Re:ゼロから苦しむ異世界生活 作:リゼロ良し
取り合えず、バラバラになってたので捕まえた。
そのあとにてきとーに握って、引っ張って、引き寄せて、捏ね繰り回し。
ちいさいのもてきとーに並べて引っつけて、くっつけて、くっつけて、くっつけて……。
このまま終わったら面白くないから、面白くなるように、念も一緒に込めて———さぁ、できあがり。簡単な一仕事みたいなものである。
後は……ここからどうなるか、それは出来上がってからのおたのしみ。
心配? そんなのある訳がない。
それをよーーく知っているから。
揺らり揺らりと揺蕩う身体。
——くるしくて、くるしくて、いたくて、いたくて、でもなにもできない、なにもかんがえられない。
いつまでこの無限に続くかの様な苦悩、苦痛を味わえば良いのか、それらが
だから、厳密には何も考えられない、と言う訳では無いのである。
地獄の様な場所から逃れたくて考えてしまい……軈て、あまりにも溜まりに溜まって爆発したかの様に無茶苦茶になって、結果更なる苦痛と苦悩を味わう。
無茶苦茶になった後は、再び無から始まる。ゼロから苦しみ、軈てまたゼロになる。ソレの繰り返し。
終わりがないのがまさしく地獄。無間地獄。
しかしなぜ、こんな事になってしまったのだろうか?
ほんの少しでも考えの余地がある限り、
泣いて、叫んで、喚いて、呻いて、咽び、そしてボロボロになって行きながらも、消える事はない。
軈て、幾千幾万を更に重ねた後……1つの光に気付く事が出来た。
それは【淡い赤】の存在。
淡い赤が傍に居てくれた事に気付いた。
どれだけ苦しくても、辛くても、
それを認識した途端に、心は安らぎを覚える。それだけで苦悩も苦痛も取り払われる……まではいかずとも、我慢する事ができる。
だが、ここから先も容赦のない地獄が待ち構えている。
淡い赤が、淡い赤が……遠くにいってしまう。
傍に居てくれなきゃダメなんだ。苦しいのも痛いのも、淡い赤が居ないと我慢できないから。
淡い赤、そして柔らかな茶に乗って、共に有れた記憶。魂に刻まれた記憶が叫んでいるんだ。
一緒に居たかった。
共に有りたかった。
傍に居て欲しかった。
温もりが愛しくて恋しくて仕方がなかった。
また、会いたい。触れたい。
とても、大切で大好きで。
————愛してる。
会いたい。
会いたい。
あいたい、あいたい。
あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい。
あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい、あいたい————∞
………淡い赤、愛しいヒトに。
淡い赤が遠ざかる。でも何とか追いかける。ただそれだけを考え、この地獄を耐える。
傍から見れば狂気であり、魂の在り方が歪んでしまったとも言えるかもしれない。
何せ、それはまるで
そして―――そんな地獄の中で夢をみた気がした。
いつの間にか、茶の背に乗せられてる夢。
揺蕩う己が地に足をつけた茶によって運ばれる夢。
茶は愛おしそうに甘噛を繰り返しては頬擦りをする。
優しく慈しむ様に。
揺らり、揺らりと乗せられ、運ばれる。
無間地獄の外側へと連れて行ってくれるのか、と胸が苦しくなる。高鳴ってドキドキとする。
この時から、自身の輪郭を自覚し始めた。
どういう存在なのか、一切解らなかった当初。朧気ながら茶が思い出させてくれた。
淡い赤は———、
——エミリア様とバルスが突入してから、どのくらいたったかしら……。
ラムは、聖域の遺跡の前に佇んでいた。
試練を受ける場所、真の意味での魔女の墓所の前だ。
それは少し前の話。
日没後、エミリアは皆の期待を一身に受けて、その期待を背負う覚悟もエミリア自身は持ち合わせていて、試練に挑んだのだ。
ガーフィールとスバルは喧しく騒ぎ、それにオットーまで加わって更に五月蠅いのでラムの苦言(と言う名の実力行使?)で少々黙って貰い……ラムは考えに耽っていた。
それは、オットーの話を聞いたからだ。
