Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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ラムの楽できて、ちょっぴり不満な1日

ラムの1日。

 

 

それはまず始めにレムが起こしてくれる所から始まる。

 

寝付きが良い訳でも寝起きが良い訳でもないラムは、朝が結構弱い。

理由の一つとして、ロズワールとの蜜月。

……と言う名の、マナの移譲を行っているが為に、就寝につくのが遅くなる時は多々あったから。

 

 

鬼族が有する額の角……があった名残、その傷跡を通して、マナを注がれる。

その感覚は肉体が活力に満ち、ゲートが温もりで膨らまされる。……至上の甘美な感覚は、多幸感を齎してくれる。

 

ラムは、夜の度、マナを注がれる度に、その甘美を堪能する度に、甘い声を上げ続ける。

艶っぽく頬を染め続ける。

 

その様子を幾度もなく見続けているロズワール。そして、()が来る前までは、ラムはロズワールを誘惑していた事があったが。

 

《娘も同然の相手を? 変態悪徳貴族の面目躍如といった所じゃなーぁいの。わくわくするねぇ?》

 

と、軽く躱される事が定番だった。

 

 

 

だが、それは()が来る以前までの恒例行事であり、現在は少々違う。

 

 

マナの移譲はロズワール以外にも出来る事が判明した為、する必要がなくなっているから、ロズワールとの夜の営みは現在殆ど行われていない。

と言うより、意図的に頼むように操作をロズワール自身はしているつもりだ。

 

 

それは兎も角、ラムは夜が長いが故に、朝が弱い。

レムと違う点の1つでもある。

 

 

 

それに、最近朝が弱いのは、ロズワールの時とはまた違ったお勤め(・・・)を果たしているから、と言う理由もあるが、それは後程。

 

 

「………ツカサ」

 

 

レムに朝起こされて、目を覚ました後しっかりと身支度を整えて、レムにも確認してもらって、万全の体勢で最初の仕事に取り掛かる。

 

一室で深く眠りについている青年を起こす事。

 

いや、起こすというのは、少々語弊がある。

起こすのではなく、自然に目を覚ました時にその視界の中にラムがいる事。それを目的としている。

 

だから、今朝も日が昇る前に寝台の傍に設けられている椅子に座ったまま、彼の寝顔を―――ツカサの寝顔を眺める。……心行くまで楽しんでいる。

 

このお勤め? の当初はツカサは目を白黒させて、色々と他の仕事に支障が来さないか? とラムに心配? を言ったりしてるが……。

 

《何処かのバルスと違い、いつまでも眠りこけたりしないから、特に問題ない》

 

と、よくわからない解答をラムは言っていたりする。

 

ラムの時間が、自分自身にとられるのは事実だから、何度かツカサは。

 

《無理にしなくても構わないよ》

《他の仕事を優先してくれても》

 

などなど説き伏せる様に、角がたたないようにやんわりとラムの朝のお勤め? を回避しようとするのだが。

 

そこはこの屋敷の当主、トップであるロズワールが一言。

 

 

《貴族式の接待、応対、応接、接遇、礼遇……等々、とにかく最上級、至上のものだーぁよ。果たせなければ、メイザース家の名折れだーぁと言って良いねーぇ》

 

 

完全にラム側に立つ感じで本当に名折れなのか、そんな大袈裟な事になるのか、ツカサにはわからない事を言われた。

そして、ロズワールの隣に立つラムはと言うと、お墨付きを貰って御満悦~と解るように渾身のドヤ顔と共に優雅な仕草で告げる。

 

 

《これはラムの仕事の1つだから、だから、ツカサは我慢も遠慮もせず受けなさい》

 

 

まさに有無言わさぬ勢い。

結果、やや強引ではあるがツカサは自分自身を納得させる形で(自己暗示?)ラムに委ねる事にしたのである。

 

自己暗示を続けて最終的には ラムの仕事なのなら、その仕事の1つを奪うというのも、ある意味では悪いのでは? との結論に至るツカサは、取り合えず何も言わず。ある程度のラインを越えなければ、羞恥ゲージが突破されない限りは言わないように心がけたのだ。

