Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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大分遅くなってごめんなさい……。
それと生成AIイラストに最近嵌っちゃいましたw
アレ、凄いですなぁ~~(*´▽`*)


https://www.pixiv.net/artworks/117548875


己の……過去?

 

 

『皆悪いな。……一緒に戦えるのはこれが最後だ』

 

 

 

驚愕する顔。

憤怒する顔。

悲痛に歪む顔。

 

それらが目の前の光景に広がっていた。

 

 

【これは……なんだ?】

 

 

意味が解らず、ただただ目の前で繰り広げられているソレを食い入る様に見据えた。

ソレらが相対するは禍々しいナニカ(・・・)。世の邪悪を具現化した様なナニカ(・・・)

 

それに相対する複数の男女。光を纏う男女。

 

軈て、邪悪は滅ぼされ世界に安寧が齎される―――と思いきや、彼らの胸中は穏やかじゃないのが見て解る。感情がそのまま頭に、魂に入り込んでくるかの様だった。

 

場面は移り変わり……行かないで、と泣き叫ぶ声が響き渡る。

その声にはただただ、どうにもならない運命に涙する。

内の2人は どうやら、恋仲のようだ。

 

見ていれば解る。

愛する人の為に、我が身を捧げたのだと言う事が解る。

 

 

【まず己の過去と向き合え】

 

 

あの時の声も同時に感じる。

眼前に広がるこの光景が……自身の過去と言う事なのか?

愛する人の為に命を賭け、愛する人の為に己が身を捧げ……そして果てる。

その行動理念、その光景は正しく………。

 

 

 

 

『今日と言う日を忘れるな』

 

 

 

 

そして―――また世界は流転した。

今度は一体何だろうか?

 

眼を凝らす、眼前に広がる光景を凝視する。

 

そこは崩壊する建物……その出で立ちを見れば石造りの城と言った感じだろうか。

そこには2人の男女が居た。片方は壮年期を思わせる出で立ちの男、もう片方はまだ幼さが残る少女。

全てを押しつぶす勢いで降り注ぐ瓦礫。それらから少女を護る為に自身の身体を盾として使う。

 

無数の瓦礫により肉は爆ぜ、骨を砕き、命脈を断とうとするが、それでも彼は潰されない。その鋼の意志が……少女を必ず守り切ると肉体に限界以上の力を齎せた。

事切れる最後の最後の瞬間まで、必ず守ると言い続け………軈て…………。

 

 

 

【まず己の過去と向き合え】

 

 

 

再び聞こえてくる。

己の過去と言っているのにも関わらず、これまでの2名は自分とは姿形が違い、夫々の歳も違う。全くの別人である事は理解出来た。

だからこそこれが何故、向き合うべき【己の過去】になるのかが解らない。

そして解らないからこそ、確信する事は出来た。

 

 

まず1つ自分はこの世界の住人ではない。

 

 

この【己の過去】と呼ばれるその姿は、明らかに今の自分の姿とは違うから。

全くの別人。もし本当に己の過去を投影しているのであれば、今の齢より低くそして容姿に似通う容姿にならなければおかしい。

 

 

そして2つ、何処か別の世界からここの世界の輪廻に転生……いや、転移してやってきたと言う事。

 

そして解らないのがどういう理屈なのか、自身の誕生からこの身体に至るまでの成長、その過程が切り取とられているかの様に感じていること

周囲から言われているが、見た目の年齢は凡そ20、いやそれ以下だと言われているが、この歳に至るまでの過程がもしも――――あるのであれば、【己の過去】に投影されていても良い筈なのだ。

己の過去だと言う100%あの声を信じる訳ではないのだが……。

 

 

 

 

そして、この後も【己の過去】と称するものが続いた。

この後3人の人生の終焉を見せられた。悲しい別れ……無慈悲な別れを見せられた

 

 

 

 

その中身はどれも大差ない。……大切な人を、子を、弟妹を、己が身を賭して守り……最後には果てた。

最後の最後まで悔いは無いと言うのはその表情を見ていてよく解った。考えが手に取る様に解った。

 

だが、死して逝った彼らは知らないのだ。

 

死すればそこで終わる。

痛みも苦しみも悲しみも全てが虚無へと消える。

自分を犠牲にして助けたとしても……、命を助ける事が出来たとしても……、残された者達の心を深く抉る悲しみの連鎖を知らない。時間が癒してくれるのかもしれないが、それは定かではない。何故なら最後を見届ける事が出来ないのだから。

