Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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ツカサ君の


ぐぁ、がはっ!


な、シーン。


何故か、某海賊アニメの一場面が浮かびまシタ!!

少々古いですが、頂上戦争‼
白い髭を持つお爺ちゃんが、赤いワンちゃんをグラグラ裏拳!でKOしかけた場面ですなw
身体がバラバラになるあの演出が大好きだった、と言うのもありまする!!


彼の死に戻り

 

 

 

ラムの説明を聞いて 自分に何が起きたのか、それを知る事は出来た。

厳密に言えば、死の原因は解らないので、何も解決しない、何も解らないも同然だったが、兎に角西の空から、ナニカが迫ってきたと言うのは理解出来たし、朧気ながら思い出す事も出来た。

 

何故、真っ白な世界しか思い出せないのかも。

 

 

それは心臓を掴みに来る暗黒の手、あの魔女の恐怖とはまた違う。

まるで白の悪魔が迫ってくるかの様だ。

 

 

 

「つまり……、今から5日後にまた、それが……」

「……ツカサにはもう無理はさせられない。だからバルス。当日はなるべくツカサと一緒に居なさい。原因が解らない以上、それ以上の自衛手段はないわ。一瞬で全てを凍らされた。抗う事が出来ない程の何かを、ラムは感じた。…………だから、レムもそれで良い? 絶対に5日後は単独では動かない事」

 

 

ラムとツカサは、知っている(・・・・・)からこそ直ぐに理解する事が出来たが、生憎レムは知らない(・・・・)のだ。

 

あの時何が起きたのか、現在どうしてこの場に、言わば過去に立っているのかが理解が追いついていない。

ラムから説明を聞いても理解が追いつかない。

 

ラムが言っていたから、信用に足る最愛の姉の言葉だから、と言う意味では 虚実だとは思っていないが、流石に時を遡ってきたと言っていて、それをそのまま受け入れるにはあまりにもハードルが高いのだ。

 

 

「えと……、つまりツカサ君は時を操る程の大魔法を使ってた……と言う事でしょうか? その反動で……、スバル君を救った反動で……」

 

 

理解が追いつかないが、それでも言葉にする事は出来る。

あまりにも規格外……それどころじゃない。時をも動かす神業など聞いたことが無いし、世界の核であるオド・ラグナがそれを許すとは到底思えない、と言う結論も有る。

 

ロズワールの元で、魔道学を学んできて多少なりとも教養があるからこそ、レムは解るが、世界を揺るがす程の力を見出した者たちは全て例外なく心身をやられて廃人となった、と言う事例がまざまざと残されている。

 

 

だが、ツカサのそれは揺るがす所の話ではない力じゃない。

 

 

レムの混乱は当然ラムにも共感覚を通じて伝わってくる。

それが当然だと思うし、今ツカサがこんな状況じゃなかったら、彼の言葉も交えてレムに説明をしていただろう。

 

 

「……ええ。ラムとレム、それにバルスが事切れる刹那(・・・・・・)、ツカサは救ってくれたのよ。……多分、咄嗟の事だったから、身体にかかる負担が大きかったんだと思うわ」

 

 

ラムはここではレムに虚実を織り交ぜて説明を入れた。

 

実を言えばツカサから聞いているのだ。………スバルの中に居る(ナニカ)を。

 

知られた時点であの闇には命を狙われる可能性が極めて高かった様だが、そこはクルルが説得し、それに応じてくれてる形になっている。

 

以前、スバルの中に居る(ナニカ)についての説明を聞いた。

 

 

誰にも知られたくない、スバルを死なせたくない、その為なら何でもする。……命をも喰らう。

 

 

その強過ぎる想いがあるが故の狂気の行動が、心臓を握らんとする闇の手。

ラムはクルルが説得したから、と言うよりは、説得に応じてくれた理由は、恐らく好意のベクトルが自分はスバルに向いていないからだろう、と推察していた。

狂気に満ちたその独占欲、歪んだ愛情を持つ(ナニカ)を言い聞かせる為には、それが一番説得しやすい、とも。

 

