改めて解説しますが拙作のサイバー流は大きな組織であり、日本をブロックごとに区分し、各ブロックにブロック代表という幹部クラスのデュエリストが配置され、その下に都道府県代表、その下に門下生がいるというピラミッド型の組織です。
海馬瀬人はこれに目をつけ、プロとしてはルーキーである主人公に各ブロック代表相手に連勝させるつもりでいます。海馬瀬人が直々に叩き潰しても「伝説の決闘者相手なら仕方ない」と言い訳させてしまうので、新人を育てる必要があったわけです。
海馬コーポレーションは新たな召喚方法、S召喚のテスターである猫崎俊二という決闘者と専属契約を結んだことを発表。
デュエル・アカデミアでは落ちこぼれと言われたオシリス・レッドでありながら名声を勝ち取った猫崎俊二は、世間の注目を浴びる。
一方で快く思わない者達が居る。
高い学費を払ってオベリスクブルーやラーイエローに子供が居る親、そして才災師範と深いつながりのある有力者達。
「…これはどういうことだ?」
「どういう事でしょうが?」
豪奢な部屋で、外国製のスーツに身を包んだ男たちが、才災師範を詰問する。
「オシリスレッドというと、落ちこぼれだろうが!なんでそんな落ちこぼれを海馬がわざわざ拾い上げる!」
「オーナーには、オーナーの考えがあるのかと。」
「聞けば、在学中には丸藤亮に続いて無敗記録を達成したそうだな。サイバー流の門下生では奴の使うS召喚とやらは倒せないという事か?」
「戦ったのは、サイバー流の落ちこぼれや新たにサイバー流に入った者だけです。既にプロとして名を馳せている、サイバー流が誇る『サイバー・ランカーズ』ならば敵ではありません。」
きっぱりと言い切る才災師範に、男の一人が胡乱気な目を向ける。
「そう、か。それを聞いて安心したぞ。この挑戦はサイバー流が勝つと判断していいのだな?」
「はい?」
そんな才災師範に、挑戦状と記された封筒が手渡される。
「拝見します…」
読み終えた才災師範は顔を歪める。
何とプロになった猫崎は九州から北海道まで旅をするが、その最中にサイバー・ランカーズの中でもエリートである、ブロック代表のプロ決闘者に挑戦するというのだ。
「ふ、ふん。問題ではありませんね。大方、すでにプロとして活躍しているサイバー・ランカーズ、その中でも精鋭であるブロック代表を倒すことなど出来るはずがありません。サイバー・ドラゴンやプロト・サイバー・ドラゴンしか与えられていない門下生とは違い、各種派生カードに加えてサポートカードも万全です!」
「それは頼もしい。だが、ペガサス会長が新たに開発したサイバー・ドラゴンの関連カードのデータは手に入ったのか?」
「はい?なんのことでしょう?」
「そういう噂だが…。まぁ、お前が知らないならデマだったのだろう。」
鷹揚に権力者から退出するよう言われた才災師範。彼に電話が入る。
「私だ…何ぃ?!」
時は、少し遡る。
九州、宮崎県にて。二人の決闘者が対峙する。
「お前が猫崎か。俺は才郷 五郎(さいごう ごろう)。九州ブロックを担当しているサイバー・ランカーズだ。我らサイバー流に刃向かうとは愚かな奴め。」
白を基調とし、銀色で縁取りされたデュエルディスクを装着した筋肉質の大男が、眼前の金と銀のツートンカラーの青年に話しかける。
「まずは九州ブロックから攻略させて貰う。」
「ほざけ!サイバー流は勝ち続ける!行くぞ!」
「「デュエルッ!!」」
猫崎 ライフ4000
手5 場
才郷 ライフ4000
手5 場
「俺の先攻、ドロー!レスキューキャットを召喚!このカードを墓地に送り、デッキからXセイバーエアベルンとコアラッコを特殊召喚!俺はLv2のコアラッコに、レベル3のエアベルンをチューニング!S召喚!A・O・Jカタストル!」
「?!それがS召喚という奴か。だがたかが攻撃力2200程度なら敵ではない!」
「このカードは闇属性以外のモンスターと戦闘を行うとき、ダメージ計算を行わずに相手モンスターを破壊する。」
「な、なんだと!何というモンスターを開発したんだ、インダストリアルイリュージョン社と海馬コーポレーションは!」
「俺はカードを二枚伏せてターンエンド!」
猫崎 ライフ4000
手3 場 カタストル 伏せ2
才郷 ライフ4000
手5 場
「俺のターン、ドロー!俺はサイバー・ドラゴン・ツヴァイを召喚!」
「ツヴァイ…」
ついに、サイバー・ドラゴンとプロト・サイバー・ドラゴン以外のサイバー・ドラゴン関連のモンスターが出て来た事で、猫崎は今までの門下生や門下生に転向した連中とは格が違うと悟る。
「手札の魔法カードを公開する事で、カード名をサイバー・ドラゴンとして扱う。俺は永続魔法、前線基地を公開する。」
だが、続いて発動した魔法カードに、猫崎は驚く!
