筆が乗ったので、二期の第一話を投稿します。
「猫崎先輩と才波先輩…じゃなかった、えっと猫崎夫妻、でいいのか。卒業したと思ったら、実技の先生とその補佐かぁ」
なんだか戻ってくるのが早すぎてイマイチ感傷に浸れない遊城十代。
「ってそんな事より、歓迎会の準備をしないと。でも、料理って何から手を付ければ…。」
料理は不得手な十代は考え抜いた結果、温泉卵という手段を思いつき、えっちらおっちら温泉施設から温泉卵を持ってきていた。
「あ、あれ?レッド寮からいい匂いがするぞ?」
入ると、長い黒髪の女性が、割烹着を着て芋とシメジ、マイタケ、エノキ、椎茸を煮込んでいる。
「だ、誰だ!」
「レッド寮の生徒さん?私は我謝、クロノス新校長の秘書をしています。」
「ええっ?!だって校長は…ああ、そういえば才災校長…は居なくなったのか。」
それで繰り上がったのかと納得する十代。
「新しいレッド寮長は響先生になります。とりあえず芋煮は用意します。」
「…あれ?昆布とカツオじゃあ無い?」
先輩である、猫崎俊二が作っていた芋煮と味付けが違う事に気づく十代。
「猫崎家はそういう味付けですが、我謝家は違いますから。ところでそれは?」
「あ、ああ。猫崎先輩みたいに色々料理が出来ないから…とりあえず温泉卵を」
「温泉卵!!ならホウレン草のおひたしを用意して上に乗せれば…。」
キビキビ動いて、新たに料理を作り始める我謝さんを茫然と見る十代。
手際の良さが半端ない。
「…なんというか、俺が手伝っても邪魔になりそうだ。あの、食器とか用意しましょうか?」
「助かります。」
十代が率先して手伝っていると、ほかの在校生組も新入生を歓迎するべく手伝いに参加する。
そんなレッド寮に、白いスーツを着た少年が訪れる。
「すみません、こちらに遊城十代さんは…」
「ああ、俺だ」
「貴方が遊城十代さんですか。僕はエドっていいます。十代先輩にあこがれてデュエルアカデミアに入学したんです!」
「そうか、新入生か!歓迎会はもう少し先だから、それまで校内を見てきたらどうだ?」
「え?いやその…。」
エドはレッド寮の状況を見る。忙しそうであり、デュエルに誘える雰囲気ではない。
そんなレッド寮に、猫崎俊二が訪れる。
「透子義姉さん。手伝いに来た。」
「俊二、助かるわ!」
「…遊城、お前を慕って来たという新入生だ。デュエルを望んでいるなら相手をするべきだろう。」
「すみません、ちょっと出かけてきます!こっちだ、新入生!」
「は、はい!」
十代とエドはその場を離れ、崖下の空き地に向かい…デュエルディスクを構える。
「よし、ここでいいだろう。始めようぜ!」
「はい、よろしくお願いします。」
「「デュエルッ!!」」
十代 ライフ4000
手5 場
エド ライフ4000
手5 場
「先攻は貰います、僕のターン、ドロー!僕は、封印師メイセイを召喚!」
「攻撃力1100…。」
「僕はカードを二枚伏せ、ターンエンドです」
十代 ライフ4000
手5 場
エド ライフ4000
手3 場 封印師メイセイ 伏せ2
「行くぜ、俺のターン、ドロー!魔法カード、E-エマージェンシーコールを発動!」
「それにチェーンして永続罠、魔法封印の呪符を発動。このカードがある限り、僕の場にメイセイがいる限り魔法カードの発動は無効になります。」
「何っ!なら正面突破だ!俺はE・HEROスパークマンを召喚!バトルだ、スパークマンでメイセイを攻撃!」
「ライフを3000ポイント払って、永続罠発動!光の護封壁!これで先輩は魔法カード無しで攻撃力3000以上のモンスターを出さなければ、メイセイを倒せません」ライフ4000から1000
「魔法と攻撃を封じられた…。俺はメインフェイズ2でカードを一枚伏せて、ターンエンド!」
十代 ライフ4000
手3 場 スパークマン 伏せ1
エド ライフ1000
手3 場 封印師メイセイ 魔法封印の呪符 光の護封壁
「僕のターン、ドロー!ロケットジャンパーを召喚!スパークマンが倒せませんね…ターンエンド」
十代 ライフ4000
手3 場 スパークマン 伏せ1
エド ライフ1000
手3 場 封印師メイセイ ロケットジャンパー 魔法封印の呪符 光の護封壁
「俺のターン、ドロー!モンスターをセット、カードを一枚伏せてターンエンドだ」
十代 ライフ4000
手2 場 スパークマン セットモンスター 伏せ2
エド ライフ1000
手3 場 封印師メイセイ ロケットジャンパー 魔法封印の呪符 光の護封壁
「僕のターン、ドロー!プロミネンス・ドラゴンを召喚。ターンエンド。エンドフェイズに500ポイントのダメージを与える」
