アンチリスペクト物で、「リスペクトに反する」と門下生が言うシーンがありますが…その言葉で傷ついているのはデュエリストだけでは無いと思います。
…肝試しに行った生徒が戻ってこない。
おりしも行方不明者の保護者がサイバー流の関係者という事、警察でも見つけられないという事で、オカルト方面に強い才獏に話が回ってきた。
「…それで、何者だ貴様ら」
癖のある茶髪の少年、坊主頭で眼鏡をかけた少年、ツンと尖った鼻の少女、ロングヘアの少女。
「わたくしは才金。才獏様の依頼とは無関係ですわ」
「あ?」
「才治と散策していたら、偶然出くわしただけ。」
そう言って坊主頭の少年に寄り添う少女。
やや照れている事から二人の仲を察する闇獏良。
「…貴様らが、今回同行するメンバーだな。」
「私は才花です。」
「僕は才光、今回の依頼に協力するように指示を受けました。」
「ふん、俺様の邪魔をしないなら別にいい。」
やや薄暗くなりつつある中、煌々と明りが灯っている人形屋。
そこに、闇獏良は目を向ける。
盗賊王としての嗅覚が、ここに何かあると告げていた。
「人形屋…。」
「こんな所にあったかしら?」
首をかしげる才光と才花。
「ここに人形屋は無いはずだ。空き地で買い手がつかないって、不動産に就職した知り合いがぼやいていたから」
「そ、そうなの?さ、さぁ行きましょう才治!」
「あ、ああ。そうだな。」
早々に立ち去ろうとする二人に目を向ける闇獏良。
「何があった?」
「セブンスターズ、というのはご存じですか?」
「ああ?」
「デュエルアカデミアに封印されていた三幻魔を解放しようとした、影丸理事長の配下です。あの二人はセブンスターズと闇のゲームを闘いました。」
「それまで、オカルトなど眉唾物と思っていたら実害を受けた事でかなり考え方が変わったとか。」
「ふん。」
去っていく二人に対し興味を失う闇獏良は、人形屋の入り口に手をかける。
才治という少年の言葉が正しければ、存在しないはずの人形屋、そして行方不明者。
入ってみる価値は、ありそうだ。
中に入ると、思った以上に奥行きがあり、広い。
置かれている人形は、精緻な細工が施されており、素人目でみても高級そうな物ばかりだ。
「…綺麗」
「こういう店に入るのは初めてだ。少し不思議な感覚。」
「こんなモノが欲しいのか。」
「えっ?」
「まぁ、人の趣味に口出しする気はねぇ…。雑魚と後ろは任せた」
そう告げて、闇獏良は奥の扉に向かい…ひとりでに開いた扉をくぐってその先へ無遠慮に踏み込む。
「才獏様!?」
慌てて扉に向かおうとする才光は、異臭を嗅ぎつける。
「い、いやあああああああっ?!」
「才花、どうし」
その言葉を言い終わる事が出来なかった。
かなり綺麗だった人形屋の内装が変わり果てる。朽ち果て、埃が積もった廃墟。
ボロボロになった人形が、恨めし気に起き上がると向かってくる。
「才獏様!こういう事なら、もっと説明してくださいよ!」
元の人格である才獏ならある程度事情を話しただろうが、闇獏良にそういう気づかいは無い。
二人に任せたが、彼らが失敗したならば自力で脱出する。
「「デュエルッ!!」」
才光 ライフ4000
手5 場
壊れた人形 ライフ4000
手5 場
「…先攻、ドロー。X-ヘッド・キャノンを、召喚。魔法カード、おろかな埋葬…。デッキから、Y-ドラゴン・ヘッドを墓地に。」
「この流れは」
「装備魔法、早すぎた埋葬。ライフを800払い、墓地からY-ドラゴン・ヘッドを特殊召喚」ライフ4000から3200
「一ターンで揃えてくるつもりか!」
「永続魔法、前線基地。1ターンに1度、手札のユニオンモンスターを、特殊召喚。Z-メタル・キャタピラーを特殊召喚。この三体を除外。XYZ-ドラゴン・キャノンを、特殊召喚。カードを1枚伏せ、ターンエンド」
才光 ライフ4000
手5 場
壊れた人形 ライフ4000
手0 場 XYZ-ドラゴン・キャノン 前線基地 伏せ1
「僕のターン、ドロー!フィールド魔法、フュージョン・ゲートを発動!プロト・サイバー・ドラゴンを召喚!フュージョン・ゲートの効果発動!場のプロトと手札のサイバー・ドラゴン2体を除外!現れろ、サイバー・エンド・ドラゴン!」
