Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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ダウン、ダウンダウーーン(*゚∀゚人゚∀゚*)♪


カウント~ワン!! ツ~!! ⊂(・∀・⊂*)


死の味

 

一体何が起きた―――?

 

 

 

それが、はっきりと解る者はこの場には誰一人としていないかもしれない。

ただ、目の前の状況、光景を説明する事なら……出来る。

受け入れたくない現実が目の前にありありと映し出されている。

 

 

――――悪夢なら、覚めてほしい。こんなの、見たくない。

 

 

目を閉じても砂をねじ込まれるかの様な。

息をしても、肺を焼かれるかの様な。

目に見えないナイフで、身体を切り刻まれていくかの様な。

肺だけではない。身体すべてを内側から炎で、時間をかけて焼き尽くされていくかのような。

 

 

それは、死ぬ事が出来ない絶妙な加減で、延々と苦しみが続いた。

 

 

生き地獄と言うのがあるとするなら、この場所がそうなのだろう。

 

 

死の体感をした事のあるスバルは思う。

 

 

自分が死ぬまで、意識が闇に完全に呑まれるまで続く苦しみと今感じている生き地獄の苦しみ。

 

 

ならば、一体どちらがより厳しいだろう?

 

 

断然、後者だ。

死ぬ方がマシ? 一度死んでみてから言ってもらいたい、と嘲笑した事があったが、これは死より苦しい。

 

 

 

この心を抉られる苦痛は、自身の肉体の死より苦しい。

 

 

 

今のスバルは、あの闇に、魔女に心臓を握られる、潰されそうになる感覚よりも遥かに苦しく感じていた。

心臓ではなく、まるで魂を握りつぶされていく様な感覚が続いていたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前の光景。

 

広い客間の中心にある豪勢と言える大きなベッド。

 

そこに死んだ様に眠り続ける親友で兄弟で……掛け替えのない存在がいた。

 

そして、その傍から一切離れる事をせず、見てる限りではずっとその手を握り続けている桃髪の少女。

そんな彼女を慰める様に、それでいて同じく彼が起きるのを、目を覚ますのを悲願としている青髪の少女。

 

そして、3人からは やや離れた位置で茫然と立ち尽くす男。

 

 

4人がこの部屋の中で佇んでいた。

 

 

一体何があったのか、説明がつかないし、今思考回路が纏まらない。

脳内で懸命に考え、対応策を模索し、どうにか最善を……と考えても考えても、いつもの笑顔が足りない。いつもの呆れる顔が足りない。

 

 

 

 

一体、どれだけ自分はこの傷ついた彼に、兄弟に頼り過ぎているのだろうか?

一体、どれだけ自分は彼を傷つけてきたのだろうか?

 

 

 

 

改めて己の不甲斐なさに身を切られる想いだ。

 

力がないのなら、頭を働かせる。

そのくらい、やってみせろ、と己に発破を掛けるが、……今はどうしても上手く行かない。

 

 

それ程までに、必ず戻ってくると、疑わず信じて待つ3人も打ちのめされているのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しだけ、ほんの少しだけ時間を巻き戻してみよう。

 

時間の針を――――彼がここに運ばれてくるまでの経緯を知れる範囲まで、思い返してみよう。

 

 

 

突如目の前が真っ暗になったかと思えば、聞き覚えのある声が頭の中に響いてきた。

 

 

 

 

 

「おい、兄ちゃん! おいっつの!! 聞こえてんのか!? 勘弁してくれよ、急にぼーっとしやがって」

 

 

 

「………は?」

「ッ、ッッ、ッッ!!?」

 

 

「あん? そっちの嬢ちゃんもどうしたってんだ? イキナリだんまりされて、店前に立たれちゃ商売になんねーよ。………っと、いや嬢ちゃんは別か。先日一日売り上げ記録、たった数分で更新しやがったしな……」

 

 

聞き覚えのある声は聞こえてきた。

そして、その声の内容も聞き取る事が出来たため、状況も飲み込む事が出来た。

 

 

 

ただ、何故こうなったのか、それだけが理解できない。

 

 

そして、もう1つ―――不可解な面がある。

 

 

「あ、アレ……? これ、これは、いったい……? スバル、くん?」

 

 

隣に佇む少女……レムの様子だ。

 

スバルは確信している。

また戻った(・・・・・)のだと言う事を。

 

