Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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よーやく、よーやく( ≧∀≦)ノ

チョコットネ~(*゚∀゚人゚∀゚*)♪


グヘンッ!!(゜o゜(☆○=(-_- )゙オラァ


脳が……

 

 

「宿場町フルール。タイミング的にそこにオットーがいるらしいから、長距離となると、オットーの竜車を利用するのが一番効率的ね」

「そっか、良かった。……5日後にルグニカで会うのは解ってるんだけど、それじゃ遅すぎるから知れて良かったよ。……5日後にパックが王都(ここ)に到着するってだけだし」

 

 

オットーとコンタクトをとるのが、交通手段としては最適だ。

商人であり、ツカサの友でもあり、ラムも一応顔見知りで便利屋で下僕(酷)。顔見知りと言っておいて下僕と称する。流石はラムである

 

 

「ツカサの方は?」

「こっちも上々。クルシュさんの所に竜車や物資、人員が集まってる情報は以前から得ていたから、正直厳しいかと思ったんだけど……、取り合えず中距離用の竜車は借りる事が出来たよ」

 

 

前回の周回。

ただスバルの治癒を待っていた訳でも、剣の修行? に没頭していた訳でもない。それなりに抜け目なく、周囲の変化を見続けてきたつもりだ。

商業組合代表のラッセル・フェローなど、相応の大物がいて、何でもヴィルヘルムに関係する事をしようとしているらしい。

更に付け加えるなら。

 

 

「……4日後。つまり、前回アナスタシアさんの話を聞いたのも、不安材料の1つだった。クルシュさんが武器・防具を買い集めてる。何処かで戦争でも起こすのか? って勢いでね。…………でもまぁ、今となれば、何のために物資を集め、人を集め、武器防具を集めているのか、その理由も解る」

 

 

ツカサはそう呟くとルグニカから見える空を見上げた。

広く高く、そしてどこまでも青い晴天の空。

 

この推察、想像通りだとするならば、この晴天の空でも、陰りが見えてくるような気がした。

 

 

「リーファウス街道が現在封鎖されてる。……その原因は《霧》」

「―――……ああ。厄介なのが、暴れ出してる様だ。パックも言ってたし。――――《暴食》が暴れてる、って」

 

 

ラムも1つの結論には達している。

クルシュが何を狙っているのか、そして―――ツカサの事を懐柔したかった訳も、恐らくはそこにあるだろう。

 

 

「ベアトリスさんの禁書庫で、勉強させてもらったのが功を成したよ。……暴食。大罪の名の1つであり、そして一昔前は、ある魔獣にもその名がつけられていたそう」

 

 

大空を泳ぐ影。

日も完全に落ち、暗闇だと言うのに……その存在感は、その白い身体は はっきりと見える。

一度、ツカサも見てきたから。

 

 

 

「――――三大魔獣が一翼。《霧の魔獣・白鯨》」

 

 

 

ラムがツカサの続きの言葉を紡いだ。

かの大魔獣が、再び現れるのだ。―――一体何の因果か。

 

 

「でも、こっちには英雄がいるじゃない。ラムにとっての英雄は、この国にとっての英雄でもある。そうでしょう? ……クルシュ様をはじめ、アナスタシア様、プリシラ様。……随分引く手数多。大人気らしいみたいだけどね。まさに英雄は女を求ム、とはよく言ったものね」

「……なんだか、後半部分が怖くなっていってるけど、今は一先ずおいとくよ」

 

 

ラムの声色の変化くらいツカサとて読み取れるようになっている。

関係性の何も知らない第3者では決して見破れなかっただろう、声質の変化……と言ってみたが、2人の事を少しでも知れば容易に解るので、大したことはない。

 

 

「生憎だけど、白鯨を飛ばした時の力は、言ったら《全盛期》なんだ」

「全盛期?」

「うん。この世界にきて、初陣。力の使い方も、あやふやで朧げ。だから、自身の身体も厭わず構わず、あの巨体を飛ばせるだけの一撃を撃てた。………でも、今は」

 

