今回はアニメオリカが登場します。
「ここは…どこだ?」
中部ブロック代表だったが、才田智子にその座を追われた元サイバー・ランカーズの才獏 良(さいばく りょう)は見知らぬ場所に居た。
「俺は、闇のゲームとかいう胡散臭い話が出鱈目と言う事を証明するために、通信機器と小型カメラとマイク、それにGPSを持っていたはず…。」
周りを見渡すと、何もない。闇の中、というより虚無。
そう表現できる場所に、才獏はいる。
「…なんだぁ?」
「だ、誰だ!」
「何だってこんな所にいやがる?」
銀髪で禍々しい鋭い目を持つ、青と白の横縞のシャツの上に黒いコートを羽織った青年が、才獏の前に現れる。
「お前は…。」
「俺様を知らねぇのか。俺様は獏良だ。」
「ば、獏良?!あのバトルシティ決勝トーナメント進出者!お前を倒せば、あの才田にもう一度入れ替えデュエルを挑める!」
「ああ?何言ってやがる。」
訝し気に相手を睨む闇獏良。
「俺はサイバー・ランカーズの中部ブロック代表だった。だが、都道府県代表の才田と入れ替えのデュエルに敗れ、その座を追われた…。俺達サイバー・ランカーズは特定の条件を満たせば、入れ替えのデュエルを挑める!国内外の年に一度開催される公式大会で優勝、サイバー流に1000万円の上納金を払うか…それとも。」
デュエルディスクを構えながら、才獏は告げる。
「バトルシティ決勝トーナメント進出経験者とのデュエルに勝利するか、だ!」
「ヒャハハハハハ!この俺様が昇格試験の試験官扱いかよぉ!」
ひとしきり笑った後、冷酷な目を向ける闇獏良。
「久々に笑えたぜ。さぁ、闇のゲームの始まりだぁ!」
「「デュエルッ!!」」
才獏 ライフ4000
手5 場
闇獏良 ライフ4000
手5 場
「先攻は譲ろう。」
「ほぅ?俺様の先攻、ドロー!俺様はモンスターをセット、そしてカードを一枚伏せてターンエンド!」
才獏 ライフ4000
手5 場
闇獏良 ライフ4000
手4 場 セットモンスター 伏せ1
「俺のターン、ドロー!魔法カード、エマージェンシー・サイバーを発動!デッキから「サイバー・ドラゴン」モンスター、または通常召喚できない機械族・光属性モンスター1体を手札に加える。俺はデッキからサイバー・ドラゴンを手札に加える。相手の場にのみモンスターが存在することで、サイバー・ドラゴンを特殊召喚!」
「攻撃力2100を攻撃表示で特殊召喚だと!」
知識がバトルシティで止まっている闇獏良は驚愕する。
「そしてサイバー・ドラゴン・コアを召喚して効果発動!デッキから「サイバー」魔法・罠カードまたは「サイバネティック」魔法・罠カード1枚を手札に加える。俺は二枚目のエマージェンシー・サイバーを手札に加える。魔法カード、パワー・ボンドを発動!場のサイバー・ドラゴンとサイバー・ドラゴン・コアを融合!現れろ、サイバー・ツイン・ドラゴン!」
「攻撃力2800の融合モンスター…?!馬鹿な、攻撃力5600まで上昇しただと?!」
「驚いたようだな。パワー・ボンドにより特殊召喚された機械族の融合モンスターの攻撃力は、元々の攻撃力分アップする!しかも、サイバー・ツイン・ドラゴンは一度のバトルフェイズで二回攻撃出来る!バトル、サイバー・ツイン・ドラゴンでセットモンスターを攻撃!!」
迫りくるブレス!セットモンスターが表側表示になる!