「うわわっ!」ライフ4000から3500
十代 ライフ3500
手2 場 スパークマン セットモンスター 伏せ2
エド ライフ1000
手3 場 封印師メイセイ ロケットジャンパー プロミネンス・ドラゴン 魔法封印の呪符 光の護封壁
「俺のターン、ドロー!俺はスパークマンとセットしていたワイルドマンをリリース!E・HEROエッジマンを召喚!」
「攻撃力2600では、光の護封壁を超えられませんよ?」
「慌てるなよ。罠発動!エッジハンマー!エッジマンをリリースして、メイセイを破壊!その攻撃力分のダメージを受けて貰うぜ!」
「うわああああああっ!」ライフ0
ライフが尽きたエドは、がくりとうなだれる。
「僕の負けです。コンボが決まったから勝てると思ったんですけどね…。」
「でも結構いいコンセプトだったぜ!魔法と攻撃を封じて、ダイレクトアタッカーや効果ダメージで勝利を狙う。」
「まだまだです。それでは僕はこれで」
「何言ってんだ?歓迎会が始まるぞ?」
「すみません、ちょっと他に用事がありますから…場所は大丈夫です。」
「わかった。」
そう言って十代は去る。
レッド寮の歓迎会だが…
「猫崎先輩がやってくれたようにはいかないな。」
「まぁ、これは慣れるしかない。透子義姉さん、芋煮のお代わりは?」
「あるわよ。食べ盛りと思ってちょっと多めに用意しておいたから。」
なら俺も!僕も!という声が響く。
「…あれ、一人足りない?」
「エドはまだ戻ってきていないのか」
「エド?!ちょっとまって、十代君!」
響寮長は、自室に戻ると雑誌「duel magazine PROFESSIONAL」を持ってくる。
「もしかして、この人?」
「プロデビュー?!新人とはいえ、プロが今更アカデミアで何を学ぶんだ?正しい・リスペクト・デュエル?」
「それはありえないと思うけれど…不気味ね。」
「でも、プロにしてはデッキ構築がいまいちだった。」
「…本気では無かったのかもしれないわ。プロの中にはパックを8つ買ってそれで倒してしまうような人も居るの。噂では、ミズガルズ王国で城之内さんが凡骨の意地でエクゾディアの完成を狙った相手に勝利したそうよ。」
それを聞いた俊二が反応する。
「それが本当だとすると、ちょっとがっかりだ」
「猫崎さん?」
「城之内さんは相手を見下すような事はしないと思っていたのだが…」
「なんでも、デッキを盗まれて即席デッキを組めと要求されたとか。」
「…そうだったのか。」
「って事は、次に戦うときはもっと強いデッキと戦えるって事だな!ワクワクしてきたぜ!」
これだ、この前向きな所が十代の良いところだ。そう改めて思う猫崎。
同時刻。
路地裏で、二人の少年が大笑いする。顔立ちが似ており、兄弟であろう。
「いやぁ、一度デュエルモンスターズのカードを思いきり破って見たかったが、実際にやると最高だぜ!」
「あいつ、マジで笑えたよな!『ボクの、大事なカードを破らないでぇ!』」
「「ギャハハハハ!」」
少年たちは先ほど、ある少女とデュエルをしたが…。その際に『コントロール奪取なんてリスペクトに反している!』と叫んだ。
サイバー流に罪を擦り付けるために。
「今は海馬コーポレーションがサイバー狩りをやっているし、サイバー流の仕業と海馬瀬人も断定するよな!」
「ああ!才宮 幹夫め…。姉ちゃんがイカサマしたと難癖つけやがって…。だが、これでもう終わりだ。伝説の決闘者、海馬瀬人なら叩き潰してくれる。」
「俺たちはそれを見物していればいい、流石あんちゃん!冴えてるぅ!」
少年たちは覆面をしたうえで手袋もしている。証拠は無いと判断していた。
対戦相手の少女の証言だけでは、自分達にまで調査の手は及ばない。
少年は姉のイカサマを難癖としていたが、実際は違う。
サイバー・ランカーズでもブロック代表に支給されている特注のデュエルディスクに、電磁波が通じずに負けただけだ。
「中々、興味深い話ですね。」
「?!だ、誰だ!」
「さ、サイバー流か!」
怯える少年たちに、近づく一人の青年。
「いいえ。違いますよ。私は斎王。斎王琢磨という者。サイバー流とは…敵対関係にありますね。」
「な、なんだ。サイバー狩りか。」
「黙っておいてくれよ。サイバー流と敵対しているなら…。」
デュエルディスクを構える斎王。
「では、私とデュエルしませんか?君が勝てば、私はこの件を口外しない。」
「ど、どうする?」
「いいぜ!サイバー狩りに入るチャンスだ!俺は厚釜 下太郎(あつかま げたろう)! 五利 (ごり) お前は下がってろ!」
「わ、分かった!」
「「デュエルッ!!」」
下太郎 ライフ4000
