ただ、それでもサボタージュされたアニメの佐藤先生の授業がどれだけ『アレ』な内容なのかが少し気になります。
今更ですが、アイドル養成コースをアカデミアでやったとしてうまくいくかというとかなり疑問です。なにせ孤島で全寮制の学校に通っている生徒なのですから。
エド・フェニックスが来ていないのに、十代がカードを見れなくなった。
そして、アムナエルの研究施設に残っていた資料とエメラルド・タブレットを使って自己学習を始めた。
実技が出来ない分、それ以外の事について出来る事をしっかり始めた。
俊二としては訳が分からない展開だ。エドの動向を気にかけていたのだが…。
「…という訳で、十代君の様子がおかしいの。」
「カードが見えない、という事は色覚検査をしてみてはどうでしょう?」
「鮎川先生が試したわ。正常だって。」
「…しばらく、実技については行わせないという方針で行きます。」
破滅の光が、エド以外の人間を使って十代を洗脳しようとしたのか?そう猫崎俊二は考える。
それにしても、急に錬金術の勉強を始めるとはどういうことだ?心境の変化でもあったのだろうが…。
職員会議の召集がかかり、俊二と響先生は会議室へ向かう。
「ウオッホン!本日はアイドル養成コースの設立について、議論したいのでアール!」
「あ、アイドル養成コースですか?」
ついに来たか。と思う俊二。最も顔には出さない。
「デュエルも出来るアイドル、アイドルプロデュエリストの育成でアール!これならば、才災前校長により下がった評判を上げる事が出来るのでアール!」
まぁ、現状維持ではじり貧でしかない。しかしこれは…。
「クロノス新校長、発言をしても?」
「構わないノーネ、シニョーラ我謝」
猫崎の故郷、犬上村での風習に理解を示し旧姓で呼ぶクロノス新校長。
「ナポレオン教頭、アイドル養成という事ですが…。歌やダンス、演技力やトークを誰が指導するのでしょうか?」
「な、ナヌ?」
「音響施設も必要になりますが…。そこから議論するという事で宜しいでしょうか?」
「う、ウム。その通りなのでアール」
「では僭越ながら、このCDをお聞きください。」
「な、何なノーネ?」
流れたのは、若い女性が歌っている曲だ。
教員は一体誰?と目配せするも誰も知らないらしい。
「以上です。」
「い、一体誰なのでアール?マダム猫崎。」
「寒川理恵子。私の友人です。彼女はアイドルデュエリストを目指していました。これはデビュー時のCDです。どう思われましたか?ナポレオン教頭?」
「な、中々上手いと思うのでアール。」
「うむ、初めて聞きましたーガ、上手いと思うノーネ。」
「このCDは4枚しか売れませんでした。」
「マンマミーア!」
「アイドルになるために、才能のある女性が最高の教育を受けて努力を重ねたとしても、報われない事なんてざらの世界。それが、アイドルです。そこに生徒を送り込むというなら、教職員にも相応の覚悟が必要です。」
敢えて厳しい事を言う我謝透子。犬上村では、女性の手が綺麗だと仕事をしていない怠け者、と思われる。
最初に彼女を見た時は怠け者だと思った我謝だったが、理恵子が懸命に努力している姿を見てからその活動を応援するようになり、理恵子もまた友人として接してくれるようになった。
そのため、夢破れて失意のどん底に落ちた姿を、我謝透子は忘れられない。
「今は、千里眼グループのアジア総局、極東支部にて受付嬢をしているとか…。僭越でしたね、この話を持ち出す時点で、既に覚悟は出来ているでしょうから。ではその上で、生徒はリストアップされていますか?」
「も、もちろんでアール!」
「…確認しました。では、この話を彼女らにしてもかまいませんね?ただ憧れで踏み入れていい世界では無いので。」
その後は、いくつかの議題や提示報告、各授業の進捗状況を確認して会議は終わる。
「そうそう、ムッシュ猫崎。」
「何でしょう?」
