Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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あの仮装集団が………ヽ(`Д´)ノプンプン 





黒い鬼

「やーーーっと、僕にもツキがやってきましたよっっ!! いえ、ツカサさんこそが、やっぱり僕にとってのツキだったんですっっ! ぜーーったい、そうです! 商人の嗅覚が、それを今告げてます! それはそれは物凄い勢いで!」

「それはヨカッタヨカッタ。と言いたいケド……、やっぱりオットーも色々と注意して、もっと警戒した方が良い、って思うんだけどね……? 別れてまだ1ヶ月くらいなのに、もう破産だとかの話になっちゃってるの?」

「ハッ。商才が無い商人程惨めなものは無いわね。無能使用人(バルス)と似た様なものだわ」

「ここで、オレ使うの止めてくんないかなぁ!? お姉様!」

「大丈夫ですよ。どれだけスバル君が出来なくても、有能じゃないとしても、レムがやります! スバル君は素敵ですから!」

「レムはレムで、無自覚の毒が今刺さる……! そんでもって、甘やかしてくる見事なまでのアメとムチ!」

 

 

 

 

 

 

 

無事、一行はフルールの街で、オットーと合流を果たした。

 

オットーは、商人。様々な商品を運ぶ運び屋である。

ならば、足としては最適であるのは事実。運ぶものは商品だけでなく、当然人だって運ぶ事が出来るだろう。

来たる厄災に備えて、アーラム村・エミリアを事前に避難を……となれば、商人同士の繋がりもある程度はある筈だから、(金銭面負担は増えるが)これ以上頼りになる人材は他にいないとも言えるだろう。

 

 

それにツカサに対しての恩義があるから断る事は無いだろう、と言う事にも付け込んで、交渉を――――と思っていたのだが、呆れる程あっさりと了承を得れた。

 

 

勿論、危険なのには変わりないので、相応の報酬は約束する旨は伝えているが、オットーは何処までもツカサの事が好きらしい。

 

 

「このオットー・スーウェン! 貸し借りは作らない主義なんですよ! って、これ前にも言いましたよね? それに、ツカサさんは僕の友達。友達が友達を助けるのは当然の事だと思ってます」

 

 

真っ直ぐ見据えて、何の躊躇いも無く恥ずかし気も無く言い切るオットー。

愚直なまでに真っ直ぐだったからこそ、完璧に損得勘定抜き……とは言い切れないかもしれないが、限りなくソレ抜きで想いの丈を伝えているのが伝わる。

 

 

「いや、マジで助かるぜ、オットー! 持つべきものは頼りになる友達だよな!! うんうん」

「ですよね! ナツキさん!」

 

 

そして、何だかスバルとも意気投合している様な気がする。

同じ人物にとてつもなく世話になったから、と言う面では2人は同じだ。

 

或いは、ツカサの友達だから、友達の友達は友達、と言った感じだろうか。

 

 

 

 

「一先ず、後1日……長くて2日程待てば、ルグニカ行の行商人たちがフルール(ここ)に経由する筈ですから、人手が必要なら待つのが最適かと思いますが」

「人手が多い事に越した事は無い。貧乏性って言われても、何でも使えるもんは使う、ってのがオレ流だが」

「…………」

 

 

 

スバルとオットーの話を聞きながら、ツカサは少し考えた。

現状、足があるのはクルシュ・アナスタシアから借り受けた竜車2台に加えて、オットーの持つ竜車(油セット)だ。

 

白鯨は、十中八九リーファウス街道。こちらのルートでは遭遇しないだろうから、そちらの心配は無い。大丈夫だと思われるが、魔女教があまりにも未知数なのだ。

 

今持ちうる戦力だけで、対処できる規模ならば、問題ないかもしれないが、400年尻尾を掴ませず、更に世界に厄災を齎してきたと言って良い異常集団だ。

 

だが、だからと言って、ここで待ちを選択するのも悔やまれる。

いつ、魔女教が暴れ出すか、正確な時間は把握できていない。今この瞬間も襲われているかもしれない。粘りに粘って、皆を守って守って……あの日。エミリアが命を落とした……、と言う可能性だって否定できない。

 

 

「…………っ」

 

 