 

ツカサの表情が陰る。

このルグニカで伝わっている事が全て本当で、健在だと言うなら、リーファウス街道にかかっている霧など、何ら脅威足りえない。

 

だが――――、そう都合が良い訳ではないのだ。

 

 

「バルスの馬鹿が、何度も何度も馬鹿したから、実に馬鹿馬鹿しいけれど、ツカサも馬鹿になってしまった。って事ね」

「いや、オレが馬鹿になった、ってラムの辛辣なのが、オレの方にまで来ちゃったよ!?」

「何度も何度も、息吐くように馬鹿、って言わないでっっ!!」

 

 

勢いよく、息を合わせてラムにツッコミを入れる2人………。

もうお気づきの様だが、いつの間にやらスバルも戻ってきていた。

 

 

「お帰り。スバルのせいで、とんだとばっちりを受けた所だよ、まったく」

「くぅぅ、否定できねーのが辛い!! 確かに、オレのせいですとも!! ええ、その通り!! だからこそ、汚名挽回の機会を是非とも与えてほしいものですねーぇ!」

「ハっ! 汚名は返上するものよ。挽回してどうなるというのよ。だからバルスなの」

 

 

国語力も乏しくなってしまったスバルは、ラムにトドメの一撃を貰って、完全にダウンしてしまったのだった。

 

 

 

「それで、スバルの方は?」

「んぁ……! そうだそうだ!! オレはレムと一緒に、騎士団詰所に。そんでラインハルトんとこにも一応顔出してみて、結局両方ダメで、その次たまたまアナスタシアと出くわしたから竜車貸してもらえねーか交渉したら………」

 

 

挽回する? 返上する??

 

と意気込みは良かったスバルだったが、後半部分の声が弱くなる。

 

 

「―――交渉の秘訣を教わりました」

「えっと、つまり?」

「……一応、竜車借りる目途は……、その代わりクルシュさん家の情報結構吸い取られた。物資とかラッセルとか、大荷物夜中に出入りとか……」

 

 

ごにょごにょ、と指と指を合わせてごにょごにょ。

 

 

「情報漏洩で、クルシュさん達から訴えられても仕方ないね? と言うかほぼ恩を仇で返したって言っても良いじゃん………」

「ハッ。期待してないわ。馬鹿(バルス)だから」

「うぐっっ」

 

ぐうの音も出ないとはこのことだろう。

だが、相手はカララギ一の大商人だ。交渉の席で、素人、一般人が立って相手になる訳がないので、仕方がないと言えばそうだろう。

 

「それに、レムが傍にいたのにどうしたの?」

「申し訳ありません、姉様……。レムは別行動をとってまして。厳密にいえば、詰所にはレムが、ラインハルト様の所にはスバル君が行ってましたので……」

「100%悪いのはバルスだけよ」

「そのとーりです!! オレだけですっっ!!」

「……まぁ、クルシュさんの件は大丈夫だと思うよ。あれだけ堂々と物資やら人やらを動かしていたんだから。機密事項って訳でもないだろうし。商人の情報網っていうのは、その商会が大きければ大きい程、比例って言わない位スゴイらしいから、スバルから聞かなくても、たぶんアナスタシアさんなら解ってたんじゃないかな? ………まぁ、目的に関しては別として、ね」

 

 

白鯨の討伐。

恐らくはクルシュが行おうとしているのはそこだろう。

 

もしも、それがアナスタシアの耳に入っていたとしたなら、もっとアクションを起こしてもおかしくはないのだ。

オットーとそれなりに付き合い、たった数日に過ぎないが、共に旅をしたが、商人にとっての天敵。夜盗、盗賊、山賊、魔獣、……そして、何より白鯨。

 

まさに死活問題と言って良いその総本山が白鯨と言う魔獣だ。

 

ただでさえ、霧がかかった時点で、流通がストップしてしまうのだから猶更。

だから、アナスタシアが白鯨の事を知っている訳はないだろう。もしも、事前に把握していたのであれば、言うまでもなく、損得勘定を重視している商人であるなら、協力的になるのは自明だから。

