Re:ゼロから苦しむ異世界生活 作:リゼロ良し
場を弁えるラムちー素敵……( ´艸`)
ラムちー最&高w
「あの……ラム、さん? 苦しいです。力強いです……。たしか、鬼の力使えない、って言ってませんでした……?? 力籠ってません?」
「言った通りラムは
「ほ、ほら さっきテンペスト、あげたから……、使って自分で浮く事も出来る筈だけど……?」
「今日1日ラムの言う事を聴く約束。忘れてないわよね? ツカサ。なので、ラムはそれを使う事にするわ。だから、暫くこのままよ」
空中浮遊を楽しんでいる(疑)ツカサとラム。
荒れ狂っていたあらくれA~Oのメンバー達は、一瞬にして敵わない相手である、と言う事は悟ったのだろう、目を回しつつも命乞いをはじめ……、無慈悲にも(機嫌が良いとは言えない)ラムがまさに空からの裁き、天誅を行おうとしたが………、流石にそれはツカサが止めた。
ただ、止めたとは言っても ツカサもツカサ。
命を奪う事には反対はしたが、ある程度は容赦しない。
結果 あらくれ達の根城っぽい場所を聞き出して、そこに向けて乱暴に全員纏めて落としたので、結構怪我はさせていると思うから。
プリシラが言った通り、相応の覚悟があってこその盗賊業だろう。ヤルは良いがヤラれるのは御免被る、なんて話は通らない。
今回は、自分だから助かった。
後は知らない、注意しておけ。とだけ釘を刺したのである。
ただ―――そんな簡単にへこたれる様なら、あんな真似はしないと思うが……。
そんなこんなで、目的の場所―――衛兵の詰所へと向かう際。城下町の人通りの多い所に飛んだ状態で行くのは、目立ってしまうから、ある程度移動したら人気のない所で降りよう……と、空中浮遊計画を立てていた矢先に、ラムのきつ過ぎる、熱過ぎる抱擁である。
「ツカサにとっては、残念よね。……駄肉が多い方が好みの様だし」
「だにく?? い、いったい何を……? くるしい……」
ぐっ、と首に手を回し、密着している状態。
あの場所から、あのプリシラから離れて、大分機嫌は直りつつあるのだが……、やっぱり一筋縄ではいかないのがラムだ。
レムなら、ヤキモチ妬く程度はするが、スバルならと許容をする懐の広さを醸し出すかもしれないが……、レムはレム、ラムはラム、である。
「残念だったわね。ラムの感触で。……あの女じゃなくて。精々ラムの抱擁で暫くは我慢してなさい」
プリシラが居ない所で位は、言い方も毒が籠る。
ある程度の身分を知って、不敬を買えばロズワールにも迷惑が掛かると、妥協していたが、今はツカサとラムの2人だけ。何を遠慮が必要だろうか。
「何が……残念なのか、知らないけど………。っ……、がまん? その、オレの様子…… 見てもそう思うの……?」
「? ………ハッ。息苦しくて、顔を赤くさせてるだけでしょ」
「(そんな事無いんだけど……)っ、うん、いや、そうだね。息苦しいから! うん! 苦しいよ!? だから、ちょっと弱めてくれると有難いよ!」
至近距離でツカサの顔を見るラム。
勢いに任せた部分はあるが、流石にこうも至近距離だと……ちょっと見上げると、ちょっと位置を変えると、ツカサの顔が至近距離で見える位置。
長々と見続けるのは、如何せんラムでも、中々気恥ずかしい様子。
そして、気恥ずかしさはツカサとて負けてない。
ふと、本音が出てしまったが、慌てて苦しいから、と言い訳をしてしまった。
こんなにラムと抱き合ったのは、あの日―――戻ってきたあの日以来。
ラムがツカサの寝顔を。
ツカサがラムにマナ供給を。
それぞれ片方の意識しかない状態であれば、何度か接近しているが、こんなに抱き合ってるのは……あの日以来。寧ろ、今の感情を考えたら初めてな感覚。
ラムはそんなツカサの心情を、漸く察したのか、或いは 自分自身を客観的に振り返ったからか、それ以上は何も言わず、ただただ抱き着き続けた。