「魔法カード、エヴォリューション・バーストを発動!場にサイバー・ドラゴンがいるとき、相手の場のカードを一枚破壊する!その伏せカードを破壊!」
「何!サイバー流ではその手の除去カードはご法度のはず!」
奈落の落とし穴が破壊される。その後、才郷が口を開く。
「地割れや地砕き、炸裂装甲や奈落の落とし穴など、デッキを選ばず投入出来る除去カードがリスペクトに反するのであって、専用デッキで無ければ輝けないなら話は別だ。」
「なら、剣闘獣ガイザレスはいいのか。【剣闘獣】デッキで無ければ輝けないカードだぞ。」
「ガイザレスはリスペクトに反するカードだ。特殊召喚されれば場のカードをなんでも二枚破壊してしかも攻撃出来ないデメリットも無いからな。サイバー・ドラゴンの攻撃を封じるエヴォリューション・バーストとは違う。」
「…だったらゴッドバードアタックは良いな?鳥獣族デッキで無ければ入らないし、鳥獣族とゴッドバードアタックの二枚を使って、場のカードを二枚破壊だからな。」
「ゴッドバードアタックもダメだ。汎用性が高すぎる。あんなカードを使えばだれでも勝てる。」
ああ言えばこう言う。こう言えばああ言う。本当に頭が痛くなってくる猫崎。
「永続魔法、前線基地を発動。これにより、ユニオンモンスターを手札から特殊召喚出来る。現れろ、アーマード・サイバーン!アーマード・サイバーンをツヴァイに装備!そして効果発動、ツヴァイの攻撃力を1000下げて、カタストルを破壊!」
「カタストルまで…」
「魔法カード、融合を発動!手札のサイバー・ドラゴンと場のサイバー・ドラゴンを融合!現れろ、サイバー・ツイン・ドラゴン!これで終わりにしてやる!バトルだ、サイバー・ツイン・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「罠発動!聖なるバリア-ミラーフォース-!」
「このっ!ちっ、ターンエンドだ」
猫崎 ライフ4000
手3 場
才郷 ライフ4000
手0 場 前線基地
「俺のターン、ドロー!モンスターをセット。ターンエンド。」
猫崎 ライフ4000
手3 場 セットモンスター
才郷 ライフ4000
手0 場 前線基地
「俺のターン、ドロー!死者蘇生を発動!蘇れ、サイバー・ツイン・ドラゴン!バトルだ、サイバー・ツイン・ドラゴンでセットモンスターを攻撃!」
「クリッターが破壊されたことで、効果発動。デッキから召喚僧サモンプリーストを手札に加える。」
「ツインドラゴンは二回攻撃出来る。ダイレクトアタック!」
「ぐっ!」ライフ4000から1200
「ターンエンドだ!」
猫崎 ライフ1200
手4 場
才郷 ライフ4000
手0 場 サイバー・ツイン・ドラゴン 前線基地
「俺のターン、ドロー!召喚僧サモンプリーストを召喚!効果発動、表側守備表示になり、サモンプリーストの効果発動!手札の魔法カード、大寒波を捨ててデッキからレスキューキャットを特殊召喚!そしてレスキューキャットを墓地に送り、デッキからコアラッコとXセイバーエアベルンを特殊召喚!俺はレベル4のサモンプリーストとレベル2のコアラッコに、レベル3のエアベルンをチューニング!!S召喚!現れろ、ミスト・ウォーム!」
「攻撃力2500?」
「効果発動、相手の場のカードを三枚まで手札に戻す!」
「バウンスとは卑劣な…だが、まだ俺のライフは残る。」
「バトル!ミスト・ウォームでダイレクトアタック!そして速攻魔法、イージーチューニングを発動!墓地のエアベルンを除外して、その攻撃力分ミスト・ウォームの攻撃力をアップさせる!」
「攻撃力4100!うわあああああっ!」ライフ0
「俺の勝ちだな。」
「ば、馬鹿な…。この俺が。くそっ、だがサイバー・ランカーズはまだまだ居る。俺の仇をきっと誰かが討ってくれるはずだ!」
「行きましょう、猫崎。」