「虎之井をラーイエローに格下げさせるでアール。」
「そうですか。」
「吾輩は忙しいので、ムッシュ猫崎から伝えておいてもらいたいのでアール。」
嫌な役目を押し付けられたが、相手の方が立場が上な為、俊二は従う。
「わかりました。しかし、何故降格に?」
「ムッシュ虎之井はデュエルエリート。吾輩も降格させたくは無かったのでアールが…出席率がオベリスクブルーのラインを下回った以上仕方ないのでアール。まぁ、ラストチャンスとして…オシリスレッドの生徒とデュエルさせるでアール。」
「では、そのオシリスレッドの生徒が虎之井に勝ったらどうします?」
「ナヌ?」
「ラーイエローへの昇格を許してもいいと思っている生徒が居ます。」
「…まぁ、認めるでアール。」
ティラノ剣山がレッド寮に居候した事でやや人数に偏りが出来てしまっている。
オシリスレッドの一年、木下を連れて俊二は歩く。
「あの、猫崎先生。俺、何かやらかしましたか?」
「逆だ。昇格の話が出ている。このデュエルに勝てば、ラーイエローに昇格だ。」
「?!俺が、ラーイエローに!ううっ、筆記試験の時、残り時間後5分で解答欄がズレていたことに気づいて慌てて修正したけど間に合わなくて…」
「高い授業料だったな。」
「はいっ!」
前世の試験で、マークシートが一つズレていた事で大慌てで修正した経験がある俊二は、木下の気持ちがよくわかる。
こういう経験を経て、人は成長する。
デュエルアカデミアの購買部。
「虎之井」
「?!な、なんだ。何の用だ!」
虎之井の周りには誰もいなかった。
「…場所を変える。ついてこい」
「嫌だ!ここで話せよ!」
相手が虎之井で無ければ、俊二は目上の人に対する礼儀について指摘したが…。さっさと話を進める事にした。
「ナポレオン教頭から伝言だ。お前をラーイエローに降格する」
「?!お、おお俺が降格!?ふ、ふざけんな!」
「出席率がオベリスクブルーの基準を下回った。」
「う、嘘だ!」
「オベリスクブルーはデュエルエリートの寮。授業への出席率は重要な指標になっている。そして月一試験でラーイエローに負けた。温情としてオシリスレッドの木下とデュエルして勝てば、降格は無しだ。」
「オベリスクブルーの俺に、オシリスレッドとデュエルしろというのか!」
「別に受けなくてもいいぞ。その場合問答無用でラーイエローに格下げになるだけだ。」
虎之井は周りを見渡す。
五階堂は目をそらし、ティラノ剣山は手元の雑誌に目を落とす。
「ぐっ…おい、オシリスレッド!お前俺に勝てると思っているのか!」
「確かに勝算は低いかもしれない。それでも、俺は俺の出来る事をするだけだ!いくぞ!」
「「デュエルッ!!」」
虎之井 ライフ4000
手5 場
木下 ライフ4000
手5 場
「俺の先攻、ドロー!俺は魔法カード、おろかな埋葬を発動!デッキから人造人間-サイコ・ショッカーを墓地に送る!」
「フン…オシリスレッドの分際でいいカードを持っているな。だが折角のレアカードを墓地に送るような使い方をするなら、お前が持っていても意味ないだろう。」
「なんだと!」
「俺が勝ったら、そいつを俺に譲れ!」
身勝手な事を言う虎之井。
「そもそもアンティルールを俺は認めていない。そしてアンティルールを宣言するならデュエル前だ。」
「アンティでは無い!譲ってもらうだけだ!それの何が悪い!」
目を開けたまま妄言を垂れ流す虎之井に、木下が怒る。
「ふ、ふざけるなっ!俺はモンスターをセット!カードを一枚伏せて、ターンエンドだ!」
虎之井は、こういう所があった。強者にへつらい、弱者から奪う。
中等部のころは知らなかった五階堂はこのことを今更ながら知り、剣山もこの手の輩は嫌いなため距離を置くようになった。
虎之井 ライフ4000
手5 場
木下 ライフ4000
手3 場 セットモンスター 伏せ1