 

 

 

孤独より起きた時に、誰かが傍にいてくれてる方が良い。

その安堵感は、ツカサにとって魅力的であるのは間違いないのだから。

 

 

 

「………こうしてみてると、やっぱり幼さが残る顔……ね。それに」

 

 

まじまじとその寝顔を思う存分堪能するラム。

視線はツカサの寝顔に向けられていたのだが、次に左側……ラムがいる反対側の肩傍にいるクルルに注目する。

 

普段は、ベアトリスと寝食を共にしていたのだが、今回はツカサの元へと戻ってきていた。

 

 

「クルル様も、そう。規格外。……似たもの同士、と言う事なのかしら……? そもそも精霊をずっと顕現し続けるのって、極めて異常な筈なんだけど」

 

 

ツカサの傍で眠っているクルルも似たような感じだ。

高位の存在であるのは、大精霊パック、そしてベアトリス同等の存在である事は解っているが、契約など、特殊なベアトリスはさておき、純粋にツカサと契約してるであろうクルルの活動限界値が見えない所は、凄いを通り越して異常だというのがラムの認識であり、評価。

 

 

「ん――――……」

「っと……」

 

 

クルルの方を見ていた時に、ツカサが寝返りをうったものだから、反射的にのけ反らせるラム。

寝返りをうつなんて、珍しい。それに寝返った方はラムが丁度見ている右側だ。

誰かが居る、ラムが来ていると分かったが故の反応だろう、とラムなりに解釈。

 

 

「そろそろ起きる時間ね。……………」

 

 

じ――――っ、と食い入るように見つめるラム。

 

いつまでも見ていたい―――と思う反面、早く起きてほしい、と言う少々矛盾した、相反した感情が渦巻く目で、ツカサを見ていると、次第に瞼が数度動き、ゆっくりと開かれた。

 

 

まだまだ朦朧としているのだろう、何度も小さく短く瞬きをしていて、その仕草はまるでラムの事を探している様だ。(ラム談)

 

 

「朝よ。そろそろ起きなさい」

 

 

そして、はっきりと瞼が開かれ、且つ焦点が定まっているのを確認すると同時にラムは胸を張って、次の(・・)仕事を開始。

 

 

「んん………、おはようぉ、……ラムぅ」

 

 

くぁぁ、と小さく欠伸をしつつ、上半身を起こすツカサ。

目尻を数度擦って再び欠伸を1つ。

 

 

「美少女のラムが朝1番で起こしてあげてるのよ。もっと言う事があるんじゃない?」

「ん……、えっと……。うん。そう、だね。いつも起こしてくれて、ありがとうラム」

 

 

このやり取りも恒例行事だ。

ツカサも何気に楽しんでいたりする。笑いながら受け答えをしている様子を見ればきっとそうだ。

 

 

 

「……あ、でも着替えはちゃんと1人でするからね? 毎度の事だけど念のため」

「毎度の事だわ。それ今更気にする事? 血を吐いて倒れてた時に既に、ラムは全部、色々見てるのに(・・・・・・・)

「…………忘れてくれた方がありがたいよホントに。お願いします、ラムさん」

「それは無理ね。でも安心しなさい。ラムの私見ではツカサのは良い線いってると思ってるわ。そうね、比較対象としては不本意で不愉快だけれどおおよそ同年代のバルスかしら。……向こうは呆れ果てる程、遥かに粗末だもの。ハッ。雄としても残念極まりないわね」

「無理って……、いや、それよりそれが何で安心なのかわからないし、ソレって他の誰かと比べたりする事じゃないよね!? あーもうっ! 目、完全に覚めましたー!」

 

 

 

ある程度の一線は超えてないのもいつも通りである。

なんでも、ロズワールが一番スゴイ(・・・・・)とラムは言っていたが……、ツカサには羞恥心と言うものがあるので、それ以上は深く追及したりはしないのである。

 

