Re:ゼロから苦しむ異世界生活 作:リゼロ良し
死ぬなよ、絶対に死ぬなよ! ※コレは、フリではありません。
から、小説名変更して、RE:ゼロから苦しむ異世界生活にしました(笑)
いや、ヒデェ………名前だ 苦笑
「スバル。君は戻ってる。―――死を
「さて、ここからが本題だよスバル君。―――――死ぬなよ!! 絶対死ぬなよ!! もうちょっと自重と慎重を心掛けてくれ!!」
「さすが、コロコロ何度も死んでもへこたれない訳だ」
「スバルの気持ちは嬉しいよ。凄く嬉しい。オレは1人じゃない、って思てたから。………だけど、もうちょっとやる前にちゃんと考える事!」
縁起でも無かった。
考えたくないのに、まるで走馬灯の様に次から次へとツカサとのやり取りが、思い出が頭の中を流れ続ける。
死に戻り、時を巻き戻してきた事を考慮すると、たった数ヶ月間であっても、まるで何年も何年も苦楽を共にしてきた相方、相棒の様に感じてしまう。
殆ど他力本願だから、それを相方や相棒とは虫のいい話であるとは思うが、それでもそう感じてしまう。
死をきっかけに、時を巻き戻し、世界をやり直す権能。
それは誰にも知覚される事なく、目には見えない、傷を幾通りも負って進まなければならない茨の道。―――いや、地獄旅。
極限の孤独を感じるのは、容易に想像が出来ると言うモノだろう。呪い染みた力の性質を考えたら尚更だ。
そんな孤独の中に――大きな光が入ってきてくれた。
それが、ツカサだった。
1人じゃない、と思えたなんて―――自分も同じだ。いや、寧ろそれ以上だと言いたい。
助けて貰ってる。助けられてる。―――そして自分は全然返す事が出来てない。
闇より迫る白い悪魔―――白鯨が、その地獄へ通じると言わんばかりの大口を広げて、かの英雄を喰らった。
「ぁ―――――、ぁぁ………!」
「スバル殿!! スバル殿!!」
身体を強く揺すられる。
あの白鯨の攻撃より、救ってくれたヴィルヘルムが、どうにか正気に戻そうと奮闘する。し続ける。
レムが居たなら、その役目はレムが担ってくれていただろうが、この場にはレムはいない。緊急避難と言う事で、ツカサが生み出したテンペストに運ばれて、散り散りになっているからだ。
「そん、な―――――、ど、どうした………ら」
ツカサが喰われた。
兄弟にして、友にして、親友にして、大恩人にして、英雄にして…………言葉にすればキリがない。
ただ、一番大切な男が目の前で喰われた事実に、スバルの頭は闇に染まっていたのである。
「スバル殿!!」
ヴィルヘルムの再三の言葉が耳には入ってくるが、それは脳に伝達される事は無かった。
両手を見て、震えて、頭を描きむしる。
「ツカサが、死――――? ッ!! そう、そうだ……もう、それしか……」
喰われた、と言う事実。
それを、明確にして、最も言い表したくない言葉の1つである《死》と口にした瞬間、最善の策をスバルは思いついた。
時間移動は、ツカサだけではない。自分にも出来るのだ。
諸刃の剣かもしれないが、それでも、やるしかない。
「死んでもど―――――」
ただ、スバルは失念していた。
死に戻りは禁忌にして、禁句。他言不可能の権能。
直ぐ隣に居るヴィルヘルムの耳に届いた時点で、スバルの中にいる闇が目を覚ました。
明確に具現化された闇撫での手。心臓にまで届いてくるその手は、ギュっ! と明確に、心臓を握りつぶさん勢いで掴まれた。
そして、その行為とは裏腹に―――耳元で声が聞こえてくる。
【愛してる】
「ッァァ!!?」
「!? スバル殿!?」
そして、世界は動き出した。
あの手が、闇が、魔女が内から迫ってきたのを理解すると同時に、ある意味良い気付けになったと言える。
「わ、わりぃ、ヴィルヘルムさん。オレはもう、大丈夫だ」
「――――一度、フェリスの所へ」
「いや、駄目だ。………オレの体臭強烈モードが発動しちまった」
「ぬッ!?」
禁忌を口にした瞬間に発生する
スバルにしてみればまるで永遠とも思える苦しみの果てに。
時が止まった世界に居ない他の住人達はまさに一瞬で。
スバルの身体から魔女の残り香が放たれた。
