デュエルに負け、デュエルディスクを奪われた川出と下釜は、『城之内』の所に向かっていた。
「それで、おめおめやってきたってのか!」
「す、すみませんっ!」
「…今月の授業料は払えるんだろうな?」
「は、払います!だ、だから!」
「…いいだろう。倉庫から持っていけ。」
「あ、ありがとうございます!城之内様!」
「次こそは必ず!」
「お前たちからデュエルディスクを奪った奴へのリベンジはするな。一度負けて次に勝てる保証は無い。」
「そ、そんな!」
「勝てる相手を選んでデュエルをしろ。いいな!」
「は、はい!」
二人が退出した後、『城之内』は白ワインを手に取る。
「…悪くはない、か。」
一息で飲み干し、ため息をつく。
そんな時に、新たな弟子が駆け込んでくる!
「し、失礼します!ぼ、暴力団が!」
「何?!」
弟子の一人、厚釜 朱鷺(あつかま とき)が駆け込んでくるが、その直後、後ろから現れた粗暴そうな男に蹴り飛ばされる!
「久しぶりだなぁ、城之内!」
ぞろぞろと入ってきた粗暴な日本人を、険しい目で睨む『城之内』
「おいおい、もう忘れてしまったのか?」
「お前は…。」
「蛭谷だ。忘れたのか?」
「…まぁいい。大人しくさせるか。」
手下を連れて現れた男を見つめ、手近にあった杖を手に取り構える『城之内』
「そんな物で何ができる!」
襲い掛かる暴力団員だが、杖が一閃すると悲鳴を上げて倒れ伏す!
「やろっ!」
「一斉にかかれ!」
だが、近づく事すらできず、暴力団員は蹴散らされていく!
「じょ、城之内ぃいいいいっ!」
手下を次々と倒され、怒りに任せて突進する蛭谷だが。
「あがっ!」
その拳より、『城之内』の杖が早かった。
手下は倒され、自身も重傷。だが、蛭谷の戦意は衰えない。
デュエルディスクを構える蛭谷に、『城之内』は薄く笑う。
「デュエルか。受けてたつ。」
「「デュエルッ!!」」
蛭谷 ライフ4000
手5 場
城之内 ライフ4000
手5 場
「俺の先攻、ドロー!俺は暗黒の狂犬を召喚!」
「攻撃力1900か」
「カードを1枚伏せてターンエンド!」
蛭谷 ライフ4000
手4 場 暗黒の狂犬 伏せ1
城之内 ライフ4000
手5 場
「俺のターン、ドロー!俺はワイバーンの戦士を召喚!」
「はっ、攻撃力が足りないなぁ!こっちは攻撃力1900だ!」
「手札からフィールド魔法発動、オレイカルコスの結界。」
「何?」
蛭谷と『城之内』を魔法陣が包み込む!
「これにより、俺の場のモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。バトルだ、行け!ワイバーンの戦士!」
「ぐっ!」ライフ4000から3900
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」
蛭谷 ライフ3900
手4 場 伏せ1
城之内 ライフ4000
手3 場 ワイバーンの戦士 オレイカルコスの結界 伏せ1
「俺のターン、ドロー!俺はモンスターをセット。ターンエンドだ」
蛭谷 ライフ3900
手4 場 セットモンスター 伏せ1
城之内 ライフ4000
手3 場 ワイバーンの戦士 オレイカルコスの結界 伏せ1
「俺のターン、ドロー!俺はワイバーンの戦士をリリース。伝説のフィッシャーマンをアドバンス召喚!オレイカルコスの力により、攻撃力は2350だ!」
「何だと!そのフィールド魔法、属性も種族も関係なしに、攻撃力を上げるのか!」
「その通りだ。」
頭を押さえ、苦しんだのち、伝説のフィッシャーマンの眼が赤く染まる。
梶木漁太には見せられない光景である。
「バトル。やれ、フィッシャーマン。セットモンスターを攻撃」
「だが、こいつはハイエナ!戦闘で破壊され墓地送りになったことで、効果発動!デッキからハイエナを2体、特殊召喚!」
