Re:ゼロから苦しむ異世界生活 作:リゼロ良し
何はともあれ、スバルとツカサは利害が完璧に一致。
ロズワール邸攻略2週目で共闘する事に。
でも、だからと言って 《アーラム村に滞在の許可》と言うのが当初の願いは変わらないし、変えられない。
何でも望みを叶える、思いのまま、遠慮無用、等々言われてはいても、もう願った事をたった1日で変える。スバル同様にこの【ロズワール邸での永住権】など主張すれば、まだ姿が見えない敵……暗殺者の行動が変わるかもしれないから。
少なくとも、限りなく忠実に前回通りに事を運ばなければ、また違った道順となり不測の事態が生じる事も容易に想像が出来る。
なので、ほんのちょっとした変化を起こした。
《スバルが殺害されるであろう日に、ツカサも自然とロズワール邸に居る》
それを考えた結果が、あの《ロズワール邸にたまに遊びにきて、ご飯を肖る》と言った新たなる願い。
一応、自然に言えたつもりだし、何より ロズワール達の誰一人として難色な顔を示さなかったのも大きい。パックの様に読心を使えるワケではないが、中々の及第点では無いだろうか。
当初は ベアトリス辺りが、辛辣コメントを残しそうだと危惧していた。
もしもそうならその時点でこの願いも難しくなっている。円満に迎えられる、領主の命令ではなく全員が、が理想的な形だったので、そこを 変える為に またいきなり前言撤回するのも不自然だ。
交渉事には、
でも、結果は 色々と危惧していたその心配は杞憂に終わった。
ご飯を食べにきたい、と言う願いに対し、ベアトリスは難色を示す事は一切無かったから。
それが演技ではない事は、間違いない。何せスバルの 《
それも、パックと戯れて、クルルとも戯れて、ご満悦だった顔がほんの一瞬で歪むほど。
……あれ程《
『オレと全然ちげぇ!』
とスバル自身が、ツカサに対するベアトリスの対応に関し、盛大に文句言ったのも当然な事だが、生憎 それは第三者から見ても明らかだ。
スバルは 無礼、喧しいやら煩いやら鬱陶しいやら(ベアトリス談)の性格。それに加えて、扉渡りをあっさり破ってきて、初対面の段階で かなりの不興を買っていた。
なら、ツカサの方はどうだろうか?
そんなのは考えるまでも無い。
本人も対象にするのが可哀想になる、とまで言っている。
礼儀は勿論の事、クルルと言う新たな幼女の友達を紹介してあげた上に、マナ徴収まで眉一つ動かさず了承との事だ。加えて王都では エミリアを守った功績、その配分はどう客観的に見てもスバルより上だと、スバル自身も認めている。
それに加えて、ツカサの力の一端を聞いた。
自分がループすればする程、ダメージ倍増しで帰ってきて、リセットされないのは、正直発狂もの……と思ったが、それ以上にその力の凄さが伝わってきている。
正直スバルから見たツカサは スバルを路地裏のチンピラから助けてくれて、そして あの腸大好きサディスティック女こと、腸狩りのエルザとの一戦、最終局面で駆けつけてくれて、解決に導いてくれた白馬の王子様 ラインハルト。……それと同等以上のモノをツカサには感じているのである。
ただ、それでもエミリアのハートは自分のモノ! と恋敵としてツカサを見る面だけは捨てられない様だが。……幸いにも、エミリアに対する恋慕の情は持ってないらしく、友達以上親友以下の範囲内との事。――――でも、全く安心はできない様だが。
「(んーー………大丈夫なんだろうか………? 前回の連続
アーラム村に居る間は、当然ながらロズワール邸での出来事は解らない。
その辺りはスバルが頑張るとの事だ。
何が何でも生き残る所存、最終日? のエミリアとの約束を果たす為に、と奮起している。
それに、ツカサ自身についてもスバルは相応な責任を持ち合わせてるつもりだった。
あの死の苦しみ、そして繰り返す孤独。見えない傷を、見えない刃物で何度も何度も刻まれる様な感覚を共有してくれてる間柄だ。