「こいつはクルーエルだ!こいつが破壊された事で、効果発動!コイントスを行い、当たれば相手モンスターを破壊!俺様は裏を宣言して、コイントス…!よし、裏だ!」
「?!さ、サイバー・ツイン・ドラゴンが!」
「ヒャハハハハ!これでそいつは破壊され」
闇獏良は最後まで言い切る事が出来なかった。
「お前には対戦相手に対するリスペクト精神が無いのか!」
「…あ?」
「除去カードなど卑怯だ!こんなデュエルは無効!仕切り直し…あれ?」
だが、デュエルディスクは反応しない。
「そいつは出来ねぇぜ。これは闇のゲーム、負けた方が消える。生き残りたいなら、俺様を倒すんだな!ヒャハハハハハ!」
「お、おのれぇ!」
「さぁ、どうする?それとも気が済むまで駄々をこねるかぁ?」
「…メインフェイズ2!魔法カード、一時休戦を発動!互いにカードを一枚ドローする!そして次のターン終了時まで、互いに受けるダメージは0になる!」
「ケッ、ワンターンキルを仕掛けようとしておきながら、一時休戦かよ。大した『リスペクト』だなぁ?」
「黙れっ!俺はこれでターンエンドだ!このエンドフェイズ、パワー・ボンドのリスクとして融合召喚したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受けるが、一時休戦でダメージは0だ!」
才獏 ライフ4000
手4 場
闇獏良 ライフ4000
手5 場 伏せ1
「俺様のターン、ドロー!」
手札を眺めながら、闇獏良は対戦相手の性格とデッキを冷静に分析する。
サイバー・ドラゴンという攻撃力2100の機械族モンスターを主軸に置いた、ハイビートダウンのデッキ。
クルーエルというギャンブルが絡む除去モンスターをあれだけ罵倒するなら、除去カードの類は少なめで、デッキを回すカードばかりなのか?
だが、俺は使うのはいいがお前はダメ、という自己中な性格である可能性も否定できない。
(奴は前のターン、エマージェンシー・サイバーという魔法カードを手札に加えていやがった。俺様が壁モンスターを出せば、サイバー・ドラゴンがまた出てくる。だが、場をがら空きにした状態でツイン・ドラゴンをまた呼び出されたらジ・エンドだ。伏せカードは、ここに来てから手に入れた役に立たねぇカードだしな。)
自身の伏せカードに目を向ける闇獏良。ブラフ程度になれば御の字と思って伏せた罠だ。
「…俺様はモンスターをセット、永続魔法、暗黒の扉を発動!これでお互いに一体のモンスターでしか攻撃できない!ターンエンドだ」
才獏 ライフ4000
手4 場
闇獏良 ライフ4000
手4 場 セットモンスター 暗黒の扉 伏せ1
「俺のターン、ドロー!魔法カード、エマージェンシー・サイバーを発動!デッキからサイバー・ドラゴンを手札に加える。そして墓地のサイバー・ドラゴン・コアを除外して効果発動!相手の場にのみモンスターが存在することで、デッキからサイバー・ドラゴンを特殊召喚!」
「そんな効果もあるのか。随分優秀な『コア』だな」
「バトル!サイバー・ドラゴンでセットモンスターを攻撃!!」
「クリッターの効果発動!戦闘で破壊された事で、俺様はデッキから攻撃力1500以下のモンスターを手札に加える。俺様は偉大魔獣ガーゼットを手札に加えるぜ!」
「俺はカードを一枚伏せてターンエンド!」
才獏 ライフ4000
手4 場 サイバー・ドラゴン 伏せ1
闇獏良 ライフ4000
手5 場 暗黒の扉 伏せ1
「俺様のターン、ドロー!俺様はゴブリンエリート部隊を召喚!」
「攻撃力2200!」
「バトルだ!ゴブリンエリート部隊で、サイバー・ドラゴンを攻撃!」
「永続罠、サイバー・ネットワークを発動!1ターンに1度、俺の場にサイバー・ドラゴンが存在する場合、デッキから機械族・光属性モンスターを1体除外できる!俺はデッキからサイバー・ドラゴン・ドライを除外!」
「あ?それでどうしようと。」
「除外されたサイバー・ドラゴン・ドライの効果発動!場のサイバー・ドラゴンを選択!このターン、サイバー・ドラゴンは破壊されない!」
「チッ、ならダメージを受けろ!」
「?!ぎゃあああああああっ!お、俺の手があああああああっ!」ライフ4000から3900
「おいおい、何悲鳴を上げてんだよ?たかが100だぜ?」
「お、お前!お前何をしたぁ!」
激痛が走った手を押さえながら、才獏は喚く。
「これは闇のゲームと言ったはずだ。ダメージは実体化する…ライフが0になったら、どうなるかなぁ?」
「ふ、ふざけるなっ!こんなデュエルは無効だ!」