3体いる白鯨の内の1体。
それが比較的近くに居たからか、なりふり構わず、スバルを狙って高速移動を始めてきた。
大気が、空気が震える程の突進。剣の達人でありあらゆる気を読む事に長けているヴィルヘルムが、それに気づかない訳がない。
「グルガアアアッッ!!」
いつの間にか、やってきたパトラッシュが、スバルを咥え上げて、背に乗せた。
「!」
更に、ヴィルヘルムが乗っていた地竜を引き連れて。
「主を守る、か。畏き地竜だ。―――お頼み申す」
ヴィルヘルムに目配せをしてくるパトラッシュに軽く頷き返すと、その意図を察したのだろう、パトラッシュは小さく頷いた。
ヴィルヘルムは、地竜に飛び乗った。
そして、見事な脚力で突進してくる白鯨の猛追を躱す。……元々、ヴィルヘルムは眼中にないのだろう、ただただ、パトラッシュの方を追いかけようと迫っていた。
「――――まずは、我が恩人を返してもらうぞ!!」
剣を引き抜き、目にも止まらぬ速度で跳躍し、再び白鯨の背に乗るのだった。
背後から、白鯨の悲鳴が聞こえる。
何度も聞いてきたから解る。身体中を切り刻まれ、氷の矢で貫かれ、爆炎で燃やされ続けた際に、発していた断末魔。
ヴィルヘルムが足止めをしてくれたのは解る―――が、今となっては、あの断末魔も大して意味がない、とさえ思ってしまうのだ。
形勢は明らかにこちら側だったが、一瞬……ほんの一瞬で逆転して見せた怪物。
「(誰にも邪魔されずに、死ぬ事考えなきゃだよな―――ッ。パトラッシュに聞かれても、万が一って事があるし)」
皆を助ける為に、死を選ぶと言うのに。傍目から見れば、それは自棄になった自殺だから、当然止められる。最善の手である、と言う説明も出来ないジレンマだが、やり様がない訳ではない。
ここは戦場だ。剣の1つや2つ、あっても良い。接近戦専用兼護身用の剣は持っていたが、情けない事にあの暴風の1件で紛失してしまった。
だが、やり様はある。
スバルは、自死へと突き進もうとしたその時だ。
「このバカ!!」
「ぶべっっ!??」
強烈な張り手? を頬に感じた。
いや、パトラッシュ―――地竜に乗って高速走行している時に、頬に一撃を入れれるワケがない。一体何が―――? と周囲を見渡したその視界の中に、もう1頭の地竜……ランバートがいつの間にか並走していた。
その背には、ラムが乗っている。
「バルス‼ 今、何をしようとしたの!」
「ラム―――、あ、いや……! ツカサ! 兄弟を助ける為に」
「
「だ、だが! 今はそんな事言ってられる状況じゃ――――」
確かに地獄の苦しみだと言うのは、曲りなりにもスバルにも解る。
だけど、今の状態よりは間違いなく良い。
もう、兄弟――――ツカサが居ない今の世界よりは。
「―――何て馬鹿なのバルス。もう、ツカサが言っていた事を忘れたのかしら?」
ラムの言葉が、ダイレクトに脳に入ってくる。
ツカサが、言っていた言葉、それを思い出そうとしてフル回転し始めるが、ラムの方が圧倒的に早かった。
「最悪の場合、もしもの場合、ツカサは
「ッ……!?」
そう、ツカサは言っていた。
基本的に、スバルの死に戻りのリスクを最小限にする為に、安易な
だが、この一戦が始まる前。この極めて大きな一戦にして、最終目的の為には絶対に避けては通れない一戦を前に、ツカサはリスクを承知で
瞬間的で戦闘向きな
「―――あれ以上の最悪で、もしもの時、ってあると思うの?」
「ある訳がねぇ」
ラムの言葉に即答するスバル。
戻ってない以上、今もまだ白鯨と戦っている以上、――――ツカサが目の前にいない以上、戦い継続と言う事だ。
ただ、一縷の不安はあった……が、それは口にしない。
「じゃあ、自分に出来る最善をしなさい。―――死んだら許さないわ」
「解ってる。……解ってる!」
パトラッシュの手綱を握り締め、ハッキリと言った。
それを確認すると同時に、ラムはUターン。
「ラムはレムとヴィルヘルム様の3人で、ツカサを取り込んだ白鯨を相手する。バルスは、クルシュ様と合流して、対策を考えなさい」
「ああ、――――任せろ。それくらいやってやる!」
スバルはハッキリと見た。