 

 

「取り合えず、クルシュさんの所で1台。アナスタシアさんの所で1台。多くて困る事は無いし、フルールでオットーが居たら、更に増える」

 

 

正直な所、何が起きるか解らない。

ただ、パックから魔女教、と言う話を聞き、後は暴食が暴れている、とも聞いた。

リーファウス街道に霧がかかっている所から察すると、パックはそこを通りルグニカへ最短で来たのだろう。だから、白鯨と出くわす事になった。

 

そこを回避していけば、一先ずはあの魔獣と遭遇する事は無い筈だ。

 

時間はかかるかもしれないが、これが持ちうる戦力を考慮すれば最速。

 

 

「んじゃあ、直ぐ出発だな! あ、クルシュさんにはしっかり礼と挨拶はしとくよ」

「ん。そこは皆でね」

「礼の前に謝罪が必要ね。バルスは」

「………そ、そこはさっさと出発したいので、姉様の胸の中に仕舞ってもらえれば……………」

 

 

スバルは、ちらりとラムの胸を見た。よせば良いのに、レムの胸まで見た。

完全に見比べてるのがはた目からでも解った。

 

 

なので?

 

ラムの一閃が、ばちーーんっ! と景気よくスバルの頬を直撃。

 

「ぼんばるでぃあ!!」

 

見事なラムのビンタ。

スバルの首がねじ切れん勢いだ。

 

 

「時間がないのに破廉恥な考えをしてる場合? 張り倒すわよ」

「もう、張ってるよ姉様っっ!!」

「……擁護しません」

「(そ、そういえば 姉様より大きい事を、スバル君は褒めてくれましたし………い、いえいえ。今はそれどころでは……っ)」

 

 

 

こうして、4人そろって再びカルステン家へと向かうのだった。

 

 

 

 

4人がカルステン家へと到着したころは、もう既に余計な装飾を外して、比較的軽量になった竜車の準備が整っていた様だ。

最初は、それが自分たちに貸し与えてくれるもの……とは思ってなかったのだが(時間があまりにも早かった為)、クルシュへ挨拶をしに行った時に、説明をされたのである。

 

 

そして4人を竜車の前で待っていてくれたのはヴィルヘルムだ。

 

 

「こちらが現状、当家でお貸しできる地竜として、もっとも足の速いものになります。それでも辺境伯が利用されるものや、長距離用の地竜には劣りますが……、お許し願いたい」

「いえ。本当に貸していただけるだけでも助かります。ありがとうございました」

「―――すげーありがたいし、返しに来たい気もあるんだけど……、それってもう無理っぽいですかね?」

 

 

それはツカサも思っていた事で、聞きそびれたが、スバルが代わりに聞いてくれた。

 

クルシュに再び説明―――されるまでもなく、ツカサがもう事前にスバルには告げていた。

エミリアとは敵対関係に戻ると。それはスバルの治療放棄し、この家を完全に出た後に、と。

 

決別をした身で、のこのこと、竜車を返す為にこのカルステン家にきても良いのだろうか? と思われるのだ。

正直、これから起こるであろう、厄災を退けた後なら、気分的にはいくらでも来訪したい気にはなるのだが……、それは完全に私事。クルシュ達には関係のない事だから。

 

 

「私も立場上、クルシュ様の判断に従うほかありません。完全にこの屋敷を出た後、クルシュ様とエミリア様、我々の主人は敵対する同士となるでしょうからな。―――竜車は、ツカサ殿に対する御礼、そしてスバル殿に関しては、その治療と剣の指南が中途で終わる事への餞別……と承っております」

 

 

十分すぎる。

敵対する立場であるのなら、ツカサに関しては、もう靡かないと思っているのなら、何かと理由をつけて協力を断ったりする事だって出来る筈なのに、クルシュは最後まで友好的に接してくれているのだ。

 

 