「それは出来ない。闇のゲームからは誰も逃げられねぇ…生き残りたいなら、俺様を倒すしか方法は無いぜぇ?ククク…。俺様は昇格試験の試験官なんだろ?頑張って倒せよ、受験生。」
「ぐううううううっ…。」
「さて、バトル終了。エリート部隊は守備表示になってしまう。ターンエンドだ」
才獏 ライフ3900
手4 場 サイバー・ドラゴン サイバー・ネットワーク
闇獏良 ライフ4000
手5 場 ゴブリンエリート部隊 暗黒の扉 伏せ1
「お、俺のターン、ドロー!バトルだ、サイバー・ドラゴンでゴブリンエリート部隊を攻撃!」
「ケッ、エリートと言っても、所詮はゴブリンならこの程度か。」
「俺はモンスターをセット!カードを一枚伏せてターンエンド!」
才獏 ライフ3900
手3 場 サイバー・ドラゴン セットモンスター サイバー・ネットワーク(1) 伏せ1
闇獏良 ライフ4000
手5 場 暗黒の扉 伏せ1
「俺様のターン、ドロー!墓地に眠るクルーエル、クリッター、ゴブリンエリート部隊の三体の悪魔族を除外し!さぁ、蘇れ、死の世界の支配者!ダーク・ネクロフィア!」
「攻撃力、2200!ま、またあの衝撃が…」
後ずさる才獏を見ながら、闇獏良は笑う。
「ヒャハハハハ!俺様がクリッターで何をサーチしたのか忘れちまったかぁ?俺様はダーク・ネクロフィアをリリース!現れろ、偉大魔獣ガーゼット!こいつの攻撃力はリリースしたモンスターの攻撃力の倍!よって攻撃力は4400!」
「う、うわああああああああっ!」
「さぁバトルだ!偉大魔獣ガーゼットで、サイバー・ドラゴンを攻撃!」
「さ、サイバー・ネットワークの効果発動!サイバー・ドラゴン・ドライを除外し、サイバー・ドラゴンはこのターン破壊されない!」
「ヒャハハハハハ!サイバー・ドラゴンは守れても、てめぇの精神が先にぶっ壊れちまうかもしれねぇなぁ!」
「ああああああああああああああああああああああああ!」ライフ3900から1600
絶叫を上げてのたうち回る才獏は、やがて動きを止める。
「…くたばったか。いや…。」
「は、はぁ、はぁ…。」
「ほぅ?少しはやるみたいだなぁ?神官は無理だが、神官候補か神官代理ぐらいは勤められる器か。」
「お、お前のターンは終わりか?」
「いや、カードを一枚伏せてターンエンドだ。」
才獏 ライフ1600
手3 場 サイバー・ドラゴン セットモンスター サイバー・ネットワーク(1) 伏せ1
闇獏良 ライフ4000
手2 場 偉大魔獣ガーゼット 暗黒の扉 伏せ2
「俺のターン、ドロー!よし…!」
「あ?」
どうやらキーカードがそろったらしい。闇獏良は警戒を強める。
「俺はセットモンスターを反転召喚!サイバー・ドラゴン・ツヴァイ!手札の魔法カード、パワー・ボンドを公開する事で、カード名をサイバー・ドラゴンとして扱う!」
「チィッ、攻撃力5600のサイバー・ツイン・ドラゴンが確定か!」
「そうだ!これでお前のライフを削り切って」
「させるかよぉ!罠発動!成功確率0%!てめぇの融合デッキからカードを二枚、ランダムに墓地に送る!」
「?!俺のエクストラデッキを破壊するだと!本当に、対戦相手へのリスペクト精神が無いんだな!」
「これでサイバー・ツイン・ドラゴン二匹を撃ち抜けば、二回攻撃は出来ねぇだろ!」
「そうそう当たるわけ…が…。」
闇獏良にとっても、分の悪い賭け。だが…
墓地に送られたのは、無情にもサイバー・ツイン・ドラゴン二体。
「ふ、フフフフ!ヒャハハハハハァ!さぁ、これで俺様を倒す術は無くなったなぁ!」
これでもうあの二回攻撃してくるモンスターが出てこない事で、闇獏良は高笑いをあげる。
「まぁ、俺様がクルーエルのコイントスと成功確率0%でツイン・ドラゴンを二枚撃ち抜く、という運任せの勝負をしなければならない所まで追い詰めたんだ。てめぇの肉体は悪い様にしないで置いてやる。だから、大人しく負けろ!」
「プロト・サイバー・ドラゴンを召喚。魔法カード、パワー・ボンドを発動!」
「はぁ?もうサイバー・ツイン・ドラゴンは居ないはずだ。何を呼び出そうと」
「場のプロトとツヴァイ、手札のサイバー・ドラゴンを融合!現れろ!我がサイバー流の象徴!サイバー・エンド・ドラゴン!」
「攻撃力、4000だとぉ!いや、パワー・ボンドとやらで出されたって事は…」
「そう、攻撃力は元々の攻撃力分アップする!よって攻撃力は8000!バトルだ!いけ、サイバー・エンド・ドラゴン!偉大魔獣ガーゼットを粉砕しろ!」
サイバー・エンド・ドラゴンが凄まじいレーザー光線を偉大魔獣ガーゼットに浴びせ、その余波が闇獏良を襲う!