「攻撃力、4000…罠発動、威嚇する咆哮。攻撃は、させない」
「僕はカードを1枚伏せ、ターンエンド!」
才光 ライフ4000
手1 場 サイバー・エンド・ドラゴン フュージョン・ゲート 伏せ1
壊れた人形 ライフ4000
手0 場 XYZ-ドラゴン・キャノン 前線基地
「…ドロー。XYZの効果、発動。手札のシュレッダーを捨て、サイバー・エンド・ドラゴンを破壊」
「永続罠、ディメンション・ガーディアン!サイバー・エンド・ドラゴンを選択!選択したモンスターは戦闘・カード効果では破壊されない!」
才災師範が安全地帯を『リスペクトに反する』と明言した事で、才光は似たような効果を持つこのカードを探し、デッキに入れていた。
「…ターンエンド」
才光 ライフ4000
手1 場 サイバー・エンド・ドラゴン フュージョン・ゲート ディメンション・ガーディアン
壊れた人形 ライフ4000
手0 場 XYZ-ドラゴン・キャノン 前線基地
「僕のターン、ドロー!バトルだ、サイバー・エンド・ドラゴンでXYZ-ドラゴン・キャノンを攻撃!」
「……」ライフ4000から2800
「メインフェイズ2、サイバー・ヴァリーを召喚してターンエンド!」
才光 ライフ4000
手1 場 サイバー・エンド・ドラゴン サイバー・ヴァリー フュージョン・ゲート ディメンション・ガーディアン
壊れた人形 ライフ2800
手0 場 前線基地
「…ドロー。魔鏡導士リフレクト・バウンダーを召喚。バトル、サイバー・ヴァリーを攻撃」
「サイバー・ヴァリーの効果発動!このカードを除外して1枚ドロー。そしてバトルを終了する」
「…ターンエンド。」
才光 ライフ4000
手1 場 サイバー・エンド・ドラゴン サイバー・ヴァリー フュージョン・ゲート ディメンション・ガーディアン
壊れた人形 ライフ2800
手0 場 魔鏡導士リフレクト・バウンダー 前線基地
「僕のターン、ドロー!」
「リフレクトバウンダーは攻撃されれば、攻撃してきた相手モンスターの攻撃力分のダメージを、与える…。」
「速攻魔法、月の書!リフレクトバウンダーを裏側守備表示に変更!」
壊れた人形の腕が下がる。
戦意喪失したらしい。
「…何故」
「?」
「何故、リスペクトに反していると、言わない?サイバー流、だろう?」
「色々考えた、リスペクトとは何か、を。相手の戦術を批判・否定する行為にリスペクト精神は無い。」
「……」
「バトル!サイバー・エンド・ドラゴンで、リフレクトバウンダーを攻撃!」
「……」ライフ0
ライフが尽きた人形は崩れ落ち、カードが散らばる。
リスペクトに反するという烙印を押されたカードを才光は回収する。
「才花、これを!」
才花は、受け取ったデッキに自身の持っていたカードを数枚、エクストラデッキに数枚の融合モンスターを追加してデュエルディスクにセットする。
以前のデッキは、サイバー狩りにより奪われた。
そんな彼女に、別の壊れた人形が向かう。
「「デュエルッ!!」」
才花 ライフ4000
手5 場
壊れた人形 ライフ4000
手5 場
「先攻、ドロー…。魔法カード、手札断殺。互いに手札を二枚捨てて、二枚ドロー。抹殺の邪悪霊、怨念の邪悪霊を墓地に…」
「起動砦のギア・ゴーレムとおろかな埋葬を捨てて、二枚ドロー!」
「魔法カード、おろかな埋葬…デッキから冥界の魔王ハ・デスを墓地に送る…。墓地の悪魔族モンスターを3体除外して、ダーク・ネクロフィアを特殊召喚…守備表示。」
「ダーク・ネクロフィア、相手によって破壊されたらモンスターのコントロールを奪う悪魔族!」
「除外された悪魔族モンスターを3体デッキに戻し…カース・ネクロフィアを特殊召喚…」
「?!なに、このモンスター、初めて見るわ!」
「モンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンド。」
才花 ライフ4000
手5 場
壊れた人形 ライフ4000
手0 場 ダーク・ネクロフィア カース・ネクロフィア セットモンスター 伏せ1
「私のターン、ドロー!永続魔法、未来融合フューチャー・フュージョンを発動!カードを1枚伏せてターンエンド!」
「エンドフェイズ、永続罠発動…ウィジャ盤。デッキから死のメッセージ『E』を発動…」
