デュエル内容に関してアマゾンズ先生と睦月江介先生に監修していただいておりますが、並行世界なのでコラボ先の作品に反映されるとは限りません。
アンチリスペクト物で、サイバー流が壊滅した後はこういう輩が跳梁跋扈しそうです。だからといって、リスペクトの名のもと批判・否定する連中が蔓延るのは問題ですが。
悪者は退治されました、めでたしめでたしとはならない気がします。
「…才獏が、そんなに変わっていたのか?」
訝し気に問いただす才宮。
それに対し、黒いネコミミパーカーを着用している少女、柳里彩葉は頷く。
「才獏の皮をかぶった…獏良了に宿っていた闇人格という印象を受けた。」
「あの闇人格は消滅したって聞いている。そりゃあ、信じていた才災に降格させられ、その才災があれだけの醜態をさらせば心境だって変わるだろう。」
そう、その通りである。だが、どうにもおかしい。
よく利用していたはずの出張買取サービスを使わず、自らデュエルディスクをリアカーで運ぶ?
闇人格の獏良が入りこんだのであれば説明がつく。彼はそういうサービスの存在を知らないからだ。
デュエルもそうだ、搦め手を駆使している。
「…それより、お前はどうする?」
「私は前に進みます。」
「何かあれば力になるぞ。デッキ調整のデュエル相手とか。」
苦笑いする、柳里彩葉。丸藤翔には勝ったが、今のデッキでは相手にならないだろう。
少女がそんな会話をしているのと同時刻。
サイコ流の継承者、猪爪誠の親友である龍谷遊来が買い物をしていると。
「か、返してよ!」
「アンティルールだ!だからこのデュエルディスクとデッキは俺の物だ!」
「そんな事、一言も言っていなかったじゃないか!」
「今言っているだろう!」
どうやら、揉め事が起きているらしい。
男が少年からデュエルディスクとデッキを奪おうとしている!
「どうした?何をしているんだ?」
「何だお前!関係ない奴は引っ込んでいろ!」
「た、助けてください!デュエルを挑まれて、受けてたって負けたらアンティルールだと言い出して…。」
「そうか。ならお前、俺とデュエルだ。」
子供相手に恐喝する恥知らずな男を睨みつけながら、龍谷はきつい口調で言う。
「この俺に挑むか!いいだろう、アンティルールでお前のカードも勝ち取ってやる!」
「俺は龍谷遊来だ。」
「俺は前園 保憲(まえぞの やすのり)!さぁ、構えろ!」
被害を受けていた子供が、龍谷遊来の後ろで応援を始める。
「が、頑張ってください!」
「「デュエルッ!!」」
龍谷 ライフ4000
手5 場
前園 ライフ4000
手5 場
「先攻はやるよ!」
「俺の先攻、ドロー!俺は、マンジュ・ゴッドを召喚!効果発動、デッキから儀式魔法、高等儀式術を手札に加える!カードを一枚伏せてターンエンド!」
龍谷 ライフ4000
手5 場 マンジュ・ゴッド 伏せ1
前園 ライフ4000
手5 場
「俺のターン、ドロー!俺はスナイプ・ストーカーを召喚!」
「ギャンブル効果を持つ悪魔族…!」
「効果発動!手札のおジャマジックを捨て、マンジュ・ゴッドを対象にサイコロを振る!ダイスロール!よし、出目は3だ!」
「三分の一で外れるが、当てて来たか!」
「さらに、おジャマジックの効果発動!デッキからイエロー、グリーン、ブラックを手札に加える!」
龍谷は相手を見る。おジャマジックを使って手札を補充した。となればこの伏せカードの除去も狙うはず。
だが。
「そのままバトルだ!行け、スナイプ・ストーカー!」
「効果を使わない?」ライフ4000から2500
伏せカードを使う事も考えたが、まだライフは残るため温存する道をとる。
「俺は永続魔法、デンジャラスマシン-TYPE6を二枚発動!カードを一枚伏せてターンエンド!」
龍谷 ライフ2500
手5 場 伏せ1
前園 ライフ4000
手4 場 スナイプ・ストーカー デンジャラスマシン-TYPE6 デンジャラスマシン-TYPE6 伏せ1
「俺のターン。」
カードを引こうとした龍谷は視線を感じる。被害者の子供が後ろにいるが、嫌な視線だ。
「(何か妙だな?スナイプ・ストーカーの効果を使えば、伏せカードが有るとはいえ、俺の場をガラ空きに出来たはず…それに俺の左後ろに立っている子供から突き刺さるような視線…なるほど、そういう事か)」
後ろから見えないよう、デュエルディスクの位置を動かす。
「な、なんのつもりだ?」
「ドロー。」
後ろで気配を感じる。覗こうとしている視線。それを察知し、疑惑は確信に変わる。
「ようやく繋がった、お前達グルだったんだな?」
「何のことだ?」
「とぼけても無駄だ。俺の左後ろに立って手札を覗こうとしているんだろ?」
後ろに目を向けると、被害者の少年は舌打ちをする。
「チッ…。」
「早くどいてくれ。」
「わかったよ。やっちまってください、前園さん!」
「おう、任せておけ!儀式デッキなんて使えないカスデッキだが、売れば少しは金になるからな!」
儀式デッキを馬鹿にする相手を睨みつける龍谷。
「速攻魔法、サイクロンを発動。その伏せカードを破壊する。…お前、俺の相棒を馬鹿にして笑ったな?」
「はぁ?カスデッキをカスと言って何が悪い!!それに、まんまとかかったなぁ!こいつは『やぶ蛇』!破壊された事で、効果発動!俺のデッキ・融合デッキからモンスターを特殊召喚!」
なるほど。サイクロンが手札にある事を知ったうえで仕掛けていたか、と分析する龍谷。
「来い!マスターオブOZ!」
攻守4200の大型融合モンスターが立ちはだかる!
