そのリスクを背負ってまでレッド寮を潰す覚悟があったとは思えませんが…怒り狂ったエドがナポレオン教頭を追い掛け回すという展開は見てみたかった気がします。すぐに捕まりそうですが。
クロノス新校長が出張にでたとたん、レッド寮の前に立て札が立つ。
「…レッド寮の代表と学園の代表がデュエル、レッド寮の代表が負けたら問答無用でレッド寮を廃止…そんなに嫌なの?」
レッド寮長である響先生はかなりイライラする。
「私が片を付けます。いい加減、落ちこぼれを排除するというのを止めないと。オシリスレッドを廃止にしたら、次はラーイエローを廃止、ブルー生徒だけ残すのが狙いでしょうから。」
「フン、それは認められないのでアール!」
「ナポレオン教頭!何故です!」
「マドモアゼル響は寮長なのでアール。こちらの代表は生徒でアール!」
「生徒?オベリスクブルー?それとも、白い制服の…。」
「僕だ。」
「?!エド・フェニックス…ナポレオン教頭!プロに対し、学生にデュエルをしろというのですか!」
「その通りなのでアール!」
どこまで卑劣な、憤る響先生だが。
「ちょっと待ったー!」
「?!遊城君!い、一体どこに行っていたの!」
「ちょっと色々あって…。でも、カードは見えるようになったし、新しいE・HEROを手に入れた!」
それに反応するエド。
「新しいE・HEROだと!ふざけたことを!」
「あっ…、そうか、HEROシリーズをデザインしたのは…。」
「僕は認めないぞ、父さんが手がけていないのに、HEROを名乗るなど!」
「…エド、お前と才宮選手の中継は見ていた。」
「っつ…嫌なことを思い出させる。」
「俺は、ただHEROに憧れて、HEROデッキを使っていた。でも、HEROには宿命があるというお前の考えは理解できる。」
「…何が言いたい。」
「俺とデュエルしようぜ!HERO使い同士、ワクワク出来るデュエルをさ!」
「いいだろう、お前のいうまがい物のHEROを、父さんが残したD-HEROで叩き潰してやる!」
「ちょっと、遊城君!相手はプロなのよ!以前勝ったそうだけど、あの時とは違うのよ!」
「…お願いです、響寮長。俺に戦わせてください!」
「…はぁ、仕方ないわね。でも、負けたらレッド寮が取り潰しなのよ?」
「レッド寮を…。ならナポレオン教頭!」
「な、何なのでアール!」
「レッド寮が勝ったら何をしてくれるんだ?」
「な、何の事でアール?」
「もうレッド寮の取り潰しを言わないとか、色々あるだろう!現役のプロに勝てるなら取り潰す必要は無いだろ!」
「ヌヌ…では、(クロノス新校長が戻ってくるまで)レッド寮を取り潰さないと約束するのでアール」
今小声で不穏な事を言ったような気がした響寮長は咎めようとするが。
「なら決まりだ!」
「…ナポレオン教頭。約束通り、このデュエルの後で、デュエルモンスターズの裏事情に詳しい人を紹介してもらう。忘れるなよ?」
「も、もちろんでアール!」
デュエルの裏事情に詳しい人を本当に知っているのか、と訝しむ響寮長。
そういう『裏』と通じているとなれば、理事長などの大物になってくるが…。
早朝。デュエルリングで対峙する十代とエド。
「…知らせを聞いて駆け付けたが、ナポレオン教頭は相変わらずか。」
「…遊城君はカードが見えるようになったらしいけれど、新しいHEROって何かしら?異星の最終戦士?あれとダーク・シムルグと魔封じの芳香を並べられた時は何もできずに負けたけれど…」
それは、前世で猫崎と渡り合ったOCG世界のデュエリストもサレンダーする布陣だ。
「行くぜ、エド!」
「来い、十代!」
「「デュエルッ!!」」
十代 ライフ4000
手5 場
エド ライフ4000
手5 場
「D-HERO ダイヤモンドガイを召喚!エフェクト発動、デッキの一番上のカードを1枚めくり、それが通常魔法だった場合、そのカードをセメタリーに送ることで次の自分のターンのメインフェイズに、その効果を発動できる!ハードネス・アイ!デッキトップは…黒魔術のカーテン。このカードを墓地に送る!」
「黒魔術のカーテンって…!」
「僕はカードを一枚伏せ、ターンエンドだ!」
十代 ライフ4000
手5 場
エド ライフ4000
手4 場 D-HERO ダイヤモンドガイ 伏せ1
「俺のターン、ドロー!よし、俺はE・HEROアナザー・ネオスを召喚!」