「俺のターン、ドロー!速攻魔法、サイクロンを発動!その伏せカードを破壊するぜ!」
「サイクロンにチェーンして永続罠発動!リビングデッドの呼び声!これで墓地の人造人間-サイコ・ショッカーを特殊召喚!」
「馬鹿が!リビングデッドの呼び声が破壊されたら特殊召喚したモンスターも破壊されるんだよ!」
「それはどうかな?」
「何っ!ば、馬鹿な!どうしてサイコ・ショッカーが破壊されない…!」
ある授業の終わり際。リビングデッドの呼び声とサイクロンの処理について質問を受けたことで、俊二は懇切丁寧に説明していた。
『リビングデッドの呼び声にチェーンしてサイクロンを発動した場合は、サイクロンの処理が行われてリビングデッドの呼び声を破壊する処理が行われる為、モンスターの特殊召喚は行われない。逆に、サイクロンにチェーンしてリビングデッドの呼び声を発動した場合、リビングデッドの呼び声の処理が行われてモンスターが特殊召喚される。』
『そして、リビングデッドの呼び声でサイコ・ショッカーを特殊召喚した場合、罠カードの効果が無効になるためリビングデッドの呼び声が破壊されてもサイコ・ショッカーは場に残る。最も、サイコ・ショッカーが破壊された場合、リビングデッドの呼び声も破壊されてしまう。この二枚のカードをデッキに入れてる生徒は覚えておくように。今回の月一試験では出さないが。』
だが、サボっている虎之井は聞いていない。
「フン、俺は光神機-桜花をリリース無しで召喚!」
「攻撃力、2400!」
「バトルだ!行け、桜花!サイコ・ショッカーを叩き潰せ!」
「くっ?!サイコ・ショッカーが!」
「ざまぁみろ!俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ!」
虎之井 ライフ4000
手2 場 伏せ2
木下 ライフ4000
手3 場 セットモンスター
「や、やっぱりオベリスクブルーは強い…俺のターン、ドロー。」
「永続罠発動!スキルドレイン!ライフを1000払って発動!これで場のモンスター効果は無効になる!」ライフ4000から3000
「も、モンスター効果まで封じて来た…。なら、忍犬ワンダードッグを召喚!バトルだ、ワンダードッグでダイレクトアタック!」
「くそっ!」ライフ3000から1200
「メインフェイズ2だ。僕はカードを一枚伏せる。俺はこれでターンエンドだ!」
虎之井 ライフ1200
手2 場 スキルドレイン 伏せ1
木下 ライフ4000
手2 場 セットモンスター 忍犬ワンダードッグ 伏せ1
「俺のターン、ドロー!魔法カード、増援を発動!俺はデッキからゴブリン突撃部隊を手札に加え、召喚!」
「攻撃力2300!」
「バトルだ、ゴブリン突撃部隊で忍犬ワンダードッグを攻撃!」
「ならば、攻撃宣言時に罠発動!砂塵の大竜巻!俺はスキルドレインを破壊する!」
「ここで発動して何になるっていうんだ、オシリスレッド!」
「ぐっ!」ライフ4000から3500
粉砕されるワンダードッグ。
木下の狙いは、ゴブリン突撃部隊のデメリット効果を発動させることだろうが…。
「だが、これでゴブリン突撃部隊のデメリット効果が発動する!」
「くそっ、ゴブリン突撃部隊が守備表示に…。なると思ったかぁ、オシリスレッドぉ!!永続罠発動!最終突撃命令!」
「?!」
「とろいんだよ、オシリスレッド!どうだ猫崎!ごちゃごちゃ言っていたが、この二種類を同時に採用すればこういうアフターケアが出来るんだよ!ターンエンドだ!」
そういう方向性について指導していたが、それを拒絶したのは虎之井の方だ。
虎之井 ライフ1200
手2 場 ゴブリン突撃部隊 最終突撃命令
木下 ライフ3500
手2 場 セットモンスター
「俺のターン、ドロー!俺はセットしていたメデューサ・ワームを反転召喚!効果発動、お前のゴブリン突撃部隊を破壊する!」
「な、なんだと!」