そんな状態で、人込みの中を降りる勇気はないので、ある程度の場所で降りるのだった。
人気のない路地裏を通り、大通りを経て、貴族街への入り口。
まるで、通りの
その振った頭に、クルルが当たってしまってビックリしてラムの方へと逃げたのは何だか面白い。
ラム自身も荘厳たるこの空気感は得意ではないのか、或いは端から身分の違いを象徴する様な事に対して興味すらなかったのか、先ほどのプリシラとの件で色々言い寄っていた事もすっかりと頭の中から消去し、ツカサの一歩後ろをついて歩く。
「久しぶりにここに来たな……、やっぱり圧倒されるよ」
「以前は、白鯨……、その切り落とした一部を持ってきたらしいわね。……まぁ、そんな生々しいものを背負って貴族街の入り口でもあるここに立つ神経はどうかと思うわね」
「すっごく辛辣で、的を射ている一言をありがと。一応、ラインハルトやオットーも居たから、って事だけ言わせてもらえると助かる。流石のオレもそれくらいは解るから」
ラムの辛辣な一言で取り合えず背を押してもらった事は確かだ。
以前は、ラインハルトは勿論、オットーも居た。この詰所をよく知っている者が居たのである程度安心は出来ていた……が、現在ラムは居るが、使用人的立場を貫いてるので、行動の始まりは自身に委ねられている。
魔獣相手に立ち向かう勇気とはまた違ったプレッシャーと言うモノを感じて、それはあまり好ましくないものだ、と理解をしつつも―――歩を進める動きだけは緩めたりはしない。
「ん……、ラインハルトはここに来れば会える、って最後に聞いたんだけど、実際ラムはどう思う?」
「剣聖ラインハルト本人が詰所にいる可能性は低いとラムは思うわ。……ただ、本人はいなくても顔つなぎは期待できるでしょ? 話を聴けば、ツカサはバルスと違って、それなりに有名だもの」
「……あんまり好んでないんだけどね。正直、雰囲気的に許されるのなら、ラインハルトに文句の1つや2つは言ってやりたい気分でもあるんだ。賢人会、って言う所謂国の頂点の人達の前に担ぎ出されるんだし………。まぁ、その後は王選だから、事の次いでって思えば……? でもなぁ……、はぁ……」
「? その割にはロズワール様の御屋敷で……、メイザース辺境伯との立ち振る舞いは落ち着いてて、緊張の色も見えない。相応の評価が出来ると思っていたんだけど」
ラムはロズワール家でのツカサの立ち振る舞いを思い返しながらそう言う。
スバルと違って、色々弁えて行動をしていたからだ。……押し通るだけの実力を持ちながらも、決して態度に出さず、謙虚さも忘れず。
第一印象と言う意味では、そこでスバルとツカサは天地の差がラムの中で出来てしまっている。
面白い相手である、とロズワールがある程度気に入って無かったら、レムにどうこうされる前に、ラムが排除していた可能性だって、今考えたら否めないから。
「それは、あんなにロズワールさんから、歓迎を受けたら無碍には出来ない……と言うより、良い具合に緊張解しにもなってくれたからね。初対面のロズワールさんは、その……良い気付け? になる」
「ラムの前でロズワール様に不敬を、とバルスなら問答無用で八つ裂きの刑。まぁ、ツカサだから助けてあげなくも無いわ」
「……ラムの前で位しか言わないから、安心してよ」
「!」
ラムの前
それくらい、自然に言えているという方面で良しとすべきだろう。……と判断していたその時だ。
「ツカサ!」
居る可能性が低い―――と言っていた相手が目の前に現れた。
本当に、いつの間に? と思える程の勢いで、この場に降り立ったのは、このルグニカの城下町やアーラム村、それなりに色んな人種を見てきた中でも、たった1人しかいない燃える様な赤い髪の男。
英雄にして剣聖 ラインハルト・ヴァン・アストレアがここに、天より降臨!!