 

……表面上では知っているかもしれないが、それはあくまでも上辺に過ぎない。

別れを拒否する。血を吐く程の絶叫、喉が潰れても叫ぶ。失ってしまえば生きる目的さえ無くなると言わんばかりの苦しみを……知らない。

 

 

——……何を偉そうなことを。

 

 

そして、最後には自分自身に矢印が向いた。

自分はどうだったのか? と。過去と向き合うと言うのはこういう事なのか? と自問自答を繰り返しながら。

 

 

愛する人の為に、愛する人を護る為に、愛する人が苦しむのは嫌だ。

愛する人が死ぬのは……絶対に嫌だ。

 

 

全て自分のエゴだ。

 

 

愛する人の為にと言いつつ、……これらは全て自分の為なのだから。

共に生きると言う道を―———諦めてしまったのだから。

 

 

目の前で幾度となく流された涙が。

何度も何度も叫ぶその慟哭が。

 

 

 

その姿が―――――愛しい彼女と被る(・・)

 

 

 

それを意識したその瞬間、自身が光ったのを感じた。

否、違う。……光を放ったのは自分自身ではなく……胸の中で苦しみ続ける存在。過去の姿などではなく、今現在苦しんでいる存在。

 

 

 

―——ラム!!

 

 

 

過去と向き合ってる場合じゃない。

向き合う事が試練だと言うのなら、放棄で良い。

 

 

その強い意志が、強過ぎる想いが……向き合う過去を白で塗りつぶした。

試練を突破ではなく失敗でもなく……放棄。それでこの聖域の第一の試練から抜け出すなんて前代未聞。

 

 

「いや、流石だ――――と、言うべきなのかもしれないね」

 

 

また、違う声が頭の中に響いてくる。

この声には聞き覚えがあったが、今はそんな事は考えてられない。

 

 

 

『ここから出せ!!』

 

 

 

内にある力を全て使う勢いで吼える。

黒く染まっていた世界が軈て白へと代わり―――苦しみ顔を歪ませる彼女の姿も掻き消してゆく。

 

 

 

「まぁ、これ以上は駄目か。………流石に嫌われたくはないから」

 

 

 

そう言うと水面に雫を落とし、波紋が広がる様に白の世界が広がって行く。

 

軈て、白の世界から色とりどり鮮やかな世界————現実の世界へと染め上げて言った。

 

 

 

 

 

———身体は……動く。

 

 

 

世界に色が戻った事を確認すると、手を握り、そして開きを繰り返して状態を確認した。

身体は間違いなく動く。でも、これ以上無理をして動かそうとするとどうなるかは解らない。本能が警笛を最大限に鳴らしている様だが、それも構う事は無い。

 

 

ただ、1つだけ心に決めている。心に強く決めている事は有った。

 

 

『―――ラムと共に、生きる』

 

 

身体が傷ついている。

この場所に居るだけで、まるで身体そのものが拒絶をしているかのように、ラムの身体が裂かれていく。

 

そんな事はさせない、とラムの身体を強く抱きしめた。

今直ぐにでもこの場所からでなければならない。一秒でも早く抜け出さなければならない。

ラムの身体を強く抱きしめたまま、歩を進める。一歩一歩進む事に身体が、魂が削られる様な感覚に見舞われるが、関係ない。

 

 

「ラムと……生きる」

 

 

その想いだけを胸に秘め、歩き続ける。

軈て、1つの扉を超えた。その先に居たのは……。

 

 

「……すば、る。……それ、に」

 

 

倒れている2つの陰があった。

その内の1つはスバルのモノであると直ぐに解った。そして、その直ぐ後にもう1人も誰なのか解った。

 

 

「えみりあ、さん」

 

 

どういう経緯かは不明だが、スバルとエミリアがこの場所に来ていた。そして倒れている。ラムと違って目に見える外傷は見当たらないが、それでもこの場所に留まって良い理由にはならない。

 

 

「こい……く、るる!」

 

 

白髪となった彼の髪が眩く光を放つと、そこにエメラルドの輝きが追加された。軈て額の紅玉が深く赤い色を発しながら……1つの形を形成していく。

 

 

「いや、ほんと。凄いよ? 何をどーやったらここまで出来るの? って感じ。今回に限ってはボクは何にも手助けしてないのに。てきとーに引っ張ってきただけなのに。いやはやほんと人間って凄い」