ツカサの持つ力、スバルの持つ力。

時間遡行(ループ)をすれば、常に最適解を模索し、そして導く事だって可能ではある、が、スバルは、その戻る力の条件が厳しい+ツカサの身体に相当な負荷がかかる。

そして、ツカサは簡単に割り切ったりできない。

所謂、今の世界線。……この時間軸での世界は情報収集に徹すると言う方法。云わば捨て石。

そうする事によって、より安全な道を正確に選ぶ事だって出来るだろう。

 

だがどうしても、躊躇ってしまう。

 

戻る事によって、この世界が無くなる。

だからと言って、生きていない訳ではない。偽物なんかじゃない。全てが本物だ。

 

情報収集をする……と言う事は最悪の未来を視続けると言う行為に他ならない。最悪の未来を回避する為に、情報収集と言う名目で視続けなければならない。

感情移入をし過ぎる節の有るツカサにとっては、かなり厳しいと言える。

 

 

「大丈夫よ」

「!」

 

 

そんな時、そっとツカサの手を握るのはラムだ。

 

 

「ラムも、一緒に立ち向かうと決めたのだから。ツカサもラムも、その為に最善を尽くす。それだけに集中すれば良い。……ラムは信じてるから」

 

 

ラムは笑顔でそう言い切った。

ツカサを信じている、と言う言葉を添えて。

 

 

 

 

「スバル。兎に角、一刻も早く村に屋敷に戻ろう。オットーの案も良いと思うけど。今回は(・・・)スピード重視で。……屋敷の状況を知りたい」

 

 

 

 

精神的な苦悩は重いかもしれないが、それでも仲間が居るから。……時間遡行を知る仲間が居てくれるから、乗り越えられる。

 

ツカサは、そう言って拳を握り締めるのだった。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、レム。ラムとツカサ、バルスとオットーに分かれて、竜車に乗りましょう。……レム、お願いね」

「はい姉様。任せてください」

 

 

竜車は3台。

手綱を握って、上手く操る事が出来る人材と言えば、オットーとレム、そしてラム……ではなく、ツカサだったりする。

 

御者をするのは初めての事では無く、これも以前オットーと共に旅をしていた時にやらせてもらった。

オットー曰く、

 

 

《ツカサさんは、地竜に直ぐ好かれた》

 

 

との事だ。地竜と話が出来る言霊の加護を持っているからこその評価。オットー自身がかなり地竜を説得したのかもしれない。

 

だが、地竜とて誰かに言われて好きになったり、認めたりするワケではない。あの時ツカサと言う人物を好いた、と言うのは事実だった。

 

何せ、ツカサは厄災を退けてくれたのだ。

救ったのはオットーだけじゃない。地竜も同じ。……死を覚悟し、走り続けた地竜を救った英雄なのだから。

 

ひょっとしたら……地竜の間で広まっているのだろうか、今回貸し出された竜車2台。それを引く地竜たちにもしっかりと認められている。

 

 

 

「別に異論はねーけど、野郎と2人でってのはなぁ」

「さっきまで友達友達言ってたのに、今見事に手のひら返しましたね! 解んなくもないですけど!!」

「ハッ。商才の無い商人(オットー)無能使用人(バルス)。実に丁度良い組み合わせじゃない」

「「ひでぇっっ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兎も角、無事フルールをたち、このまま何処にも立ち寄る事無く走行。

夜間移動は魔獣と遭遇する畏れもあったが、頼りになる用心棒が控えているので、その心配はしてない。……と言うより、気にしないで欲しい、と言った方が正しい。

一刻も早くメイザース領へ。それが全員に共通する想いでもあるからだ。

 

タイムロスは望ましくない。

 

 

 

 

「それにしても、夜間も走り続ける条件って、結構無茶だと思ったんだけど、お前マジで快く引き受けてくれたよな? オットー。感謝してるぜ」

「そりゃ、ツカサさんの頼みですから。死力でも何でも僕は尽くしますよ? それに報酬だって物凄いんですから。………まぁ、ツカサさんの頼み~じゃなかったら、正直無茶だ、とは思いますが」

「……おまえ、マジ兄弟好き過ぎだろ」

「否定はしません。何せ、目の前で命を救われましたからね? それに加えて、あの人柄です。ヘンな意味でも意図でもないですが、男に惚れると言うのがツカサさんにはピッタリ当て嵌まります。……ふふ。以前までの僕なら、背筋が凍る思いですね」