「―――って、言いたくなるくらいの登場の仕方だったね。久しぶりラインハルト」
「言ってなくても、ツカサが何が言いたいのかは解ったよ。ただ、そんな大袈裟な事はしてない、って事だけは言っておくね。極普通に詰所に用があったからここに来て、そしてツカサが居たんだ。―――この偶然に感謝するよ」
何処までも爽やかな笑顔。
それが絶える事のないラインハルト。純粋にただ純粋に再会を喜んでくれてるのは嬉しい事だろう。やや大袈裟なのは、本人の性分なので、目くじらを立てる訳にも行くまい。
―――そもそも、性質・性分云々、言い出したら、自身の周りには相応な人物たちが複数いるので、今更考えるまでも無いだろう。
「何か不快な気がしたのだけど、変な事考えてないわよね、ツカサ」
「いーえ、何でもないですよ。ラムさん」
手だしこそはされてないが、視線と言霊で一石投じるラム。
もしも、今のやり取りが公共の場でなければ、物理的なツッコミが来たであろう事は想像するのは容易い。
「えっと、君は……」
「初めまして、ラインハルト様。メイザース辺境伯が使用人、ラムと申します。本日は主人の命により、ツカサ様の付き人として馳せ参じました」
「ああ、メイザース家の……。うん。こちらこそ宜しく頼むよ」
ラインハルトと目が合った途端、完璧なメイドを演じてみせたラムはやっぱり見事の一言。
ツカサはただ苦笑いをするしかないが、それはそれで面白いので良しとした。
ラムの事もラインハルトは把握していたのか? とも思ったが、よくよく考えたらロズワールは王国一、王国筆頭魔術師と言う肩書もある有名人だ。知っていて当然だろう、と判断。
「それで、ラインハルトはスバルには会ったのかな? 知り合いにスバル自身の安否確認を、って事で王都に来たんだ。……ラインハルトもそのメンバーに入っていた筈だけど」
「スバルは無事だったんだね。それは本当に良かった。……いや、今日ここには初めて来たから僕はスバルには会っていないよ。ツカサに聞いて安心は出来たけれど、スバルからの言伝が詰所に残っているかもしれないから、また確認はしておくよ」
「結構無理言って、この王都まで来たみたいだから スバルの方は。早めに会ってあげてくれたら助かるかな」
「ふふ。大丈夫だ。……少し、僕の方にも大切な用があるから、ツカサの様な偶然以外を省くと、今日中とは約束は出来ないかもしれないが、なるべく早くに彼とは会って話をしよう。―――僕が行動するより、彼の方から……直ぐに会えそうな気はするけどね」
ラインハルトは剣聖であり、王国一の騎士だ。
実に多忙極まってる事くらい、大体把握できるのだが、それでもしっかりと約束を嫌な顔1つせず笑顔で聞き入れる所も、まさに騎士の鏡。
「あ、そう言えばフェルトの事も言ってたよ。オレも少々気になったし。あの後何も言わず、あの子を連れて行くから」
「それに関しては心配をかけて申し訳ない。彼女は……フェルト様なら大丈夫だ。僕の口から言わずとも、直ぐに解るから」
フェルトとは、以前の盗人家業? をしていた少女だ。
ツカサに助けを求め、そして応じた間柄。……もう1つ言えば大金が入った麻袋を掠め取ろうとして、失敗した相手、と言う間柄でもある。
少々複雑な間柄ではあるが、気になっていたのは事実。
でも、ラインハルトが大丈夫と言うのなら、大丈夫なのだろう、と安心した。
――――取り敢えず、色々と話し終えたので……、ここからは愚痴を言う時間だ。
「勲章、叙勲だったっけ? ……ラインハルトが、推したって聞いたけど………そんな大袈裟にしなくても良かったんだよ?」
