Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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メニュー画面 ※考える時間③

 

 

 

時の狭間にて、何をすべきか、最善策は何か、ツカサ、ラム、レムの3人は延々と話し続けた。

 

 

丁度、スバルがこの時の狭間に居ない事から、よりこの空間に留まれる時間が延長したとでもいうのだろうか、4人の時と比べたら格段に長く、議論を交わす事が出来た。

 

 

さしあたり、現在の脅威は当然ながら、魔女教のペテルギウス、そしてその配下である指先。

エミリア達を守るだけであれば、現状の戦力で申し分ないと言えるが、それでは駄目だ。

 

何故なら、メイザース領へと駆けつけた時にはもう既にアーラム村は壊滅をしていたから。

あの村人たちの……、子供達の亡骸を、無念や恐怖を、この魂に刻み込んでいる。

 

皆を見捨てるなんて、選択肢を取れる訳もない。

 

 

 

ならば、どうするか。

メイザース領へと最短で辿り着くには、やはりリーファウス街道を、最短の距離で向かわなければならない。

 

だが、この陸路にも問題はある。

ある意味では、ペテルギウスよりも遥かに厄介な存在が。

 

 

 

「暴食。……白鯨かな。現時点での障害物は。これさえ突破出来れば、村とエミリアさんの両方を救う事は出来る時間も確保出来る」

「ええ。より安全に、という意味では村人は避難させるのが一番よ。魔女教は森の奥に拠点を置いてる様だから、街道を通ってメイザース領から抜け出せば」

「……村の皆さんを避難させる事を考慮しても、やはりツカサ君が言う様に白鯨の存在が現時点での最大の障害だと言えます」

 

 

自分達がメイザース領のアーラム村へと行く為にも。

村人たちの安全の為、避難させる為にも。

 

 

どちらにしても、白鯨を何とかしない限り、光明は生まれない。

だが、どうしても戦力不足が否めない。

 

 

「ツカサは以前白鯨を単独撃退した、って話だけど」

「………正直、歯痒い気持ちはある、よ。あの時どうして仕留めきれなかったんだ? って。今は、あの時程の力は、無い。実感してる」

「ツカサ君が、大精霊様からレムや姉様、スバル君を守ってくれたあのお力は……?」

「……パックに使った切り札も出来れば温存しておきたい。正真正銘奥の手、最後の最後に使う力だから。戻る前提の世界ならまだしも。………超えたは良いけど、次の難題を迎えてマナ切れ体力切れ、なんて笑えないよ」

 

 

両方とも気軽に使える力ではないからこそ、歯痒くなる。

そして、そんなツカサを見たからこそ、レムやラムも同じく表情を曇らせる。

 

どうしても、どう言い繕っても、ツカサに頼ってしまうしかない、というのを自分で言ってしまっているも同然なのだから。

 

確かに、相手は厄災だ。世界の厄災。強大で巨大な邪悪を具現化したかの様な存在だ。

だからこそ、今やルグニカの英雄とも一部では称されるツカサの力を頼りたくはなるが、それで良しとするワケにはいかない。

 

 

 

「では、クルシュ様たちに、お力添えを……」

「レム。これはエミリア様の陣営の問題よ。……領地を守れないのは我々の落ち度。その結果が王選の脱落。それを考えたら、クルシュ様側からすれば、静観する事が最善と取られる可能性は大いにあるわ」

「……きっと間違いないよ。数日だけど話してみてよく解る。確かにクルシュさんはオレの事を買ってくれているし、願いを聞き入れてくれるだけの器量はあると思う。……けれど、内容が内容。それを感情だけで動くとは到底思えないし、直接王選と関わる様な事柄においては話は別だとも思う。そもそも、魔女教が来る事自体、何故(・・)自分達が知っているのか? ここの説明をするのも難しい。……最悪、オレの力を話しても良いけど、クルシュさん程の大物相手に、安易に話すのは悪手だと思ってる」