 

 

 

ツカサ好き好きトークが始まった。

オットーの身の上話は聞いているし、生きる証人である商人……とスバルは違う意味で背筋が寒くなるギャグをかまそうとしたが、口にチャック。

 

ツカサの凄さは知っていても、白鯨の脅威を今一つ理解しきれてないスバルが、証人から証言を聞いた所で、特に何かが変わる訳でもない。

 

 

「そりゃ、残念だったな、オットー。ツカサに手ぇ出そうものなら、もれなく桃髪のメイドが許しちゃおかんぜ?? あの障害を突破するにゃ、正直オットーじゃ馬力不足だと思うがね~~」

「だから、変な意味じゃないって言ってるでしょーーが! 僕だってそのくらい知ってます!! ……それに、以前のお2人とは違って、距離が縮まってるのを見るのは、友達の僕としても嬉しい事です」

「ほほーー、他人の恋路を邪魔するヤツは、地竜に頭を蹴られて~~、ってのが世の常だが。オットーはそんな事しないんだな? 感心感心!」

「何ですか、その聞いたことない怖い謳い文句!? 地竜に蹴られちゃったら、もれなく頭スッ飛びますよ!? 竜なんですからね!?」

 

 

風避けの加護を持つ地竜。

それなりにスピードは出ているが、会話を楽しむ位なんて事ない。

 

 

スバルとて、緊張しているし、不安だって増大だ。

軽口叩いているが、エミリアの事が心配で心配だ。……前回、ツカサが――――パックが、言った事が本当だったとしたなら、エミリアは命を落とした。

 

 

――――そんな事考えたく無い。

 

 

だからこそ、一刻も早く戻りたい、と言う気持ちは負けてないつもりだ。待つ案を聞いてはいたが、本心では待つ選択等選びたくない。

 

だからこそ同じ心根を持ち、目的も同じであるツカサには感謝してもしたりないのである。

 

 

 

 

「あ、形式上では ナツキさんからの報酬って事になってるんですから、頼みますよ? 特に辺境伯との橋渡し!」

「! おう、その辺は任せとけ! それで今回の損失は埋まりそうか?」

「それはもうっ! ツカサさんとの事を省いたとしても、お釣りが大量に発生する報酬ですよ!! ……あ、っと。そうだそうだ。ナツキさんに聞きたい事があるんですが」

 

 

オットーは少し真剣な顔つきになって、スバルの方を見て言った。

 

 

 

「辺境伯が支援しているのが、ハーフエルフのお嬢さん、って言うのは本当なんですか?」

「………兄弟(ツカサ)から、そう聞かなかったのか?」

「そうですね。聴きそびれた、と言うのが正しいかもしれませんが、ツカサさんより、ナツキさんに聞いてみたい、と言うのも有りますよ。……ハーフエルフの事、知っているんでしょう?」

 

 

 

ツカサの身の上話はオットーも知っている。

記憶が無いのだ。過去の記憶が無いからこそ、白鯨の事を知らなかった。

 

ならば400年前、世界の半分を呑みこみ、滅ぼしかけた嫉妬の魔女。

銀髪のハーフエルフの事だって、知らない筈だ。

 

厳密に言えば、知識としてはもう知っているかもしれないが、他の人達の様に 脳髄にまで畏怖の念を覚えている様なことは無いだろう。

幼き日より刷り込まれた様なその思考は、ツカサは持ち得ない。

 

 

だからこそ、ツカサではなく、辺境伯ロズワールと関わりがあり、ハーフエルフとも関りがあるであろう、スバルにオットーは聞きたかったのである。

そして、その答えを聞いて安心できた。

 

 

「ああ、本当だ。……だけどな、オットー。あの子はお前らが思ってる様な子じゃねぇぞ」

「ええ。解ってますよ。―――それが聞きたかった。噂を聞いた時から、僕は変に肩入れをしてしまいましたから。僕も他人には理解されないって事には覚えがありますから。頑張ってくれたらな、と思ってたんです」

 

 

 

スバルの答えに満足した様に真剣身を帯びていた表情を和らげた。

 

 