「雑魚が増えたか。俺はこれでターンエンド」
蛭谷 ライフ3900
手4 場 ハイエナ ハイエナ 伏せ1
城之内 ライフ4000
手3 場 伝説のフィッシャーマン オレイカルコスの結界 伏せ1
「俺のターン、ドロー!城之内ぃ!雑魚には雑魚の使い道があるんだよ!」
「ああ?」
「俺は永続魔法、冥界の宝札を発動!」
「2体以上のリリースでアドバンス召喚に成功すれば2枚ドロー出来る永続魔法か。となれば」
「場の二体のモンスターをリリース!来い、俺のエースモンスター!百獣王ベヒーモス!」
大型の獣族モンスターが現れ、『城之内』を威嚇する。
「そいつか。」
「冥界の宝札の効果が発動!カードを2枚ドロー!さらに、百獣王ベヒーモスの効果で、墓地の暗黒の狂犬とハイエナを手札に戻す!」
引いたカードの一枚を見て、蛭谷は笑う。
「永続魔法、ポイズンファングを発動!バトルだ!百獣王ベヒーモスで伝説のフィッシャーマンを攻撃!」
「フン」ライフ4000から3650
「さらに獣族モンスターが戦闘ダメージを与えたことで、ポイズンファングの効果発動!500ポイントのダメージを与える」
「それぐらいくれてやるぜ」3650から3150
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」
蛭谷 ライフ3900
手5 場 百獣王 冥界の宝札 ポイズンファング 伏せ2
城之内 ライフ3150
手3 場 オレイカルコスの結界 伏せ1
「俺のターン、ドロー!俺はものマネ幻想師を召喚!効果発動、お前のベヒーモスの攻撃力と守備力を得る!」
「相打ち狙い…いや!」
「そうだ。オレイカルコスの結界により、攻撃力は3200!バトルだ、ものマネ幻想師で攻撃!」
「罠発動!サンダー・ブレイク!手札のハイエナを捨てて、ものマネ野郎を破壊する!」
汎用性の高い除去札により、ものマネ幻想師が破壊されるが『城之内』は何の感慨もなさそうな眼を向ける。
「カードを1枚伏せてターンエンド!」
蛭谷 ライフ3900
手4 場 百獣王 冥界の宝札 ポイズンファング 伏せ1
城之内 ライフ3650
手2 場 オレイカルコスの結界 伏せ2
「俺のターン、ドロー!俺は暗黒の狂犬を召喚!バトルだ!暗黒の狂犬でダイレクトアタック!」
「リバースカードオープン!スケープ・ゴートを発動!羊トークン4体を特殊召喚!」
色とりどりの羊達が現れるが、その眼は赤く、丸い角が変形し、尖った物に変貌する。
とはいえ、守備表示であるため暗黒の狂犬も百獣王ベヒーモスも意に介さない。
「ならその羊を攻撃する!さらに、百獣王ベヒーモスで羊トークンを攻撃!ターンエンドだ!」
蛭谷 ライフ3900
手4 場 百獣王 暗黒の狂犬 冥界の宝札 ポイズンファング 伏せ1
城之内 ライフ3650
手2 場 羊トークン 羊トークン オレイカルコスの結界 伏せ1
「俺のターン、ドロー。罠発動、ダブルマジックアームバインド。俺のモンスターを2体リリースして発動、お前のモンスター2体のコントロールをエンドフェイズまで得る。」
「何っ!」
「これで終わりだな。」
「させるかよ!罠発動!威嚇する咆哮!これで攻撃はさせない!俺のモンスターは返してもらう!」
「だったら返してやる。俺は場のモンスター2体をリリース。インセクト女王をアドバンス召喚!場の昆虫族一体につき、攻撃力は200ポイントアップ。さらにオレイカルコスの結界により、攻撃力が500ポイントアップして、攻撃力は2900。ターンエンド。」
蛭谷 ライフ3900
手4 場 冥界の宝札 ポイズンファング
城之内 ライフ3650
手2 場 インセクト女王 オレイカルコスの結界