《死に戻り》その本当の意味での原因はよく解ってないが、
後は、ツカサと言う紛れも無いこのエミリア派最強クラスの実力者が自分と一蓮托生と言ってくれた(?)安堵感だって当然ながらしめているのである。
そんなスバルの事を信じている……と、までは正直中々思いたくないのは仕方が無い。
辛辣だと言われたとしても、スバルは王都の1日で3度。……確かに、エルザと言う殺人鬼がいたとしても、こうも短時間で何度も何度も殺されちゃってるので……、仕方ない。
「ツカサーー!」
「どーーしたの??」
「遊んで遊んで!! 飛んで飛んで!!」
色々と考えに耽っていたが、ツカサ自身も上の空になるワケにはいかない。
ツカサ自身もアーラム村で2週目を頑張る所存だから。スバルの死に関しては、色々と疑う余地はあるものの、この村自体が良い所である、と言うのはたった4日でも解ったつもりだから。
「よっし! あんまり、高くは飛ばさないからな? 皆のお父さんやお母さんに心配かけたくないし? 解ったかな?」
「「「「はーい!」」」」
スバルの事は取り合えずスバル自身に任せ、ツカサは元気いっぱいの子供達と遊ぶ事に集中するのだった。
一方スバルはと言うと……。
ロズワール邸初日目の業務を終え、自室に戻っていた。
「ぐっはーぁぁぁぁぁ、つ、つかれた………」
2週目、雇ってもらって2度目。
ある程度は勝手が解ってるので、前回をなぞる事に集中でき、余裕も生まれてるだろう……と高をくくっていたのだが、淡く打ち砕かれる。
雑用の中身の濃さが1週目とは段違い。
任せられる仕事の質と量が劇的に変化。
ツカサも言っていたが、可能な限り前回と同じように沿って行っていけば、同じ道となるだろう……とスバル自身も同意していたのだけれど、全く濃さが違う。
小さな差異を無視した事で、やがて起きる大きな問題がズレる可能性もあるから、安心など出来ない。バタフライエフェクトと言うヤツだ。
ツカサは4日……つまり、スバルが殺される日にここへやってくる手筈になっているのだが……、その日時さえズレてしまわないか? と不安も少なからずあるのだ。
「色々と不安だらけだよ、おまけにロズワールと入浴しちまうわ、オレの魔法適正がデバフ特化だわ、散々だった……」
前回と違う点。
お風呂タイム、安らぎの憩いの場でもある入浴タイム中にロズワールが乱入してきた。
断ったのだが、相手は館の主だ。好きな時間に好きな様に入浴する権利は当然の事、スバルの願いは却下されて、一緒に仲良くご入浴。
その時、前回知らなかった情報を沢山聞けた。
主に魔法の事で……、魔法には基本となる4つのマナ属性あり、火・水・風・土と言った属性が基本1つ存在するとの事。
そこでスバルは意気揚々とロズワールに鑑定を依頼。
結果が―――4属性オール却下。スバルの適正は《陰》。
4つの属性以外に《陽》と《陰》。光と影のような属性も存在する事をここで知り、生憎該当者が極めて少ないから省かれたとの事だ。
そこに目を付けて、類稀なる属性、実はすごい、5000年に1人、とスバルは興奮していたが、その魔法の能力説明を受けて、再びダウン。
陰魔法は 相手の視覚を塞いだり、音を遮断したり、動きを遅くする、等と言ったのが有名なモノ。
つまり、スバルが言う
「はぁぁ……、だが、こんなに疲れてると言うのに、なぜオレは身体が勝手に動くのか!? オレはなぜこんな、気合を入れてベッドメイクをしているのか!?」
口では疲れた疲れた連呼していても、身体はてきぱきと動いている。
そう、ベッドメイク。チリ1つ、シワ1つ見逃さず完璧に。
それにも勿論理由があり、夜に部屋にやってくる人が居るのだ。――――エミリア………ではなく、ラムが。
意中の相手とは違うとはいえ、ラムも口は悪いが美少女に分類される。無意識下でベッドを丹念に念入りにするのは男の子としての性。仕方が無い事なのだ。