「―――すごい、すごい、言うなら……こんだけ、がんばったんだ。……褒美、くらい寄越せ。スバルと、エミリア、を……」

 

 

そう言うと、お安い御用! と言わんばかりにスバルとエミリアの身体を宙へと持ち上げた。そのまま、クルルは彼の肩に乗る。

 

 

「キミはバラバラだったのに、どうやって形を保てたの? そこんところ知りたい」

「……オレに、きくな。それに、口調に、一貫性がない……んだよ。馬鹿」

 

 

悠長に肩の上で話しかけられるが今はそれどころではないのだ。万全な状態だったら間違いなく苛立ちが増す様な対応だが……、今はそんな気力もラムを救う事だけに注視したい。

 

 

 

 

——歩を進め続けて……軈て篝火が見えてきた。外の灯りだ。

 

 

 

 

外には、限界ギリギリまで来ていたレムの姿が有った。いや、所々怪我をしているのを見ると……強引にこの中に入ろうとしたのが解る。ラム程ではないが、レムのその姿は痛々しく、血で彩られている。

 

 

「姉様! スバル君ッッ!!」

 

 

額に鬼族の証である角を顕現させて、強引に中へと入ろうとした寸前で身体が止まる。

スバルの姿を、そしてラムの姿を見て駆け寄ってきた。

 

 

「ツカサ君ッッ!! ツカサ君ッッッ!!」

 

 

そして最後に……自身の姉事ツカサの身体を抱きしめた。

 

 

「よかった、よかった……、みんな、みんなぶじで……っっ」

 

 

まるで幼子の様にわんわん泣き続けるレムの頭をそっと撫でると、視線を違う方へと向けた。

鋭い眼光で、鋭利に研ぎ澄まされた牙を剥き出しに睨み続けている黄色い髪の男ガーフィールと何が起きたのか解っておらず、ただただ混乱の渦中にいるであろうリューズの方へと。

 

 

 

「―――――ラムを、みんなを………お願い、します」

 

 

 

 

その言葉を最後に、再び意識を闇へと沈めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肉体と魂の分離。

 

肉体は聖域の外に出たが……魂はまだ試練を受けてる最中だった。

 

自分の知らない外の世界がどれだけ大変なのか、知る由もない。……だっていつもいつも自分の事でいっぱいいっぱいだから。

英雄見習いは背伸びをしない。一歩一歩着実に前へと進む。

 

そんな気構えだったからこそ……、吹っ切れたからこそ、自分の過去と折り合いを付けて前へと進む事が出来たんだと自分は……スバルは思っていた。

 

 

「ふぅ……思ったよりも大分早くついたようだね」

 

 

己の過去と向き合い、前へと進み————辿り着いた先にいたのはあの時の魔女の姿。

 

 

「何もボクは浮気性って訳じゃない。キミの事だって興味が尽きないさ。この気持ちは他の誰でもない、キミだったら解ってくれるだろう? 一番星が2つでも良いじゃないか! と父親に向かって言い切った君なら」

「あーあーあーあーあーあーあーーそこ掘り返さないでくれ!!」

 

 

試練の中で、過去の世界で出会った両親。

そこでハッキリと好きな子が出来た事を報告した。それも2人も。スバル如きが? と呆れ顔されてしまってそれなりに精神にダメージを被ってしまったが、こんな自分を愛してくれると言ってくれた子がいる。好きだと受け入れてくれた子がいる。……日本的な倫理観で考えたら最悪だが、少なくともそんな枠内(ルール)はこの世界には当てはまらないモノだ、と勝手に解釈をしているのだ。

 

 

「興味深いと言えば外の世界のキミは今、聖域を出た所だ。魂と身体の距離がどの程度まで離れても大丈夫なのか……、そこにも興味があるね」

「ちょい待ち。なんだそれ? どーいうこと??」

 

 

スバルの過去を象徴する学校の教室の真ん中で妖艶に微笑む強欲の魔女のセリフを聞き、スバルはある程度あった警戒心をすっ飛ばして対面する形で席に着いた。

 

 

「キミが師事する英雄の帰還———と言った方が解りやすいかな? どういう理屈なのか私には一切解らない。鬼の彼女の本懐とやらが達成した訳でもないと言うのに、かの存在はこの聖域にまで踏み入って……君たちを連れだした。とんでもない事さ」

 

 