「はぁ、はぁ、はぁ…これであの卑怯者はデュエル続行不可能で俺の勝ちだ。リスペクト精神を持たないからこういう目に」
「気は済んだか?」ライフ4000から200
「な、何故生きている!」
「このぐらいで俺様を殺せると思ったか?」
才獏が受けた衝撃以上の衝撃を受けた直後だが、元々闇そのものである闇獏良はどこ吹く風と言わんばかりだ。
「パワー・ボンドのリスクを受けて貰うぜぇ?」
「罠発動!ピケルの魔法陣!このターン、俺が受ける効果ダメージを0にする!」
「チッ、流石に自滅はしないか。」
才獏 ライフ1600
手1 場 サイバー・エンド・ドラゴン サイバー・ドラゴン サイバー・ネットワーク(2)
闇獏良 ライフ200
手2 場 暗黒の扉 伏せ1
「俺様のターン、ドロー!俺様はモンスターをセットしてターンエンド!」
「エンドフェイズにサイバー・ネットワークの効果発動!デッキからサイバー・ドラゴン・ドライを除外する!」
「…何を狙っていやがる?」
才獏 ライフ1600
手1 場 サイバー・エンド・ドラゴン サイバー・ドラゴン サイバー・ネットワーク(2)
闇獏良 ライフ200
手2 場 セットモンスター 暗黒の扉 伏せ1
「俺のターン、ドロー!このスタンバイフェイズ、サイバー・ネットワークは3ターン目を迎える。」
「なんだ?何が起こる?」
「このカードを破壊する。そしてこのカードが場から墓地へ送られた事で効果発動!除外されている機械族・光属性モンスターを可能な限り特殊召喚!戻って来い、三体のサイバー・ドラゴン・ドライ!」
「面倒なカードを使いやがって!」
「だが、この効果を発動したターン、バトルフェイズは行えない。ターンエンドだ。」
この状況で一番聞きたかったセリフを聞けた闇獏良は、薄く笑う。保険はかけていたが…。
才獏 ライフ1600
手2 場 サイバー・エンド・ドラゴン サイバー・ドラゴン サイバー・ドラゴン・ドライ サイバー・ドラゴン・ドライ サイバー・ドラゴン・ドライ
闇獏良 ライフ200
手2 場 セットモンスター 暗黒の扉 伏せ1
「ヒャハハハハハァ!俺様のターン、ドロー!これで俺様の勝利は確実だ!X・E・N・Oを反転召喚!」
「な、何だ!そのモンスターは!攻撃力200だと!」
「こいつは相手モンスターの装備カードとなり、エンドフェイズまでそのコントロールを得る!サイバー・エンド・ドラゴンは頂くぜぇ!」
闇獏良の場に移動する、サイバー・エンド・ドラゴン。
サイバー流の切り札が自らに照準を合わせた事で、戦意を喪失する才獏。
「お、お前にリスペクト精神は」
「てめぇに褒められるほど、俺様は落ちぶれていねぇぜ!!この効果でコントロールを得たモンスターは、相手に直接攻撃が出来る!」
「何ぃ!」
「これで終わりだ!サイバー・エンド・ドラゴンでてめぇにダイレクトアタック!」
「うぎゃあああああああああっ!」ライフ0
ライフが尽き、身体が消えていく才獏。
「な、何だこれは!」
「闇のゲームの敗者。その末路だ。お前の肉体は、俺様が有効活用してやるよぉ!ヒャハハハハハァ!」
「い、嫌だ、イヤダァ!た、助けてくれぇ!あんな、リスペクト精神が無いデッキに負けて消えるなんて、そんなの嫌だ…ぁ…。」
闇獏良は目を閉じ…ややあって顔に風を感じたため、目を見開く。現世に戻っている。
「…まぁ、悪くはない身体だ。しばらく、この肉体で楽しむとするか」
そう独り言をつぶやいた直後、闇獏良はある事に気づく。先ほど使ったデッキがない。代わりに相手が使っていたデッキがデッキホルダーに収められていた。
(折角現世に戻れたが…。大邪神ゾークがホルアクティに消滅させられた今、俺様は何をするべきだ?)