「やった!作戦大成功!」
「おうとも!後は勝つだけだ!」
勝ち誇る前園を睨みつけながら、龍谷はデュエルを続ける。
「…永続魔法、神の居城-ヴァルハラを発動。その効果により、手札からアテナを特殊召喚!」
「攻撃力2600だと!」
「儀式魔法、高等儀式術を発動!デッキからレベル2の神聖なる球体3体とレベル2の屋根裏の物の怪を墓地に送り、破滅の女神ルインを儀式召喚!」
「攻撃力2300の年増かよ。」
ピシッ、と石化する破滅の女神ルイン。
『(久々に怒りで頭が冷えました…徹底的にやります)』
「天使族の特殊召喚に成功した事で、アテナの効果発動!相手に600のダメージを与える!」
「うぎゃあああああっ!」ライフ4000から3400
「600程度のライフダメージで騒ぐな。この程度で終わると思うなよ…?女神の怒りを思い知れ…!!墓地の光属性・天使族の神聖なる球体3体と、闇属性・悪魔族の屋根裏の物の怪を除外し、天魔神エンライズを特殊召喚!これも天使族だ!」
「ま、またアテナの効果が…!」ライフ3400から2800
「エンライズの効果発動!このターンの攻撃宣言を放棄し、マスターオブOZをゲームから除外する!」
「く、くそっ!マスターオブOZが!」
「たかが攻撃力4200程度で大はしゃぎしやがって…攻撃力を語るなら最低でも1万を叩き出して来い!!バトル。破滅の女神ルインで、スナイプ・ストーカーを攻撃!エンドレス・カタストロフィ!!」
ルインは手にした槍を両手で回転させ、灰色のように見える光を纏いスナイプ・ストーカーへと投擲された。破滅を司る女神の槍はスナイプ・ストーカーの胸元へと突き刺さり無慈悲に破壊する。だが、その槍からは輝きが失われていない。
「ち、畜生!」ライフ2800から2000
「そして相手モンスターを戦闘破壊した事で、破滅の女神ルインの効果発動!もう一度攻撃出来る!エンドレス・カタストロフィ!ツヴァイ!!」
今度は投擲で無く直接、槍で唐竹割りのように前園を斬った。ほんの一瞬だけ黒い影が動いていたのは気のせいだろうか。
「うぎゃあああああっ!」ライフ0
ライフが尽きた前園は尻もちをつく。龍谷の冷たい視線に前園は一瞬だけ戦慄する。
「お、俺が負けただと!?使えない儀式デッキに!?」
「チッ、役立たず!」
「な、なんだとぉ!待ちやがれ、このクソガキ!」
逃げ出す少年とそれを追う前園。
もはやこれ以上関わりたくない龍谷は、足早にその場を後にする。
「これが…サイバー流衰退後のデュエル世界か、嘆かわしいな。あんな小さな子供までカード犯罪に手を出しているとはな」
親友の猪爪も待っているだろう。マイフェイバリットカードである『破滅の女神ルイン』のカードを見る。
「散々な事を言っているが儀式を甘く見るなよ…」
そんな呟きを空へと溶かし、帰路を歩いていくのだった。
(しかし、ソリッドビジョンが随分と気合を入れていたな…。気のせい、か?)