『ランバートちゃんだけがちょっとはぐれている状態なんです』
ランバート。
ツカサの愛竜であり、ラムの下僕が1頭。
主であるツカサ対し、敬愛の念を抱いているのはラムも重々感じているが、レムの様に嫉妬を向けたりはしてない。
ツカサを取り合い~とまでは発展していないからだ。
ランバートは、そこまで命知らずではなさそうだ、と言うのがラムの評価。でも、ラムの下僕とまではランバートは思っていないのは別の話。
全ては主の為に。
それだけを一身に考え、それ以外は二の次とまで思うその思考は、一体何があればそうまで至るのか、興味がある所存ではあるものの、その深奥まで探る気はないし、オットーの様に加護を持ってる訳じゃないからそもそもが出来ない。
あのランバートは、ツカサの今のところ最後の命令である『皆を頼んだ』と言う命令を忠実に守っている。仮に魔女教の類がまた襲ってきたとしても、その命を散らそうとも責務を全うする事間違いないだろう。
そんな地竜ランバートがオットーと別行動をした事に対してラムは引っかかっているのだ。
オットーは貧相なナリで、商人とは言ってもその商才は皆無。
加えて不幸属性と言うはた迷惑な代物までその身に受けている様な男。でも、ツカサは友達だと思っている。
広がった輪の中に間違いなく入っている人物の1人だと。
ランバートの中では、間違いなく序列は自分より上に位置し、主のツカサの為にオットーの傍に居る……筈だったのだが。
あまりにも情けない従者を見限ったのかもしれないし、放置しても別に問題なく、ツカサの為にもならない、と判断したのかもしれない。
地竜は非常に賢い動物だ。そう結論付けたとしても何ら不思議ではない。
……そして、或いは———この聖域に来て、何かを感じ取ったのか?
主の命を背いてでも、行動をしたかった理由が。
異常事態が起きて尚、ラムの頭の中はそのことばかりを考えてしまっているのだ。
そんな中、直ぐ横の男……オットーの視線に気付く。
矢鱈視線アピールしていたが、ラムは安定の無視。オットーはジト目を向けていたが、明かに気付いてて無視してるのが解ったので、取り合えず声を出した。
「………ちょっとラムさん。なんか物凄くヒドイ事考えてませんでした?」
「ハッ。何を言ってるか解らないわね。……今はラムに見惚れる前に考えなければならない事があるでしょうに」
「別に見惚れてる訳じゃありませんが!? そりゃ、僕だってランバートちゃんやナツキさん、エミリア様が心配ですよ。……特に、エミリア様の試練の光は直ぐに消えたのに、ナツキさんが飛び込んでいって、試練の光が今も継続してるってなると………」
そして状況説明に入る。
最初から説明すると
① エミリアが試練を受ける為に墓所内へと入った。
② 聖域が試練を受ける者、その資格ありと認め、光を放った。
③ 試練を受けている間は常に光を放っている筈なのに、突然光源が失われた。
④ スバルがそれに驚いてエミリアを心配し、自重も忘れて墓所へと突入。
⑤ 皆が止める間も無く、何故かスバルにも試練を受ける資格があり、と光が発生。
⑥ 全員が色んな事が起こり過ぎて驚愕し、ただただ試練の結果を待つ事となった。
つまり、今は完全なる待ちの状態。
大見得切って、スバル入っていったスバルだが、まだ中から何も返答がない。声を上げると言っていた筈だが。
でも、光が出ている以上試練に変化は無いとみるのが自然だろう。
「おうコラ三下ァ! ラムに見惚れてるッたァ、どういうこったァ!? アァ!?」
「ひぃ!! ご、誤解ですよガーフィールさん!?」
待ち時間とは退屈なモノ、なのだろう。特に子供であればそれはより顕著に表れると言うものだ。
「英雄様ァ、ノしてやッたら、次ァ俺が控えてんだ。だが、手前ぇは全部スっ飛ばして割って入るッてのかッ? いけッねッ、ってわかッねぇのかよオイ!」
「ひぃひぃッ、だ、だから誤解なんですってば! ラムさんっ!? 助けてくださいよぉぉ!」
極上の雌を賭けての超雄同士の決闘!