それにしても、この場にスバルがいなくて良かったのは間違いない。

雄として~と、異性であるラムに言われるのは……幾らラム相手だったとしても、心のダメージはハンパないだろうから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツカサも完璧に準備ができたので、続いてラムは仕事内容を、ツカサの前で(・・・・・・)再確認。

 

 

「ええっと、今日のラムの仕事は庭園の手入れ、周囲の確認。昼食の準備を手伝って、銀食器を磨いて、それから……」

「うんうん良いよ良いよ。了解。オレも手伝うからね」

 

 

仕事多いアピールする事によって、苦労しているラムを助けなければならない、と言う庇護欲が出る(との事)。

 

 

 

と言う訳で、基本的に仕事をツカサに手伝ってもらう事で、ロズワール邸で気兼ねなく暮らせる為の措置だ。

 

ラムも楽を出来、ツカサにも屋敷の仕事が出来る。

スバル風に言えばウィンウィンな関係なのだ。

 

 

 

―――基本的に、ラムが得をして、楽をしているだけなのだが、そこはあえて触れていない。スバル以外は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

庭園の手入れ、主に草木の選定や伸びすぎた芝刈り、綺麗に整えていく。

 

 

「ラムの仕事から学ぶべき所、気付く所が多くあるんじゃない?」

「うん? んーラムもそうだけど、やっぱり レムがいつも大変で、凄く頑張ってる、って事がよく解るかな」

「当然よ。レムは ラムの自慢の妹だもの」

「結構皮肉を言ったつもりなんだけど、ラムって本当にめげないよね」

「常に前向きな所がラムの美徳でもあると思っているわ」

 

 

ラムはレムに頼っているので、そのフォローをレムがしてくれている。

だから、レムは自分の仕事+αとしてラムの仕事の手伝いもしてるので、本当にスゴイ。………が、基本的にロズワール邸は、あまりにも広いので、正直2人では不可能だと思う仕事量。

 

ラムも、色々と楽をしている様に見えるが、よくよく考えてみると、普通に村で任されていた仕事と比べてそん色ない程の仕事量を熟している。……仕事の出来は兎も角。

 

 

 

 

 

 

そして、庭園の手入れが終わった後は昼食の手伝いを開始。

 

芋の皮むきをせっせとラムとツカサは熟し、レムはスバルと共に、下拵えを済ませていく。

ツカサは 客人的なポジションだったのだが、いつの間にか使用人ポジションになっているのにももう慣れた。

 

 

「オレの方が先に家事仕事してるのに、どーして後から始めた兄弟の方がオレよりスキルが上なのか不明な件」

「ハッ。身の程を知るいい機会よ。落伍者なバルスは求めるだけ無駄だって事を」

「ヒデェ! 辛辣ってレベル遥かに超えちゃってて、最早オーバーキルだよ!」

「まぁ、基本野営とか自炊とか、一番最初にそれなりにしてきたからね。期間自体は短かったけど、経験が活きたって事だよ」

 

 

スバルの文句? 嫉妬? に対して、一蹴するラムと事情説明をするツカサ。

 

オットーと共に行動をしていた時は、野営することが多かったし、最初は色々とぎこちなかったが、ある程度熟していく内に、出来るようになったいたのだ。

その旅? を知らないスバルにとってすれば、何でも熟すツカサが眩しく見えてしまっても仕方ない。

 

それでも期間にしてみれば、ほんの数日程度だから、呑み込みは早い分類だと思われる。

 

嫉妬を向けるスバルだが、実はそれは同じで数度繰り返してきた家事スキル。あの魔獣騒動を超えた後もしっかり研鑽を積んできた使用人としても家事スキルは、それなりに上がっている。

 

だが、ある意味スバルもレム同様、自己評価が低い、過小評価気味になってしまっていたりするが無自覚である。

 

 

「姉様もスバル君もツカサ君も、皆素敵ですよ! レムはとても助かってます」

 

 

因みに、以前までは姉至上主義だったレムも、打ち解けた身内に対しては皆等しく甘くなっているのである。

 

順位をつけるとするなら、ラム≧スバル≧ツカサにはなる。それと、自分自身を圧倒的に下げてるからめちゃくちゃ甘々なのは言うまでもない。

 

