Re:ゼロから苦しむ異世界生活 作:リゼロ良し
リゼロ、やはり最高………………………(*´ω`*)
「さてさて、大分時間がかかったような気がしなくもないけれど。そろそろ先に進めないかい?」
「同感だな。ここに居る感覚は精神と〇の部屋? 的な時間の流れしてんのかいまいちわからんけど、なんとなーーく、半年くれーは此処にいた気がする」
スバル・エキドナ共に何となく放置されたような気がしてならない、と眉間にしわを寄せていた……が、この世界の時間軸? とは違う何処かの世界の時間軸が自身らの体感に紛れてきた様なよく解らない超常的な何かが――――と、色々考えてみたが答えは出ないので、早々に諦めて先へ進めようと2人は合致した。因みに、エキドナ曰く外の時間の流れは変わってないとのこと。
「それで、君は試練の何を聞きたいのかな?」
エキドナは頬に手を当て、視線を細くさせ、全てを見透かすかの様な姿勢でスバルの出方を伺う。
「段々と思い出してきたってヤツだ。そうだ。オレは体のいい使いっぱしりに合ったんだったな。兄弟の情報を得たらエキドナの記憶が蘇るって設定で―――」
スバルはエキドナに課された代償。
魔女の茶会に参加したその代償について思い返していた。
口外禁止で、外に出たら記憶を失うと言う事。そして例外的に記憶が復活するのは兄弟……ツカサ関連の情報を得たタイミングでエキドナの事を思い返す事が出来て……。
「……あんまし意味なかったよな? なんか兄弟超復活してるし」
「ああ。流石の一言さ。ボクもこんなにも早くに彼が現世に降臨するなんて夢にも思わなかったよ。いやぁ、この世の中は不可思議で不思議で、未知なモノばかり。とてつもなく恐ろしいよ!」
「恐ろしい、っつー面してねぇんだけどな。目ぇキラキラさせた上に何だそのドヤ顔。【ボク、来るのわかってました】ってか?」
キリッ、としているエキドナの顔から察するに、不機嫌モード満載だったあの頃とは全然違うらしい。
でも、それは仕方がない事なのかもしれない。状況を察すると――――大体見えてくるものがある、と言うものだから。
「つまりアレか。エキドナもオレと似たようなモノ……。オレの記憶を消したみたいに、エキドナ自身も兄弟関連の記憶を消されてた、と。んで、兄弟の出現に、その蓋されていた記憶が蘇ってきて、上機嫌モードに切り替わった、と」
「そうさそうさ! ついこの間まで、濃密で濃厚でどこまでも深淵でどこまでも永久で―――そんなボク程度の存在じゃ計り知れない世界の外の真理と相まみえたのさ! ボクであっても本当の意味では理解できていない。いや違う。理解するのにはあまりにも時間が足りなさ過ぎて追いつく事が出来ていない、と言うのが真相さ! 幾ら幾ら時間があってもまるで足りない、全てを研究の時間に費やしたとしてもまるで足りない! でも、彼が傍に居てくれるだけで、その存在を感じさせてくれるだけでボクは全て満ち足りていくんだ。でもそれでも飽くなきこの強欲が、彼をより欲している。心の底から欲している。その強欲と彼は正しく最高の相性ともいえるだろうね。これで相思相愛であるならば、ボクは死者だけど天にも昇り、軈て昇天し、この世界から消えてしまうかもしれない。でも、それでも本望さ。彼の存在を感じられながら逝けるんなら冥利に尽きる、と言うヤツなのさ! ボクはある意味勝負に勝てたと言って良い。だからこのくらいは望んでも、想像しても、妄想したとしても罰は当たらないだろう? いやいや、彼の事さ! その位は笑って許してくれる。器は果てしなく大きく、かの龍よりも大きく、大瀑布よりも果てが無い、と言う事をボクは知っているからね。如何に世界が残酷で、どれほどまでに惨たらしくあったとしても、彼ならば笑ってそれを赦してくれる! ……ああ、でもダメさ。そんな結末はきっと、彼の分身たるツカサ君が許しはしないだろう。彼とツカサ君は羨ましいと思える程に誰よりも深く、深く彼と繋がっているんだから。そんな彼が心底嫌悪する様な場面が来たら、きっと彼は傍観者じゃいられなくなる可能性の方が極めて高い! ならば、ボクとしては長らく彼を追い求め、感じる為にも、彼の望む未来へと進む為の知恵を授ける。これこそが最善で最高なのさ! でも、だからと言ってなんでもかんでも施しをするのはいただけない、と彼は言うまでも知れないね。甘んじる事を良しとするとも思えない。彼自身が困難に立ち向かい、彼自身が最善を掴み取り、そんな足掻きを楽しむ癖がある様にも感じられる。ひょっとしたら性格が悪い、と思われたりするのかもしれない。でもそれでも良い。寧ろそれこそが良い! 彼を一般的な物差しで測れる訳がないのだから! だからボクはただただ粛々と彼の思うがままの行動を、彼が赴くままに動くさまを、間近で見ていたいのさ! そこで君の存在が僕にとって不可欠になると言って良い! なにせ、キミはこの世界において、恐らくツカサ君の次に、彼とのつながりが深い筈なんだから。……少々複雑ではある、がかの嫉妬の権能、忌むべき彼女が彼をより引き付けている、と言って良いのかもしれない。業腹だけど、それは認めざるを得ない。流石は世界を敵に回した嫉妬の魔女、と言った所か。……いやいやいや、ダメだ流石にダメだ! 忌むべき彼女と似たような
