Re:ゼロから苦しむ異世界生活 作:リゼロ良し
と自分で思っちゃいましたナ‼(((o(*゚▽゚*)o)))
これ以上急接近するなら、フェリちゃんも黙っちゃいナイ!!
そして、勿論ながら、桃色の彼女もww
メイザース領、ロズワール邸に戻る為には必要な事。
「時間を取って頂いて、ありがとうございます。クルシュさん」
「なに。丁度時間が空いた所だ。執務中に卿と話を交わすのは初めてでな。……興味をそそられた故、私にも益がある」
クルシュに訳を話す事だ。
本来であれば、スバルやラム、レム……全員が世話になったのだから、皆で感謝を伝える旨を第一に、誠意をもって……と言うのが好まれるが、そう言う訳にもいかない。
あの止まった世界で気を落ち着かせる事が出来ているが、本音で正直に話すとしたら、一刻も早くロズワール邸へと戻って、確認をしたい、と言う衝動に苛まれているから。
あらゆる手段を模索しなければならないのだから。
こう言う時こそ、本当の意味での事情を知っている仲間が居る事に、深く感謝と安堵を覚えた。
たら、れば を話すとすれば、もしも、未来を知らなかったとしたら……まず間違いなくレムかラムのどちらかは残っていた筈だ。
交渉事に関しては、彼女達がより適任である筈だし、スバルだけでは心許ないのも事実。
そもそも、時間を越えてないラムとレムの2人の説得から始まるので、更に大変。
様々な幸運を経て、まさに、適材適所で、各々が行動出来ている。
だが、今はクルシュとの話に全身全霊で赴いた。
ツカサは心を鎮めて、極めて平常心を務める。
座椅子に腰を掛けて、膝の上で手を組んだクルシュは、ツカサを見て何処か不敵な笑みを浮かべていた。
確かに、よくよく考えてみると、クルシュと言葉を交わす事はこれまでは執務外が基本だ。特に多いのはヴィルヘルムらと共に、剣を交えている最中だろうか。
凛々しい面持ちだが、その奥には何処か幼子の様な新たな感性、期待が見え隠れしているのを、ツカサは見た。
風見の加護とやらが無くても、それくらいは察する事が出来る。
「正直……、ご期待に沿える内容かどうかは、判断し兼ねますが……」
「よい。私が勝手にそう思っているだけだ。……しかし卿に戸惑いと躊躇い、それらの色が見えたな。すまない。気負わせてしまったか?」
「いえいえ。そう言う訳ではありませんよ? ただ、益がある話かどうか、と言う点については、正直そうは思えなくて……」
「ほう?」
そして、クルシュの隣に立つ騎士フェリスは僅かに目を細めた。
何処か愛らしい頬を軽く膨らませながら。
「クルシュ様に不利益を齎す~、にゃんて言うんじゃにゃいでしょーね!?」
「フェリスの警戒は御最も。……不利益、かどうかは正直微妙な所です」
「むっ、む~~‼ そーゆーのは、フェリちゃんをまず通してからしてもらいたいにゃんっ!!」
クルシュのお気に入りに成りつつあるツカサに、敵対心を剥き出しにしてくるのが定番になっている。
だが、それも何処かおふざけ程度であるのは、誰の目から見ても明らかであり、大体フェリスが勢いよく前に出てツカサが受け身。ある程度したらクルシュが諫める、と言うのも定番である。
そこまで本気にしていないのは、ラムの存在が大きいだろう。
だが、英雄は幾多の女人を愛でる、と言う格言があるらしいので、ある程度は気が気じゃない、と言う面も出てきたりしているが。
「フェリス。その辺りにしておけ。ツカサには 剣を交えた時、剣を改めて見せて貰った時、厄災をも退ける剣を見せて貰った事に対する相応の礼を、と言ってある。無論、聞ける範囲内には成るが、邪険にする事はしまいよ」
クルシュとこの手のやり取りをしていたのは本当に僥倖だと言えるだろう。
貸し借りの類では無く、御礼の類ではあるが、一方的ではないので、遥かに頼み易い。
当初こそは、ただヴィルヘルムやクルシュと剣を交える程度で、褒美など以ての外! と思っていたツカサだったが……、今はありがたく承る所存である。
「ありがとうございます。……それと、申し訳ない。スバルの治療を切り上げて頂きたいのと、メイザース領へ向かう為の竜車を、お借りしたくて。折角のご厚意を無為にする事になりますが……」
スバルの治療を切り上げる、と言う点を聞いた途端、クルシュの目つきが変わった。