「攻撃力1900の、E・HERO!父さんのスケッチブックでも見たことがないカード…」
「この腐った蜜柑め!カードを勝手に偽造したのでアルか!」
「しかし、デュエルディスクは異常を検知していません。あれは正式なカードでは?」
「ヌヌヌ…。」
「バトルだ!頼む、アナザー・ネオス!ダイヤモンドガイを攻撃!」
「罠発動!D-シールド!D-HEROが攻撃対象になった時、攻撃対象のD-HEROを守備表示に変更、そして装備モンスターは戦闘では破壊されない!」
「通らないか…。なら俺はカードを二枚伏せてターンエンド!」
十代 ライフ4000
手3 場 アナザー・ネオス 伏せ2
エド ライフ4000
手4 場 D-HERO ダイヤモンドガイ D-シールド
「僕のターン、ドロー!ダイヤモンドガイのエフェクトで墓地に送った、黒魔術のカーテンのエフェクト発動!デッキから現れろ、ブラック・マジシャン!」
「ブラマジキターッ!って?エドのライフが半分になっていない」
「ダイヤモンドガイの効果は、エフェクトのみ発動する。発動条件も、コストも不要だ。再びダイヤモンドガイのエフェクト発動!ハードネス・アイ!ボンディング-H2Oだ、次のターン、発動が確定した。」
「次はウォーター・ドラゴンか…。」
「行け、ブラック・マジシャン!ブラック・マジック!」
「っつ、アナザー・ネオス!」ライフ4000から3400
「ターンエンドだ。」
十代 ライフ3400
手3 場 伏せ2
エド ライフ4000
手5 場 D-HERO ダイヤモンドガイ ブラック・マジシャン D-シールド
「俺のターン、ドロー!魔法カード、フェイク・ヒーローを発動!手札のE・HEROを特殊召喚!現れろ、E・HEROネオス!」
「攻撃力2500の通常モンスター…。だが、フェイク・ヒーローで呼び出したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに手札に戻る!」
「慌てるなよ!俺はN・ブラック・パンサーを召喚!俺は場のネオスとブラック・パンサーをデッキに戻し、コンタクト融合!」
「デッキに戻して融合、だと!ええい、剣闘獣と同類か!」
「現れろ!E・HEROブラック・ネオス!ブラック・ネオスの効果発動!相手モンスターを選択して、その効果を無効にする!もっとも、ブラック・ネオスが場を離れれば効果は復活するけれどな。」
「ダイヤモンドガイのエフェクトを奪った上に封じて来たか…!だが、それならウォーター・ドラゴンで倒すまで!」
「フィールド魔法、ネオスペースを発動!場のネオス及びネオスを融合素材とする融合モンスターの攻撃力を500ポイントアップ!よって攻撃力は3000!」
「?!」
「いけ、ブラック・ネオス!ブラック・マジシャンを攻撃!」
「くうううううっ!」ライフ4000から3500
「ターンエンドだ!」
十代 ライフ3400
手0 場 ブラック・ネオス ネオスペース 伏せ2
エド ライフ3500
手5 場 D-HERO ダイヤモンドガイ D-シールド
「僕のターン、ドロー!ダイヤモンドガイのエフェクトで墓地に送った、ボンディング-H2Oのエフェクト発動!デッキから現れろ、ウォーター・ドラゴン!」
「攻撃表示で出してきた?!…だけどエド、ウォーター・ドラゴンの真骨頂は倒されても、墓地からハイドロゲドン二体とオキシゲドンを復活させる効果だ。」
「その通りだ。だから墓地に送るとしよう。魔法カード、手札抹殺。ハイドロゲドン2枚とオキシゲドンとブラック・マジシャンズ・ナイトとメガトン魔導キャノンを捨てて、5枚ドローだ。」
手札事故を起こしていたようだが、それも解決されてしまった。
「何という体たらくでアール!それでもプロなのでアール?」
「コステロ会長の娘さんが、ブラック・マジシャンズ・ナイトとウォーター・ドラゴンを使えと言って来た以上、要望に応えないといけない。」
カードを引きながら、つぶやくエド。
「…プロって大変なんだな。」
「コゼットさんの無茶ぶりは今に始まった事ではないからな。知り合いにブラック・マジシャンズ・ナイトと、ウォーター・ドラゴンなんて実際のデュエルでは使えない観賞用のカードだと貶されたらしい。」
