Re:ゼロから苦しむ異世界生活   作:リゼロ良し

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捕鯨期間ながーーいヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪

死ぬなよ、絶対に死ぬなよ! ※コレは、フリではありません。


から、小説名変更して、RE:ゼロから苦しむ異世界生活にしました(笑)


いや、ヒデェ………名前だ 苦笑


白鯨戦⑦

 

 

「スバル。君は戻ってる。―――死を引き金(トリガー)に、この世界を巻き戻してる」

 

「さて、ここからが本題だよスバル君。―――――死ぬなよ!! 絶対死ぬなよ!! もうちょっと自重と慎重を心掛けてくれ!!」

 

「さすが、コロコロ何度も死んでもへこたれない訳だ」

 

 

 

 

「スバルの気持ちは嬉しいよ。凄く嬉しい。オレは1人じゃない、って思てたから。………だけど、もうちょっとやる前にちゃんと考える事!」

 

 

 

 

 

 

縁起でも無かった。

考えたくないのに、まるで走馬灯の様に次から次へとツカサとのやり取りが、思い出が頭の中を流れ続ける。

 

死に戻り、時を巻き戻してきた事を考慮すると、たった数ヶ月間であっても、まるで何年も何年も苦楽を共にしてきた相方、相棒の様に感じてしまう。

殆ど他力本願だから、それを相方や相棒とは虫のいい話であるとは思うが、それでもそう感じてしまう。

 

 

死をきっかけに、時を巻き戻し、世界をやり直す権能。

それは誰にも知覚される事なく、目には見えない、傷を幾通りも負って進まなければならない茨の道。―――いや、地獄旅。

 

極限の孤独を感じるのは、容易に想像が出来ると言うモノだろう。呪い染みた力の性質を考えたら尚更だ。

 

そんな孤独の中に――大きな光が入ってきてくれた。

 

それが、ツカサだった。

 

1人じゃない、と思えたなんて―――自分も同じだ。いや、寧ろそれ以上だと言いたい。

助けて貰ってる。助けられてる。―――そして自分は全然返す事が出来てない。

 

 

闇より迫る白い悪魔―――白鯨が、その地獄へ通じると言わんばかりの大口を広げて、かの英雄を喰らった。

 

 

「ぁ―――――、ぁぁ………!」

「スバル殿!! スバル殿!!」

 

 

身体を強く揺すられる。

あの白鯨の攻撃より、救ってくれたヴィルヘルムが、どうにか正気に戻そうと奮闘する。し続ける。

レムが居たなら、その役目はレムが担ってくれていただろうが、この場にはレムはいない。緊急避難と言う事で、ツカサが生み出したテンペストに運ばれて、散り散りになっているからだ。

 

 

「そん、な―――――、ど、どうした………ら」

 

 

ツカサが喰われた。

兄弟にして、友にして、親友にして、大恩人にして、英雄にして…………言葉にすればキリがない。

ただ、一番大切な男が目の前で喰われた事実に、スバルの頭は闇に染まっていたのである。

 

 

「スバル殿!!」

 

 

ヴィルヘルムの再三の言葉が耳には入ってくるが、それは脳に伝達される事は無かった。

両手を見て、震えて、頭を描きむしる。

 

 

「ツカサが、死――――? ッ!! そう、そうだ……もう、それしか……」

 

 

喰われた、と言う事実。

それを、明確にして、最も言い表したくない言葉の1つである《死》と口にした瞬間、最善の策をスバルは思いついた。

 

時間移動は、ツカサだけではない。自分にも出来るのだ。

諸刃の剣かもしれないが、それでも、やるしかない。

 

 

「死んでもど―――――」

 

 

ただ、スバルは失念していた。

死に戻りは禁忌にして、禁句。他言不可能の権能。

 

直ぐ隣に居るヴィルヘルムの耳に届いた時点で、スバルの中にいる闇が目を覚ました。

明確に具現化された闇撫での手。心臓にまで届いてくるその手は、ギュっ! と明確に、心臓を握りつぶさん勢いで掴まれた。

 

 

そして、その行為とは裏腹に―――耳元で声が聞こえてくる。

 

 

 

 

【愛してる】

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッァァ!!?」

「!? スバル殿!?」

 

 

そして、世界は動き出した。

あの手が、闇が、魔女が内から迫ってきたのを理解すると同時に、ある意味良い気付けになったと言える。

 

 

「わ、わりぃ、ヴィルヘルムさん。オレはもう、大丈夫だ」

「――――一度、フェリスの所へ」

「いや、駄目だ。………オレの体臭強烈モードが発動しちまった」

「ぬッ!?」

 

 

禁忌を口にした瞬間に発生するソレ(・・)

スバルにしてみればまるで永遠とも思える苦しみの果てに。

時が止まった世界に居ない他の住人達はまさに一瞬で。

 

スバルの身体から魔女の残り香が放たれた。

 

 

 

3体いる白鯨の内の1体。

 

 

 

それが比較的近くに居たからか、なりふり構わず、スバルを狙って高速移動を始めてきた。

大気が、空気が震える程の突進。剣の達人でありあらゆる気を読む事に長けているヴィルヘルムが、それに気づかない訳がない。

 