すべては、大邪神ゾークを復活させ、この世を破壊と混沌の楽園に塗りつぶす…それが三千年という歳月の中、闇獏良が果たそうとしていた目的。
だが、それはもはや叶う事は無い。ならば、これからどうすればいい?
「…まぁ、なるようになるだろう。」
携帯電話に登録されていた、才獏の自宅に戻り、闇獏良は押し入れにあった段ボールを開ける。
カウンター罠や除去カードなどが収められていた。その中には闇獏良にとってなじみ深いカードや、知らないカードもある。
ワクワクしながら、闇獏良はデッキ構築に取り掛かる。
のどの渇きを覚え、闇獏良が時計を見ると帰宅してから6時間が経過していたため、デッキ構築を後回しにして、夕食を取ることにした。
そんな事があった数日後。
中部ブロックでサイバー狩りと名乗って、サイバー流の門下生を狩っている一団は逆に狩られるようになった。
「僕は見城零郎(けんじょう ぜろろう)!サンダー流免許皆伝のデュエルエリートにして、サイバー狩り!元とはいえブロック代表!お前を倒せば大金星だ!」
「いいぜ、どっちが獲物か思い知らせてやるぜぇ!!」
そんな才獏を、物陰から黒いネコミミパーカーを着用している少女がこっそりのぞく。
しばらく会わないうちに、随分と変わったなぁ…と思いながら、見守る。
「「デュエルッ!!」」
才獏 ライフ4000
手5 場
見城 ライフ4000
手5 場
「先攻は」
「俺様が貰う。」
「な?!さ、サイバー流が先攻を…。いいだろう、先攻は譲ってやる。」
「俺様の先攻、ドロー!俺様はサイバー・ドラゴン・コアを召喚!デッキからサイバー・ネットワークを手札に加える。魔法カード、機械複製術を発動!場のサイバー・ドラゴン・コアを選択。デッキからサイバー・ドラゴンを二体特殊召喚!」
「フン、これでサイバー・ドラゴンが3体か。それで、サイバー・エンド・ドラゴンでも出すのか?」
「俺様はカードを3枚伏せて、ターンエンド!」
才獏 ライフ4000
手2 場 サイバー・ドラゴン サイバー・ドラゴン サイバー・ドラゴン・コア 伏せ3
見城 ライフ4000
手5 場
「あ、あいつ!サイバー流なのにサイバー・エンド・ドラゴンを出さない!」
「きっと持っていないンスよ!」
「いや、攻撃も出来ない先攻1ターン目に、サイバー・エンド・ドラゴンを棒立ちさせても意味は無い。元とはいえブロック代表、侮れない」
ギャラリーが一通り言い終わった後、見城が動く。
「…僕のターン、ドロー!俺はライフを1000支払い、魔法カードシステムダウンを発動!これでお前の場と墓地の機械族は全て除外される!」ライフ4000から3000
「カウンター罠、マジック・ジャマーを発動!手札の超電磁タートルを捨てて、システムダウンの発動と効果を無効にして破壊!」
「何ぃ!か、かかかかかかカウンター罠だとぉ!」
サイバー流がカウンター罠を使ったことで、動揺するギャラリー。
「あいつ、サイバー流の癖にカウンター罠を使うだと!」
「見下げ果てた奴め!」
「才獏が変わったと聞いていたが、まさか才災師範の狂った教えを捨てるとは…。」
「どうした?サンダー流。それで終わりかぁ?」
「ぐっ…。才災師範の教えすら捨てたか!!僕は手札のサンダー・ドラゴンを捨てて効果発動!デッキからサンダー・ドラゴンを二枚手札に加える!魔法カード、融合を発動!手札のサンダー・ドラゴン二体を融合!現れろ、サンダー流のエース!双頭の雷龍!」
紫電を迸らせる雷族の融合モンスター!