龍谷と前園のデュエルが終わった同時刻。
「ん?」
サイコ流継承者、猪爪が所用を済ませて帰宅する途中。デュエルが始まりそうな気配を察知する。
「お前サイバー流だな!」
「違います……安価で引いたのは変態デッキだわ、変なのに絡まれるわ、今日は厄日か?」
「黙れ!俺がサイバー流と言ったらサイバー流なんだ!さぁ、俺とデュエルだ!俺はサイバー狩りにして、城之内の弟子、綿井 佑司(わたい ゆうじ)!」
「?!」
自身を打倒した、伝説の決闘者城之内克也。その弟子がデュエルをするという事で、猪爪はその男を見つめる。
あの人から教えを受けたとは、羨ましい。一体どれほどの実力を持っているのか。
「…城之内さんの弟子、ね…面白そうじゃないか、受けてたつ! っと、名乗るのが遅れたな。俺は城戸遊一郎だ」
「「デュエルッ!!」」
城戸 ライフ4000
手5 場
綿井 ライフ4000
手5 場
「俺の先攻、ドロー!俺は一刀両断侍を召喚!さらに魔法カード、生け贄人形!場のモンスターをリリースして、手札からレベル7のモンスターを特殊召喚!」
「城之内さんの弟子で、レベル7のモンスター…!」
「現れろ!ソードハンター!」
出て来たのは城之内さんが使用した事のある戦士族モンスター。
「…そっちか。マジで初手から真紅眼出てきたらどうしようかとヒヤヒヤしたわ」
「何だとぉ!俺はカードを二枚伏せて、ターンエンド!」
城戸 ライフ4000
手5 場
綿井 ライフ4000
手2 場 ソードハンター 伏せ2
「俺のターン、ドロー!俺はモンスターをセット、ターンエンド!」
城戸 ライフ4000
手5 場 セットモンスター
綿井 ライフ4000
手2 場 ソードハンター 伏せ2
「臆病者め!俺のターン、ドロー!ロケット戦士を召喚!バトルだ、ソードハンターで攻撃!」
「こいつはマシュマロンだ!攻撃された事で効果発動!1000ポイントのダメージを与える!」
「ちっ!」ライフ4000から3000
「生意気なっ!ロケット戦士でマシュマロンを攻撃!」
「何?戦闘では破壊されないのに。」
「だが、攻撃力は500ポイント下がる。」
「…下がるけれどさぁ」
「ターンエンドだ!」
「ロケット戦士の効果で下がった攻撃力が元に戻る」
城戸 ライフ4000
手5 場 マシュマロン
綿井 ライフ3000
手2 場 ソードハンター ロケット戦士 伏せ2
「俺のターン、ドロー!俺は次元合成師を召喚!効果発動、デッキの一番上のカードを除外し、攻撃力を500ポイントアップ!」
「1800か…」
「バトル!次元合成師で、ロケット戦士を攻撃!」
「馬鹿が!永続罠、モンスターBOXを発動!コイントスを行い、当たればお前のモンスターの攻撃力を0にする!」
そういうと、綿井はコインを提示した後、投げる。
そのコインを手の甲で受け止め、宣言する。
「裏だ」
「ちょっと待て、コイントスする前に宣言しないと。」
綿井のコインは、表には模様があるが、裏にはない。手の感触で分かってしまう。
「うるせぇ!これが城之内様が教えてくれたテクニックだ!反撃しろ、ロケット戦士!」
「っつ、だが、次元合成師が破壊され墓地に送られた事で効果発動!除外されているモンスターを手札に戻す。」ライフ4000から2500
「はん、そういえば除外していたな。だがそれがモンスターとは限らな」
「モンスターなんだな、これが。星見獣ガリスを手札に戻す!」
「チイイッ、あの時除外されていたのがモンスターカードだったとは、運のよい奴だ!」
「ターンエンド。」
「エンドフェイズに永続罠、神の恵み!モンスターBOXは維持コストがかかるからな、ライフ回復は必須だぜ!」
城戸 ライフ2500
手6 場 マシュマロン
綿井 ライフ3000
手2 場 ソードハンター ロケット戦士 モンスターBOX 神の恵み
「俺のターン、ドロー!神の恵みでライフを回復し、モンスターBOXの維持コストを払う!」ライフ3000から3500、3500から3000
「……」
「魔法カード、ライトニング・ボルテックス!手札のスケープ・ゴートを捨てて発動!これでその雑魚を破壊するぜ!」
「お前、城之内さんの弟子なんだろ!なんでカードに雑魚なんて言えるんだ!」
「はっ、雑魚を雑魚と言って何が悪い!」
「俺は、城之内さんを尊敬している!金銭的に余裕が無く、特別なオカルトグッズを持っている訳でもないのに、神のカードが激突するバトルシティ決勝トーナメントまで勝ち進んだ決闘者を。あの人は、そんな事を言わない!」
「お前如きが、城之内様の何を知っている!俺は城之内の弟子だぞ!行け、ソードハンター!ダイレクトアタックだ!」
