少女の体液でも飲めるかよ! オレの性癖はノーマルだ! んでもって、お前が言ってるのは多分(・・)オレの兄弟の事かもだが、そっちも当然ノーマルだ!!」

 

 

エキドナは、ぴくんっ! と反応を見せた。

今はむせかえって大変なのは自分自身、と言いたい所だが、そこからのエキドナの動きは凄まじいの一言。

 

 

「そうなのかい!!?」

 

 

前のめりに顔を覗き込んで、明らかに焦った様子なエキドナ。

そりゃそうだろうよ! と言ってやりたいが……。

 

 

「そりゃそうだろうよ!!」

 

 

と、言ってやったスバル。

でも、よくよく考えたら、夫々の想い人のモノなら或いは――――――と思わなくもないが、エミリアやレム、それにラムに対して失礼な気もしたのでそれ以上考えない様にした。

特にラムの侮蔑な視線は、アレは威力が籠っている。視線が風の刃となって自分を切り刻んでしまう、と脳裏に想像できたから。

 

 

「そう、なのか……。なら、しっかりと事前にあの方には説明をしてもらった上で、受け入れてくれるかどうか、その確認が必要だ」

「ソレ、オレにもしてもらいたかったよ! ノーマルだからな! ノーマル!! ぐええっ、クソ、全然吐けねぇ! おい、身体に悪かったりとか、そんなじゃないよな!? オレの身体は生身のノーマルタイプ。超人タイプじゃないんだぞ!?」

「ふむふむ……。彼の意見も重要だが、その先に行けたのなら……次はやはり直接的な体液交換? つまりはそれにふさわしいのは接吻だと言えるだろうか。……発魔期を解消させる時に用いた技法が使える? いや、検証しようにも完全にロスト状態では話にならない」

「こらぁぁ! 話きけっっ!!」

 

 

何故かシンギングタイムとなってしまったエキドナに今度は逆にスバルが前のめりになって圧力をかける。

エキドナもスバルには当然気付いて、色々聞いてなかった? と思ったのに実はしっかりと頭には入っていた様で直ぐに答える。

 

 

「ああ。それに関しては安心してくれて良いよ。限りなく身体に吸収されやすい代物だからね。なにせ体液だ」

「真顔で言うのやめろ! 事務的に体液飲まされるとか、どんな職場だよ!」

 

 

このエキドナは過去最大級の危険度を醸し出していた筈――――なのに、何だか辟易としてしまう。

でも、途端にこれまでの緊張が薄れ、以前よりも遥かにやり易く対応が出来る様になった感は一体何だろうか?

慣れた?

いや、幾ら空気が読めず、いつもいつでも全力前進な気質を持ったとしても、こうも早くエキドナに、魔女相手に慣れるなんて早々考えられない。

 

 

「キミもやはり選ばれた人間である事に間違いはない様だ。ボクは盲目になってしまっていたけど、このボクを目の前にして普通に立っていられる所を見れば一目瞭然」

「何がだよ。いきなりエキセントリックな対応してきて、アブノーマルを植え付けようとして、ここまでしたら退き気味になる筈なのに食らい付いてきたのが意外だったってか? そりゃ、なんてもん飲ませた!! って言う気持ちは嘘じゃ無ぇケド、それでも退路なんてオレはもう持ち合わせてないんだよ」

「いや、退路も何も、退く事も進む事も普通は出来ないんだ。だってボクの前に立つと普通の人なら吐くんだから。面白いだろう?」

「何も面白くねぇよ!!?」

 

 

あまりにも不安ワードばかりなやり取り。退路なく前進すると誓っていても、どうしても疲れが表面化してしまう。

でも、だからと言ってここで終わりと言う訳にはいかない。改めてエキドナと向き合う。

 

 

「さて、こうして話をしているだけでも、ボクは得られるモノがあるのには違いないが、そろそろ先へと進むのはどうだろうか? キミも退路を断ってる、と言ったのは冗談の類ではないのだろう?」