 

 

クルシュは大分ツカサの事を買ってくれているのは、これまでの経緯……もう既に失われた世界での時間軸ではあるが、晩酌での付き合いの時を考えたらよく解る。

当家に受け入れたい、とも言っていたのだから当然だろう。それ程までに、勲章の件や白鯨撃退の力と言うモノは魅力的に映るのかもしれない。

 

だが、クルシュと言う人物は、そう言った上辺だけで他人を見る様な目は持ち合わせていない。

 

ツカサと言う人物を知ったからこそ、上辺だけではなく、多少ではあるが、内面を見られたからでこその、評価だ。

 

 

だが、好ましいと言うだけで、カルステン家が手を貸す、とはならないだろう。それはあまりに身勝手で傲慢な指揮の取り方だ。

それは、クルシュと言う人の人物像とはかけ離れたもの。

 

 

「ツカサの力を話すのはラムも賛成しないわ。より警戒される可能性だって捨てきれないし、何より―――――ツカサが狙われる可能性だってあるもの」

 

 

ラムの言う事も最もだ。

クルシュがそんな事をするとは思えない――――と言えばそれも間違えではないのだが、彼女を王にする側近が、ツカサの能力を知れば?

歴史を改変出来る様な能力を知れば??

 

最も危惧する存在だと認定するのは目に見えている。

 

同じ陣営だからこそ、秘密を共有する信頼できる仲間だからこそ、ツカサの能力はそこまでの万能ではないのだが、でも、それを知る事が出来るのは、仲間だからこそ、だ。

ほんの力の片鱗でも知られて、そこから想像を働かせれば………。

 

 

「……ツカサが飛ぶ(・・)前に、命を落としたらどうなるのか。それはツカサ自身も解っていないのでしょう?」

「うん。その通りだよ。……確認なんてしたくないし、しようとも思ってない」

 

 

決して無敵ではない。

ツカサが死ねば、その時点で次元は固定されると言っても良いだろう。

 

だが、ラムはスバルの事も知っているから、取れる手段は他にも有る……とも思っているが、楽観視などしていない。

スバルのソレは、あまりにも使い勝手が悪い。ツカサの下位互換だと言って良い力で、次元を指定する事も、固定する事も出来ず、何らかの拍子に更新されたりもする。

 

 

最悪の事態。

 

 

ツカサが死に、そしてスバルが戻ろうとしたら……、その戻った先の世界でツカサが生きているかどうかの保証が一切できないのだ。

スバルの中に居るナニカが、ツカサを危険視して、敢えて助ける事が出来ない様にする……なんて事だって考えられるし、何より、ラムが第一にツカサが死ぬなんて事は許さないし、考えられない。

 

 

 

「―――代替案を色々と持っていて、状況に応じて計画をその①、②、③と切り替える事が出来る、って言うのが理想だったんだけど………中々上手くいかないもんだね」

「ええ。……やっぱり当初考えていた案にする他は無いわ。……クルシュ陣営と対等な同盟の確立。その為の手段として、白鯨の情報の提示。……これはツカサやバルスにしか出来ない世界最高峰の情報だと言える」

「白鯨を討伐した暁には、今度こそ同盟であるクルシュ様からのお力添えを、ですね。………損得で無碍には出来ない筈です。白鯨の討伐とはそれ程までの偉業なのですから」

 

 

 

 

最初に上がっていた提案。

それは他の陣営に、助けを求めるのではなく、同盟を結ぶ事だ。

 

互いに利を残しつつ、功績も上げつつ……、狙いが嵌るとするなら、クルシュも恐らく無下にしたりは出来ないだろう、というもの。

 

当然、それも安易な道ではないので、他にも道を模索していたのだが………、やはり これに落ち着いた。

 

 

 

「………最悪、白鯨だけでも討ち取る事が出来たなら、クルシュさん達の力を借りれなくても、オレ達でも何とか出来る可能性は広がる。それだけの時間の猶予が生まれるから」

 