「っつ!」ライフ2500から50
「これで終わりだ…ん?」
「はぁ、はぁ…手札から、冥府の使者ゴーズの効果を発動した!手札からこのカードを特殊召喚し、カイエントークンを特殊召喚!どちらも守備表示! 削り切れる状況じゃなきゃ、こいつは警戒しておかないとな」
「何だと!ロケット戦士で冥府の使者ゴーズを攻撃!」
「だが、例え攻撃力を500下げられても、それはこのターンのエンドフェイズまでだ!」
「…ターンエンド。お前のライフは残り50!場のモンスターがどうなろうと関係ねぇ!お前のライフを削り切るバーンカードが俺のデッキにはまだ眠っているんだぁ!」
城戸 ライフ50
手5 場 ゴーズ カイエントークン
綿井 ライフ3000
手1 場 ソードハンター ロケット戦士 モンスターBOX 神の恵み
「俺のターン、ドロー!手札から、星見獣ガリスの効果発動!デッキの一番上のカードを墓地に送り、それがモンスターなら、そのレベルの200倍のダメージを与え、それ以外のカードならこのカードを破壊する。」
「はっ、そうそう当たるか!」
「デッキトップは、黄泉ガエル!レベルは1、200のダメージをくらえ!」
「くそっ!」ライフ3000から2800
「俺はガリスをリリース、人造人間-サイコ・ショッカーを召喚!」
「で、電脳ハゲだと!」
見物していた猪爪はイラっとするが、直後に思い直す。
サイコ・ショッカーは城之内さんの真紅眼の黒竜と並ぶ、エース級モンスター。それに対し蔑称で呼ぶとは、本当に弟子なのか?
「カイエントークン、ゴーズを攻撃表示に。バトルだ!ゴーズでソードハンターを攻撃!」
「ぐうううっ!」ライフ2800から2550
「カイエントークンで、ロケット戦士を攻撃!」
「ば、馬鹿な…」ライフ2550から1600
「トドメだ、人造人間サイコ・ショッカーで、ダイレクトアタック!」
「うわあああああっ!」ライフ0
「俺の勝ちだな。」
「こ、このままでは済まさないぞ!覚えていろ!」
デュエルには勝ったが、尊敬していた決闘者があんな弟子という事に内心がっかりする城戸。
ネットの掲示板で意見を貰い、今回デッキに魔法・罠カードを入れない【フルモンスター】というのを組んでみたが…。
確かに、次元合成師と星見獣ガリスの効果は100%当たるが…もう少し勝ち筋が欲しい。
「少しいいか?」
「貴方は…。」
「俺は猪爪、サイコ流の継承者だ。城之内さんのファンだそうだが…。」
「はい。でも…。」
「気にするな、俺は城之内さんとデュエルをしたことがある。」
「ええっ!ちょっと待ってください!城之内さんってミズガルズ王国に居るんじゃあ…。」
「最近帰国したぞ。ドミノ埠頭でデュエルをしたが…。あいつ、城之内さんの弟子を名乗っていたが…それにしては態度が悪すぎる。本当に教えを受けたのか疑わしい。」
ふと気になった為、猪爪は質問する。
「しかし、次元合成師とガリスの効果を当てていたが…よく当たったな?確率は三分の一だろう?」
「ちょっと、デッキをモンスターカードだけで組んでみたんです。」
「…正気か?」
マジマジと見つめる猪爪に対し、城戸は笑って告げる。
「安価は、絶対なので。」
掲示板という物を見たことが無い猪爪は、安価を知らない。そんな猪爪を置いて、城戸は帰宅する。
拙作とコラボしてくださった、アマゾンズ先生と睦月江介先生、そしてカイナ先生も誠にありがとうございます!
恐喝の現場に割って入ったら実はグルだった、というのは割と人間不信になりかねない出来事ですが、拙作の龍谷遊来さんは今後もこういう場面を見かけたら助けに入るでしょう。
拙作ではS召喚の黎明期で、ドラグニティは流通していない為【天使族軸のルイン】に、天魔神エンライズ搭載したデッキです。カオス・ソーサラーや開闢と比べると使いづらさが目立つエンライズですが、レベル8の天使族なのでルインの儀式召喚のリリース要員を満たせたりします。最もアテナで蘇生出来ませんが。
城戸遊一郎さんは城之内さんを尊敬しているので、城之内の弟子を騙る不届きものを成敗して頂きました。DM勢が城之内の弟子、というセリフを聞いたら困惑しそうです。「ええ…」みたいな。
A・ジェネクス・バードマンが無いため、ガリスデビルバードマンが無い【フルモンスター】を使っていただきました。一応、次元合成師やガリスでアドを稼げますが、決め手に欠けます。
アークファイブでも正気の沙汰では無いと言われているのに、GXの時代に【フルモンスター】を使えば絶句されるでしょうね。
次回は、クロノス新校長体制のアカデミア編です。俊二の義姉、透子さんがアカデミアに赴任します。