やや、鋭い物になる。それは、恐らくツカサの真意を測っているかの様だ。
「1つ、独自に得た情報を提示しようツカサ。……現在のメイザース領、つまりロズワール辺境伯の領地。今から卿が向かおうとしている場所では厄介な動きがある。……既に領内の一部では辺境伯の命令で厳戒態勢との事だ」
「――――……ロズワールさんが、それを発令したのは、王選開始直後……ですよね?」
クルシュは無言で頷いて、続ける。
「実際に、何かが起きているかどうかまでは把握できていない。……しかし、十分予期できた事態だとも言えるな。卿の想像の通り。エミリア―――ハーフエルフを支援すると表明した時点で。銀髪のハーフエルフだ。《嫉妬の魔女》の悪名が広がっている以上、偏見と闘っていく事は避けられないだろうな」
「……それを、それを解った上で、彼女はその茨の道を進むと決意した筈です。なら、オレはオレが出来る事をするまで。……彼女とは
朗らかに笑うツカサの顔には、嘘偽りの風は一切見えない。
クルシュは、じっ、とその表情を見た。凡そ3秒ほど見た後、軽くため息を吐く。
「解っていた事ではあるが、存外堪えるモノだ」
「え??」
「う~~~!!」
クルシュの表情、言葉。言っている意味がいまいちつかめず首を傾げていると、何故だかフェリスが威嚇してきた。
言葉にはせず、ただただ、ネコ科動物か何かか? と思える程、両手を爪に見立てて、ツカサを威嚇続ける。
「さて、話がそれてすまないな。……卿は兎も角。ナツキ・スバルは違う。彼を客人として扱い、フェリスの治療を受けさせているのは偏に契約があっての事だからな」
「はい。それは存じております」
「ふむ。私とエミリアとの間にはある契約が結ばれている。……つまり、見返りがあるからこそ、受け入れたと言う訳だな。………そして、契約は王選が始まる前。今とは全く状況が異なるんだ。公な政敵となった以上、エミリア陣営との交渉は慎重を期さなくてはならない」
暗に何を伝えようとしているのか、それくらいはツカサにも解る。
今、この家を出たら、カルステン家の庇護下からは完全に離れる。故に、戻ってきても何もしないぞ、と言っているも同然の様だ。
そして、それはエミリアの力になる、と公言しているツカサにも言える事。
有事の際に関しては、敵味方関係なく、持てる力を貸す事を躊躇わない、と言う事は伝えてあるが、それと王選の件はまた別問題だ。
「―――今回、契約を王選開始後に、状況が一変しても守り続ける義理は無い。……つまりだ。ナツキ・スバルを連れてゆくと言うのであれば、その瞬間をもって、状況が一変した、と言う事とする。……今後は、遺恨なく私とエミリアは敵同士と言う訳だ。卿の願い、それを叶えると言う事はそう言う事だ」
「……それが正しいと思います。政敵ですからね。……それにクルシュさんを慕い、クルシュさんと共に戦い抜きたい、と信じてついてきてくれている人達にとっても、断固とした姿勢は必要だと思ってます。王国の未来を左右する事柄。……慣れあいで行くワケにはいきませんから」
残念と言えば、そうだ。
クルシュとは仲良くやっていけそうな気がしなかったか? と問われれば、どうしても首を縦に振る。
剣を交え、盃を交え、……紛れもなく、エミリアの次に関わりを持った存在だと言っても良いから。
「――――意思は固い。そう言う事か。ならば、もう包み隠さず卿には話をするとしよう」
クルシュは、深く座椅子に座り込むと、大きく深呼吸をした後、話しを続ける。
「ナツキ・スバルが当家で治療を受けている間。その期間にどうにか卿を当家に取り込もうと画策をしていたんだ」
「…………」
「剣やその力だけでなく、卿の人柄だな。―――巨大な、強大な力を持ちながら、無欲と言って良いその卿の姿勢。正直目を見張るものがあった。かの剣聖にも通じる事柄だろう。……彼が例外だと思っていたが、認識を変えられたよ。契約の事も教え、それを匂わせて、引きとどめようともした。……狡い手を、と笑ってくれ」
「笑いませんよ。……光栄です。そこまでの評価を頂けて、身に余る思いです。……ですが、申し訳ない。今回の件は、オレの
「――――ほう?」
クルシュは力を抜いていた様だが、再び入れ直した。