「そして、激昂のミノタウルスを召喚!」
「あ、ああ…嘘だ、こんなはずが無い…」
「バトル!激昂のミノタウルスで、ダイレクトアタック!」
「うわああああああっ!」ライフ0
ライフが尽きた虎之井は茫然とする。
「俺が負けた?オシリスレッドの落ちこぼれに…」
虎之井は周りを見渡す。
『オシリスレッドに負けたぞ、オベリスクブルーの面汚し』
『あいつはもうダメだな』
『とっとと辞めちまえ!』
同情的な視線は一つもない。虎之井は既に嫌われていた。
視線に耐え切れず、虎之井は逃げ出す。
「おめでとう、これでラーイエローに昇格だ」
「や、やっとあの環境から抜け出せる!」
俊二は歩き始める。とりあえず、クロノス新校長に報告して、その後は…。
歩いている俊二は、騒動が起きていることに気づく。これは…
「た、助けてくれなのでアール!」
「待ちなさい、ナポレオン教頭っ!話が全然違う!天上院明日香さんも胡蝶蘭さんも、アイドル養成コースに入りたいと一言も言っていない、寝耳に水との事です!私を騙そうとしましたね、このすくたれ者!」
ナポレオン教頭を、透子義姉さんと明日香が追いかけている。
あーあ、こうなったか。という感想しか湧いてこない俊二。
すくたれ者は、犬上村だとかなりひどい罵倒である。いじめられていた俊二でさえ、すくたれ者呼ばわりされた事は数えるぐらいしかない。
「自分の手柄にしたいから、アイドル養成コースに参加したいという女子生徒をリストアップし、実際に立ち上げて後は流れに任せてアイドルデビューすればそれでよし…と言った所ですか?」
「な、何故知っているのでアール!」
「やっぱりそうですか!戦に必要な生徒という戦力も、それを指導する環境という機動力もない状態で、アイドル養成コースを立ち上げるという決断をして何が出来るのですか!」
はて?戦に必要な三つの力云々は、クロノス新校長とナポレオン教頭とのデュエルで語ったはずだが…。どうやら透子義姉さんに既に話したことがあるらしい。
「そこまでだ」
「む、ムッシュ猫崎!そこをどくのでアール!」
「木下が虎之井に勝ちました。虎之井をラーイエローに降格、木下をラーイエローに昇格という事でよろしいですね?」
「認めるのでアール!だからそこを」
「俊二!そのまま押さえておいて!」
「ぬぬ…こ、こうなったら!ムッシュ猫崎!吾輩とデュエルでアール!」
「俺と?」
「吾輩が勝てば、アイドル養成コースをスタートする事に協力してもらうのでアール!」
「つまり、透子義姉さんと天上院さんと胡蝶さんを説得しろと?」
「その通りでアール!」
厄介ごとをまとめて押し付けられてはたまらない。そういう条件を持ち出すなら、こちらも相応の物を求めさせてもらう。
「俺が勝ったらアイドル養成コースは諦めてもらう。案は良いが、人員も資材も時間も何もかも足りない以上、今は優先すべき時では無い」
互いに距離を取り、デュエルディスクを構える。
追いついた女性陣二人はそれを見守る。
「我謝さん、どっちが勝つと思いますか?」
「俊二が勝つと思うけれど、ナポレオン教頭は優秀よ。」
トイ・エンペラーは割と面倒な効果があるが、罠カードが中心。攻撃力でも上回り、罠カードを封殺できるナチュル・パルキオンを出せれば押し切れる。
そう思っていた俊二だが…
「「デュエルッ!!」」
ナポレオン ライフ4000
手5 場
俊二 ライフ4000
手5 場
「吾輩の先攻、ドロー!吾輩はマシンナーズ・ギアフレームを召喚!効果発動、デッキからマシンナーズモンスターを手札に加えるのでアール!」
「?!【マシンナーズ】デッキか!」
「知っているなら話は早いでアール!マシンナーズ・フォートレスを手札に加え、手札のマシンナーズ・スナイパーとフォートレスを捨てて、墓地からマシンナーズ・フォートレスを特殊召喚!」
出て来たのは攻撃力2500の機械族!