煌々と艶々とした表情。うっとりと頬を赤らめながら胸に手を抱くその所作は恋する乙女のソレだ。

自分の事に興味があるとか何とか云っていたのに、それらの所作で全部説得力がすっ飛んだ……と言いたいが気にしないでおこう。

スバルの両手は塞がっている。眼前の女———エキドナの好意が一方通行間違いなしな英雄(ツカサ)に向けられた所で、何もない。

 

 

「……悔しくなんか、無いんだからね!!」

「そうか。彼の成す事に対し、悔しいと言う感情を抱く事が出来ると言うのなら、君にも十分素質があると思って良いよ」

「オレのツンデレムーブを華麗にスルーされるのって結構心に来るよなぁ……、ってのは置いといて。……オレの身体が外に出たってのはマジ? ツカサが助けてくれた? って事はエミリアは大丈夫なのか? ラムは??」

 

 

一度にまくしたてるスバル。

これら一度に聞くなんてそれこそ聖徳●子くらいなモノだろう、と自分自身でも思っていたと言うのに……。

 

 

「今は疎かで憐れなガーフィールがキミを、彼女はかの精霊が、鬼の彼女はその妹が丁重に運んでいるよ。彼……ツカサ君は助けに来てくれた、と言うよりは見た感じ彷徨っててこの場所に辿り着いた、と言う見方が正しいのかもしれないね。………その切っ掛けが、鬼の彼女にある、……とボクは思ってるが」

 

 

全ての疑問に対して応えてくれた。

最後の方はややむくれていた様に聞こえてくるが、そこは諦めた方が良い。

 

 

「あの2人は相思相愛です。レムくらい断言できる。やめとけ無理」

「それは解っているさ。ただ、想い続けるのは自由だろう? そこまで束縛される筋合いはない、って思うんだ。何せボクは死者なんだからね」

 

 

ぷいっ、とそっぽ向く。

こんな活き活きとして生に……或いは()? にしがみ付いてる死者が居るのか? とスバルは笑いそうになるが……兎に角、ツカサが復活したのは喜ばしい事だ。……外の方も、きっと大丈夫。自分の魂がどっかいく~~って恐怖が無い訳じゃないが……、その辺もきっと大丈夫だ、と無理矢理納得させた。

 

 

「それよか、その制服似合ってるな? こっちの世界で見慣れない姿だし、魅力的に映ってると思うぜ」

「い、いきなりなんだい? 突然ボクを褒めるなんて……何か裏があるんじゃ? って勘ぐってしまうじゃないか」

「裏って……そりゃぁ、オレと兄弟は強い強い絆で結ばれた存在!! ……オレが似合う~~カワイイ~~って思った事に対して、高確率で兄弟も似た感想を抱くかもよ? って思ったり思わなかったりしただけだ」

 

 

この制服姿が意中の相手を射止めるかもしれない、振り向かせるかもしれない? と匂わせるスバル。

 

「……本当にそう思うかい? これはキミの記憶から再現した服装。キミの中で強く焼き付いていた服装なんだけど、好みが似通ってるのかい?」

 

 

軽くポーズをとってみるエキドナ。

灰色のスカートに濃紺のブレザー、胸元の赤いリボン……女子高生のモノだ。所謂JK。嫌いなヤツなんているモノだろうか? いや、断じていない!(当然!)

 

 

「敢えて言うならスカートは短めより長めをチョイスする事を勧める。安易に見られるかもしれないエロスより、決して見る事が出来ないガードの固いその神秘の中は一体どんな色鮮やかな世界が広がってるのか……と、想像力が掻き立てられるからな」

「ほほう。なるほどなるほど。貴重な君からの意見だ、と心に留めておく事にするよ!」

 

 

面白い様に乗ってくれるエキドナ。何だか次にツカサと彼女が出会ったなら、強欲の魔女の悩殺シーンなどなどでいっぱいになってしまうのでは? と考えたらちょっぴり笑えた。

殺伐とし過ぎていたのだ。これくらいおバカでラッキー助べえな展開が1つや2つあったって良い筈だと思っているから。

その辺の収拾は今まで心配をかけ続けてきたツカサにどうにかして貰う、と言う方向性でスバル脳内会議は満場一致した。

 

 

「取り合えず、オレの身体が大丈夫なのは解った。そんで次だ。試練について聞きたい」

 

 

そう言うと、これまで少々ふざけ気味だったスバルは、真剣な面持ちになり、エキドナの方を真っ直ぐ見据えるのだった。

 

 

 

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