「そうだな。」
立ち去ろうとした猫崎と才波に、声がかけられる!
「ちょっと待つとよ!」
気の強そうな、博多弁の女性がにらみつけている。
「誰だ?」
「?!福岡代表のサイバー・ランカーズ…。」
「猫崎に用は無いけれど、そっちのサイバー流を裏切った門下生は許せないけん!アタシとデュエルばい!」
猫崎は、才波に目を向ける。
門下生よりずっと強いのが都道府県代表。だが、今の才波なら問題なく勝てると予想する猫崎。
「猫崎とのデュエルに負けて、切り捨てたのは才災師範。裏切り者呼ばわりは受け入れがたいけれど、デュエルなら受けてたつ!」
「いい心がけけんね!さぁ…」
「「デュエルッ!!」」
才波 ライフ4000
手5 場
才野 ライフ4000
手5 場
「先攻は譲るわ。」
「…私の先攻、ドロー!私はモンスターをセット!カードを二枚伏せてターンエンド!」
才波 ライフ4000
手3 場 セットモンスター 伏せ2
才野 ライフ4000
手5 場
「アタシのターン、ドロー!アタシもモンスターをセット!カードを二枚伏せてターンエンド!」
才波 ライフ4000
手3 場 セットモンスター 伏せ2
才野 ライフ4000
手3 場 セットモンスター 伏せ2
「私のターン、ドロー!セットしていたプロト・サイバー・ドラゴンを反転召喚!そして、E・HEROプリズマーを召喚!」
「え、エレメンタルヒーロー?」
「効果発動!EXデッキのサイバー・エンド・ドラゴンを公開し、デッキからサイバー・ドラゴンを墓地へ送る。これによりプリズマーはカード名をサイバー・ドラゴンとして扱う!」
遊城十代が使っていたE・HEROシリーズのカードの中に、デッキをより回しやすくなりそうなカードがあったため、才波はその中からプリズマーを選択して投入していた。
「手札の沼地の魔神王を捨てて効果発動!デッキから融合を手札に加え、発動!場のサイバー・ドラゴン2体を融合!サイバー・ツイン・ドラゴンを特殊召喚!」
「ツインで来たか…。元とは言え門下生だけのことはあるばい。」
「バトル!サイバー・ツイン・ドラゴンでセットモンスターを攻撃!」
「罠発動!ドレイン・シールド!攻撃を無効にして、その攻撃力分のライフを回復するけん!」
「カウンター罠発動!トラップ・ジャマー!」
「か、かかカウンター罠ぁ?!」
想定外だったのか、動揺する福岡代表のサイバー・ランカーズ。
『カウンター罠を使うなんて恥知らずめ!』
『だからサイバー流から追放されるんだ!』
そんな周囲の野次程度で、才波は怯まない。
「これで攻撃は通る!セットモンスターを攻撃!」
「プロト・サイバー・ドラゴンが…」
「そして、サイバー・ツイン・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「きゃあああああっ!」ライフ4000から1200
「カードを一枚伏せてターンエンド!」
才波 ライフ4000
手1 場 サイバー・ツイン・ドラゴン 伏せ2
才野 ライフ1200
手3 場 伏せ1
「アンタ…サイバー流のリスペクト精神を捨てたかね?」
「私は、鮫島元師範の教えを継ぐ。才災師範のリスペクトデュエルは間違っている!」
「…アタシのターン、ドロー!魔法カード、強欲な壺を発動!カードを二枚ドロー!」
「ここで手札補強を…」
「永続罠、リビングデッドの呼び声!墓地からプロト・サイバー・ドラゴンを特殊召喚!そしてチェーンして速攻魔法、地獄の暴走召喚ッ!さぁ、デッキから現れるけんね!三体のサイバー・ドラゴン!」
「待ちなさい!地獄の暴走召喚にチェーンして永続罠、リビングデッドの呼び声!墓地からサイバー・ドラゴンを再起動!そして私もデッキからサイバー・ドラゴンを2体、特殊召喚!」
互いの場にサイバー・ドラゴンが三体ずつならび、にらみ合う!