「………そう。そうだよ。雰囲気にのまれていたけど、その通りだ。色々と聞きたい事は多い! 例えば、妙な遺跡に居た筈なのに、変な城に何できたんだ? って事や、お前っつう魔女のこと。嫉妬以外は滅んだって聞いてるからな。聞きたい事は山ほどある。―――――――でも、全部ほっといて、お前にいの一番に聞きたいのはこれだ」

 

 

 

確かに、エミリアは心配だ。

でも、悲しいかな、そこまでの心配はしていない。

何せ、スバルはエミリア陣営の中でも最弱……、下手したらオットーよりも劣る戦力。

でも、エミリアの傍にはレムとラムが居る。次いでにオットーも居る。自分1人が弾かれた所で戦況に影響があるとは思えない。……悲しいかな。

 

出来る事は自分の身は自分で何とか守る事と……何か1つでも得る事。

 

 

 

「エキドナ! お前は俺の兄弟―――――。ツカサの事を知っているのか!? いや、ツカサよりもどっちかと言えば、アイツの中に居る(・・・・・・・・)ナニカ……ゼロの事!」

「!!!」

 

 

 

 

スバルの言葉を聞いたエキドナは、消失していた筈のパズルのピースが復活し、ピタリとハマったのを感じていた。

 

 

 

そう、そうだ。ツカサ、ツカサにナニカ―――――ゼロだ。

まだ全てを思い出したという訳じゃない。肝心な所はスッポリ抜けてる事実は変わらない。でも、その名を、その至高の名を聞けただけでも尽きる事の無い強欲が刺激され、一気に満たされるのを感じる。間違いなく感じる。その名はもうこれ以上自分の中から出してはならない。消失させてはならない。どういう力なのか、そもそも抗う事など出来ないのかもしれないが、それでも今新たに植え付けられた記憶、その名、キミの名、貴方様の名、あの方の名、それを強欲の中にシッカリと刻んで見せた。もう離したくない、抱き込んだ。まだ名前だけしか得られていないが、この目の前の彼と会話を楽しむ事で、会話を重ねる事で、―――ゼロから重ね続ける事で、自分の中の喪失感が満たされ、強欲も満たされて行くと確信出来る。ゼロと言う名、ツカサと言う名から響き渡るメロディを、それを紡ぐ物語を、心行くまで、この特等席で見て居たい、味わいたい。感じたい。未知と言う名すら生易しく感じるその全てを、この身で、この全身で、ボク自身の全て存在を賭けて、味わい尽くしたい。この強欲こそが、また引き合わせると信じている。いや、信じたい。

ボクごときがたどりつける相手じゃないというのも解っているんだ。でも信じる。信じるという力の強さを、曖昧であやふやで、不確かで不真面目な抽象的な表現に過ぎないかもしれないが、ボクが出来る事はそれしか無いのだから。目の前のゼロくんにとっても、何よりツカサにとっても代え難い存在であるナツキ・スバルと共に、ゼロを追い求めよう。それしかない。それが最善なんだ。勿論、その道中も堪能しなければならない。ナツキスバルしか持ちえない、出せない知識が存在するから。それもまた何モノにも代えられない未知。ここからはボクが、真摯に正直に、全てを打ち明けなければならないだろう。それで、彼が納得してくれるかどうかは解らない。でも、この墓所で囚われている以上、外の事は肉体を持つ彼にしか出来ない事だから。彼に手を貸す事で、またゼロくんと会う事が出来るのだろうか? 或いは、彼と敵対する事でその彼を助ける為に、ゼロくんが再び降臨するのだろうか? どっちが最適なのか検証してみないと解らないが、それでも、ナツキ・スバルのボクに対する心証、好感度を下げる事は止めなければならないのは確かだ。ボクたちは良い協力関係を気付ける筈だ。全てはゼロに、ゼロを、ゼロに、ゼロゼロゼロゼロ……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「取り合えず、こっち向いて話をしねぇ?」

 




ドナ長文は、良い文字数稼ぎ(*´▽`*)
でも、飽きてしまった……( ;∀;) と言うより、難しいm(__)m ゼロくんの名を連呼する事で終了w (………》中もず~~っと名を読んでたり(/・ω・)/
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