「俺のターン、ドロー!俺は素早いモモンガを攻撃表示で召喚!魔法カード、強制転移を発動!城之内ぃ!お前のモンスターを寄越せ!」
「こんなモンスター、欲しければくれてやる」
「よし、バトルだ!インセクト女王で素早いモモンガを…。」
だが、インセクト女王は動かない。
「何だと!何故攻撃しない!」
「そいつは攻撃する時、リリースが一体必要になる。」
「ちっ、ターンエンドだ。」
蛭谷 ライフ3900
手3 場 インセクト女王 冥界の宝札 ポイズンファング
城之内 ライフ3650
手2 場 素早いモモンガ オレイカルコスの結界
「俺のターン、ドロー!七星の宝刀を発動。手札か場のレベル7のモンスターを除外して、2枚ドローする。剣聖-ネイキッド・ギア・フリードを除外。俺は素早いモモンガをリリースして人造人間-サイコ・ショッカーをアドバンス召喚!」
「攻撃力2400だが、結界で攻撃力2900か!」
オレイカルコスの結界により、眼が赤くなるが元々赤いためかさほど変化は無い。
「バトル。サイコ・ショッカーでインセクト女王を攻撃!」
「く、くそっ!」ライフ3900から3400
「カードを1枚伏せてターンエンド。」
蛭谷 ライフ3500
手3 場 冥界の宝札 ポイズンファング
城之内 ライフ3650
手1 場 サイコ・ショッカー オレイカルコスの結界 伏せ1
「俺のターン、ドロー!魔法カード、ライトニング・ボルテックスを発動!手札の森の番人グリーンバブーンを捨てて、お前のモンスターを破壊する!」
「サンダー・ブレイクの次はそれか。冥界の宝札と百獣王ベヒーモスで手札コストの確保は容易いという訳か…。」
「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンドだ!」
「エンドフェイズにリバースカードオープン!リビングデッドの呼び声!蘇れ、サイコ・ショッカー!」
「何だとっ!」
蛭谷 ライフ3500
手1 場 冥界の宝札 ポイズンファング 伏せ1
城之内 ライフ3650
手1 場 サイコ・ショッカー オレイカルコスの結界 リビングデッドの呼び声
「俺のターン、ドロー!魔法カード、闇の誘惑を発動、カードを2枚ドローして、真紅眼の黒竜を除外。」
「何!真紅眼の黒竜を除外するだと!」
「装備魔法、D・D・Rを発動。手札の炸裂装甲を捨てて、ゲームから除外されている真紅眼の黒竜を特殊召喚。オレイカルコスの結界により、攻撃力は2900だ。」
真紅眼の黒竜にオレイカルコスの紋章が浮かび上がり、凶暴な咆哮をあげる!
「バトル、真紅眼の黒竜と、人造人間-サイコ・ショッカーでダイレクトアタック!」
「じょ、城之内ぃいいい!」ライフ3500から600、600から0
ライフが尽きた蛭谷は気絶する。
『城之内』は蛭谷を拘束し、別室へ連行する。
二人きりになったところで、『城之内』は拘束した蛭谷に平手打ちをかます。
「っつ!じょ、城之内ぃいいい」
「何なんだ、お前は。これか?」
両手の人差し指と中指を合わせ、クロスする『城之内』
蛭谷は知らない。そのジェスチャーがミズガルズ王国では『同性愛者』を意味することを。
「何の話だ?」
「気にするな。お前は城之内の知り合いか?」
自分の事を、まるで他人のように言う『城之内』
「…おまえ、誰だ?」
蛭谷はその可能性にようやくたどり着く。
それに対し、『城之内』はカラーコンタクトレンズとカツラを外す。
「正体を明かすとしよう。吾輩は、ガルパン子爵。城之内とは少々因縁があって、こういう事をしている。」
「つまり、城之内をおびき寄せようと?」
「…まぁ、そういう事にしておく。」
ガルパンの目的は違う。日本で城之内の評判を落とし、日本に居られなくするのが狙いだ。
「俺は蛭谷。俺と手を組まないか?」