結局―――ラムは、夜にスバルの元へ来た理由はスバルに読み書きを教える為だった。
色々と指示を残したり、買い出し等の仕事を頼んだりする時、読み書きが出来なければ話にならない、
因みに、丹精込めてメイクしたベッドは使われた。
スバルが勉強する最中、居眠りをラムがする為に。
その後多少なり前回と比べて差異はあったものの、問題の4日目に突入。
そして、予定通り スバルはアーラム村へとやって来た。
「エミリアたんは、わたせーーーんっっ! いっくら、相手が兄弟だったとしても、まけられーーんっっ!!」
「おおーー! やしきの人だーーー!」
「あたらしいヤツだーーー!!」
「目つきわるーーーい!!」
「ぐええええええっっっ!! やっぱ、容赦なしか、お前ら!」
スバルは予定通り? 或いは本心のままに? ツカサを見て突進開始。
そして、予定調和が起きる。見事、子供達に返り討ちにされたのだ。
束になって、スバルの腹部目掛けてタックルされれば、幾ら体格で勝っていても、押し倒されるのは仕方ない。
「何やってんの、ははは……」
そして、予定外の事も起きていた様だ。
前回、4日目にアーラム村へと買い出しに来るときは、ラムが同行していた様なのだが、今回はレムがスバルと一緒に来ていた。
「あ、レムさん。丁度良かった……」
「はい、何でしょうか」
多少は戸惑うが、表情には出さない様にして、ツカサは遊び続けるスバルとは別行動。
レムの所に行った。……当然、交渉だ。
「今夜は村の仕事も無いみたいだしさ。……えっと、構わない……かな?」
「きゅきゅっ! きゅ~~♪」
「わっ」
ツカサが頼むと同時に、タイミングを見計らったかの様にクルルがレムの肩に乗って、その頬に頬擦りをしていた。
姉第一主義であるレム。何処か冷めた様な表情を見せる事も多々あったが、愛玩動物な所があるクルルになつかれてしまえば、邪険に出来るワケも無く。クルルの愛らしさも加わって、レムは強張っていた頬を緩ませた。
「勿論、ロズワールさんにも聞いてみた後、って事になるけど……」
「ロズワール様からは、ツカサ君の言う事は
取り合えず、ロズワール邸のメイドであるレムの許可。誰かの許可を貰う事、第一関門クリア……だったが、ロズワールが中々に重たい命令を下してる事に目を丸くさせた。
《何でも聴く》は流石に重すぎるだろう。
別に変な事を頼んだりするつもりは毛頭ないが、もしも自分が悪い奴だったらどうするのか、と思わずにはいられない。不用心だ、と。
「な、なかなか重い事を伝えてるみたいだね……。何でも、ってこの間 了承してもらった以上の事は言わないからね? 一応、念のため」
「……はい。レムも、解ってますよ。ツカサ君が
レムの笑顔を、自分に向けられた笑顔をこの時初めて見た。
少しでも信頼を勝ち得たのなら、それ程好ましいものはない。
「それは嬉しい評価を貰ったよ。ありがとう」
「いえ。この村でのツカサ君の評判はレムの耳にも届いています。森の結界の一部破損をいち早く見つけて頂けた事に対しても、感謝を」
レムは優雅にメイド服、スカートの先を抓み、お辞儀をした。
その表情には笑顔も見えているから、何処となく嬉しかった。ラムよりもレムは本心をその顔に見せない様な気がしていたから。
初対面で、知り合って間もない相手に早々見せるものでもないかもしれないが、ベアトリスやスバルと言った、中々に強烈な印象を持つ者と対峙してきたから……。
その後、買い物が終わるまで、付き合い……スバルを迎えに行った。
ボロボロのギトギトにされたスバルが眠たそうに佇んでいる……のも予定通りだ。
ただ、スバルの隣にいるのがラムではなく、レムとツカサの2人である、と言う事を除いて。
―――いよいよ、ここからが正念場である。
明日の朝日を無事迎えられるかどうかの……