 

「グルガアアアッッ!!」

 

 

いつの間にか、やってきたパトラッシュが、スバルを咥え上げて、背に乗せた。

 

 

「!」

 

 

更に、ヴィルヘルムが乗っていた地竜を引き連れて。

 

 

「主を守る、か。畏き地竜だ。―――お頼み申す」

 

 

ヴィルヘルムに目配せをしてくるパトラッシュに軽く頷き返すと、その意図を察したのだろう、パトラッシュは小さく頷いた。

 

ヴィルヘルムは、地竜に飛び乗った。

 

そして、見事な脚力で突進してくる白鯨の猛追を躱す。……元々、ヴィルヘルムは眼中にないのだろう、ただただ、パトラッシュの方を追いかけようと迫っていた。

 

 

 

「――――まずは、我が恩人を返してもらうぞ!!」

 

 

剣を引き抜き、目にも止まらぬ速度で跳躍し、再び白鯨の背に乗るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背後から、白鯨の悲鳴が聞こえる。

何度も聞いてきたから解る。身体中を切り刻まれ、氷の矢で貫かれ、爆炎で燃やされ続けた際に、発していた断末魔。

 

ヴィルヘルムが足止めをしてくれたのは解る―――が、今となっては、あの断末魔も大して意味がない、とさえ思ってしまうのだ。

形勢は明らかにこちら側だったが、一瞬……ほんの一瞬で逆転して見せた怪物。

 

 

「(誰にも邪魔されずに、死ぬ事考えなきゃだよな―――ッ。パトラッシュに聞かれても、万が一って事があるし)」

 

 

皆を助ける為に、死を選ぶと言うのに。傍目から見れば、それは自棄になった自殺だから、当然止められる。最善の手である、と言う説明も出来ないジレンマだが、やり様がない訳ではない。

 

ここは戦場だ。剣の1つや2つ、あっても良い。接近戦専用兼護身用の剣は持っていたが、情けない事にあの暴風の1件で紛失してしまった。

 

 

だが、やり様はある。

 

 

スバルは、自死へと突き進もうとしたその時だ。

 

 

「このバカ!!」

「ぶべっっ!??」

 

 

強烈な張り手? を頬に感じた。

 

いや、パトラッシュ―――地竜に乗って高速走行している時に、頬に一撃を入れれるワケがない。一体何が―――? と周囲を見渡したその視界の中に、もう1頭の地竜……ランバートがいつの間にか並走していた。

その背には、ラムが乗っている。

 

 

「バルス‼ 今、何をしようとしたの!」

「ラム―――、あ、いや……! ツカサ! 兄弟を助ける為に」

ソレ(・・)が一番ツカサを苦しめる行為だって、一体いつになったら学習すると言うの。1回、本当に死ぬ手前まで死んでみないと解らない様ね」

「だ、だが! 今はそんな事言ってられる状況じゃ――――」

 

 

確かに地獄の苦しみだと言うのは、曲りなりにもスバルにも解る。

だけど、今の状態よりは間違いなく良い。

 

もう、兄弟――――ツカサが居ない今の世界よりは。

 

 

 

「―――何て馬鹿なのバルス。もう、ツカサが言っていた事を忘れたのかしら?」

 

 

ラムの言葉が、ダイレクトに脳に入ってくる。

 

ツカサが、言っていた言葉、それを思い出そうとしてフル回転し始めるが、ラムの方が圧倒的に早かった。

 

 

 

「最悪の場合、もしもの場合、ツカサは自分で戻る(・・・・・)と言っていた。戻った後で説明する(・・・・・・・・・)ともね」

「ッ……!?」

 

 

そう、ツカサは言っていた。

 

基本的に、スバルの死に戻りのリスクを最小限にする為に、安易な記録(セーブ)は慎んでいる状態だ。

だが、この一戦が始まる前。この極めて大きな一戦にして、最終目的の為には絶対に避けては通れない一戦を前に、ツカサはリスクを承知で 記録(セーブ)を残した。

 

瞬間的で戦闘向きな揶揄者(ザ・フール)なら兎も角、ある程度長く戻る時間遡行は身体にかかる負担、消耗があるから、安易には使わない様にしているがもしもの時は……。

 

 

「―――あれ以上の最悪で、もしもの時、ってあると思うの?」

「ある訳がねぇ」

 

 

ラムの言葉に即答するスバル。

戻ってない以上、今もまだ白鯨と戦っている以上、――――ツカサが目の前にいない以上、戦い継続と言う事だ。

 

ただ、一縷の不安はあった……が、それは口にしない。

 

 

「じゃあ、自分に出来る最善をしなさい。―――死んだら許さないわ」

「解ってる。……解ってる!」

 

 

パトラッシュの手綱を握り締め、ハッキリと言った。

それを確認すると同時に、ラムはUターン。

 

 

「ラムはレムとヴィルヘルム様の3人で、ツカサを取り込んだ白鯨を相手する。バルスは、クルシュ様と合流して、対策を考えなさい」

「ああ、――――任せろ。それくらいやってやる!」

 