 

 

メイザース領を最短コースで行けるリーファウス街道の解放。

長年世界を脅かしてきた魔獣の討伐。

 

これだけでも、相応の恩恵を貰えそうだ。それを言えば、アナスタシア・ホーシンのホーシン商会にも声を掛けて置いた方が良いと思われるが……。

 

 

「クルシュさんとの同盟の件は、スバルも含めて話をする事にしよう。もっと知恵を集めないとだからね」

「存外、バルスには悪知恵が働くもの。ラムも異議は無いわ」

「レムも大賛成です。スバル君の類稀なる頭脳は、きっと最善の道を切り開いてくれるものだと信じています」

 

 

レムの過剰評価はさて置き、スバルの知恵も当然借りるつもりだ。

クルシュと同盟を結ぶ。口で言うのは安いが非常に高い壁と言わざるを得ない。

 

武力を用いない分、こちらの方が難解だと言える程に。

 

 

「……でも、今更だけど 厄介なのが、スバルが何にも知らない状態(・・・・・・)だ、って事なんだよな………。これから戻る場面は」

 

 

 

今回のループに、スバルは同行していない。

つまり、スバル自身はあの周回を、ペテルギウス討伐寸前まで行けた実績を知らない経験していない状態なのだ。

 

戻る前は、後で説明する―――と告げているが、百聞は一見に如かず。体感する事程、身になるモノは無い。

 

 

 

「その辺はボクに任せてよ☆」

「「「!!!」」」

 

 

 

その時、だった。

 

突如、ツカサの肩に乗っていたクルルが、ぴょんと、皆の上に跳び上がると、流暢に会話に混ざってきたのだ。

 

 

「だから、何度も言っているだろ? 皆驚くし、混乱するんだから、いきなり話しかけるの止めてくれって」

「でも、ここなら別に問題ないデショ? この子達はボクの事知ってるんだし? それに嬉しくないのかな~~? ボクなら、寸分違わずにスバル君に体感させる事が出来るんだよ? 口で説明するよりも大分楽だと思うし~~。何より」

 

 

クルルは、愛くるしいとも言える(上っ面は)その瞳を細めて続けた。

 

 

「戻った先のスバル君は、落ち込みモード寸前なスバル君だよ☆ 何せ、君が死に掛けた場面に戻るんだから。厄介じゃない?」

「あ………」

「「ッ!!」」

 

 

あまりにも長く、そして濃い数日間だったが為か、スタートラインについて完全に頭から離れてしまっていた。

 

確かにそうだ。

 

今からツカサが戻るのは、スバルが死に戻ったあの時、あの場所だ。

気を失う寸前に、ツカサ自身も記録(セーブ)を施す事が出来た。

ほぼ変わらない時間軸であれば、記録(セーブポイント)は破壊されないし、破壊されないからこそ、身体にかかるダメージも大幅にカット出来る。

 

その場面に戻るのだから……、あの時詳しくは聞いていないが、レムのお陰でスバルが落ち着きを取り戻す事が出来た、という事は聴いている。まともな男になれた、とも聞いている。

 

その以前のスバルに戻ってしまうのだ。

 

 

 

「……ったく。それで? お前が働く代わりに、何をすれば良いと?」

「うん?? なーに言ってんのさ☆ ボクが見返り求めた事なんて、一度だって無いデショ??」

「…………それはそうなんだけど、何だか嫌な予感がするから一応」

「アハハハ。まっ、面白い愉快、愉悦! 色んなものを頂けたんだ♪ 見返りと言えばそれで充分っ! それ以上を求めるとするなら――――終わった後(・・・・・)、かな?」

 

 

 

クルルがそこまで言った途端に、ラムが弾かれた様に動いた。

 

 

 

「申し訳ありません。大精霊様。あなたのおかげで、ラムが、レムが、皆が助かっているのは事実です。……ですが、代償にツカサを、ツカサを連れて行く。なんて事はさせません」