その点、レムはそう言う訳にはいかないだろう。

 

スバルに好意を確実に持っているし、日に日に好きになって行っていると共感覚でラムにも伝わるから。

 

だから、なるべく……この力はツカサ主体のモノである、としなければならない。

 

 

「(………本当に どうして、どうしてそんな無茶したの……?)」

 

 

ラムは、眠り続けるツカサの手を握り締めた。

ツカサの力の全てを知っているワケではないが、それでも、それでもツカサが無茶をしたと言う事くらいは解る。

 

戻る――――と言う意味では、未来の出来事の説明が難しくなるかもしれないが、事情を知っているラムであれば、それにツカサの言う事であれば、信用するし行動もスムーズに行える。

 

なのに……、ツカサはこうまで傷ついた。

 

 

「…………」

 

 

ラムはツカサの手を持ち上げ、自身の額に当てた。

そこは鬼の角が在った筈の場所。

 

これまで貰ったツカサのマナ。……治るのであれば、返せるのであれば、どうにか渡したい。……そう強く念じながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのラムの反対側にはスバルが居る。

 

未来の話を聞いて、白い悪魔が襲い掛かってきた事を聞いて、驚くと同時にやはり不甲斐なさが募ってくる。思わず目頭が熱くなり、何よりも自分が許せない。

 

 

「レム。……もうレムも解っちまったから、説明するけど、オレは何度も何度もツカサに助けられたんだ。……誰よりも弱いこのオレが、ここまで死なずに来れたのも、ツカサのおかげで………」

「…………っっ(まさ、か……。お屋敷でも、ツカサ君は………っ)」

 

 

誰よりも弱い。

唯一もつ異能は、誰よりもツカサを傷付けてしまう、とスバルは思う。

 

 

そして、レムはスバルが何度も助けられている、と言う言葉を聞いて、あのロズワール邸での出来事を連想させた。

ツカサとスバルが屋敷へとやって来た2日目の朝……ツカサは吐血し、倒れた。ラムが慌ててツカサの元へと向かったのを覚えている。

 

あの時は、正直ラムの様子が不自然にレムは思えていた。

レムからすれば、ラムが突然庭園の方へと駆け出していったのだから。

何の前触れもなく前兆も無く、いの一番に倒れているツカサの元へと駆けつけた。比較的傍に居るエミリアよりも早く、スバルよりも早く。

 

 

―――ツカサが倒れる事を知っていたとするなら、説明がつく。ツカサが今回の様に繰り返したと言うなら、ラムの行動の全てが説明がつく。

 

 

「ツカサ君、ツカサ君……っ」

 

 

前回は、直ぐに目を覚ましてくれた。

ツカサを客間へと運び、身体を拭き、ラムとレムが一緒に看病をし続けて……比較的早く目を覚ましてくれた。

 

 

だから―――今回もきっと、目を覚ましてくれる。

 

 

ラムのあの顔を視たくないし、レムにとって義兄とも言えるツカサの帰りを、レムは信じて祈るのだった

 

 

 

 

そんなレムの隣で、スバルは歯を喰いしばっている。

 

 

 

「………なんで、オレが………っ。オレは、もう………」

 

 

 

―――もう、死んだ様に生き続けるしか無いのではないか……? と思い始めてしまう。

 

 

そう思った、頭を過ったその時、左手に温もりが在った。

レムのものだ。

 

口には出さないが、それでも……まるで、自分の考えを否定するかの様に、強く握り締めてくれた。

 

 

だが、それでも、強烈な虚無感が拭えない。

力がないのに、望むものは限りなく高い。こんな修羅の世界で、生と死が隣り合わせにある世界で、夢ばかり見続けてきた。

 

そして、そんな自分の変わりに――――傷つくのは、引きこもりだった自分が出来た……もう、ずっと出来ないだろう、と心の何処かでは解っていた相手。……親友だ。

 

 

このままでは、自分自身がその親友を殺すのではないか?