「クルシュ様がこーーんなに、優しくしてくださったんだから! とっとと、ツカサきゅんの記憶探し、ついでにエミリア様にスバルきゅんが許しを貰って、色々おわらしてくんにゃいと、だよ? ホント。んでんで、クルシュ様が目移りしちゃうとあぶにゃいから、ツカサきゅんは、今後一切、視界に入る事もお断りします! いっちゃえいっちゃえ!!」

「お、おおぅ……、ここまで、兄弟が邪険にされるのって、結構新鮮なんだけど……」

「解るよ。自分の事なのに、他人事のように聞こえてくるのが不思議なんだよね。フェリスに関しては基本理不尽だから、取り合えず受け流そうかな? って」

「にゃにぃぃぃ!! この恋敵めっっ! ラムちゃん! 浮気してるよ!! しっかり手綱握るにゃんっ!!」

 

 

むき―――!! と怒りながら頬を膨らませ、腕を振るい、そして最後にはラムの方を見た……が、ラムとレムは、極々一般的な礼儀作法と共に、頭を下げて会釈をするだけにとどまった。

 

 

「おー、これが正妻の余裕か……。第一夫人の座は安泰、って感じか? 例え未来の王様候補者(クルシュ)でも」

「にゃにーーーー!! そんなの許さないにゃんっっ!! エミリア様の方にいっちゃえっ!!」

「ぐっはっっ!?? 流れ弾が予想外の角度と方向から跳んできた!? 絶対そんなの許しませんっっ!!」

 

 

フェリスとスバルが煩くなってきたので、取り合えず置いてきぼりを食らってる感じなヴィルヘルムに、ツカサは改めて感謝の意を伝えた。

 

 

「こちらこそ。この老骨の相手をしていただき、感謝しております。私もまだまだ未熟ですな」

「未熟、と言うのであれば、それはオレも同じだと思ってます。……まだまだ、精進致しますよ。―――機会があれば、また是非手合わせ願いたいですね。勿論、敵対と言った物騒なものではなく、純粋に剣の腕を見てもらいたい。……もっともっと腕を上げます」

「――――それはそれは、大変脅威に映りますな。老い先短い老木に新たな生き甲斐を与えられたも同然」

 

 

 

 

紳士的に笑い、時にはジョークも交え、更にフェリス式な罵倒と言う送別を貰い……、4人はクルシュの別邸を……貴族街、下層区の大通り、そして王都の外へと通じる大正門を抜けて―――目的の街道へと出るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ぁ、ぁぁぁ………。

 

 

森の中、奥深くに深い深い闇に通じる様な洞穴がある。

松明を一定間隔で拵えている為、その中は明るさはある程度保つ事が出来ているというのに……、そこは闇よりも暗い何かが感じられた。

 

奥へと進むと、大空洞があり、そこには黒い影が―――無数の黒い影が、ある1人に向けて傅いていた。

 

 

膝をつき、影たちは、その大空洞の中心にいる男を微動だにせずに見続ける。

 

 

 

――――あ、ぁぁぁぁ……。

 

 

 

 

闇を具現化したかの様な邪気を纏うその男は、ただ一点を見つめ続けていた。

それは、とある王選の人物画。候補者の1人。

 

 

特徴的な銀髪……そして、ハーフエルフ。

 

 

 

 

 

「―――脳が……震える……」

 

 

 

 

 

消え入りそうなのに、脳髄の奥にまで侵ってくるかの様なか細い声が響く。

次の瞬間、耳障りな骨が砕ける音も。

 

 

ぼき、ぼき、ぼき。

 

 

 

 

それは彼自身の指。

親指を、人差し指を、中指を……只管食んで、食んで……食む、嚙み潰す。

 

 

流れ出る自身の血を気にすることはなく、ただ、一点を見続けた。

銀髪のハーフエルフ。王選候補者。

 

 

エミリアの姿を目に焼き付けながら。首を90度折る。嫌な音が再び響くが意に介さない。

 

 

全ての元凶が、その闇が今、エミリアに迫ろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アナタ………怠惰デスね………」

 

 

 

 

 

 

 

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