 

 

 

クルルの言葉に不穏な気配を感じ取ったのだろう。

ラムは一歩も退かず、この超常的な存在の前に立ちはだかった。ツカサを遮る様に。

 

 

「ラム、それは」

「あはははははっ!! 大丈夫大丈夫! そんな事しないよっ、ラムちゃん♪ 終わった後、って言うのは――――う~~ん、説明難しいけど、敢えて言うなら、本当に終わった時。魂も召された時、って言えば良いのかな? 勿論天寿を全うしたら、って事だから、落ち着いてね♪」

 

 

ツカサがどうにか窘めようとした時、クルルは笑い声と共に、否定をした。

 

ラムは確信する。

凡そ確信していたが、この時はっきりと確信する。

 

 

このクルルと言う存在が、この世界にツカサを誘ったのだと言う事を。そして……しない、と言っているが、ひょっとしたら、いや、間違いなく ツカサを連れて行く事だって出来ると言う事。

本能的に、ツカサはクルルを苦手としているが、その気持ちが痛い程理解出来た瞬間でもあった。

 

 

「大丈夫だよ」

 

 

そんな時、ツカサはラムの頭を撫でた。

 

「絶対、絶対大丈夫。ラムが居てくれるから。……ラムやレム、皆が居てくれるから、オレは大丈夫。もう―――大丈夫なんだよ」

 

 

 

ゼロへの恐怖は、もう払拭出来ている。

厳密に言えば、まだ自分自身には見えない、感じない程、心の奥深くで蔓延っているのかもしれないが、少なくとも今ラムに言っているのは心からの本心である、と断言できる

 

 

皆を。……ラムを残して、消えたりなんかしない。するつもりは無い。

 

 

 

「ほんと、微笑ましい限りだよね♡」

 

 

 

だけど、やはりこのナニカだけは、細心の注意を怠らないつもりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後―――スバルと合流? した後に、クルルの力添えも有り、最短でスバルに事の次第を説明する事が出来た。

 

 

 

スバル曰く、【廃人にさせられかけた】らしく………他人の肉体と精神、魂にまで干渉させて、体感させるのには、相応の負荷が肉体にかかるらしい。

 

 

 

因みに、正確に言えば、【スバル自身が辿ったループを体感させる】事が今回の目的。

 

 

 

なので、発狂しかけた、あのツカサの死の体感を、スバルは改めて受けてしまった、のである。その後レムに救われて、何とか持ち直せた様だが、知らない自分の体験をしているのは変わりはないので、発狂しかけた、を差し引いたとしても、大変だったようだ。

 

 

ペテルギウスに乗り移られた時の苦痛まで、リアルに体験できたのだから尚更。

 

 

終わった後、ペテルギウスまでいるのでは!? と心配した程なのだから。

 

 

 

 

 

 

色々と大変だったが、スバルの意見案を採用する事になる。

 

 

「白鯨の出現時間を正確に知ろうと思えば、コイツ(・・・)が最適」

 

 

差し出した金属の箱の様な物体。

ツカサは勿論、ラムもレムも見た事が無い代物。

 

 

 

「これは、オレの故郷で発明されたケータイっつー便利アイテム。残念ながら、こっちじゃ殆ど使い道無し、精々灯りくらいしか無かったが、実はこのケータイには 時計機能、警報機能もついてるんだ。つまり 今回の周回で、白鯨の正確な出現時間をコイツで確認して、クルシュさんの所に戻って、最強の交渉材料にする。そうだな、ミーティアって呼ぶ方が聞こえが良いだろ? ………どうだ?」

 

 

 




流石に、あのゼロからっっ!! ゼロにっっ!?


な、感動シーンを安売りしちゃうのは、アレなので。強制的&ご都合的&苦痛を伴う方法でスバル君には思い出して貰いました( ´艸`)(((o(*゚▽゚*)o)))
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