スバルは
そう、この強欲の魔女は一度話し始めると本当に止まらない。しかも一回も舌を噛む事もなければむせる事もなく、完全に言い切ってしまう見事な討論会を行ってくる。
内容はアレだが、ここまで長く長く長い長文を一度もミスらずに言い切るなんて、話が長くて退屈な学校長も真っ青だ。
「ぶぅ。良い所だったのに、キミは聞きたくはないのかい?」
「生憎だったな。オレが聞きたいのは試練の方。兄弟や、あのクルルん中に居るナニカの話は今は全く必要なし! ……何なら、エキドナ。お前より深く深くふかーーーーく、知ってるかもしれないからなぁ……」
「………むぅ。魔女を妬かせるとは、キミも本当に大概だな」
きらんっ、と決めポーズをするスバルに対して、エキドナは頬を膨らませていた。
確かにその通りだ。紛れもなく、嫉妬の魔女の権能を通して、様々な次元を介してこのナツキスバルと言う男とかの存在は繋がっている。
この世界において、唯一無二の次、ともいえるのかもしれない。
「知識欲の権化なボクが、このまま君を離さない! って言ったらどうするのかな?」
「そりゃあ、やらねぇ方が吉だ、って事くらい解るだろ? オレ如きの知識なんざ霞むくらいいの超大物がオレの背後にいやがるんだ。そんな勿体ない事はお前はしねぇよ」
「――――随分とボクの事を解ってくれているじゃないか。魔女の本質を理解できている、ともとれるかな?」
あまり嬉しいものではない。この世界において魔女とのつながり程不吉な事は無い、と言う事をスバルは誰よりも知っているから。
魔女の匂いがすると言われて殺されて。魔女の匂いにつられて魔獣に追いかけまわされ噛まれて、魔女の匂いを囮にして、滅茶苦茶デカい鯨に追いかけまわされて……。
「……理解したくねーな。やっぱ」
「おやおや、随分とつれないじゃないか。ま、それが懸命な感性かもね。でも、キミはそれを放棄する様な男じゃないだろう? 彼に近づこうとする気概を持ち続ける限り……、魔女関連はキミの力になる筈だから」
「言われるまでもねーよ」
スバルは笑った。
例えどんな手を使ったとしても、
王道な道は無能力者な自分には存在しない。だから、例え邪道―――魔女の道であったとしても、それらを糧にして前に進む。
そう決めたのだから。
「っとと、マジで脱線し過ぎだ。ほれほれ、試練の話をしようぜ! あの滅茶苦茶オレにとって都合が良すぎる世界が試練の世界だった、で良いのか? 墓所の中に入った途端に」
「資格を持つ者が墓所に入ったから、『試練』が始まった。これが凡そ基準となる作用さ。ここしばらくは面白いくらいにその規定や制約を書き換えたり上書きしたり、楽しんだりしている様だけど、普通? はこの仕様で間違いないさ」
エキドナが言っている事は恐らくツカサやラムに対しての作用なのだろう、とスバルは直感で解った。……それでいて、その内容までは把握しきれなかったのだと言う事も。……解りやすく表情に出ているのだから。
「過去に向き合え。つまり誰しも過去に後悔を抱えていると言うもの。日々を生きていれば後悔を得ない存在など基本あるわけがない。今日は昨日の事を、昨日は更に過去の事を、そして明日になればきっと、今日の事を後悔している。人間にはそういう機能が備わっているからね」
「言葉が重いなオイ。そりゃエキドナは後悔しまくってた事がつい最近まであったみてーだから解らなくもない、が悲観的な事は止めといた方がよくね? 後悔やら反省やらがあったからこそ、お前はアイツをまた知覚する事が出来た。つまり突破口を得たと言う訳だ。それもまた人間の機能ってヤツだ」
「そうさ! まさにその通り!!」
スバルの言葉に空気がはじけたかの様にエキドナが手を叩いた。
これは意識外から突然やってくる衝撃音、破裂音は中々にショックを与えてくる。相撲の技で言えば《猫騙し》である。
「単なる言葉遊びかもしれない! 所詮は少しの心得違いかもしれない! だけど過去を悲観するか楽観するかで答えの出し方は大きく異なるんだ! 楽観し過ぎるのもダメなのかもしれないが、少なくとも悲観し続けるよりは良い、と実証済みさ! これまでの道のり、歩いてきた道のりを否定すると言う事は、キミが言う通り知覚で来た今を否定する事になるからね!」
「だーーー! 近い近い近い! さっきから距離感たまにバグってんぞ!」