「よし、攻撃力2800!」
「いけー!サイバー流をぶっ潰せぇ!」
「いや、あいつの墓地には…」
「まだだ!装備魔法、巨大化を装備!これで攻撃力は二倍になる!これでサイバー・ドラゴン・コアを攻撃すればお前のライフは0!サイバー・ネットワークを使ったところで無意味!行け、双頭の雷龍!その雑魚を攻撃しろ!」
「墓地の超電磁タートルを除外して、バトルフェイズを終了させる!」
「?!イカサマだ!そんなモンスター、何時墓地に送った!」
「もう忘れたのかぁ?カウンター罠、マジック・ジャマーの手札コストだ。」
「ぐぬぬ…僕はモンスターをセット。カードを二枚伏せてターンエンド!」
「俺様はサイバー・ネットワークの効果を発動する。デッキからサイバー・ドラゴン・ドライを除外して、サイバー・ドラゴンに破壊耐性を与える。」
才獏 ライフ4000
手1 場 サイバー・ドラゴン サイバー・ドラゴン サイバー・ドラゴン・コア サイバー・ネットワーク 伏せ1
見城 ライフ3000
手0 場 双頭の雷龍 セットモンスター 巨大化 伏せ2
「俺様のターン、ドロー!」
サイバー・ネットワークが1回目のスタンバイフェイズを迎える。
(三ターンきたらぶっ壊れて、そのターン攻撃が出来なくなる。あの伏せカードが罠ならこいつでどうにでも出来るが…)
「この瞬間、罠発動!酸のラストマシンウイルス!セットしていた水属性モンスター、黄泉ガエルをリリース!才獏!お前の場と手札の機械族を全て破壊し、一体につき500ポイントのダメージを与える!」
「俺様に罠は通じない。ライフを1000払ってカウンター罠、盗賊の七つ道具を発動!」ライフ4000から3000
「ま、またしても…!」
「俺様は魔法カード、パワー・ボンドを発動!場のコアとサイバー・ドラゴンを融合!サイバー・ツイン・ドラゴンを融合召喚!」
「攻撃力2800、パワー・ボンドで5600か!だが、お前に僕の双頭の雷龍を攻撃出来るのかな?」
目を開けたまま寝言を言う見城に対し、訝し気な目を向ける才獏。
「ああ?何言ってやがる…いや、気付いていないのか。バトルだ!サイバー・ツイン・ドラゴンでご自慢のモンスターを攻撃!」
「だから攻撃力は互角…?!ど、どうして攻撃力が2800に下がっている!おい、お前!イカサマしたな!」
「巨大化はてめぇのライフが俺様より低いときに適用される。今、俺様たちのライフは互角。よって攻撃力は2800に戻る。」
「ぐわあああああっ!」ライフ3000から200
「け、見城さん!」
「う、嘘だろ…?」
「これが、元とはいえブロック代表の底力か…!」
「これで終わりだな。俺様はサイバー・ツイン・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「り、リバースカードオープン!速攻魔法、スクラップ・フュージョン!相手の墓地から融合素材モンスターを除外し、その融合モンスターを自分か相手の融合デッキから特殊召喚する!お前の墓地からサイバー・ドラゴンとコアを除外し、俺の場にサイバー・ツイン・ドラゴンを守備表示で特殊召喚!」
「対融合メタって所か。ツイン・ドラゴンでそのまま攻撃!」
「ぐううううっ!」
「トドメだ、サイバー・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「うぎゃああああああっ!」ライフ0
ライフが尽き、倒れる見城。
「俺様の勝ちだな。」
「ぐ、くっそぉおおおお…クサイバーの分際でぇ…。」
「さて、てめぇらサイバー狩りがやっているように、デッキとディスクは没収だ。」
「あ、ああああああ~!ど、どうして、どうしてこんな事に!サイバー流の連中なんて朝飯前の獲物だったのにぃ!」
泣きわめく見城だが、彼の認識は甘くない。
闇獏良が、『辛すぎた』
古巣が気になって戻ってきた少女だが、才獏が別人のように変貌していたことで距離を置くことに決め、その場から立ち去る。
降格させられた事、才災師範の行動、というだけでは説明がつかない。
闇獏良が帰宅すると、大きなリュックサックを背負った背の高い青年がいた。
「あ、すみませーん!元サイバー・ランカーズの才獏さんですか?」
「ああ、そうだ。てめぇは?」
「俺は才竹って言います!サイバー流の門下生で、ちょっとお願いがあってきました。デュエルディスク、売ってくれませんか?」
「なんで俺様から?」
「最近、サイバー狩りを返り討ちにして、デュエルディスクを手に入れていると聞きました!余っていますよね!」
この時、闇獏良はふと思った。そういえば、デュエルディスクっていくらだ?