そして、スバル自身もそれは同じく。

そもそもオットーなら、ツカサ好き過ぎて、ツカサが傍に居るのだから大丈夫! とまで言ってしまいそうだが、そんな気配は無い様だ。

それに、ハーフエルフと言う名を出しても、その表情は邪な気配は微塵も見えない。

 

 

 

「(誰もがエミリアを嫌ってるわけじゃない―――。それは絶対エミリアにとって、何よりも救いになるに違いないんだ……)」

 

 

 

エミリアの味方だ、と胸を張って言えると断言できるのは、スバルの中では2人しかいない。

当然、自分自身とツカサの2人。

 

 

 

 

申し訳ないが、レムとラムは魔女教に故郷を滅ぼされた過去がある。

ロズワールはロズワールで読み切れない何かがその内に内包されている様に思える。

 

 

 

 

だから、たった2人しか居なくても、今後少しでも、少しずつでも広まれば。

そして、何より……。

 

 

 

「色々と挽回しなきゃならねぇ。……パックに言われた事、ちゃんと芯に刻め……ッ」

 

 

 

精霊術士にとって、結ばれた約束の重み。

軽はずみ、とはスバルは言いたくないが、結果を見れば、エミリアにとってすれば、そう見られてもおかしくない程に、約束を破った。

パックはエミリアを失った事で契約に従い世界を滅ぼそうとした様だが、あの時の怒りは、契約だけじゃない事くらいスバルにも解る。

 

間違いなく自分はエミリアを傷付けたのだから。

 

 

 

「どうしました? ナツキさん?」

「っ、といやいや、何でもねーよ。後続車ん中で、ラムちー姉様と兄弟が、ハッスルハッスル、何かいけない大人な蜜月を交わしてんじゃねーか? って思ったら、男の子魂が大いに揺さぶられて……」

「ものすっごく真面目な顔で野暮で下世話な事言いますね!? ナツキさん」

 

 

何処か真剣な顔をスバルもしていた……と思ったのに、いざ聞いてみれば、明後日の方角へと振り切った様なセリフだったので、思わずズッコケそうになっていた。

だがまぁ、オットーとて男の子。解らなくもない話題ではある。

 

 

「まぁ、あの2人が聞いてない場所でまで、とやかく言うつもりはありませんが、冷静に言わせていただきますと、片方、即ちツカサさんは、しっかりと御者をしているんですから。そんな真似できないと思いますよ? 一度も止まらずにメイザース領へ、って考えたら尚更です。……と言うか、あの地竜()がヤキモチ妬いたり、《私頑張って走ってるのに、何してくれてるの?》って言ったりして、その時点でも気付きます」

「こわっっ、その力こわっっ、盗聴出来るし、ストーカーも余裕だ!!」

「なんでそんな話になるんですかっっ!! 変な事に使用したりしませんよっ!? って言うか、慣れるのまで大変だったんですからね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っくしッ!」

 

 

 

スバルとオットーが盛り上がっていた丁度その頃。

手綱を握り、思いにふけっていたツカサはクシャミをしていた。

 

 

「大丈夫?」

「ん。大丈夫大丈夫」

「気を張り続けても良い風には回らないわ。ツカサは、……私達は繰り返しているのだから。落ち着ける時にはしっかり気を落ち着ける事。それを心掛けなさい」

「……肝に銘じるよ。ラムには、ラムの前でくらい格好つけたい気分だけど、なんでもお見通しの様だから」

「当然よ。このラムだもの」

 

 

ツカサは苦笑いをした。

繰り返す時の苦悩に関しては、ラムも当然解っている。

そもそも、時間遡行を初めてした時くらいから、ツカサの考え位解っていた。

 

戻れるなら、別に今生で苦しもうが悲しもうが絶望に打ちのめされようが、関係ない。

ほんの数日前に戻ればいつもの日常。戻れば消去(リセット)出来るのだから。

 

だが、それでもツカサは魂にまで刻まれてしまった、と言いラムを連れて時間を遡った。

そんな人間が、何かが起こる(・・・・・・)事は解っていても、詳細までが解らない状況で。事細かに情報収集をしようとする段階で、胸を痛めない訳がない。

 

何より、あの場所アーラム村は、ツカサにとって故郷の様なものだと言っていたから。途中から住居はロズワール邸へと移行したが、時折顔を出し、雪祭りまでして、様々な思い出を重ねた大切な場所の筈だから。

 

 