 

 

―――あのロズワール邸以来。約1ヶ月ぶり……だろうか。

 

 

 

だが、あの時とは、明らかに何かが違う様に感じた。

何故戻ったのか、その皆目見当すらつかない所もそうだ。

 

 

最後の死に戻りは、ロズワール邸では、……夜眠って……そのまま、衰弱死する事で死に戻りが発動した時以来だ。

 

 

 

あの時は 冷静に考えれば理解できるし、納得も出来た。

だが、今回に限っては本当によく解らない。魂に刻まれた未来の記憶をどうにか揺り起こしても……わけが解らない。

 

 

 

 

言うなら―――頭の中も、景色も、全て白く塗りつぶされて………、その後気づけば此処に立っていたのだ。

 

 

 

 

痛み? ただただ一瞬で真っ白になった。

それだけしか覚えていないのだ。

 

 

 

 

 

 

「ね、姉様ッッ!??」

「ぅおっ!?」

 

「やっとマトモに反応したかと思えば、ソレかよ! 良いから そんなトコにずっといられちゃ商売にならん! 買わねぇならどっか行け!!」

 

 

 

考え込んでいたスバル。

そして、カドモンは、完全に無視を続ける2人に、そろそろ切れよう、怒鳴ってやろうと思っていた矢先に、レムは突如声を荒げたので、とりあえず切れるのは止めて、立ち去る様に怒鳴った。

 

 

「レム!? おいレム!!」

 

 

そして、レムらしくない慌て方で駆けだそうとしたが、隣に居るスバルがレムの手を握って制した。

 

 

「ちょっと待ってくれレム! お前、解るのか(・・・・)!? 解ってるのか(・・・・・・)!?」

 

 

レムの様子が明らかにおかしい。

 

前回のレム(・・・・・)とは明らかに違う。

 

まるで自分と同じ体験をしたかの様な反応。

それは今までになかった事だ。

 

厳密に言えばラムが同じ経験をしているハズだが、それは事前にあの狭間の空間で解る筈だった。だが、今回は何もなくただただ戻されただけなのだ。

何故、レムがそれを知る事が出来るのか、それだけが解らない。

 

 

「ッ、わか、りません。何があったのか、本当に。……なんで、ここに立ってるのかさえ、レムには解らなくて……、白昼夢でも見ていたのでしょうか? でも、でも、今はっきりしたのは姉様の、姉様から強い感情が伝わってきました……ッッ、こんな、こんな、感情、初めてで……ッ」

 

 

どうやら、レムにも解らない様だ。

 

兎に角何もかもが解らず、混乱極まっている。

状況を整理し、行動を―――と思っていたスバルの視界に、レムの顔が映った。

レムの泣きそうな顔を見て、そして殆ど混乱から頭に入ってなかったレムの言葉を思い出して、……ラムとレムの共感覚の事を思い出して……そして、漸くスバルは思い出す事が出来た。

 

 

「ぁ…………ま、まさか………っ」

 

 

それは真っ先に思い出さなければならない事柄。

死に戻りが発動した―――それが齎すもう1つの代償(・・)を。

 

 

何故、直ぐに動かなかったのか、何故直ぐに思い出さなかったのか。

数秒前の自分の面を思いっきり木剣で殴ってやりたい衝動に苛まれる。

 

 

「レム、案内してくれ……!」

「わ、解りました!」

 

 

レムは 姉の―――ラムの強い感情を辿れば、辿り着く事が出来る。

いや、スバルでも辿り着く事は恐らく出来るだろう。

 

この時間、あのカドモンの強面店主とのやり取り。……先日レムが店先に立った、と言う情報。それらを総合すれば、今が何日の何時で、そしてどこにラムが居るのかが解る。

 

何故その場所に居たのかは、解らないが、この時間なら―――――。

 

 

目的地付近に着くと、レムは、《あの角を右へ!!》と叫び鬼の力を用いて全力で駆けだした。

スバルを置き去りにし兼ねる勢いではあったが、もう目と鼻の先故に、ラムを最優先する事にしたのである。

後で、幾らでもスバルへ謝罪は必ずする……とレムは自身に言い聞かせて。

 

 

当然スバルも怒るとか一切考えてない。

 

ただただ、あの光景(・・・・)が広がってるのかと思えば、身体が震えてしまう。

何故なら―――それは(・・・)