「勿論だ。あの残骸を王都の研究班に回して確認させてもらったけど、間違いなく白鯨の残滓であると確認が取れたよ。―――大袈裟なんかじゃない。君は賞賛されるに足る、いや、それ以上の偉業をやってのけたんだ。もっと誇るべきだと、僕は思う」
ツカサの表情からラインハルトは、バッチリとその考えを読んでたらしい。
あまり、好ましくない、と言うのも感じ取れたのだろうか。
オットーやスバルの事もあって、相手の感情を読取るのって、不得意な感じもしていたのだが……、何故だか自分に対しては違う感じがするのは、引っかかったりもした。
「……それに、ツカサ。君は記憶の方はどうなんだい?」
「! ああ、それはまだ全く。こっちは気長に行くから、心配しなくても良いよ。不都合はないからさ」
「それは良かった。……それなら、尚更、今回の叙勲はツカサにとっても良いモノになると思うよ」
「! それってどういう……」
記憶が無い事と、叙勲式に呼ばれる事、何が繋がるのだろうか? とツカサは首を傾げていた時、ラインハルトはこれまた良い笑顔で続けた。
「少なくとも、君はルグニカでは、白鯨の一件より英雄的な存在になる。……これ以上ない身分と言うモノを得る事が出来る。国籍不明な不審人物、と自分自身を揶揄していた頃もあったが、もうそんな事を考える必要は無い。……商人達にとっても、この街にとっても、……王国にとっても 君は英雄だ。僕も見習うべきの……ね」
「い、いやいやいや、それは流石に言い過ぎ。突然襲われてたから、何とか追い返しただけだったし。
「ふふふ。―――ああ、
「
苦笑いをしているツカサを見ながら、ラインハルトは、自身が持つ龍剣レイドの柄にそっと手を触れた。
そして、少し考える。
あの日見せた以来の反応を―――この剣はそれ以上は示さない。沈黙を守り続けている。
この剣は特殊で、剣自身が意思を持ち、その抜きべきだと剣が判断した時しか抜けない様になっているのだ。
つまり、相応の危機、王国、ひいては世界の危機級の事態が起きない限り、抜けないのだろう、とラインハルトは考えている。
だが、何故目の前の彼に……ツカサに反応を見せたのか、それだけが理に適っていなかった。
ツカサが友好的である事は、ラインハルトも最初から見抜いており、話をしてみても、相応に探りを入れてみても、悪意の類は一切見受けられない。
なのに、剣は反応を見せた。……抜けたのでは無く、
「ラインハルト。来ていたのか」
「ユリウス」
詰所前で話をしていたのは結構目立っていた様だ。
それもラインハルトだから尚更。
ユリウスと呼ばれた青年……その正装を見るに、彼もラインハルト同様騎士だろう、ラインハルトとはまた違った華やかさな雰囲気を醸し出しながら、優雅な足取りで傍にまで近づいてきた。
本人を特徴付けるとでもいうのだろうか、これまたツカサにとっては、初めて目にする色の髪を持つ青年だった。紫とでも言えば良いか。少々青みが掛かった紫で、風に揺られて靡くその姿は、何とも絵になるモノだ。
「ありがとう。もう詰所の方まで足を運んでくれたのか」
「ああ。君の頼みを無事果たす事が出来た。こうして、市井に赴く事で得た物も大いにあるよ。………それと、そちらは……」
ラインハルトとユリウスの2人の会話や仕草は、やはり騎士と言うだけあって、非常に絵になる。場違いではないか? と思った矢先、ユリウスの視線がこちらへと向いた。
「ああ、彼はツカサだ。―――名を聞けば説明は、もう、するまでも無いかな? 以前、僕から話した通りの人だよ」
「……成る程」
「ツカサ。彼は《最優の騎士》と呼ばれている―――」
ラインハルトが最後まで言い切る前にユリウスは、一歩前に出てツカサの前に立った。
名乗りは自分でするよ、と言う様に。