間接的に、彼が今後も救い続けるだろう、英雄的な活躍をし、数多の人々を救い続けるだろう人々まで、自分は殺す事になるのではないか?

 

 

「………、オレが、オレも、……オレにお前の苦しみを分けてくれたら……ッッ、変わってやれたなら……っ」

 

 

スバルは、最後ギリッッと強く歯を喰いしばった。

曲りなりにも、死を何度も体験してきた身だ。ツカサが味わっている死の体感。それをどうにか自分の身に背負えないか、とまた高望みをしてしまう。

 

 

だが――――本気でそう思っているのか怪しい所だ。

 

 

 

スバル自身は、エミリアやパック、ベアトリス、……そしてカルステン家ではフェリスと、身体を治してもらえれる。

骨を折ろうが、頭を割られようが、歯を折られようが、全て元通りに戻してくれる。

 

だが、ツカサのこの苦痛だけは誰にも治す事が出来ない。クルルと言う規格外生命体を除けば、治療手段がないのだ。

 

そんな苦痛をこの身に受ける覚悟があるのか? 

出来ないから、高望みだから、格好をつけて調子が良い事を言ってるんじゃないのか?

ツカサの感じている事を、体験してきた事を同じく味わえば……対等になれるとでも思っているのではないか?

 

 

スバルは自問自答を繰り返したその時だ。

 

 

 

 

 

 

「――――じゃあ、体験してみる?」

 

 

 

 

 

時が……止まった。

 

握ってくれてるレムの手から、温もりが消失し、自分の身体が寸分も動かす事が出来ない。

だが、視界だけははっきりしている。

 

ツカサの身体から、あの精霊が……クルルが出てきた。

額の紅玉を妖しく発光をさせながら。

 

 

 

「でもね、悪いけど これ(・・)は、オススメはしないよ。本当にキツイと思うし。この子はボクの事を愉快犯だ、って言ってたケドね? 流石に分別くらいはつけれるさ。痛みで苦しむ様を延々と眺め続ける様な加虐趣味はないしね。――――まぁ、たまにはアリかもだけど、この子は結構続けてきてるから、もう、そろそろな~~、って感じ? だし」

 

 

 

調子の良い、それでいて流暢な声が頭に直接響いてくる。

だが、それはよくよく聞いてみると真剣なのかふざけているのか、よく解らない抑揚のない声でもある様に感じた。

 

 

 

 

「―――何、言って……?」

「ん? つまり、あの体験。この子が感じたヤツを君に。追体験くらいはさせて上げれるよ? この子が辿ってきた道を、なぞらせる事は出来る」

 

 

そこまで言うと、クルルは次に首を左右に振った。

 

 

「但し! おすすめしない、って理由も聞いてね? 追体験した結果、肉体には傷は追わないけど、精神が崩れる可能性は大いにある。精神が完全に崩れたら、ある意味肉体の死も同然だからね? あっ、こっちも一応言っておくけど、君が本当に死ぬわけじゃないから、君の中に居る娘も、戻すみたいな手は出せないんじゃないかな?」

 

 

 

戻る事が出来ない本当の意味での正念場であり、ある意味究極の選択だ。

 

 

 

「まぁ、客観的に見れば《君は受けるべきだ!! この子が君の為に、こんなになってんだぞっっ!!》 って、熱く語っても良いんだけど~、いや ほんとにオススメしない、って事だけ言っておくよ。ある意味では、彼が選んだ道でもあるんだからね。覚悟はしている筈さ。―――辛くて、キツくて、苦しくて。君の知る世界やこの世界。比較の仕様がない程の地獄だから」

 

 

お誂え向きだ。

覚悟が試される。

先ほどの嘆きが、ただのポーズでないと言う事を、ここに示す事が出来るのだから。

 

 

「……確認させてくれ。それを受けて、オレが死んじまって、またツカサに追い打ちをかける……、なんて事にはならねぇよな?」

「あ! それは大丈夫大丈夫。肉体的には本当の意味で死ぬわけじゃないから。さっき言った通り、君の中の娘は手出しできないと思うよ。今、この瞬間も完全に隔離した次元だから、手が出せてない様だし??」