 

 

 

 

「……………」

 

 

 

 

 

 

ソレは、自分が齎したものだから。自分が起こしてしまったのだから。

 

 

 

路地裏では凄惨な光景が広がっている。

 

 

 

これは、治安の悪いこの場所であれば別に起きても不思議じゃない光景とも言えるかもしれない。

事実、スバルは一度このルグニカの路地にて、誰にも看取られることなく命を落とした事だってあるのだから。

 

 

――腹をナイフで深く刺され、内臓を傷つけ、血を流して場を鮮血で染めた。

 

 

あの時の再来―――いや、感覚では それ以上のもの。

 

 

流れ出て広がる血溜まりの円の中心に、探していた2人が居た。

 

 

1人は、その白く綺麗な顔を血で染めており、その目は片方は赤く、もう片方は涙で濡らしていた。その腕の中にはもう1人……その頭を抱きかかえられている。

 

抱きかかえられている男の方は、ピクリとも動く気配が見えない。

それはまるで死を―――――

 

 

「姉様!! ツカサ君!!」

「ツカサ!!」

 

 

連想させてしまった(それ)を即座に頭で否定すると、スバルとレムは、血だまりの先にいる2人に駆け寄ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ラムの、ラムの、あんな顔……みたくない、っていった……わよね……?」

 

 

 

 

血だまりの中、彼の頭を抱きかかえ、涙を流し続ける少女、ラム。

彼の鮮血をその身体全体に浴び……血に染まっていた。

 

 

これまでの事を思い返す。

 

 

彼に命と心を助けてもらった時の事を。

 

 

 

「もう、見たくない……、って言った……わよね?」

 

 

 

何度聞いても、聞いても、返答が返ってくる事は無い。

ただただ、時間が止まったかの様だ。その流れ出た血は、まだ温かみを残しており、それが現実である、と言う事を嫌でも認識させられる。

 

 

ラムの掠れた様な声は……本当につい先ほどまで、泣き叫んでいたからのものだ。

 

 

この場に誰も集まってこないのは、皆関わりたくないと強い拒絶を示しているが故にだ。

 

この周辺にいる浮浪者、路上生活者は、誰もが自分自身で手一杯。

 

……更に言えば、大量の血を流している様な、そんな大事に巻き込まれる訳にはいかない、と誰もが見て見ぬふりを、聞こえないふりをしていたのである。

 

 

レムとスバルが来る少し前に、泣き叫ぶ事はしなくなったが、ただただ只管ツカサが言っていた言葉を、そのままツカサ自身に返し続けていた。

 

 

 

「ラムも、ラムも……、見たく、ない……。見たくないわよ……っっ、そんな、こんな、ツカサの……すがた、なんか……っ。みたく、ないっ。ラムは、ラムは……っ」

 

 

 

ぎゅっ……、強く、強くツカサの頭を抱きしめ続けた。

これまでにないツカサの様子を見て、最悪の事態しか頭に浮かばない。

 

 

 

 

――そんな事は無い、ツカサが自分を置いていってしまうなんて、絶対あり得ない。

 

 

 

 

そう、何度も何度も頭を振って考えを正そうとするのだが、冷たくなっているこの身体をその身に感じてしまえば、どうしても……どうしても、死を連想させてしまうのだ。

 

 

 

 

何故なら、ラムは知っているから。

 

 

 

 

ツカサに助けてもらう前の世界で……、最愛の妹の死を知っているから。

命の灯が消え、その身体から温もりが完全に消えてしまったその身体を、知っているから。

 

 

 

――――触れ合った時の温もりを、知っているから。

 

 

 

 

 

そして、死の味も知っている。

 

 

 

 

――――……失われてしまった時の地獄の苦しみを知ってるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………全く。アレは流石に予想外だったよ。こんな事も起こるんだね? この世界って」

 

 

 

 

そんな時だ。

まるで、ツカサの身体の中から出てきたかの様に、丁度腹部にあの精霊が、クルルが現れた。

言葉を発する方のクルルは、ツカサが厄介だ、と称していた方の人格。

いつも飄々としていて、何処かつかみどころがなく、いつもいつも楽しんでる雰囲気な存在だったのだが……、今のクルルは軽口は一切なく真剣そのものだった。

 

 

