Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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闘いの最中にお喋り楽しめるのは、二次世界の醍醐味だと思われまする( ´艸`)


ラムちー――――――!!! 


虹と黒

傍目から見れば、見事な打ち合いの一言だろう。

 

ほんのつい先ほどまでに、行われていた凄惨な光景……、あまりにも稚拙で幼稚な剣。口先だけの無礼者、愚者に、その鉄槌を下した一方的な公開リンチを見た後だったからか、余計にそれは際立った。

 

 

あの時のユリウスの顔とはまた違う。

 

 

ナツキスバルとの模擬戦。

例えどんな愚者だろうと、無礼者だろうと、彼は言動とは裏腹に、その顔色を変える事は無い。

無感情と言えばそうだが、弱者を、愚者を軽んじ、足蹴にし、侮蔑する。そう言った類の言の葉を向ける事はあっても、表情は見せたりはしない。

 

ただ、真摯であり、真剣であり、そして騎士と言う存在に誇りを持って行動をしているだけだから。

そんなユリウスだったからこそ、あの凄惨な公開リンチの終盤は 止めに入る側の方の声が大きくなりだしたのである。

 

 

 

今はどうだろうか?

 

 

 

あの時とはその真剣の度合いが、集中の度合いが天と地ほどの差がある。

ルグニカ王国近衛騎士団において、序列では高位に位置し、《最優》とも称される男が、魔法、真剣こそ使っていないが、全力そのものである。

 

息1つ乱れず、汗1つかかなかったユリウスが今、一粒、また一粒と珠玉の雫を零しながら、全力で剣を振るっている。

 

 

そして、それに相対する風来坊。

眉唾な実績を引っ提げて、突如王国へと現れた男。

400年世界を蹂躙してきた厄災を撃退し、かの剣聖に勝利したとされる男はどうだろうか。

 

何処か、その顔には笑みが見えてとれる。

だが、その笑みは不快な類のモノではなく……純粋に剣を交える事を楽しんでいる様だ。

 

斬り結ぶのが楽しい等と、まるで剣鬼のよう――――と一瞬頭を過る者たちは数名居たが、そのあどけなさが残る容姿からは、到底鬼を連想させるのが難しいので、長くは続かなかったのである。

 

 

 

「流石、最優の騎士。力、業、速度、心技体が揃うと言うのはこの事を言うんだろうね」

「……私も驚いている。今まさに現在進行形で驚いているさ。――――君がズルだと称した理由が解ると言うものだ。……或いは、ラインハルトが言っていた未来を視ると言う力か……。どうやら比喩ではないらしい」

 

 

 

息を切らせ、剣を正眼で構えるユリウス。

当然、彼もまた―――あの時の腸狩りのエルザ同様に違和感には気付いてる。生憎エルザの様な狂気な戦闘狂、と言う訳では無い様だから、数合打ち合いながら、その力のからくり……根幹をどうにか探りを入れていた。

 

 

「(だが、本当に未来()を? それとも幻惑の術の類……? いや、それならば彼女達(・・・)が気付く筈だ。だが、これは………説明がつかない。未来を視ていないと……)」

 

 

ユリウスは、右から左に欠けて水平の太刀筋、右薙ぎを狙う。

速度は十分、相手の意表もつけた事だろう。木剣はツカサの木剣を掻い潜り、左脇腹を取った――――筈、だった。

 

手には感触が残っている。目にははっきりと捉えている。

残像、と言う生易しいものではない。実際に起こっている筈なのだ。

 

そこが未来を視ているだけでは説明がつかない部分。

ユリウスはツカサの身体を幾度も捉えている。手応えがあり、感触も有り、何度も一撃を入れている筈なのに、次の瞬間には自分自身がやられているのだ。

理不尽を言うのなら、この事を言うのだろうか。

 

 

 

「(捕らえた筈なのに、次の瞬間にはもう そこには居ない。……かと思いきや、死角から攻撃が来る。……当てられる。型に嵌らない動きに加えて、その鋭さも一線級。……正直、悪夢を見ているとも言えるかもしれない、な。――――相手が彼でなければ、の話だが)」

 

 

ユリウスはどうにか追い縋っていた。

追い縋る事が出来た為、傍目から見れば見事な打ち合いを演じている様に見えるのだろう。

 

 

 

そして、こうも思う。

 

 

 

「―――……もし、本気で君が終わらせるつもりだったなら、即座に決着がついていた。……違うかい?」

 

 

 

鍔迫り合いの最中、互いに押し合って間合いを取り、再び鍔迫り合い。……その息つく間もない剣劇の中で、ユリウスは皆に聞こえない様に、悟られない様に、ツカサに聞いた。

 

 

「そんな事は無いよ……とだけ言っておこうかな。それに、よく考えてみたら、終わらせると言っても、明確な終わりは定めてなかったよね?」

「……確かに、それもそうだ」

 