前世ではこれを主軸に置いたデッキを使っていた俊二はその優秀さを知っている。
「…戦闘破壊されれば相手モンスターを破壊し、モンスター効果の対象になれば相手の手札を確認して捨てさせ、さらに手札の機械族をレベル8以上になるよう捨てる事で、墓地から特殊召喚できる優秀なモンスター…。」
マシンナーズを使うとは思っていなかった俊二は目を見開く。
「ヌフフ、S召喚のテスターと言うが、吾輩を象徴するような優秀なモンスターには驚いたようでアール。吾輩はギアフレームの効果発動!フォートレスに装備させるのでアール!!カードを一枚伏せてターンエンド!」
ナポレオン ライフ4000
手3 場 マシンナーズ・フォートレス ギアフレーム 伏せ1
俊二 ライフ4000
手5 場
「俺のターン、ドロー!モンスターをセット!カードを一枚伏せ、ターンエンド!」
ナポレオン ライフ4000
手3 場 マシンナーズ・フォートレス ギアフレーム 伏せ1
俊二 ライフ4000
手4 場 セットモンスター 伏せ1
「ヌフフ、ムッシュ猫崎。そのセットモンスターは、ライトロードハンター ライコウでアール?」
「……」
「図星でアール?ヌフフ、吾輩のターン、ドロー!吾輩はマシンナーズ・ソルジャーを召喚!バトル!マシンナーズ・ソルジャーでセットモンスターを攻撃!」
「墓守の偵察者だ。守備力は2000、反射ダメージを受けてもらう」
「ヌヌ?!」ライフ4000から3600
思わぬ反射ダメージを受けるナポレオン教頭。
表側表示になったモンスターを見て、明日香が反応する。
「墓守…」
「どうしたの?」
「いえ、ちょっと。墓守にはいい思い出が無くて…」
「ああ。グールズの被害者だったかしら?」
「いえ、そういうのでは無いのですが。」
墓守に思う所があるという感じから、グールズ絡みと思う透子だが、明日香の事情は違う。
課外授業に参加したら生きたままミイラにされかけそうになれば、どれほど温厚な人でも、そのテーマに対し好意的な反応は示さないだろう。
「墓守の偵察者の効果発動!デッキから墓守の番兵を守備表示で特殊召喚!」
「ヌヘヘ、墓守の番兵はリバースしてこそ効果を発揮する。そんな使い方ではただの壁モンスターなのでアール!」
そう言われる俊二だが、このデッキには墓守の偵察者は2枚、番兵はピンで採用している。
前世にて、『出張パーツとして偵察者を3積みするより、偵察者を2枚にして一枚番兵にしておくと、偵察者の効果で偵察者を引っ張ってきた後でも、その後番兵を引いた場合単体で役に立つ』
と教えられた時から、出張パーツとしてはこういう形で用いている。
手札に偵察者がダブった場合でも、墓守の番兵という壁を出してくれるため、このように最低限の役割は果たせる。
「マシンナーズ・フォートレスよ!墓守の番兵を蹴散らすのでアール!」
蹴散らされる番兵。
「吾輩はこれでターンエンドでアール」
ナポレオン ライフ3600
手3 場 マシンナーズ・フォートレス ソルジャー ギアフレーム 伏せ1
俊二 ライフ4000
手4 場 偵察者 伏せ1
「俺のターン、ドロー!速攻魔法、サイクロンを発動!伏せカードを破壊する!」
「ヌヌ、ゲットライドが…」
「俺はレスキューキャットを召喚!このカードを墓地に送り、デッキからライトロードハンター ライコウとX-セイバーエアベルンを特殊召喚!レベル2のライコウに、レベル3のエアベルンをチューニング!S召喚!A・O・Jカタストル!」
「こ、これがS召喚…。」
目を見張るナポレオン教頭。
「カタストルが闇属性以外のモンスターと戦闘を行うとき、ダメージ計算を行わずに相手モンスターを破壊する。最も、マシンナーズ・フォートレスにはユニオンモンスター、ギアフレームが装備されている。このまま攻撃したところで、ギアフレームが身代わりとなり、フォートレスの方が攻撃力が高いため、カタストルの方が破壊される」
「フン、それなら恐れるに足りないのでアール!」
「俺は墓地の光属性のライコウと、闇属性の墓守の番兵を除外!現れろ、カオスソルジャー開闢の使者!」
「な、ナヌー?!」
思わぬカードが出て来たことで、ナポレオン教頭は動揺する!