「ウィジャ盤!?」
才災がリスペクトに反するとした特殊勝利条件の一つ。
サイバー流の門下生相手に、マジック・キャンセラーでサイクロンなどの除去札を封じ、威嚇する咆哮や和睦の使者でターンを稼いで完成させた決闘者を才花は思い出す。
才花 ライフ4000
手4 場 未来融合(0) 伏せ1
壊れた人形 ライフ4000
手0 場 ダーク・ネクロフィア カース・ネクロフィア セットモンスター ウィジャ盤 死のメッセージ『E』
「ドロー…バトルフェイズに」
「メインフェイズ終了時に罠発動!威嚇する咆哮!バトルフェイズは行わせない!」
「ターンエンド…」
才花 ライフ4000
手4 場 未来融合(0)
壊れた人形 ライフ4000
手1 場 ダーク・ネクロフィア カース・ネクロフィア ウィジャ盤 死のメッセージ『E』
「私のターン、ドロー!永続魔法、未来融合の効果発動!デッキからサイバー・ドラゴン2枚、X-ヘッド・キャノン、Y-ドラゴン・ヘッド、Z-メタル・キャタピラー、シュレッダー、魔鏡導士リフレクト・バウンダー、魔装機関車デコイチ、カードガンナー、計9枚を墓地に送り、次のターンにキメラテック・オーバー・ドラゴンを特殊召喚!」
「キメラテック・オーバー・ドラゴン…」
「魔法カード、オーバーロード・フュージョンを発動!先ほど墓地に送った機械族9枚と起動砦のギア・ゴーレムを除外して、キメラテック・オーバー・ドラゴンを特殊召喚!」
「攻撃力が…?」
「このカードの攻撃力は融合素材モンスターの数800ポイントアップ!よって攻撃力は8000!バトル!キメラテック・オーバー・ドラゴンで、カース・ネクロフィアを攻撃!」
「……」ライフ0
倒れる人形。だが、まだまだ終わりでは無い。
新手が押し寄せる。
才花が壊れた人形相手に勝利した同時刻。闇獏良は奥の部屋にたどり着く。
先ほどの部屋程大きくはない。大きな鏡が立てかけられている。
赤いゴスロリ衣装に身を包んだ、金髪で金色の眼を持つ人形が、笑顔を向けてくる。
「…ようこそ。私の館へ」
「ケッ、何が館だ」
「この近くで、行方不明者が出ている。何か知らねぇか?」
「フフっ、まだ夜は長いわ。ゆっくり話しましょう。紅茶はいかが?」
「いらねぇよ。」
切り捨てられ、人形はやや鼻白む。
「そう…なら、こうさせて貰うわ」
人形の足元から魔法陣が伸び、闇獏良ともども包み込む!
「これは…」
「ふふっ。闇のゲームの始まりよ。敗者の魂は人形に封じられる」
「ケッ、腐れ人形のてめぇにはノーリスクって事か。まぁいい。望み通りぶっ壊してやるよ!俺様は才獏!」
「名乗られたからには、こちらも名乗るわ。私は、フォウリー。」
「「デュエルッ!!」」
才獏 ライフ4000
手5 場
フォウリー ライフ4000
手5 場
「先攻はてめぇに決めさせてやるよ。」
「なら、私の先攻。ドロー!魔法カード、トレード・インを発動!手札のLv8のギミック・パペット‐ネクロ・ドールを捨てて二枚ドロー!」
「レベル8で攻守0だと?」
「フフッ、永続魔法、星邪の神喰を発動!私の墓地のモンスター一体のみがゲームから除外された場合、デッキからそのモンスターと異なる属性のモンスターを墓地に送るわ!」
「ほぅ?」
「さらに永続魔法、魂吸収!墓地のカードが除外されるたびに、私はライフを500回復する!」
星邪の神喰と魂吸収。除外ギミックを入れたデッキと推測する闇獏良。
「フフっ、お友達を紹介するわ。私はギミック・パペット‐シザー・アームを召喚!効果発動、デッキからギミック・パペットを一体墓地へ送る!私はギミック・パペット‐ハンプティダンプティを墓地に送る。」
「何を狙っていやがる」
「墓地のネクロ・ドールの効果発動!墓地からギミック・パペットを除外して、このカードを特殊召喚!最も、1ターンに1度しか使えないけれどね。そして魂吸収でライフ回復!」ライフ4000から4500
「墓地のモンスターが除外されたって事は」
「星邪の神喰の効果発動!除外されたハンプティダンプティは闇属性!地属性を墓地に送るわ。」
「マシンナーズ・フォートレスだと?」
ギミック・パペットモンスターではない事を訝しく思う闇獏良。