 

ツカサは朗らかに笑って見せた。

確かに、スバルの時とは違い、ユリウスも力を視る事を終始務めていたつもりだったが、その終わりは……? 決着は? と問われればそこまで考えていなかった。

 

この摩訶不思議な現象、この謎を解くのに躍起になっていたせいも勿論あるだろう。

 

 

 

 

周囲の熱気もそれを後押ししている。

剣が交わる度に、騎士たちが熱く、吼える。

 

当然だ。傍目から見れば、高等防御・攻撃術の魅せ合いなのだから。

 

だが、その本質は―――――……。

 

 

 

 

「ふん。やはり、ツカサめは遊んでおるわ。その気になれば直ぐに終わらせられるものを」

「………ま、まぁ、その辺は姫さんを長く楽しませる為~~、っつーことで納得しとかない?」

「……まぁ、そう考えてやらんでもない」

 

 

プリシラは、扇子で口元を隠し、頻りにツカサを一点に見つめていた。

時折見せる笑み、幼さが残るそれを甘受するのは正しく美味と言わざるを得ない。

 

共に斬り結んでいるユリウスに嫉妬の念が芽生える程に。

 

 

 

 

「次はアル。貴様がやるか?」

「ごじょーだんを。オレなんざ、1分持たねぇ自信がありますぜ! そりゃ、満々に」

 

 

 

 

アルの自信満々な弱気発言。

普段のプリシラなら一刀両断せんばかりに痛烈に詰るが、今は唯呆れる様に笑うだけに留まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……大損するトコやったわ。賭けに乗らんで正解や……」

「ああ。……気持ちは解る。全てが真実なのであれば、最優の剣とて届かないのが道理だ。……だが、この目で見るまでは信じられんかったが」

 

 

 

アナスタシアとクルシュも、ただただ目の前の光景に魅入っていた。

確かに数合打ち合っている。熱気が渦巻き、これだけで商売が出来そう……と言うより、紛れも無く出来るであろう、最高のモノ。

 

だが、その本質に勿論気付く。

 

同じく剣の達人であるクルシュが先に、そしてクルシュの話を聞いたアナスタシアも。

 

 

ユリウスはただの一撃も入れれていない。

逆にツカサは、数度、明確に入っている。

 

本気で振っていたのであれば、その腕や足は唯では済まされないだろう。

ましてや実戦であれば……、真剣であれば、その時点で終わりだ。

 

 

「白鯨をも退けた力……と言うのも気になるが、な」

「そら、ウチかて同じやけど、流石にここではカンベンして貰いたいわ。そんなもんに巻き込まれたら大変や」

 

 

かと言って、この武闘を見逃したくはない。

いつ終わるのかは解らないし、一体どれくらい時間が経ったのかも解らない。……でも、いつまでも続いてほしい、と思える程に、彼女達は魅入っていたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また一撃、また一撃、と剣撃を結ぶ。

もう認めたのは間違いないが、それでもユリウスは止めたくない、そしてツカサも同じ気持ちで互いに剣を振るう。

 

 

まだ、一太刀も入れる事が叶っていない。

ならばせめて、一太刀入れるつもりで振るうユリウスだったが、不思議と悔しさ等はなく、心は晴れやかだった。

 

 

「君と言う男を知れて、私は良かった、と心底思っているよ。……そして、友と呼べる事を誇りに思う。……君は複雑かもしれないが、ね!」

「いえ、そんな事は無い、よ! ……確かにスバルの件は、見ていて気分が良いモノではないと思ったけど。……でも、オレはユリウスの優しさも同時に知れた」

「!」

 

 

――――……優しさ?

 

 

剣を結び合っていた最中で2人だけしか聞き取れないであろう会話が続く。

その中の言葉を聞いてユリウスの表情が、疲労のモノから驚きなモノへと変化していった。

あの模擬戦……凄惨な公開リンチ、一方的な暴力とも言える光景の中に、一体どこにその言葉が当てはまる隙間があると言うのだろう?

 

ツカサが何を言っているのか理解出来そうになかった。

 

だが、ツカサは確信を持っているかの様な顔をしている。

 

友と呼べる間柄になりたいとも思い、一度紹介された時、その人柄に触れた時。……何より騎士である事に対して誇りを持っている自分達に配慮して辞退(確認した訳ではない)した事も拍車をかけた。

 

だが、まだ知り合って間もない日も浅い状態。

なのに、何故……あの光景を見て尚、何故そう思うのだろうか?