「あれが、デュエルモンスターズの戦士族で最強とうたわれた、開闢の使者…」
「開闢?!俊二先生はいつの間に…。」
素封家の娘である透子も、実物を見るのは初めてであり、そのデザインに目を見張る。
明日香は武藤遊戯さんのデッキで実物を見ているため、所持していることに驚く。
「俺はカードを一枚伏せ、開闢の使者の効果発動!フォートレスを除外する!」
「だが、フォートレスがモンスター効果の対象になったことで効果発動!ムッシュ猫崎の手札を確認して、一枚捨てさせるのでアール!」
「墓守の偵察者だ。」
「ヌ?偵察者が二枚来ていたのでアール?何故偵察者を三積みしていないのでアール?」
かつてはそう考えていた俊二としては、ナポレオンの疑問もわかる。
出張パーツとして、墓守の偵察者を何も考えずに三積みしていた時期が、俊二にはあった。
「効果を使用したターン、開闢は攻撃出来ない。墓守の偵察者を攻撃表示に変更。バトル!カタストルでマシンナーズ・ソルジャーを攻撃!効果発動、マシンナーズ・ソルジャーを破壊!」
「グヌヌ…」
「墓守の偵察者でダイレクトアタック!」
「ヌウウウッ」ライフ3600から2400
「ターンエンド!」
ナポレオン ライフ2400
手3 場
俊二 ライフ4000
手0 場 偵察者 開闢 カタストル 伏せ2
「ま、まだでアール!吾輩のターン、ドロー!吾輩はマシンナーズ・ギアフレームを召喚!効果発動、デッキから二枚目のマシンナーズ・フォートレスを手札に加える!そして、手札のマシンナーズ・ディフェンダーとフォートレスを捨て、墓地よりフォートレスを特殊召喚!」
「罠発動!奈落の落とし穴!フォートレスを破壊して除外する!」
「ナヌー?!」
「ぬ、ぬううううっ、バトル!ギアフレームよ、墓守の偵察者を攻撃!」
「…600のダメージを受ける」ライフ4000から3400
「ターンエンドでアール…」
ナポレオン ライフ2400
手2 場 ギアフレーム
俊二 ライフ3400
手0 場 開闢 カタストル 伏せ1
「俺のターン、ドロー!バトルだ、開闢の使者で、ギアフレームを攻撃!」
「ヌウウウウウッ!」ライフ2400から1200
「モンスターを戦闘で破壊した事で、開闢の使者の効果発動!もう一度攻撃できる!開闢の使者で、ダイレクトアタック!」
「わ、吾輩の辞書に敗北などという言葉は~!」ライフ0
ライフが尽きるナポレオン教頭。
しばし茫然としていたが、ややあって再起動。性懲りもなく喚きだす。
「な、納得できないのでアール!」
「何が?開闢の使者と奈落の落とし穴という、除去カードを使ったからリスペクト精神が無いとでも?」
「そんな戯言など、口が裂けても言わないのでアール!吾輩はS召喚が出来ないのに、そちらだけ使うのは卑怯なのでアール!」
「…そういう事なら生徒に指導するために構築した、このデッキを使います。」
別のデッキを装着し、エクストラデッキのSモンスターを回収する俊二。
「今度こそ、吾輩が勝つのでアール!」
「「デュエルッ!!」」
ナポレオン ライフ4000
手5 場
俊二 ライフ4000
手5 場
「先攻は譲るのでアール!」
「俺の先攻、ドロー!俺は魔法カード、増援を発動!デッキからレベル4以下の戦士族を手札に加える。ゴブリン突撃部隊を手札に加え、召喚!」
「フン、やられ専門のモンスターでアル」
レベル4で攻撃力2300、割と優秀な戦士族なのだが、すっかりやられ役としての立ち位置がついてしまったモンスターだ。