 

 

 

「じゃあ、ここからはマヨネーズ作りですね」

「バルスしか喜ばないから、ラムは一抜けするわ」

「いや即答ですかよ姉様!」

 

 

スバルが考案? した新たなる調味料マヨネーズ。

屋敷でも常備しておく事となり、それなりに好評で作り置きする事は業務の一つではあるのだが、基本的に禁断症状? が出てしまう程好物なのはスバルだけで、スバルが喜ぶ調味料=マヨネーズだから、ラムは面白くないのである。

 

 

「この中でラムが一番マヨネーズ作るのは上手いんだけどね」

「あのビックリするくらい器用だった魔法()の使い方な。オレが死ぬほど好きなマヨネーズを、こうも要領よく作っちまう所は、ほんっと尊敬に値するよ、姉様」

「ああ、こんなに心躍らない賛辞の言葉があるのは、ラムもビックリ」

 

 

マヨネーズ作りは主にかき混ぜ。

人力では不可能だと思える高速回転を可能にしたのが、ラムの小規模な風魔法。

器の中で見事な力加減でかき混ぜ続けて、容易に完成させてしまったのは、驚きを通り越えて、憎らしくも思えたのは最早良い思い出だ。

 

 

「んじゃ、オレは更にビックリしたよ、色々とレムに自信を持たせようと思って開催したって意図があったマヨネーズ作りだってのに、ラムが空気読まずにやっちゃったんだし? あん時は 兄弟とオレのフォローがなけりゃ、レムがもっと落ち込んでたぞ」

「風を読むのが得意なラムに何たる暴言。あまりマナを使えないラムをツカサが使える様にしてくれたんだから、その結果よ。つまりバルスはツカサを責めてる、って事ね」

「なんかすっげぇ、曲解したよ!! 剛速球が超変化球した挙句にデッドボール直撃、戦線離脱だよ! なんでそーなるんスか、姉様!」

 

 

普段のラムであれば、マナの使用限度と言うものがあるから、完成させるまでには至らなかっただろう。

 

だが、そこはマナブースター的な存在、ツカサのお供、クルルが活躍してしまって、完成へと導いてしまったのだ。

 

 

「まぁまぁ、最終的にはマヨネーズの最適な味付けはレムが導いてくれたんだから。結果的には全員が力を合わせて頑張った、って事で落ち着いたじゃん? あの時は」

「ほんと、優等生なコメントだーぁよね~、直視できないよ、眩しすぎて」

「いやいや、自然と二人のやり取り見て聞いてたら、こうなるから。見ててわかんない?」

「………言いたいことがよーく解るのが、何か悲しくなってくる」

 

 

とかなんとか、色々とやり取りが続き、結果的にラムは一抜け、と言った筈なのに最後まで一緒にマヨネーズ作りまで完遂させたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、昼からの仕事は大体掃除関係が始まる筈だったのだが……。

 

 

「ん? あれ? 昼からの仕事……屋敷の掃除なんじゃなかった?」

「今日はバルスが、ラムの為にどうしても働きたい、って申し出たから、その時間まるまる休憩になったわ。だから、ツカサもご苦労様」

「あ、なるほど。了解了解」

 

 

ラムが楽をする為に、スバルに仕事を押し付ける、と言うのも結構な頻度で行われている。

そして、どこに隠し持っていたというのだろうか、ティーセットを取り出したラムは、いい笑顔でツカサに言った。

 

 

「ラムとお茶でも付き合いなさい」

「ん。付き合いますよ。お姉様」

 

 

食堂にて、ラムとツカサのティータイム。

今日も1日仕事ご苦労様……と、半分しか終わってない筈なのに、まるで仕事全部終わったかの様な爽やかさで、お茶を啜っているラムとツカサ。

 

 

「今日は、庭園の手入れの時 風の魔法使ってたみたいだけど、大丈夫だった?」

「ええ。問題ないわ。自分の限界くらいちゃんと見極めてるもの。決して無理せず、己の体調管理を完璧に。それが何より大切。誰よりもラムはそれを知っているのよ」

「そりゃそっか」

 