 

 

「オレは、色々と(・・・)聞いたからね。―――それ、にッ!」

 

 

もう何度目になるか、ユリウスの死角を再び攻める。

 

必ず死角に来るのならば、対応の仕方も十全に備わっているし、相応の鍛錬も事欠かさなく積んできた筈なのだが、そう単純なものではいない様だ。……対応、しきれてないのが証拠。

 

ビッ……と、彼の下地の薄い部分を裂かれた事実が物語っている。

 

躱しきれない攻撃、これで何度目だろうか? 手を抜いている様には見えないが、本当にその気になれば、もっと当てれるだろ? と言う疑惑と疑念がどうしても晴れないユリウスだったが、それ以上に気になるのは、やはり優しさだ。

 

 

「最後のスバルへの一撃。……アレも気付いていた(・・・・・・)。違うかな?」

「………。君が?」

「うん。……その想像の通り。最後のスバルへの一撃だけは、オレが防いだ。もう、殆ど意識無かったみたいだったからね。……あの身体で魔法(シャマク)を使ったんだ。使った時点で、そのまま失神しててもおかしくない」

 

 

再び間合いを取るツカサ。

ユリウスも同じく。

 

 

 

熱気渦巻く場において、こうも言葉をやり取りできるのは、本当に稀有な経験だ。聞こえなかったとしても不思議じゃないと言うのに、はっきりと伝わる。互いが証人。時の矛盾も同時に感じる。時間の流れが遅いのか早いのかもわからない。

 

それでも、剣を通じて語り掛けている、掛けられている事は解る。

 

 

「模擬戦とはいえ、オレは最後に横槍を入れた。……でも、ユリウスはそれに対しては何も言わなかった。追撃の一撃も入れず、終わらせてくれた」

「彼はもう立つ事すら出来ない身体だったのは解っていたから、に過ぎない。……本当に最後の最後に情けを掛けただけ、かもしれない、とも考えられるだろう……? それに君は見ていなかった。私と彼の模擬戦を………」

「ああ、勿論。でも、オレはユリウスを信じただけだよ。……だって 最()なんだ。ある意味信じるまでも無い」

 

 

その言葉を聞いて、ユリウスは肩を軽く落として笑った。

 

 

「―――――君と言う男は、何処までも甘い様だ」

「いや、そこは 見る目がある、と言って欲しいかな? ……今の所、知り合った人で、見る目無かった、と思う男相手は居ないから。絶対に御近付きになりたくない、って思ったのは1人いるけど。………顔を赤く染めながら、腸腸言ってくる女とか」

「それは仕方が無い事だ」

 

 

腸腸、と言ってくる女はこのルグニカでは該当者は1人しか居なく、そして悪名は轟いているから、ユリウスにも直ぐに解っていた様だ。

 

 

「さて、……これ以上時間をかけて、エミリアさんに勘繰られるワケにも、余計な心配をかけるワケにはいかない。………最後はとっておきの打ち合い、って事で締めにしないか?」

「――――それは、願っても無い事だ」

 

 

ユリウスは頷くと、剣に数多の光を纏わせた。

幾重にも重なり、瞬き、彩る虹色の光。

 

 

「私は精霊騎士。……これが本来の私の戦闘形態」

「微精霊……と呼ばれる精霊達……か」

「ああ。私も鍛錬を欠かした事はなく、そして彼女達も私に相応の力を貸してくれる。――——これ以上ない力を」

 

 

眩い光が場を照らした。

目視する事すら難しい程の光度は、この練兵場の全てを虹色に染め上げた。

 

 

 

「君は、最後の最後に、何を見せてくれる? ……私はもう君を疑ってなど居ない。……そして、この場に居るもの誰もが同じだ。……だが、君はまだ見せてくれるんだろう?」

 

 

光を放ちながら、ユリウスは木剣を構えた。

 

 

 

「勿論。……オレから提案したんだから、当然相応の力で」

 

 

その返礼にと ツカサは、右手から剣にかけて……黒き暴風を纏わせた。

 

誰かれ構わず全てを破壊する様な竜巻ではない。

余計な破壊は一切せず、極限まで圧縮した竜巻。黒い竜巻は、木剣の刀身全てに纏わり、そして漆黒に染め上げた。

 

……まるでそれは、最初から黒い剣だったかの様。

 

 

 

場の熱気が、歓声が、いつの間にか静寂に包まれた。

 

 

言葉を発せれない。息を呑む、息をする事さえ忘れる。流れ出る汗を止める事が出来ない。

 

 

それは、2人以外の時がまるで止まったかの様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして―――今日一番長くて……極めて短い時の終局が訪れた。

虹の剣と黒の剣が交わる事で―――。

 

 

 

 

 

「アル・クラウゼリア」

黒龍閃(クロノ・テンペスト)

 

 

 

 

 




流石に、ユリウス兄をボコるのは嫌だった模様ww ワタクシがww

その気になれば~~ と言うのは、当然クソイカレキチガイ殺人女事エルザちゃんに対して、剣ぶっ刺した時みたいな攻撃ですかねww( ;∀;)





そろそろラムちー分を補充しなければ………………( ^ω^)・・・
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