「仕方のない事なんだ! 昨日の自分は今日の自分よりも絶対に無知! 今日と言う今を知ったその瞬間から昨日までの自分を遥かに上回る知識量なんだから!」
「だーーーかーーーら! その熱量はアイツとの再会に取っとけてーの! オレはエミリアたんとレム二筋だ!」
正々堂々と二股宣言。
そういえば、試練で親にはドン引きされたが、魔女であるエキドナにはどうか……とも思わなくも無かったが。
特に変わる様子は無かった。
いや、確かに次の再会の機会に取っておく、と言う言葉は身に染みた様で、少しだけ落ち着き、離れてくれた様だ。
「……つまりは過去に向き合い、その結果導き出される君の答えの全てを肯定しよう。背を向けようと、乗り越えて礎にしようと、過去を乗り越えた証には違いないのだから」
「つまり、試練はクリアでOK?」
「ああ、そうさ。OKさ」
「……自分で言っといてなんだけど、よくOKとそのポーズ知ってたな」
人差し指と親指で円を作り、更にはウインクをして『OK』。完璧の一言である。
「まぁ、当然の嗜みと言えるものさ。異文化交流には力を入れているからね」
「あーー、そういや、兄弟もそっち方面に熱心だったっけかな? ……つまりその辺をどうにかこうにかしたって感じか」
「そうそう! そして君の一部始終も見せてもらったボクは十分な結果を得られた、と評しているよ」
「アレの存在を知った上でか。難易度鬼上がりってイメージだったが無事得られたのなら僥倖……つってちょいまて!」
クリアできた事に対しては良い事だ。
でも、スバルは看破できない部分がある。
「お前、俺が鼻水垂らして泣いてた所も見たってのかよ!?」
「ああ、勿論! ごべんなさい! うんうん。涙を誘う術に関しては君に大いに勉強させてもらったよ。何せボクの瞳が潤むところがあったんだからね」
「ああああああ!! うっせうっせうっせーー! 誰にも言うなよ!? 兄弟には勿論、お前が愛してやまないアイツにもだ! 絶対にいうなよ!! あああ恥ずかしい!!」
例えどんなところを見られても―――と思うくらいに濃厚な時間を過ごしてきた間柄とは言えど、観られたくない場面だったのは間違いない。単なる引きこもりだった、と言う事以上に、あの情けなさは……如何に受け入れた後だとしても、まさしく自分の恥部。そんな所を見られるとか知られるとか、どんな羞恥プレイだよ、と言いたくなる。
出歯亀された事実も中々来るものはあるが、その好奇心だけはいただけない。スバルの家族への侮辱ともとれるものだから。
「まぁ、ただ惜しむらくは、キミが過去と向き合う煩悶は既に答えを得ていた、と言う所だろうね。僕はどんな答えでも歓迎するけれど、その答えに至る経緯、過程も重視している。価値がある、と思っているんだ。足掻いて足搔いて、その先に導きだされた答え。実に美しいと思わないかな? ……が、生憎と試練は出遅れてしまった様なのでそれを楽しむのは出来なくなってしまった訳だが」
「……」
それに関してはご愁傷様、と言いたい。
過去のトラウマと両親。相対して煩悶の果てに乗り越えさせる?
「どうしようもなかったオレが背を思いきり蹴られた。蹲ってたオレに立ち上がる術をくれた。……そんな情けないオレを英雄だと言ってくれる子がいる。今更ってなもんだ。既にオレはオレのダメな部分をまるっと受け入れてる」
「ふむふむ。つまりはボクの楽しみを奪われた気分にさせられた、と言う訳か。……でも、その内に居る存在が彼らも含まれているのだから複雑な所だよ。また会えたなら、今度こそ永久に悠久の時を共に過ごそう、と伝えておいてくれないかな? 勿論この場所に来る事も大歓迎さ」
「スゲープロポーズ。魔女の言葉は重みがちげぇな。……ま、笑っていそうだけど、アイツなら」
スバルはそう言いつつも、本当に聞きたい事を改めて考える。
沢山あったのは事実。
外の事だって知りたかったし、兄弟が戻ってきてくれたと言う事実も当然嬉しい。心底嬉しい。
それでいて万全を期して、試練の事を聞けると言うのなら、思いの他プレッシャーが抜けるというもの。
だから、最有力候補たちをどんどん省いて省いて……その次に聞きたかった事をエキドナに聞く。
「最早聞くまでも無い事だけどさ。この世界ってのは―――」
「この世界? ああ、キミが見てきた世界の事かい? そうさ。君の記憶を頼りに限りなく忠実に再現した世界だ。その世界を書き換えたり作り変えたりしていた事もあって、記憶だけに干渉する訳じゃなかったかもだけど、少なくとも君の試練においての世界は考えてる通り、だね。――――だから」
エキドナは、スバルの眼を見ながら言った。
―――君の本当の両親は、キミがどこで何をしているのかなんて知らないまま。行方知れずになった息子の事を心配しているだろうね。