とりあえず、コゼットという人に『ウォーター・ドラゴンなんて実際のデュエルでは使えない観賞用のカード』呼ばわりした人は、三沢の前でも同じことを言ってほしいと思う十代。
「さて、バトルだ。ウォーター・ドラゴンでブラック・ネオスを攻撃!」
「迎え撃て、ブラック・ネオス!」
「破壊されるが、ここでウォーター・ドラゴンのエフェクト発動!蘇れ、2体のハイドロゲドン、オキシゲドン!全て守備表示だ!」ライフ3500から3300
「ここから、一体どうするつもりだ?」
「フン、メインフェイズ2だ。僕は場のD-HEROダイヤモンドガイと二体のハイドロゲドンをリリース。現れろ!D-HEROドグマガイ!」
「?!攻撃力3400!」
「ドグマガイの能力はここからだ。カードを一枚伏せ、ターンエンド!」
十代 ライフ3400
手0 場 ブラック・ネオス ネオスペース 伏せ2
エド ライフ3300
手3 場 ドグマガイ オキシゲドン 伏せ1
「俺のターン、ドロー!」
「ここでドグマガイの効果発動!スタンバイフェイズに相手のライフを半分にする!」
「ぐうううっ、やはりきついなっ!!」ライフ3400から1700
「さぁ、どうする?遊城十代!」
「魔法カード、強欲な壺を発動、カードを2枚ドロー!よし、永続罠発動!リビングデッドの呼び声!蘇れ、E・HEROアナザー・ネオス!」
「またそいつか…」
「そして、アナザー・ネオスを再度召喚!」
「?!な、なんだと!」
「アナザー・ネオスはデュアルモンスター。再度召喚することで、通常モンスターから効果モンスターになる!その効果は、カード名をネオスとして扱う!」
「ヌヘヘヘヘ、通常召喚権を使って出来る事が、カード名をネオスにするだけとは、さすが腐った蜜柑が使うデッキなのでアール!」
「いえ、カード名がネオスになったという事は…」
「そう、アナザー・ネオスはネオスペースの効果で攻撃力2400になる!バトル!いけ、アナザー・ネオス!オキシゲドンを攻撃!」
「フン、だがその後どうするつもりだ?」
「俺は手札のE・HEROネクロ・ダークマンを捨てて速攻魔法発動!超融合!」
「超…融合?」
そのカードを見て、愕然とする猫崎。
「ど、どうしたの?」
「…いや、見たことがないカードだったから。」
「これは場のカードで融合召喚を行う!」
「バトルフェイズ中に発動できるという利点はあるが、手札コストが重いな。それで一体どんな融合モンスター…を…?」
エドが訝しむ。ドグマガイが、吸い込まれていく。
「ど、ドグマガイ!」
「融合するのは、俺の場のアナザー・ネオスとお前の場の、闇属性のドグマガイ!」
「?!僕のモンスターを使って融合召喚だと!」
「現れろ!E・HEROエスクリダオ!効果は…墓地のE・HEROの×100ポイント攻撃力がアップする。墓地にはネクロ・ダークマンとアナザーネオス!よって攻撃力は2700!」
「そんな…」
「いけ、ブラック・ネオス!ダイレクトアタック!」
「うわあああああっ!」ライフ3300から300
「エスクリダオで、ダイレクトアタック!」
「この、僕が…!HERO対決で負けるだと…!」ライフ0
「ガッチャ!すげぇワクワクするデュエルだったぜ!」
「な、なんという事でアール!プロが負けるなんて!」
「…遊城十代。僕の負けだ。だが、それは僕が未熟だったからこそ。D-HEROが負けていたわけではない。」
「そうだな。でも、次デュエルしたときも、俺が勝つぜ!」
「ふっ、次こそは全力で叩き潰してやる…。ナポレオン教頭!約束を守ってもらうぞ!」
「や、約束!負けたから無効でアール!」
「何を言っている!デュエルしたら教えるという契約だ!」
そういえば。デュエルの後と言っていたなぁと思いだす猫崎。
「わ、吾輩の名前は出さないでほしいのでアール!あのお方、今度厄介ごとを持ち込んだら容赦しないと…」
引きずられていく、ナポレオン教頭だが、誰も止めない。
やや離れた場所で、エドは詰問する。
「…パトロン・ミネット?」
「あ、あの方が知らないなら、手立てはないのでアール!て、手続きの仕方はメモするのでアール…。」
渡されたメモをじっと見つめるエド。
「これで連絡が取れなかったら、また来るぞ。」
「う、うむ…まだ、これは有効なはずなのでアール…。」
エドはアカデミアを後にする。父の仇を追い詰めるべく、行動を開始する。