 

結構日ごろから仕事の楽を求めるラム。

よくよく考えてみれば、このティータイムも楽したいが故に行われてるも同然だから。

 

 

「それを言うなら、ツカサの方は大丈夫なの? レムやエミリア様の魔法も受け付けない難儀な身体をしてるんだから」

 

 

ツカサが、ラムの事を心配してくれてるのは、当然! と思いつつも表情には出さず内心では嬉しいラム。それと同時に、イメージしてしまうのは、やはりツカサの身体の事だろう。

そもそも、他人の事を言う前に、自分は大丈夫なのか? と思う事は多々ある。

 

 

「それこそ大丈夫。最近じゃ、戻る(・・)事はないし。大きな事件だった魔獣騒動も解決してるし。だから、今後そうそうスバルが死ぬような事は無いでしょ?

だからあまり心配してないよ」

「心配はしておいた方が良いわ。バルスは死にやすいもの」

「うーん……確かに。否定出来ないのがなんか悲しいよ。そうならない事を心から願ってる。ほんと」

 

 

物騒な話をするもんじゃないな、とツカサは話題を変えようとしたその時だ。

 

食堂の扉が開いたのは。

 

 

「あ! ラムとツカサ。休憩中? 邪魔になっちゃうかな?」

 

 

入ってきたのはエミリア。

まだ時間的に昼食には早過ぎるが、どうやらエミリアもお茶を飲みに来た様だ。

 

 

「いえ、大丈夫ですよ、エミリア様」

「それに、エミリアさんを邪魔だ、って思う人ここにはいないんじゃないかな? 友達、でしょ?」

 

 

ツカサは、笑顔でティーセットの中からカップを一つ取って注ぐとエミリアに差し出した。

 

 

「お友達がいないリアにとって、この上ない言葉だよね~ボクからもお礼を言うよ、ツカサ」

「んもう! パック!!」

 

 

エミリアが本当に嬉しい、友達と言ってくれて嬉しい、と強く感じた心に反応するかのように、パックが出てきて、中々に辛辣な台詞と共にツカサに感謝した。

当然、不本意な事を言われてるエミリアは猛攻義しつつ、パックの頬をつねる。

 

色々と収集がつかなくなる前に、ツカサはクルルを召還。パックの相手を任せて、エミリアはその意図を察し、また笑顔になって今度こそカップを受け取った。

 

 

「ふふ。ありがと、ツカサ」

「いいえ。王選の勉強お疲れ様です。……大変だ、って事くらいはオレにも解りますから。オレに出来る事があるなら、いつでも言ってくださいね? ……力になれる事は少ないかもしれませんが」

 

 

王選については流石のツカサも知識不足だ。

何をどう力になるのかさえ分からなく、物理的な脅威、危険を回避する事なら手助けできると思われるが、民衆の支持を得る為に、何をどうすれば良いのかは、正直解らないし、その分野においては力不足は否めない。

 

 

王選は兎も角―――エミリアのハーフエルフの境遇について位は、しっかりと学んだ。

 

 

四面楚歌。周りが怨敵を見る様にしてしまう感情、感性は仕方ないのも解るが、だからと言ってエミリアが悪い訳ではない。それはツカサにも解る。スバルに言われるまでもない。

 

 

「ありがとう。少なくなんかないよ。ツカサにはすごーく助かってる。勿論、ラムやレム、スバル、……皆にもね。恩を返せるように、私も頑張らなくちゃ」

 

 

味方自体が少ないという事はエミリアも自覚している。

だからこそ、その気遣いがとても嬉しいのだ。何より裏表がないツカサやスバルの言葉は、本当に嬉しい。

 

それと、恩に感じることはない、と常日頃伝えているが、その辺りはエミリアの性格なので、仕方ない、とある程度は受け止めている。

 

 

「スバルがここにいないのは残念だったかな? エミリアさんから聞けなかったって知ったら、悔し泣きしそう。いや、お茶会をしてるだけでも、十分その案件か」

「居たら居たでうるさいだけよ。それとツカサの半分くらいの謙虚さがバルスにほしいわ。無駄に自信満々だから」

 