ラムの目が赤く染まっている事に。握る拳に血が滲み出ている事に。
頭では理解しているし、信頼もしている。これ以上ない最大クラスに信用と信頼、親愛、愛情、全てを抱いている。
そんな相手だからこそ、ガマン出来ない部分が身体の節々に現れてしまうのだ。
「絶対に、呑みこませない! そのデカい腹を引き裂いてでも、連れ戻す!!」
ラムの絶叫が、場に響く。
それに呼応する形で、レムの魔法が、ヴィルヘルムの剣閃が白鯨に迫る。
誰一人、ツカサを諦めてない。
死んでるなんて考えない。
ただただ、かみ殺してでも前へと進もうとしている。……安易で苦しめてしまう選択を取りかけていた自分とは大違いだ。
「スバル君の所には、行かせませんっ!!」
鬼化したレムの絶叫が場に響く。
視野が広くなったのをスバルは感じた。
ツカサが居なくなり、完全に視野が耳が遠くなっていた状態から、ハッキリと戻ってくる事が出来た。
「だが、ハードでヘビーな状況に代わりねぇ……って、こっちもかよっ!?」
白鯨の2体目。
1体は、3人で抑えてくれているが、もう1体が迫ってきた。
あの時の様に―――ツカサを喰らった時の様に、大口を開けて。
力のないスバルにはどうする事も出来ない、逃げるしかない、と手綱を再度強く握り締めたその時だ。
「口を、閉じろッッ!!」
空を斬り裂く一閃が、一瞬の内にスバルの横を通過し、白鯨の顔面を真一文字に斬り裂いた。
断末魔の悲鳴と血飛沫を上げながら、白鯨は再び宙へと逃げる。
合流しようと画策していたクルシュが、駆けつけてくれたのだ。
「クルシュさん!」
「遅れてすまない。指揮系統が乱された。……状況が状況、だが、仕方ないと言ってられないな」
ぎりっ、と歯ぎしりをした。
白鯨が3体に増えた事もそうだが、それ以上にクルシュが気がかりなのは……。
「ナツキスバル。ツカサは?」
あの光景、傍から見えてない訳が無い。
ツカサの風は、皆を緊急避難させただけじゃない。拡散型・消滅型の厄介な霧を散らす効果もあった。
誰もが、あの絶望的な場面の目撃者、剣聖に続き、英雄が喰われると言う最悪の光景を見ている筈なのだ。
クルシュもそれは同じこと。―――認めたくないのかもしれないが。
「―――あんたが覚えてる、って事は 少なくとも霧に消されてねぇ。あの3人の奮闘次第、ってトコだ! いや、ひょっとしたら、兄弟の事だ! 腹ん中で盛大に暴れてるかもな!」
たった3人で白鯨を相手にしている光景に目をやる。
クルシュも、確かにと少し頷き、白鯨を一瞥した後、直ぐにスバルの方を見た。
「この状況どう見る。ナツキスバル。おかしいとは思わないか?」
「どういう意味だ!?」
「白鯨が3体に増えた。仮に群れを成す魔獣だとしたら、それが伝わっていない事などあるものか!? 何か、必ずカラクリが有る筈だ!」
クルシュの言葉が、脳に突き刺さる。
絶望的な場面、かの三大魔獣の一角が、文字通り3体に増えたのだ。その結果だけを重視し過ぎて、それ以外を考える事が出来てなかった。
「カラクリ、何かある。絶対に何かある、そう言う事だな? それを見つけろって事で良いんだな!?」
「ツカサは武を有する。そしてナツキスバルに対しては、頭脳を期待している、と以前聞いた! 時間稼ぎは、卿の逃げ足と我々の援護で何がなんでも持たせる!」
ツカサが自身の頭を期待する?
以前の自分なら、皮肉にしか聞こえてこない感じだが、それでも勇気を貰えた。
今は、これ以上ない鼓舞だった。
「何とかするぞ! 必ずあの男は戻ってくる! なのに、我々が待たず、持たず撤退などするワケが無い。その様な選択肢、存在しないのだから!」
「おう!! やってやるー――、絶対、やってやる!!」
クルシュとスバルは二手に分かれる。
スバルは、白鯨をその魔女の残り香で誘き寄せつつ、兎に角逃げ回る。
その間に、クルシュはしなければならない。
英雄が呑まれ、かの厄災が増えた事実を受け入れられず、ただただ絶望しきっている騎士たちの前に。
「立てっ!! 顔を上げろッッ!! 武器を持てっ!!」
絶望している暇等ない。
まだ、戦いは続いているのだから。