「ふむ、いいだろう。しかし、城之内を取り込みたいとはどういう事だ?」
「最近、デュエルモンスターズ産業にも手を伸ばしたんだが、思うように勝てない。そんな時に、城之内の事を思い出した…。」
「そう言う事なら、協力しよう。」
「だったら!あのオレイカルコスの結界とかいうカードを」
いきなり貴重なフィールド魔法を寄越せと言ってくる蛭谷に対し、ガルパン子爵は内心軽蔑する。
「獣族主体ならこのフィールド魔法はどうだ?」
「なんだこれは。初めて見るぞ」
「南米を旅していた時、神を崇める部族の決闘者が使っていたカードだ。お前のデッキとの相性は良いだろう。」
その出来事があった数日後。イサベルはある喫茶店へ行くよう、当主であるラング伯爵に命じられていた。
「場所はここだけど…。」
「来たか。入れ。」
手土産を持って入るイサベル。
「よく来たな、イサベル。」
部屋の中央には、『城之内』が居た。
くるりと身をひるがえし、逃げ出そうとするイサベル。
「おっと。」
「っつ!」
退路を断たれ、イサベルはおびえる。
「そう怯えるな。おい、お前たちは席を外せ」
「はい、城之内様!」
『城之内』の弟子たちが退出する。
「…久しぶりだな、イサベル。」
「イサベル?誰の事ですか?」
「まだ気づかないのか。」
眼に手をかける『城之内』
コンタクトレンズを取ると、碧眼があらわれる。
「?!まさか、ガルパン子爵!」
「いかにも。」
カツラを外した男に、イサベルは見覚えがあった。
ミズガルズ王国で、怪盗子爵の異名を持ち、数々の事件を引き起こした男。
変装の達人であり、デュエルの腕も高い。
過激な環境保護団体の幹部の依頼を受け、城之内のデッキを盗み出した。
「来日していらっしゃったとは知りませんでした。」
「まぁ、吾輩もまさかこんな辺境の島国に行く羽目になるとは思わなかったがね。ジャパン・エリアはどれもこれもショーユ味で気に食わん。それに音を立てて麺類をすするとは、野蛮で醜い」
そう言われても、醤油というのが旨いと感じるイサベルにとって、食事については特に不満は無い。
麺類を啜るという行為を行う事に違和感はあるが、こちらは招かれざる客人。現地の風習が嫌なら出ていくのはこちら側である。
「こうやって城之内と名乗り、弟子を取って各地で暴れさせ、評判を落として彼が日本に居られないようにするのが吾輩の計画だ。」
城之内を苦しめるためにこの作戦を実行しているという事だが、イサベルは気になることがあった。
「何故、城之内の弟子と?」
「うん?」
「城之内は自らの名誉や肉体、心が傷つけられる事なら耐えられるでしょう。ですが、家族や親友の名誉が汚されたり、傷つけられることには耐えられないはず。彼を苦しめるのであれば、彼より知名度が高いデュエルキングが」
「武藤遊戯の名前を騙って、本人が乗り込んできたら吾輩とて無事では済まん。彼に一目置いている決闘者達も一緒になって殴りこまれては…」
一瞬、その光景を想像したイサベルの全身に悪寒が走る。
「…しも。もしも武藤遊戯が。城之内の名誉を傷つけた事に怒り狂って乗り込んできたら」
「それは無い」
「えっ?」
「城之内にとって武藤遊戯は親友だろう。だが、武藤遊戯にとってはどうだろうか?」
ガルパン子爵は言葉を続ける。
「デュエルキングとなった武藤遊戯にとって、彼とはもはや住む世界が違う。そもそもデュエリストとして打ち立てた功績には、雲泥の差があるでは無いか。」
「…私はそうは思えません。例えどれほどの月日が流れようと、彼らは友人であり続けるかと。」
城之内が単なる有名人の「腰巾着」でしかないなら、その認識をイサベルは共有しただろう。
だが。ミズガルズ王国に来るや否やデュエルモンスターズの大会に飛び入り参加して優勝。