「ならアタシは手札から速攻魔法、フォトン・ジェネレーター・ユニットを発動!場のプロトとサイバー・ドラゴンをリリースして、デッキからサイバー・レーザー・ドラゴンを特殊召喚!サイバー・レーザー・ドラゴンの効果発動!サイバー・ツイン・ドラゴンを破壊!」
「ツインドラゴンッ!」
「アタシは永続魔法、騎士道精神を発動!これでサイバー・ドラゴン同士が戦闘を行えば、破壊されるのはそっちのサイバー・ドラゴンだけばい!バトル!」
「待ちなさい!罠発動!威嚇する咆哮!これでこのターン、貴女は攻撃宣言を行えない!」
『今度は攻撃封じか』
『姑息な時間稼ぎを…あんなカードで1ターンしのいで何になる?』
「その1ターンが貴重なんだがな。」
ぼそり、と猫崎がつぶやく。
「…アタシは永続魔法、禁止令を二枚発動!一枚目の禁止令でサイバー・ツイン・ドラゴンを、二枚目の禁止令でサイバー・エンド・ドラゴンを宣言!」
発動されたカードを見て猫崎は思わず目を丸くする。
「待て待て、リスペクトを掲げておきながら、そのカードを使うのか?というか禁止令ってありなのか?!」
『うるせぇよ!サイバー・ツイン・ドラゴンやサイバー・エンド・ドラゴンを場に出した後であのカードを使うのは問題だけど、そうでないなら別にいいんだよ!』
自分だけツインやエンドを出している状況で、あのカードを使うのがダメ、という事らしい。プレイングの領域か。
「そうなのか。俺は別にサイバー流では無いから、俺の場にツインやエンドがいない時に、相手のツインやエンドを封じてもいいんだな。」
『良いわけないだろうが!サイバー流同士のデュエルで、自分の場にツインとエンドが居ない状況で禁止令を使って互いにツインとエンドを封じるならいいが、それ以外はリスペクト違反だ!」
もう頭が痛くなってくる猫崎。
やはり才災師範のサイバー流は害悪。
「ターンエンド!」
才波 ライフ4000
手1 場 サイバー・ドラゴン サイバー・ドラゴン サイバー・ドラゴン リビングデッドの呼び声
才野 ライフ1200
手0 場 サイバー・レーザー・ドラゴン サイバー・ドラゴン サイバー・ドラゴン リビングデッドの呼び声 騎士道精神 禁止令(ツイン) 禁止令(エンド)
「私のターン、ドロー!魔法カード、融合を発動!」
「ゆ、融合!そんな、融合先のモンスターは、禁止令で封じているばい!一体何を…」
「場のサイバー・ドラゴン三体を融合!来なさい、サイバー・エタニティ・ドラゴン!」
才波が融合召喚したモンスターに驚く才野。
「サイバー・エンド・ドラゴンでは無いばい?!」
「ペガサス会長が新たに作った、サイバー流のカード。今の才災師範が率いるサイバー流に思うところはあっても、【サイバー・ドラゴン】に罪は無いというのが、ペガサス会長の考え!このカードは墓地に機械族の融合モンスターが居れば、相手のカード効果の対象にならず、カード効果では破壊されない!」
割と強力な耐性をもつサイバー流の新たな融合モンスターだが、才野の戦意は衰えない。
「そんな耐性が…でも、攻撃力は2800!アタシのライフは削り切れんとよッ!」