「………後、頼みを、聞いてくれないか?」

 

 

スバルは意を決した。

目の前に佇む大精霊(クルル)に向かって、己の覚悟を決める。

 

 

クルル(・・・)として、出来る事なら、って範囲だけど、良いよ」

「クルルとして、って……。それでも今まで十分スゲー範囲だと思うぜ。つーか、その縛り無くなったら、一体どんだけの事が出来んだよ」

 

 

 

それはツカサもだろうが、スバルも度々聴く最後の一言。

聞く度に疑問に思っていた事でもあるし、自分自身がクルルとは別物だ、と言う区別にもなってたりしている。

 

何処まで本当なのかは流石に解らないが。

 

スバルから聞かれて、クルルは時が止まった空間を自在に動き、スバルの真ん前で首を傾げながら言った。

 

 

「んっん~~……、全知全能?」

「……マジで言ってる所が、ほんとヤベーよ」

 

 

それは冗談の様で、冗談に聞こえないから末恐ろしい。

ツカサの苦痛を追体験させてあげる、と言ってる所もだし、時を止めている所もそう。……更に言えば時間を撒き戻したり、何処かのゲームよろしく、セーブやロードまでやっているのだから、クルルの時点で十分過ぎる程ヤバイ存在だ。

 

神だ、と言われても何らおかしくはないが、スバルにとってはあまり好ましくないものでもある。

 

 

《神より鬼の方が好き》

 

 

と、以前レムに伝えていた事があるからだ。

だが、そんな心配は杞憂に終わる。

 

 

「あはは。まっ冗談冗談。でも、あまり干渉し過ぎるのもちょっとね。この世界から弾かれてしまうかもしれないし、逆に世界が壊れてしまうかも知れないし、どうなるか解んない、って所が正しいかもね♪」

 

 

 

心配していた神様嫌い、鬼の方が大好き、発言は杞憂に終わったが、別の意味で冷や汗が出る思いだ。時間が止まっている筈なのに。

真面目に世界が壊れるやどうなるか解らない、と聞かされた日には……本能的に怖気づいても仕方のない事だろう。

 

 

「……解った。もし、もし、そのオレが死ぬ事(・・・)になったら、お前の手で封印してもらいたいんだ」

 

 

これ以上ツカサに迷惑かけない様に。

兄弟が、傷つかない様に。

 

そして、後周りにそれとなくフォローしてもらい。何でスバルがそうなったのかを。……そして、ラムに激怒(キレ)られる可能性が極めて高いので、ツカサには影響がない事も同じく。

 

恐らく、そうなってしまったスバルは、治癒術士であるフェリスにも治すのは不可能だろう。

なら、流れで言えば、そこからクルルが治療を試してみる、と言うのが自然な形だ。

 

治療を名目に、半ば封印。本当に死ぬ事だけは防ぐ様にして貰いたい。

 

 

 

それがスバルの願いだった。

 

先ほどの想いが、先ほどの決意が、……先ほどの覚悟が、嘘にならない様に。

 

 

 

「スバル君風に言うなら、OKだ。行く気満々な様だけど、更に言えばこれは片道切符で途中下車は不可だ。辛いから一度止めて~って言うのは出来ないよ? これも冗談抜きで。それでもOK?」

「ああ。OK。よろしいですか? の意味に加えて、問題ないですよ、とも使える」

 

 

クルルはそれ以上は何も言わず、額の紅玉を更に光らせると、ふわふわと浮いた。

すると、その身体は手のひらサイズだったというのに、倍以上の体躯……スバルの身体半分程の大きさになって、その手を取った。

 

反対側はツカサの額に触れている。

 

ラムの手を透過し、ツカサの頭の中へと手を入れる様に。

そして、また抑揚のない声がスバルの頭の中に流れてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――じゃあ、逝ってくると良いよ。……彼の死に戻り(・・・・・・)を体感しに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




逝ってらっしゃい…… (/・ω・)/
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