その後もデュエルモンスターズを通じて、異郷であるミズガルズ王国人との間に人脈を作りあげた。
彼自身が、熱い信念と強さを併せ持っているからこそ。ミズガルズ王国の民を勇気づけ、それにより巣食っていたデュエルギャング達は一掃された。
カードケースから、ガルパン子爵は数枚のカードを取り出す。
「S召喚というのか、インダストリアルイリュージョン社のアジア総局にあったS召喚のテーマデッキを根こそぎ頂いたし、支給用のカード群も拝借しておいた。」
「…流石ですね。」
「ところで、最近よく会っているというジャパンの少年はボーイフレンドかね?」
「ち、違います!」
「賢明な事だ。男爵家とはいえ、誉れ高きミズガルズ王国の貴族の血を引く末裔が日本人と交わるなどあってはならない。」
「…心得て、心得ております。」
チクリ、と胸を刺すような痛みを覚えながら、イサベルは答える。
「そうか、なら問題ないな。」
ゾッとするような声色で、ガルパンはつぶやく。
「何でしょう?」
「何。私の弟子を倒したという猫崎とかいう少年に、同志を送り込んだのだ。」
「だ、誰を?」
「レフタだ。少々、やり過ぎてしまうかもな。」
デュエルギャングの名前が上がった事で顔色が変わるイサベルを見ながら、ガルパンは告げる。
「イサベル、君の居場所は我々の所にしか無いのだ。」
「わかって、わかっております。」
絞り出すように、イサベルは何とか表情と声色を取り繕った。
その頃。猫崎亮三は互いのデッキを賭けたデュエルを挑まれていた。
「さぁ、始めようか」
レフタと名乗る男が口を開く。線の細い美形の西洋人だが、どことなく声色が悪い。
「行くよ。」
「「デュエルッ!!」」
レフタ ライフ4000
手5 場
亮三 ライフ4000
手5 場
「僕の先攻、ドロー!召喚僧サモンプリーストを召喚!このカードを守備表示に変更する。手札の魔法カード、デーモンの斧を捨てて、デッキからマハー・ヴァイロを特殊召喚!」
「攻撃力1550、か。」
「装備魔法、団結の力をマハー・ヴァイロに装備!これで攻撃力は1600ポイントアップ、そしてマハー・ヴァイロの効果、装備カード1枚につき、攻撃力が500ポイントアップ!」
「攻撃力3650か」
「カードを一枚伏せ、ターンエンド!」
レフタ ライフ4000
手5 場
亮三 ライフ4000
手2 場 マハー・ヴァイロ サモンプリースト 団結の力 伏せ1
「僕のターン、ドロー!サモンプリーストか、君の兄が、これでレスキューキャットを展開する戦術を使っていたな。」
「そうだね。」
「なら、僕も使わせてもらう。装備魔法、強奪を発動!サモンプリーストのコントロールを」
「カウンター罠、八式対魔法多重結界!」
「ん?」
「フィールド上のモンスター1体を対象にした魔法の発動と効果を無効にし破壊する!」
「へぇ、それか。イサベルが言っていたカードは。」
「イサベルの知り合い、なのか。」
「名前を呼ぶな!ちょっと話したぐらいで脈があると思ったのかい?日本人風情が。」
剣呑な声を発するレフタ。
その発言に、ややショックを受ける亮三。
「思い知らせてやるよ!手札からチューナーモンスター、A・O・Jサイクロンクリエイターを召喚!」
「A・O・J…俊二兄さんのカタストルと同じテーマ?」
「さらに、手札の不幸を告げる黒猫を捨てて、魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動!デッキからサイバー・ヴァリーを特殊召喚!」
「サイバー流…のカード?」
「元々は門下生という奴が持っていたものだけどね。割と便利だから入れている。魔法カード、機械複製術を発動!サイバー・ヴァリーを二体、デッキから特殊召喚!」
「レベル1が3体、レベル3チューナー…いや、サイバー・ヴァリーの効果を使うか?」