「俺はカードを二枚伏せ、ターンエンド」
ナポレオン ライフ4000
手5 場
俊二 ライフ4000
手3 場 ゴブリン突撃部隊 伏せ2
「フン、見え透いた戦術でアール!吾輩のターン、ドロー!吾輩はマシンナーズ・ソルジャーを召喚!効果発動!」
「その効果にチェーンして、ライフを1000払い、永続罠、スキルドレインを発動。」ライフ4000から3000
「お見通しなのでアール!速攻魔法、サイクロン!スキルドレインを破壊するのでアール!」
「…チェーンは無い」
「ならば逆順処理!サイクロンの効果でスキルドレインが破壊され、吾輩のマシンナーズ・ソルジャーの効果が発動するのでアール!現れるのでアール、マシンナーズ・フォートレス!バトル!マシンナーズ・フォートレスでゴブリン突撃部隊を攻撃!」
「リバースカードオープン!収縮!これでフォートレスの攻撃力を2500から1250にする!」
「ぬうううっ!だが、戦闘で破壊されたフォートレスの効果発動!ゴブリン突撃部隊を破壊するのでアール!」ライフ4000から2950
「突破されたか」
「マシンナーズ・ソルジャーでダイレクトアタック!」
「っつ!」ライフ3000から1400
「吾輩はメインフェイズ2に入り、カードを一枚伏せてターンエンドでアール!」
ナポレオン ライフ2950
手2 場 ソルジャー 伏せ1
俊二 ライフ1400
手3 場
「俺のターン、ドロー!可変機獣ガンナードラゴンをリリース無しで召喚する。最も、攻撃力と守備力は半分になるが」
「フン、なら裏側守備表示で出せばいい物を」
「こうする必要がある。カードを二枚伏せてターンエンド」
そのプレイングを見て、外野の女性陣が反応する。
「あれって…」
「あまりにも見え透いている。十中八九、スキルドレイン…でも。」
「我謝さん?」
「そう思わせるのが、俊二の狙いなのかもしれないわ。いずれにせよ、答えはすぐに明らかになる」
ナポレオン ライフ2950
手2 場 ソルジャー 伏せ1
俊二 ライフ1400
手1 場 ガンナードラゴン 伏せ2
「フン、二枚目のスキルドレインでアルか。吾輩のターン、ドロー!ヌフフ…吾輩はマシンナーズ・ソルジャーを守備表示に変更。カードを一枚伏せ、ターンエンドでアール。」
「ならエンドフェイズにリバースカードオープン。月の書!場のガンナードラゴンを裏側守備表示にする」
「ナヌ?!」
ナポレオン ライフ2950
手2 場 ソルジャー 伏せ2
俊二 ライフ1400
手1 場 セットモンスター 伏せ1
「俺のターン、ドロー!永続罠、最終突撃命令を発動!場のモンスターは全て攻撃表示になる!」
「スキルドレインでは無かったのでアール?!」
素っ頓狂な声を上げるナポレオン教頭。
スキルドレインと判断し、手札のマシンナーズ・ギアフレームを召喚せず、墓地のフォートレスを蘇生させるためのコストにしようと温存していたのだが…。
「妥協召喚して攻撃力が半減するモンスターを、わざわざ攻撃表示で召喚。そして伏せカード。誰だってスキルドレインなどの効果を無効にするカードだと判断する。いくぞ、魔法カード、大嵐を発動!場の魔法・罠カードを全て破壊!」
「ぐうっ!炸裂装甲と、リビングデッドの呼び声が!」
「そしてガンナードラゴンを反転召喚!さらに、ゴブリンエリート部隊を通常召喚!バトルだ、行け、ガンナードラゴン!マシンナーズ・ソルジャーを攻撃!」
「ぐううううっ!」ライフ2950から1750
「ゴブリンエリート部隊で、ダイレクトアタック!」