ガーフィールはかつてない程に気合が入りまくっており、それは育ての親でもあるリューズも抑えきれない程。ラムがやれば一撃だが、面倒くさいのか、或いは全部丸投げしたいのか……どっちも同じ意味だが、兎に角手は出してない様だ。好きなようにやらせている。
そんな中で情けないオットーの声が響く。
「ハッ」
ラムは鼻で笑った。
何やらオットーだけでなく、確実に敗北しているであろう未来の負け猫なガーフィールの声も耳に届くような気がするが、それは一先ずラムの頭の中には入らず通り抜ける。
何故なら、ラムは余計な事を考える暇がないからだ。
これより再びツカサ関連の事だけで埋め尽くされる。
———でも、事最愛の妹であるレムの話になればその限りではない。
会話の中に割って入る事が無かった。
いつも通りのレムであれば、ガーフィールが英雄であるツカサを倒す? なんて話をすれば即座に否定か、無駄な努力をオブラート全開に包んで発している所なのだが、今はただただ墓所の方に視線を向けて離れる事は無い。
ぎゅっ……と握られた手を見れば、何を考えているのかなんて容易に解る。
「大丈夫よ、レム」
「……姉様」
姉として、妹に言葉を1つ、2つくらいは駆けてあげなければならない、とラムは今更ながら後悔。思考の波に囚われてしまった自分を戒めつつ、レムの肩をそっと撫でる。
「墓所がバルスを試練の資格あり、と認識している以上、バルスはロズワール様の様に弾ける事は無いわ。リューズ様もおっしゃってたでしょう?」
「……はい。姉様の言う通り、勿論レムは解っているつもりです。……でも、それでも、レムは、レムは………スバル君が……」
ぎゅっ、と手を握りしめる。
レムは、姉の感覚が解る。共感覚でラムの心情も理解できる。
ラムがツカサの事を心から心配し、会えない時も傷ついている、表情や言葉にせずとも、伝わってくる。
そんな姉の為に、傍に居て少しでも力になれたなら……と務めていたレムだったが、レムにとっての英雄で最愛の人スバルが、ロズワールをもってしても、その身に多大なるダメ―ジを負ってしまうと言う過去類を見ない試練に挑む。
試練と言えば以前、ロズワール邸に侵入してきた灰色の称号を持つエッゾ・カドナーが試練と称して用いたミーティアとは比べ物にすらならない。
レムは顔を上げる。
目の前にある墓所の入り口。黒く塗りつぶされた様な闇への入り口は、この世の不吉を顕現している様にも見える。
でも、スバルはその闇の入り口の前に立って笑顔で親指をグッと立てて言っていたあの姿も鮮明に思い出せる。
『俺を信じて待っていてくれ!』
スバルにそう言われてしまえば、どうしようもない。
スバルの信頼を、信用を裏切る様な真似はレムには出来ないから。愛を頂けると約束をしてくれたのに、そんな愛する人を裏切るなんて、出来る訳がない。
だから、信じて待つ他無い。
待つ事……それがここまで辛く苦しい試練であるのか、姉の言葉も気休め程度にしかならない程なのか……とレムはただただ耐え忍んでいた。
「はぁ。本当に世話のやける妹ね。レム」
ラムは、そんなレムの頭に手を置いて髪を梳く様に撫でた。
「レムの惚れた男が、そんなヤワじゃない事くらいラムだって解っているつもりよ。……それに、ラム自身も何度もバルスに言い聞かせているもの。死んだらどうなるか、レムを悲しませたらどうなるか、バルス自身がよく解っている筈だわ」
ラムの言葉でレムは救われる。
スバルを信じ切れてなかった、と言う自己嫌悪も多少なりともあったが……これ以上ラムに心配をかける訳にはいかない、と奮い立った。
「はい。レムは信じて待ちます。スバル君を。……他でもない、姉様の言葉ですから」
「ええ。ラムに間違いはないわ。バルスも命は惜しい筈よ。……それに」
ラムは空を見上げる。
星々が瞬く、光と闇が広がる
間違いはない、と自らにも言い聞かせる。
必ず、必ず、……また会える。
そう、信じている。
そんな時だった。
「フルッ」
地竜の小さな鳴き声が聞こえてきたのは。