 

 

エミリアを含めた、3人+精霊2匹のお茶会は盛り上がり、後にラムの仕事分を終えて戻ってきたスバルは、案の定盛大に羨ましがるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その日の夜。

 

 

「疲れてるのに、ほんとありがとラム。オレ、イ文字はともかく、ロ文字はまだまだ完璧じゃないから、凄く助かってる」

「文字を読めるようになるのは、結果的にラムの助けになるから問題ないわ」

 

 

 

業務――ではないが、ツカサの勉強会をラムが開いてあげている。

因みにレムはスバルに対して教えている。

 

 

基本的には、只管ロ文字を書いて書いて読んで読んで、を繰り返す勉強法。

 

後はベアトリスの禁書庫から借りてきた(当然持ち出しOKなもの)ツカサのレベルに合わせたいわば参考書を読んで見せて、ラムに判定してもらうのだ。

 

 

ロ文字を、時にはイ文字の復習。

幾度も繰り返していく内に、それなりに時間は経過する。

 

 

あまりにも単調な勉強法なので―――。

 

 

 

 

 

 

「ぐぅ」

 

 

 

 

 

ラムの方が先にダウンしてしまうのは、最早恒例だ。

 

最初こそは、戸惑ったり、このまま、男の部屋にラムを寝かせたままなのは、あまりよろしくないのでは? と思ったりして、レムやエミリア、晩酌をしているロズワールに相談をしに行ったり、と結構てんやわんやしていた。

 

ラムは容姿端麗、美少女、と自画自賛をしているのだが……、実際ツカサもその通りだと思う部分は当然あるし、男の子だ。

 

無防備に眠っているラムを見るのは、なかなかに刺激が強かったのだが、恒例になってしまった今は、大分大丈夫になってきている。

 

大丈夫になった、と言うより、どちらかといえばツカサの精神力が向上したと言うのが正解だ。

 

 

 

それはそれで、ラムにとってすれば不服極まりないのは、また別の話。

 

 

「今日もお疲れ様、ラム。………クルル。やるよ」

「きゅっ!」

 

 

ツカサは、眠りについているラムの額を撫でた。

すると、肩に乗っているクルルの額の紅玉が淡く光りだす。

 

その光は、ツカサの肩、腕、手……ラムへと伝わっていき、淡く赤い光がラムの中へと角の傷跡を通して入っていく。

 

 

光が注がれる度に、紅潮させる顔。

喘ぐような艶やかな声。

ラムの全てが刺激が強すぎる。

 

 

おまけに、ロズワールから、問題ないよ、と了承を(勝手に)貰っているのもそうだ。

 

当然、寝込みを襲う様な真似はクズがする事なので、ツカサは やんわりとスルー。

 

 

《じゃあ、起きていたら良いの?》 

 

 

とパックに言われてもスルーを貫く精神力を持ち合わせているのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、ラムの夜のお勤め――とはこのことである。

 

 

 

以前まではロズワールが行っていたマナの移譲を、ツカサが行っていた。

始まりはそれとなくロズワールに頼まれたから、と言うのもあるし、その以前から、ラムのマナ移譲は行っていたので、特に問題視する事なく、勤めている。

 

 

そして、それを終えた後、ラムは自分の部屋までツカサに運んでもらって、ラムの1日は終わりを告げるのだが……。

 

 

 

「………()として ほんと、どうなのよ」

 

 

 

これが数度続けば、逆に手を出されない事にそれなりに不満を覚えるのがラム。

 

異性に興味が無いわけじゃないことくらい、顔を赤くさせるツカサを何度も見てるから解っている。それはラムやレム、エミリアを含めても同じだった。

 

でも、ここまで無防備を晒して尚自制心の方が勝る。何なら違う意味でのケアも完璧ともなれば、何も言えずとも不満は溜まると言うものだ。

 

 

 

色々と頭の中で愚痴を唱え続けた結果――――寝付きが悪い事に繋がっているのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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