手5 場
斎王 ライフ4000
手5 場
「先攻は譲るぜ!」
「では私の先攻、ドロー!アルカナフォースVI-THE LOVERSを召喚!さぁ、ルーレットを止めてください。」
「…ストップだ!」
「逆位置、このカードが場にある限り、私はアルカナフォースのアドバンス召喚が出来ません。」
「何だそれ!」
「逆位置ってことは正位置は何なんだぁ?」
「お答えしましょう、正位置はアルカナフォースを召喚する時、一体で二体分のリリースと出来ます。カードを一枚伏せ、ターンエンド。」
下太郎 ライフ4000
手5 場
斎王 ライフ4000
手4 場 アルカナフォースVI-THE LOVERS 伏せ1
「俺のターン、ドロー!」
「永続罠、死神の巡遊!相手のスタンバイフェイズに効果発動!さぁ、ルーレットを回してください。」
「…ストップ!」
「フフ、正位置。これで貴方はこのターン、召喚と反転召喚が出来ません。」
「あんちゃん!」
「心配するな!これで妨害札は無い!俺は魔法カード、パワー・ボンドを発動!手札のリボルバー・ドラゴンとブローバック・ドラゴンを融合!現れろ!ガトリング・ドラゴンッ!」
「ほう?パワー・ボンドを使いますか。これで攻撃力は5200」
下太郎はデュエルディスクの一部を素早く押す。
「効果発動!コイントスを行い、表の数だけ場のカードを破壊する!」
「フフフ…。」
「表!まず一体が確定!」
だが、下太郎はデュエルディスクの一部を再度押す!
「裏、裏!よってアルカナントカを破壊だ!」
「私の場ががら空きに…」
姉が使っている魔法封じの機能は無いが、コイントスの結果を意のままに操るイカサマを搭載したデュエルディスクを下太郎は使っている。
「いけぇ!ガトリング・ドラゴンッ!」
「食らわぬっ!手札から、アルカナフォースXIV-TEMPERANCEの効果発動!手札から捨てて、私が受ける戦闘ダメージを0にする!」
「っつ!凌がれただと…。メインフェイズ2だ!カードを一枚伏せ、ターンエンド!エンドフェイズに…パワー・ボンドの効果でダメージを受ける…!」ライフ4000から1400
下太郎 ライフ1400
手2 場 ガトリング・ドラゴン 伏せ1
斎王 ライフ4000
手3 場 死神の巡遊
「私のターン、ドロー!永続魔法、神の居城-ヴァルハラを発動。私の場にモンスターがいない時、手札から天使族を特殊召喚出来ます。アルカナフォースXII-THE HANGED MANを特殊召喚!」
「攻撃力2200ぅ?」
「効果発動。さぁ、ルーレットを止めてください」
ジィっと見つめる下太郎。
「どうしました?慎重なのも結構ですが、機会を逃しますよ?」
「…ストップ!」
「逆位置ですか」
「へっ、どうだ!俺に有利な目だろう!」
「さて、それはどうでしょう?私はこのままターンエンド。」
「よしっ!」
「エンドフェイズに、アルカナフォースXII-THE HANGED MANの逆位置の効果発動!相手の場のモンスターを選択し、そのモンスターの攻撃力分のダメージを与える。」
「うわぁぁぁぁぁ!」ライフ0
イカサマをしても敗れた、無様な厚釜 下太郎は地面に転がる。
「な、何なんだ!何なんだよお前ぇ!」
「…もういい。お前達が囀るたびに、我の怒りが頂点に近づいてしまう。」
斎王が手を向けると、下太郎と五利の髪の毛が白に染まる!
「う、うわああああああっ!た、助けて、助けてくれぇ!」
「や、やめてくれぇ!」
先ほどの少女が何を言っても、気にも留めなかった少年は泣き叫ぶが、その態度が斎王の傍らにいる、白い靄の怒りを増幅させる!
『…他人と異なる能力を持つというだけで斎王琢磨を迫害する人間。リスペクトの名のもとに他者を批判するサイバー流…そのサイバー流の名前を騙り悪事を働き、その責任をサイバー流に押し付ける愚か者。やはり、この惑星はリセットし、新しい世界を作り出さなければならない。』
斎王は歩き出す。この先に居るであろう少女を『救済』する為に。
それから20分後。
「我が名は、斎王。少女よ、君の名前は?」
「…レイ。早乙女、レイ。」
「光の結社に入らないか?君に新たな力を、デッキを授けよう。」
この世界に絶望しきった、虚ろな瞳で。
早乙女レイは、頷く。
少なくともカードを破る、捨てるという一線は超えていないのが拙作の似非ペクト。
アンチリスペクト物だと見かけない、「サイバー流ではない奴がサイバー流の名を騙って悪事を働き、その責任をサイバー流に擦り付ける」という小悪党を出してみましたが…。
アンチリスペクト物だとサイバー流が敵というのが主題なので、こういうのを出すと主題がぶれますね。