「大丈夫だよ。いつ目を覚ますかはちょっと読めないけど。この子は死んじゃいない。―――流石に不意打ちでアレを食らうのは、厳しかったと思うけど、何とか命は消えてないよ」

 

 

だからこそ、その言葉は頭の芯……心にまで届いた。

冷めきってしまったラムの身体の芯から、熱くなる。身体が燃えているかの様に。

 

 

「!! ほ、ほんとう……ですか?」

「うん勿論! ただ、やっぱし、ここの治癒術(・・・・・・)は意味ないけど、一応、身体そのものは休ませないといけないからね? だから、あのクルシュって娘の家に連れてってあげてくれる? その間、僕はもうちょっと彼の中で頑張ってみるからさ。―――クルルとして」

 

 

クルルは、そういうと再びツカサの中へと消えていった。

 

 

「レム、バルス! すぐに、直ぐにツカサをクルシュ様のところへ!」

 

 

ラムの指示に従わない者はいない。

迅速かつ丁寧に、慎重に、彼をクルシュのいるカルステン家へと運ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルシュに事情を説明。

最初は大層驚かれたが、ツカサ自身の持病―――そう、ロズワール邸での一件と同じ説明をして、納得して貰った。

 

治癒が全く効かないのは、クルル以外にも大精霊パックやベアトリスが言っていた通り。

だが、このカルステン家、クルシュの一の騎士であり、《青》の称号を持つフェリスならば―――……と期待をしていたのだが、答えはパックと同じだった。

 

 

バラバラになった身体のマナ。それを不可解な形で組み合わせ、循環を繰り返し、身体の中で破壊と創造を繰り返している。

その反動で、身体そのものに傷をつけている状態だが、時と共にそれは修復へと向かっているのだ。

 

手を加える事が出来ず、干渉が一切できないのは、王国一の治癒術士として、歯痒い気分になる。

 

―――死なない限り治す。

 

そう豪語していたフェリスもお手上げだった。

 

 

 

「…………」

 

ツカサの手をぎゅっ、と握り続けるラム。

痛いほど長い沈黙を、先に破ったのはスバルだった。

 

 

「何が起きたのか……、教えてくれ。ラム」

「……………」

 

 

それは、ツカサをここまで運んだ時にラムが仕切りにツカサに言い聞かせていた言葉だ。

 

 

《どうして、自分を優先したのか》

《どうして、自分を見捨てバルスの方を優先しなかったのか》

《どうして、そんなになるまで自分より他人を……》

 

 

何度も何度もツカサに言っていた。

そこから導きだされるのは1つ。

 

ラムは知っているのだ。

 

戻った時の状況を。

 

 

 

「頼む、ラム。教えてくれ! 何が起きたのか……!? 頼む!! 次は絶対に起こさねぇ!! 何とか、何とか無様でも逃げ回ってでも、生き残って見せる!! だから、頼む……! 思い出すのもキツイかもしれないが、何が起きたのか、教えてくれ!!」

 

 

ラムの身体を強く揺さぶるスバル。

ラムはスバルの事を少なからず憎んだが、その気持ちはツカサの顔を見続ける事で、どうにか収める事が出来た。

 

何より、スバルの言う通りだ。……備えなければならない。少なくとも、スバルの死で戻るのではなく、ツカサ自身の力で戻ってもらわなければ堂々巡り……否、最悪本当に死ぬ可能性だって高くなる。

 

 

便宜上今を2周目と称するなら……1周目よりも遥かにツカサの身体の状態が良くない。

一体どういう原理で、どういうダメージが身体に残るのかは解らないが、あの日(・・・)の事を伝える以外は無いだろう。

 

 

 

 

 

「……今から5日後。世界が白銀で包まれる事になる。……それにバルスが巻き込まれた」

 

 

 

 

 

ラムは静かに語りだした。

 

あの日、……否 未来で何が起こったのかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




てなわけで、ネコチャン暴走八つ当たりまで、色々すっ飛ばして行きましたな(o^ O^)シ彡☆

つっても、原作では剣の修行&デートくらいなので、飛ばしても良いかな?と思っちゃって(o^ O^)シ彡☆


レムりんがソッコーで姉様みつけたけど、あの子はバルス君の臭い辿って、路地チンピラの群れ大決戦、に乱入できたし、余裕っすよね??(*゚∀゚人゚∀゚*)♪
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