「魔法カード、アームズ・ホール!デッキの一番上のカードを墓地に送り、デッキか墓地から装備魔法を手札に加える!パワー・ボンドが墓地に行ったか…。デッキから装備魔法、エターナル・エヴォリューション・バーストを手札にくわえ、エタニティに装備!」
「攻撃力も守備力も変わってないばい。」
「このターンで終わらせる!バトル、エタニティでサイバー・ドラゴンを攻撃!」
「っつ、まだライフは残るけんね!」ライフ1200から500
「装備魔法、エターナル・エヴォリューション・バーストの効果発動!墓地のサイバー・ドラゴンを除外して、装備モンスターは相手モンスターに続けて攻撃できる!」
「?!」
サイバー・エタニティ・ドラゴンが咆哮を上げ、サイバー・ドラゴンに照準を合わせる!
「もう一度、サイバー・ドラゴンを攻撃!」
「アタシが…追放された門下生に負けた?」ライフ0
茫然とへたり込むサイバー・ランカーズを放置し、猫崎と才波はその場を足早に去る。
というのも、周囲の門下生達が『こんなデュエルは無効だ!』『もう一度やれば才野様が勝つ!』『ペガサス会長が開発したというそのカードを寄越せ!』『リスペクトに反するカードをデッキから抜け!』とわめきながら迫ってきたからだ。
宮崎まで来たのにチキン南蛮も地鶏の炭火焼きも食べられなかったことで、猫崎はサイバー流が経営してる弁当屋で350円のシャケ弁や海苔弁では無く、
一つ2100円のサイバー・グルメ弁当とサイバー・サイダー150円を二つずつ買い、新幹線に乗り込む。
…才災師範は、負けるはずがないと確信していたサイバー・ランカーズのブロック代表が早速倒され、しかもかつて自分が切り捨てた才波光里が、都道府県代表のサイバー・ランカーズに勝利したと知り、茫然とする。
『いかがしましょうか?次は中国ブロックか四国ブロックに来るかと。』
「…あのカードたちの使用許可を出すと伝えなさい。禁断の機光龍を。」
才災師範の言葉を聞いた相手が数秒沈黙する。
『よ、よろしいのですか?!あのカードはリスペクトに反する暴虐のカードとして、才災師範が自ら禁じたカードでは…』
「構いません。確実に伝えなさい。」
才災師範は電話を切り、大きくため息をつく。
「本意ではありませんが…仕方ありません。すべては正しい、リスペクトデュエルを世に広めるためです。」
同時刻、新幹線に乗って次のサイバー・ランカーズを倒しに向かう猫崎と才波は会話を楽しんでいた。
サイバー・グルメ弁当は値段が張るだけあって、ステーキとハンバーグ、ホタテの貝柱を使った海鮮焼売、香ばしいチキングリル、アボカドが入った卵焼きに加え、トマトをくりぬき、レタスとキュウリを詰めてフレンチドレッシングがかかったサラダ。米にもこだわっていたのか、実に満足できる物だった。
おまけでカードのパックがついていたが、マハー・ヴァイロだった。今のデッキには当然ながら組み込めない。
「…光里?」
「な、何でもないわ!」
光里はパックの中身を見て驚愕していたが、ややあってそれをしまい込む。
思わぬカードだったようだが…。まぁ、追及することもあるまい。
しかも、このグルメ弁当は地方によって内容も違うらしい。一度全種類食べ比べしてみるのもありかもしれない。そう、猫崎俊二は思った。