 

ラムはそっとツカサに肩を寄せた。

ピタリ、と密着させて微笑む。

 

 

「ラムが一緒に居るから。怖くないでしょう?」

「……うん。怖くないよ。(前に、後ろに。横にはラムが。……なんだって出来る気分)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夫々が口々に言い合っていても、不安は拭えない。

唯一1人で走らせているレムであっても、それは同様。

 

スバルの事を特に考えていて、オットーと仲良さそうな所にやきもきしたりして、気を紛らわせ、いつも通り、平常心を心掛けている……が、どうしても……。

 

 

 

オットーの竜車を先頭に走り続ける。

中距離用の竜車の為、地竜たちの言葉が解るオットーが速度調節をし、可能な限り止まらずにロズワール邸へと目指す。

 

だから、地竜の消耗からのペースダウンも当然ある。

速度が遅くなれば成る程、不安が頭の中を過る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして―――時間は掛かってしまったが、とうとうメイザース領へと到着。

 

 

目指していた場所に入るか、入らないか、そのタイミングで……事は起きた。

 

 

「ッッ――――!!」

 

「「「「!!」」」」

 

 

 

先頭を走っていたオットーの竜車がまず初めに止まった。

それに続く形で、後続の竜車も次々止まる。

 

 

竜車が止まる理由が解らなかったスバルは。

 

 

「って、どうした!? 一体何があった!?」

「――――ナツキ、さん。いったい、いったい、この先に……何がある(・・・・)って言うんです?」

 

 

オットーのその横顔。

それは、今まで見た事が無い位歪み、そして震えていた。

 

 

 

「地竜が……おびえてます。この先に……何が……?」

 

 

 

地竜は、近付いてはいけない場所が本能的に解る。

その性質は、商人たちにとっての移動手段としては重宝される所以でもある。

 

 

 

「―――オットー!」

 

 

地竜、そしてオットー。2人して震えていた身体を鎮めてくれたのは、スバルでも無ければ自分自身の力、と言う訳でもなく……。

 

 

約束した事(・・・・・)、忘れてないよな? だから、ここまでだ。……ここまでありがとう」

 

 

ツカサだった。

事情を察したツカサが一足先に前へとやって来ていたのだ。

 

 

「ツカサ、さん。でも、僕は………」

「良いんだ。危険だ、って言った。それでも連れてきてくれる、って了承してくれた。だからこそ、オレ達は1つ約束を……制約を取り付けた。危険だって地竜が察したら、引き返すって」

「………っっ」

 

 

 

メイザース領は危険だと言う事は事前にオットーに話してある。

誰よりも、何よりも先にツカサが告げた事だ。

 

あの大精霊パック、大精霊ベアトリス、精霊術士エミリア。武芸を収めている半獣人(ハーフ)のフレデリカ。

 

決して低いとは言えない戦力を覆す程の巨悪が、魔女教が存在すると。

 

 

 

「僕は、僕は約束をした覚えは……。はい、と言った覚えは……。皆さんが行くなら、僕だって……っっ」

 

 

 

恐怖に押しつぶされそうになる。

白鯨を間近で体感したのだ。ある程度の免疫は出来ていると、耐性は出来ていると思っていたが、それは浅はかだった。それを痛感していた。

 

 

 

「オットーなら、そう言うと思った。……でも、言い方を変えるよ。オットーの力で、絶対安全だ、って言える場所に待機してて。安全を確保出来たら、絶対に呼びに行くから」

「ッッ――――」

「頼む」

 

 

竜車3台をオットー1人で守る。

これも極めて重要かつ難題だ。適材適所でいこう。それらの旨を根気よく伝えて……どうにかオットーは折れてくれた。

 

 

「主に代わり、お礼を申し上げます。オットー様」

「……ここから先、戦力外よ。自分の出来る最善をしなさい」

 

 

レムとラム、言葉は少々悪いが、ラムもオットーには感謝をしているのだ。

 

 

「いや、やっぱキッツイよ姉様。……でもまぁ、オレも腹くくってる。サンキューな、オットー。世話になった。こいつはオレからのチップって事で」

 

 

スバルは、小遣いとして貰っていた金が入った袋をオットーの竜車に放り込んだ。

 

 

 

4人は、オットーと暫くの間別れる事になる。

 

 