「レベル1のヴァリー2体に、レベル3のサイクロンクリエイターをチューニング!S召喚!A・O・Jカタストル!」
「カタストル!」
「バトルだ、行け、カタストル!マハー・ヴァイロを攻撃!そしてカタストルの効果発動!闇属性モンスターでは無い、マハー・ヴァイロを破壊!」
「っつ!」
「カードを一枚伏せ、ターンエンド!」
レフタ ライフ4000
手0 場 カタストル ヴァリー 伏せ1
亮三 ライフ4000
手2 場 サモンプリースト
「…僕のターン、ドロー!だけど、カタストルの効果は闇属性には発動しない!サモンプリーストを攻撃表示に変更!装備魔法、魔導師の力とデーモンの斧を装備!これで攻撃力は2000ポイントアップ!」
「攻撃力2800か…」
「バトル!サモンプリーストで、カタストルを攻撃!」
「サイバー流を壊滅させた男の弟というから多少期待したが、この程度か。永続罠、DNA移植手術!場のモンスターを光属性に変更する!」
「?!」
「カタストルの効果発動!サモンプリーストを破壊!闇属性モンスターの攻撃力を上げるという単調な突破が通じるとでも?身の程を知れ、日本人。」
「…カードを一枚伏せ、ターンエンド!」
レフタ ライフ4000
手0 場 カタストル ヴァリー DNA移植手術(光)
亮三 ライフ4000
手0 場 伏せ1
「僕のターン、ドロー!異次元の偵察機を召喚。サイバー・ヴァリーの効果発動、このカードと異次元の偵察機を除外して、二枚ドロー!」
「……」
「チッ、バトル!カタストルでダイレクトアタック!」
「だけど、まだライフは…」
「ハハッ!これだから日本人は…。速攻魔法!リミッター解除!機械族の攻撃力を二倍にする。」
「えっ?」
引いたカードが、望んだカードでは無かったはず。
「タイム・イズ・マネー。君程度の相手に、これ以上時間をかけるのは無意味だ!」
「うわあああああっ!」ライフ0
レフタは亮三のデッキを奪う。
「…思ったより練られているな。これが八式対魔法多重結界か…いいね、気に入った。優秀なカウンター罠だ。」
袖口のリストバンドに、『リミッター解除』のカードを戻し、レフタはその場を後にする。
ミズガルズ王国のデュエルギャングである、レフタは元々日本人を見下していた。だが、その日本人に無様に敗れた。
城之内克也、という決闘者に。
袖口のカードとのすり替えを、3ターン目と5ターン目にしたにも関わらず。しかも、そのイカサマを見抜かれていた。
『お前のようなイカサマをした奴を俺は知っている。ちなみに、そいつはお前より上手だった』
屈辱だった。このイカサマのテクニックを見破られたことなど無かったのに。
「城之内、お前の家族や友達を酷い目に合わせた上で復讐してやる…。このA・O・Jデッキと、属性戦術で。」
サイバー流の残党を狩るために、インダストリアルイリュージョン社がアジア総局に送ったA・O・Jデッキは、ガルパン子爵に盗み出されたうえでミズガルズ王国の犯罪勢力の手に渡っていた。
しかしDNA移植手術に依存している以上、人造人間-サイコ・ショッカーを召喚されればカタストルを処理されてしまう。
だからこそ、それを補うカードが必要だった。
そんな時に装備魔法を多用する日本人の少年の話を聞いた。
イサベルに妙な気を起こさせず、デッキ強化を合わせて襲来したのだった。
城之内君のデッキは全体的に打点が不足しているので、種族・属性を問わず永続的に打点を底上げするオレイカルコスの結界との相性は良いと思います。本人が使う光景がまるで想像できませんが。
蛭谷さんのデッキは、スタンガン繋がりからライトニング・ボルテックスとサンダー・ブレイクを考えた所、手札コストを稼げる獣族という事で百獣王ベヒーモス主軸の【獣族】にしました。