 

スバルはハッキリと見た。

ラムの目が赤く染まっている事に。握る拳に血が滲み出ている事に。

 

頭では理解しているし、信頼もしている。これ以上ない最大クラスに信用と信頼、親愛、愛情、全てを抱いている。

 

そんな相手だからこそ、ガマン出来ない部分が身体の節々に現れてしまうのだ。

 

 

 

「絶対に、呑みこませない! そのデカい腹を引き裂いてでも、連れ戻す!!」

 

 

 

ラムの絶叫が、場に響く。

それに呼応する形で、レムの魔法が、ヴィルヘルムの剣閃が白鯨に迫る。

 

 

 

誰一人、ツカサを諦めてない。

死んでるなんて考えない。

ただただ、かみ殺してでも前へと進もうとしている。……安易で苦しめてしまう選択を取りかけていた自分とは大違いだ。

 

 

 

 

「スバル君の所には、行かせませんっ!!」

 

 

 

鬼化したレムの絶叫が場に響く。

視野が広くなったのをスバルは感じた。

ツカサが居なくなり、完全に視野が耳が遠くなっていた状態から、ハッキリと戻ってくる事が出来た。

 

 

「だが、ハードでヘビーな状況に代わりねぇ……って、こっちもかよっ!?」

 

 

白鯨の2体目。

1体は、3人で抑えてくれているが、もう1体が迫ってきた。

 

あの時の様に―――ツカサを喰らった時の様に、大口を開けて。

 

 

 

力のないスバルにはどうする事も出来ない、逃げるしかない、と手綱を再度強く握り締めたその時だ。

 

 

 

「口を、閉じろッッ!!」

 

 

 

空を斬り裂く一閃が、一瞬の内にスバルの横を通過し、白鯨の顔面を真一文字に斬り裂いた。

断末魔の悲鳴と血飛沫を上げながら、白鯨は再び宙へと逃げる。

 

 

 

合流しようと画策していたクルシュが、駆けつけてくれたのだ。

 

 

 

「クルシュさん!」

「遅れてすまない。指揮系統が乱された。……状況が状況、だが、仕方ないと言ってられないな」

 

 

ぎりっ、と歯ぎしりをした。

白鯨が3体に増えた事もそうだが、それ以上にクルシュが気がかりなのは……。

 

 

「ナツキスバル。ツカサは?」

 

 

あの光景、傍から見えてない訳が無い。

ツカサの風は、皆を緊急避難させただけじゃない。拡散型・消滅型の厄介な霧を散らす効果もあった。

 

誰もが、あの絶望的な場面の目撃者、剣聖に続き、英雄が喰われると言う最悪の光景を見ている筈なのだ。

 

クルシュもそれは同じこと。―――認めたくないのかもしれないが。

 

 

「―――あんたが覚えてる、って事は 少なくとも霧に消されてねぇ。あの3人の奮闘次第、ってトコだ! いや、ひょっとしたら、兄弟の事だ! 腹ん中で盛大に暴れてるかもな!」

 

 

たった3人で白鯨を相手にしている光景に目をやる。

クルシュも、確かにと少し頷き、白鯨を一瞥した後、直ぐにスバルの方を見た。

 

 

「この状況どう見る。ナツキスバル。おかしいとは思わないか?」

「どういう意味だ!?」

「白鯨が3体に増えた。仮に群れを成す魔獣だとしたら、それが伝わっていない事などあるものか!? 何か、必ずカラクリが有る筈だ!」

 

 

クルシュの言葉が、脳に突き刺さる。

絶望的な場面、かの三大魔獣の一角が、文字通り3体に増えたのだ。その結果だけを重視し過ぎて、それ以外を考える事が出来てなかった。

 

 

「カラクリ、何かある。絶対に何かある、そう言う事だな? それを見つけろって事で良いんだな!?」

「ツカサは武を有する。そしてナツキスバルに対しては、頭脳を期待している、と以前聞いた! 時間稼ぎは、卿の逃げ足と我々の援護で何がなんでも持たせる!」

 

 

ツカサが自身の頭を期待する?

以前の自分なら、皮肉にしか聞こえてこない感じだが、それでも勇気を貰えた。

 

今は、これ以上ない鼓舞だった。

 

 

「何とかするぞ! 必ずあの男は戻ってくる! なのに、我々が待たず、持たず撤退などするワケが無い。その様な選択肢、存在しないのだから!」

「おう!! やってやるー――、絶対、やってやる!!」

 

 

 

クルシュとスバルは二手に分かれる。

スバルは、白鯨をその魔女の残り香で誘き寄せつつ、兎に角逃げ回る。

 

 

その間に、クルシュはしなければならない。

 

 

 

英雄が呑まれ、かの厄災が増えた事実を受け入れられず、ただただ絶望しきっている騎士たちの前に。

 

 

 

 

 

 

「立てっ!! 顔を上げろッッ!! 武器を持てっ!!」

 

 

 

 

 

絶望している暇等ない。

まだ、戦いは続いているのだから。

 

 

 

 

 

 

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