 

「待ってますよ。……必ず。だから、どうか無事で……っっ」

 

 

 

 

軽く会釈をし、ロズワール邸へと……、否 アーラム村へと駆け出した。

 

走って走って走って―――地竜程とは言わないが、気付けた事はある。

少々距離があるとはいえ、もう村に近いと言うのに、あまりにも静かすぎる事だ。

 

 

 

 

「―――普段なら、ガキどもの声で賑わってたり、探検してる姿見たりしてんのに、なんで……っ」

 

 

スバルは周囲を見渡しながら、これまでの村での事を思い返していた。

空気読めず、会う度に突っかかってくる若気の至り……じゃなく、村の活発な子供達。結界の内側なら、その全てが遊び場だと言わんばかりな子供達。

 

時には、結界の奥にまで踏み入ってしまう程わんぱくな子供達。

 

 

全く、その気配すらしない。

 

 

 

周囲を見渡していたからか、或いはただ誰よりも足が遅かったからか……、最後尾は自然とスバルになってしまった。

 

 

そして、それが最大の悪手となる。

 

 

 

「――――!??」

 

 

 

突如現れた全身黒装束に覆った得体のしれない人間。

一体いつ現れたのか解らない、その姿は一瞬で頭の中で警笛を鳴らすが……、それも遅すぎた。

 

まるで、音もなく現れたソイツは、風の様に早く、闇の様に深い森へとスバルを担ぎ上げ、連れ去ってしまったからだ。

 

 

 

 

 

「!! スバル君っっ!!」

「レム!!」

 

 

そして、スバルを連れ去っただけでなく、一瞬。本当に一瞬で周りを取り囲んできた。

スバル以外のメンバーには、明らかに、あからさまな殺意をその身に宿しながら。

 

表情こそは見えない。でも、殺気の塊である事くらいは解る。

 

 

レムの脇腹を抉ろうと、刃を突き立ててきたその黒装束の1人を―――。

 

 

「テンペスト!」

「!!」

 

 

ツカサが極小に圧縮した、暴風をもって、単体のみを吹き飛ばした。

 

周囲に控えていた何人かを巻き添えにして、木々を突き破り、大地にめり込み、障害物を物ともせずに吹き飛ばす。

五体満足で終わる訳が無く、身体の四肢がおかしな方向へと捻じ曲がっているが、それでも周りは止まらない。

 

 

取り囲む様に現れる。

目算で15人程。

 

 

 

「「魔女―――教徒……!!」」

 

 

 

そして……ラムから、レムから、漲る殺意。

 

ツカサにとっても、目の前の存在が一体何なのか、それを確認する必要もなくなった。

 

全ての元凶である事も、レムやラムの故郷を滅ぼした相手だと言う事も理解した。

 

 

それに、異常(・・)に気付いたのはスバルだけじゃない。

 

 

アーラム村が、静かすぎる事くらい……一番解っていた。それが何を意味するのかも。

 

 

 

 

 

「………覚悟しろ」

 

 

 

 

 

 

戦う理由はある。

穏便なんて言葉は最早ある筈がない。

 

スバルを連れ去った。

そして何より大切な人を苦しめたのが、魔女教徒(この連中)

今も尚 明確な殺意を持ってレムを斬りかかり、そしてラムをも殺さんとしているのが解る。

 

 

 

考えたく無い、想像したくない、この先を見たくない。

 

 

もう………アーラム村が………皆が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――殺す」

 

 

 

 

 

 

 

 

その身に纏うは、漆黒の暴風(オーラ)

殺意を向けた相手にのみ、無慈悲に粉微塵へと変える。

 

 

 

青髪(レム)桃髪(ラム)だけじゃなく、魔女教徒は黒髪を持つ彼をも()へと変えたのだった。

 

 

 

 




激おこヽ(`Д´)ノプンプン
にさせちゃったみたいデスナ! ( ´艸`)


《●す!》なんて物騒な言葉、これまで使ってない!!  ----と思いマスww



仮装の人達来るの早過ぎ!!な気もしますが……、マァ、中距離用竜車ジャキツイって事デスよねw


レムりん、のトラウマシーンでも、廃人スバル君を連れて直ぐ帰ろうとして・・…アーラム村全滅&パック激おこ!! でしたシ( ´艸`)
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