「わ、吾輩が二度も敗れるとは~!」ライフ0
虎之井が【最終突撃命令】と【スキルドレイン】の混成デッキを使っていた事で、俊二はこの二つを採用したデッキならば、生徒の実力を測るデッキとしてちょうどいいのではないか?と思って構築した。
モンスター効果を多用する生徒にとって、【スキルドレイン】は致命的。守りを固めて反射ダメージでの勝利を狙う生徒なら【最終突撃命令】は天敵。
故に両方使うなら、生徒に合わせて教員側がプレイングを心がければ、調整用デッキとして最適になるという考えだ。
手札事故を考えて、最終突撃命令は2枚、スキルドレインも2枚。その上で、バルバロスとガンナードラゴンと言った妥協召喚モンスターと、ゴブリン突撃部隊やエリート部隊と言ったデメリットアタッカーを投入。ただ、展開札が足りないのでサイバー・ドラゴンを2枚、不屈闘士レイレイなどの獣戦士族も入れているため、ピンで獣神機王バルバロスUrも採用。
禁じられた聖杯はサイコショッカーなりお触れを使われた時でも戦えるように三積み。打点負けした時用に、収縮と巨大化もピン刺し。
月の書もピンで入れておいた。ミラフォを躱せるし、今回のように妥協召喚モンスターに使って反転召喚して打点を戻すという手が使えるし、優秀な妨害札だからだ。
ネックはコントロール奪取だ。スキルドレインを発動してバルバロスを出して3000打点。このままターンエンドして、バルバロスを奪われて攻撃されたら終わる。
賄賂やら永続罠を守るカードを入れた結果、攻撃反応罠を入れる枠が足りなくなった。デッキ枚数を増やせば解決はするが、40枚に絞るように言われている。
こういう時に相談出来る相手が前世にはいたが、今は居ない。
光里に相談したら、いつの間にかスキルドレインが抜けて最終突撃命令が三積み、その上、融合呪印生物-光と融合を積んだ【サイバー流】になっていた。
ライトロードマジシャン ライラと光の援軍まで採用してバック処理まで出来るようになっていた。手元にないが、もしもここにオネストを入れたら相当強いデッキに仕上がるだろう。
「さて、一緒に来てもらいますよ、ナポレオン教頭」
連敗した事でがっくりと意気消沈し、連行されていくナポレオン教頭。
俊二も、クロノス校長に報告することがあるため、同行する。
同時刻。
オシリスレッド寮付近の海岸で。
「…いつまでそうしているつもりだ?十代」
「ああ、万丈目か」
「実技しか取り柄が無いのに、その実技をしなければ退学だってありえるぞ。」
「そうかもな。」
「っつ!いい加減にしろ!そんな事思ってもいないだろう!」
影丸光海とのデュエル以降、カードが見えなくなっている十代に発破をかける万丈目。
俊二に叱られ、理事長に助けられた事で授業を真摯に受けるようになった十代だが、それで成績が上がれば苦労はしない。どこぞの通信教育の漫画では無いのだ。
元々実技で筆記をカバーしている状態で、筆記が多少改善されたが実技が行えないとなると致命傷だ。
「実技をしようにも、俺にはカードが見えないんだ…。」
「…十代、俺は先に行く。だから、必ず立ち上がって来い!俺は諦めなかったぞ!才災にデッキを否定され、ノース校へ追い出された後でも!」
【最終突撃命令】と【スキルドレイン】の混成デッキを試してみましたが、どうにもしっくりきません。
十代のライバルは誰か、という議論がたまに持ち上がりますが、こういう発破をかける辺り、個人的に十代のライバルは万丈目だと思います。異論は認めます。