宿主に奪わせ、その後ゾーク・ネクロファデス復活の為に行動しており、カードショップになど行っていない。あれから、相場も変わっているだろう。
「…ああ。三万円で売ってやる。」
「ええっ?!さ、三万円?!」
「ああ?文句あるのか?」
内心、高すぎたか?と危惧したため、脅すように言う闇獏良。
才竹の心情は違う。
「新品なら20万円!中古でも10万円で取引されているのに!そんな安く売ってくれるなんて、才獏さんっていい人だな!」
「お、おう。」
内心舌打ちしながら、デュエルディスクを手渡し三万円を受け取る闇獏良。
「てめぇ、これから都内に行くんだろ?」
「な、なんでそれを!」
「その荷物を見れば想像はつく。何かと金は入り用だろう?節約できるところは節約しておかねぇとな。」
「あ、ありがとうございます!」
「まぁ、俺様の機嫌が良かったのもある。運が良かったな?ヒャハハハハハァ!」
悪い人っぽい言動しているけど、きっと照れ隠しか何かだな!と思い込む才竹。
別れを告げ、才竹はバス停に向かう。
「都内に行って、才魔様の所で働きながら、才災師範の教えを継承する。よし、頑張るぞ!」
才竹が乗ったバスが出発した直後、別のバスが向かいからやってくる。
団体客、20名が降りる。
「よし!サイバー狩りの時間だ!デュエルディスクを奪って売れば10万円!そしてデッキを手に入れれば交通費の足しぐらいにはなる!」
「つまり、実質タダで10万円手に入れながら旅行が出来るって寸法ね!最高ッ!」
「よっしゃー!待ってろよ、サイバー流!」
「ヒヒヒ、レアカード、レアカード!」
「金、かね、カネェ!」
「グフフフ、やばい、笑いが止まらん」
「しかし、もしも負けたら…」
「心配するな。サイバー流の天敵カードを入れたメタデッキだ。これに勝てるデュエリストなんてサイバー流にはいない!とりあえず、居場所が判明しているサイバー流の門下生はどこだ?」
「はっ、元サイバー・ランカーズの才獏という奴の自宅が…」
指さした方向に向かって、一斉に走り出す団体。
「くふーっ!早い者勝ちぃ!」
「あっ、待ちやがれ!そいつは俺の獲物だ!」
「元サイバー・ランカーズならレアカードもたんまりとあるはず!全部頂く!」
「金もあるよな!」
欲望に彩られた、20名の男女の末路は敢えて語らない。
なお数日後、才獏が20個のデュエルディスクをえっちらおっちら、炎天下の中リアカーを使って4km離れたカードショップに運んでいる姿を近隣住民が見かけたらしい。
出張買取サービスがある事を知って茫然とする才獏の姿を、カードショップの常連が目撃したものの、才災師範の暴走でよほど疲れているのだろう、と推測された。
闇獏良が登場するアンチリスペクト物が無いなぁと思っていましたが、そもそも記憶編で消滅している上に、登場してもサイバー流には入らないでしょうし、主人公側の味方にもなりえない。
良いキャラしていますが、アンチリスペクト物という作品だと扱い辛いとしか言いようがありません。今後アンチリスペクト物が出たとしても、闇獏良の出番は無いでしょうね。