「我が友、ラインハルトより話は聞いております。ツカサ殿。私は近衛騎士団所属ユリウス・ユークリウス。どうぞ、お見知りおきを」
「これはどうも丁寧に。私の名はツカサ、と申します。ただ、家名については……」
ラインハルトの方をチラリ、と見ると頷いてみせてくれたので、続けて言った。
「申し訳ない。少々記憶に障害があり、名しか記憶になく、故にただのツカサでお願いします」
「……友より君の活躍ぶりは聞いている」
活躍、と言われて、ややむず痒くなるツカサ。
それに、ラインハルトの前で活躍した様な記憶は今の所は無い。
白鯨の残骸を運んでいた場面と、それまでの経緯は説明したが……事伝いと言うだけで、活躍をした、ともなれば弱くなると思っている。
更に記憶を揺り起こすと……、あの腸狩りのエルザとの一戦では間一髪で助けられた。
なので、活躍をした、と称されるのは何処か違う様な気がするのである。
そんなツカサの心境は露知らず、ユリウスは続けた。
「……君と言う人成りもそう。記憶が無い事を無下にする必要は私には無いと思うよ。……君は素晴らしい事をした、それは歴然たる事実。君の行いは、王国騎士団の宿願でもある かの魔獣討伐の一翼を担ってくれたと、私は思っている。長年に亘る厄災を終止符に向けての一翼を。王国騎士を代表し、心より感謝を」
真っ直ぐと視線を交わして、何の裏表もない含みもない、純粋に思っている事を口にするユリウスに対して、言うべき言葉がなかなか見つからなかったが、それは一瞬だ。
「こちらこそ。自分としては、そのような大それた真似をした、と言う自覚は無いんだけれど、賞賛はありがたく受け取ります。……それに、
そう言って、ラインハルトを、そしてユリウスを見ながら言った。
「あの魔獣は、今この瞬間も世界の何処かで、誰かを苦しめている筈です。……私の友の1人、商人のオットー・スーウェンからも聞かされてます。次に、あの魔獣と遭遇する事があるなら……」
ツカサは、手を前に出して、グッ、と握り締めた。
「ラインハルトやユリウスさん、……王国騎士の方々には申し訳ない。次があるなら仕留めるつもりでいきます。―――勿論、出来るかどうかは、さておき、ですがね」
そう言うと、最後は笑顔で締める。
嫉妬の魔女が生み出し、400年と言う歳月を生き、……蹂躙し跋扈し続けた霧の魔獣———白鯨。
年月から解る通り……そして、ラインハルトの前では言いたくない事ではあるが、先代剣聖をも打ち砕いた存在だ。
「ははは。ユリウス、で良い。私もツカサと呼ばせてもらいたいからね」
「それなら、そちらでお願いするよ。敬称をつけて呼ばれるのは、慣れてなくて……」
気恥ずかしそうに笑う彼は、本当に言い切った。
白鯨と言う三大魔獣の一角。厄災の名を冠するに足る人類の脅威を前に、言い切ったのだ。
厄災を仕留める―――と。
「―――ラインハルトが
ユリウスは、ツカサを見て、言葉を聞いて、そう称した。
そして、やや遅れてしまったが後ろで控えているラムにも挨拶。
ツカサを見ている彼女は、何処か誇らしく、胸を張っている様にも見える。
それがツカサの人成りを、言伝よりも何よりも表している、とユリウスは思えた。
和やかに、このまま和やかに話は終わるだろう……、と思っていたのだが、少々暗雲を見た気がした。
「これ以上ない程信頼に足る騎士が傍に居る。エミリア様は安泰の様だ」
騎士と言った大層なモノではないのだが……と、言いかけたその時だ。
ユリウスが《だが》と一言添えて……、その暗雲部分を紡ぐ。
「………
ユリウスの表情がはっきりと変わったのが解る。
―――聞いた瞬間、見た瞬間、ツカサは、何だか 嫌な予感がしたのだった。