「魔法カード、アドバンス・ドローを発動!レベル8のネクロ・ドールをリリースして、二枚ドロー!ここで、墓地のマシンナーズ・フォートレスの効果発動!手札の機械族をレベル8以上になるように捨てて、墓地から特殊召喚!ネクロ・ドールを墓地に捨てて、再起動よ、フォートレス!!」
「ちっ、またコストが墓地に行ったか」
「カードを一枚伏せ、ターンエンド!」
才獏 ライフ4000
手5 場
フォウリー ライフ4500
手2 場 フォートレス シザー・アーム 星邪の神喰 魂吸収 伏せ1
「俺様のターン、ドロー!俺様は、サイバー・ヴァリーを召喚!魔法カード、機械複製術を発動!デッキからサイバー・ヴァリーを二体特殊召喚!」
「攻撃力0を攻撃表示?どんな効果があるの?」
「…攻撃されたらゲームから除外し、俺様はカードを1枚ドローする効果。もう一つはこのカードとそれ以外の俺様の場のモンスターを除外して2枚ドローする効果。三つめはこのカードと手札を1枚除外して、墓地のカードをデッキの一案上に戻す、だ」
「三つも効果があるなんて…」
「カードを一枚伏せてターンエンドだ!」
才獏 ライフ4000
手3 場 サイバー・ヴァリー サイバー・ヴァリー サイバー・ヴァリー 伏せ1
フォウリー ライフ4500
手2 場 フォートレス シザー・アーム 星邪の神喰 魂吸収 伏せ1
「私のターン、ドロー!魔法カード、強制転移を発動!私のお友達、シザー・アームを上げるわ」
「要らねぇよ。サイバー・ヴァリーだ。」
「あら、いい子ね。私は新しいお友達、ギミック・パペット‐死の木馬を召喚!効果発動!このカードが場にある限り1度だけ、場のギミック・パペットを破壊できる。お友達は返してもらうわっ!」
「送り付けて、てめぇの手でぶっ壊すのか。いい趣味してやがる」
「私は、サイバー・ヴァリーの効果発動!死の木馬とこのカードを除外して、二枚ドロー!魂吸収でライフを1000回復するわ!」ライフ4500から5500
「墓地の死の木馬を除外して、ネクロ・ドールを墓地から特殊召喚!魂吸収でライフを500回復!そして星邪の神喰で、デッキから地属性で2体目のマシンナーズ・フォートレスを墓地に送るわ!」
「またか」
「二枚目のアドバンス・ドローを発動!場のネクロ・ドールをリリースして、二枚ドロー!魔法カード、悪夢再びを発動!墓地のネクロ・ドールを二枚、手札に戻すわ!」
「墓地にフォートレス、手札に高レベルの機械族という事は…」
「手札のネクロ・ドールを捨てて、墓地のマシンナーズ・フォートレスを特殊召喚!バトル!マシンナーズ・フォートレスで、サイバー・ヴァリーを攻撃!」
「ヴァリーの効果発動!このカードを除外して、一枚ドロー!バトルは終了だ!」
「なら、魂吸収でライフ回復!」ライフ5500から6000
「ターンエンド」
才獏 ライフ4000
手3 場 サイバー・ヴァリー 伏せ1
フォウリー ライフ6000
手4 場 フォートレス フォートレス 星邪の神喰 魂吸収 伏せ1
「俺様のターン、ドロー!手札の超電磁タートルを捨てて、魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動!デッキからサイバー・ラーヴァを特殊召喚!サイバー・ヴァリーの効果発動!こいつとラーヴァを除外して、2枚ドロー!」
手札を見つめ、考え込む闇獏良。
仕掛けられるが、カードが足りず仕留めきれない。
「ターンエンドだ」
才獏 ライフ4000
手4 場 伏せ1
フォウリー ライフ6000
手4 場 フォートレス フォートレス 星邪の神喰 魂吸収 伏せ1
「…退屈」
「今はな。」
「もういいわ。そろそろ終わらせてあげる。私のターン、ドロー!二枚目のトレード・インを発動!ネクロ・ドールを捨てて二枚ドロー!私は新しいお友達、ギミック・パペット‐ボム・エッグを召喚!効果発動、手札のギミック・パペット‐マグネ・ドールを捨てて、貴方に800ポイントのダメージを与える!」
「チッ、人形風情が!」ライフ4000から3200
「フフッ、墓地のネクロ・ドールの効果発動!マグネ・ドールを除外して墓地から特殊召喚!魂吸収でライフを500回復!そして星邪の神喰で、デッキから地属性で3体目のマシンナーズ・フォートレスを墓地に送るわ!」ライフ6000から6500