ツカサの言葉を吟味しながら。
「詳しく訊いても良いか?」
「はい。大丈夫です」
風見の加護があるクルシュには嘘は通じない。
故に、ある意味では本当である……と言う結果的には虚実にはなるが、それが確実に起こる事なのである程度は加護を回避する事が出来るだろう、とツカサは予測した。
「―――今朝になって、突然脳裏に映像が……フラッシュバックしたんです」
「それは卿の記憶……と言う訳か?」
「いえ、それがそう単純な事ではない様で………。その中にはスバルが居て、ラムが居て……レムも居ました。過去の記憶とはどうしても思えないんです」
「……………」
それは脳裏の映像……では無く、本当に体験してきた未来での話だ。
故に、これは嘘には成りえない。
「はっきりは解りません。……ただ、メイザース領。あそこに帰らなければならない、と言う強迫概念に似た何かも映像と共に強烈に感じました。……正直、戯言だと思われても仕方ないです。結果、杞憂に終わるなら、オレが責任をもってスバルの治療の件は引き受けようと思ってます。ロズワールさんに借金でも何でもして」
「――――……ふむ。確かに、ただの狂言、妄信や妄想の類であると言う考えは拭いきれないが、卿の成り立ちに関する事だ。切って捨てるワケにはいくまい」
クルシュはそう言うと寄せていた眉を元に戻す。
改めて力を抜いた様だ。
「ツカサ。卿の気がかりも、そして それを選ぶ覚悟も全て見せて貰った。……一貫して迷いのない卿のその風は、私にとっても好ましい限りだ。……ナツキ・スバルの件に関しては、先ほど言った事は撤回出来ないが、良いな?」
「はい。大丈夫です。……100%こちらの都合で、契約を破棄する形になるのですから。後で、エミリアさんには謝罪の意を伝えておきます。クルシュさんは最後までよくしてくれた、と」
「ふむ。……そして、もう1つ、申し訳ない事に当家の長距離移動用の竜車は全て利用が決まっている。貸し出せるのは、運搬用の足が遅い物と中距離を交代して走る者しか残っていないのだ」
「! ―――貸して、貸していただけるのですか?」
ツカサは、スバルと共にカルステン家を出た瞬間から、敵対勢力と言う事になる為、メイザース領まで行く足を貸してくれるとは思ってなかった。
なので、オットーを通じて知り合った商人達に計らってもらおうかと考えていたのだが、想定外だった。
「む。フェリス、私は何かおかしなことを言ったか?」
「クルシュ様の優しさに見惚れたんじゃにゃいかにゃ~? フェリちゃんもいつもクラクラ。ツカサきゅん、きっと竜車を貸してもらえるとは思ってにゃかったんじゃにゃいですか?」
フェリスの言葉を聞いて、納得した顔で頷いた。
「私は卿の事は信頼しているし、信用もしている。確かに敵対する間柄だと言う事は否めないが、それであっても、友好的でありたいと私は想っているよ。雌雄を決する時が来たとしても」
「―――なぜ、なぜそこまでオレの、私の事を……………?」
クルシュの申し出は光栄……どころの話ではない。
確かに、エミリアの次にクルシュと面識があると言って良いし、盃も交わした間柄だが、そこまでの信頼や信用を得られたか? と問われれば、正直頷けないのだ。
勲章の効果だろうか? とも思えたが……、それがクルシュに対する侮辱であると言う事は、この次の言葉ではっきりとした。
「卿を見て、剣を交わして、言葉も交わした。卿自身を多少なりとも知る事が出来た。……これでも人を見る目には自信があるのでな」
クルシュはそう言って、朗らかに笑みを浮かべていた。
形ではなく時間でもない。ただ、ツカサと言う人間を、1人の男を認めてくれたと言う事に他ならない。
浅はかな考えを戒めると同時にツカサは、頭を下げた。
「ありがとう、ございました」
「良い。……また狡い手とでも思ってくれ。それ程までに、卿に私もヴィルヘルムも一目以上置いているのだ。――――ツカサ。一刻も早くここをたつのか?」
「はい。スバルやラム、レムと合流したら、改めて挨拶に伺わせてもらいます。その後にでも」
名残惜しい。
こんな状況でなければ恐らくそう思っていた事だろう。
紛れもなく、このカルステン家で過ごした日々は、ツカサの心の内にしっかりと刻まれているのだから。