「またそのコンボか」
「三枚目のアドバンス・ドローを発動!ネクロ・ドールをリリースして二枚ドロー!二枚目の悪夢再びを発動!墓地からネクロ・ドールを二枚、手札に戻す!そして手札のネクロ・ドールを捨てて、墓地のマシンナーズ・フォートレスを特殊召喚!」
「フォートレスが三体か…」
「バトル!フォートレスでダイレクトアタック!」
「墓地の超電磁タートルを除外して、バトルフェイズを終了する!」
「カードが除外された事でライフ回復!」ライフ7000から7500
「ターンエンド。これで壁は無くなったわ」
才獏 ライフ3200
手4 場 伏せ1
フォウリー ライフ7500
手4 場 フォートレス フォートレス フォートレス ボム・エッグ 星邪の神喰 魂吸収 伏せ1
「俺様のターン、ドロー!ヒャーッハッハッハ!このターンで、てめぇをぶっ潰してやるぜ!」
「っつ!だったら、これを見なさい!あの子がどうなっても」
大きな鏡に、入口の光景が映し出される。
同行者を人質に取ろうとしたが…
「?!ぜ、全滅っ!」
「ヒャハハハハハ!ざまぁねえな!」
笑いつつも手間が省けた事で、闇獏良の中での彼らの評価が若干上がる。
「速攻魔法、サイクロン!その伏せカードを破壊だ!」
「スピリットバリアが!」
「フリーチェーンの妨害札じゃあ無かったか…。相手の場にのみモンスターが存在することで、サイバー・ドラゴンを特殊召喚!そして場のサイバー・ドラゴンとてめぇの場の機械族を全て墓地に送る!」
「なっ!」
「現れろ、キメラテック・フォートレス・ドラゴン!」
「わ、私のモンスターを使って融合召喚?!」
「こいつの攻撃力は、この効果で墓地に送った機械族の数×1000ポイント!よって攻撃力は5000!バトルだっ!」
「だ、だとしても…ライフはまだ残る!そうなれば」
「魂吸収でライフを回復していやがったからなぁ…。キメラテック・フォートレス・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「この攻撃を受けても、まだライフ…は…」
突如、キメラテック・フォートレス・ドラゴンの勢いが強まる!
「速攻魔法、リミッター解除!これで攻撃力は10000だ!」
「い、いやああああああああっ!」ライフ0
ライフが尽きたフォウリーはその場に崩れ落ちる。
「私が、私が…負けた?いやっ、私のお友達が…」
「友達だぁ?てめぇにそんなモン、いねぇだろうが」
「なっ!」
「ギミック・パペット共はネクロ・ドールが復活するためのコスト、そのネクロ・ドールはマシンナーズ・フォートレスを起動させるためのコスト。その上除外される連中の魂すら啜る。てめぇの本性が良く出ているデッキじゃねぇか」
フォウリーは、言い返せなかった。彼女にとって、自分が一番可愛い。
闇獏良はその本性を見抜いていた。この手のタイプは、追い詰めたら人質に取って攻撃を躊躇させようとしてくる。
体が朽ち果てていくフォウリーを冷たい目で見下ろす闇獏良。
「大方、てめぇを捨てた人間に復讐しようとしていたんだろうが。」
「お、お願い…たす、け」
闇獏良の返事は、振り下ろされる足だった。
フォウリーの脳裏に今までの記憶が走馬灯のようによぎる。
『パパ-!この人形欲しい!』
『わぁ、新しいお人形!この人形?いいわ、飽きちゃった。もう、要らない』
…死ぬ?この、私が?
単なる人形でありながら、自我を持って自立出来るようになった優れた存在が?
呪詛の言葉を紡ごうとする直前、衝撃が走り…そのまま、フォウリーの意識は暗転する。
「…さて」
闇獏良は踵を返す。
これで一件落着、とはいかない。先ほどの鏡に映っていた部屋を探しだし、行方不明の子供を救出して家族に届け、事件解決を報告して…。
依頼金と謝礼を頂かないと割に合わない。
ふと、落ちているカードに目を向ける。
マシンナーズ・フォートレスに依存しきったデッキ。ギミック・パペットモンスターは展開力こそあれ、打点が足りなさすぎる。
S召喚とやらと組み合わせれば、使えるようになるかもしれない。
他にも色々カードが落ちている。
闇獏良がカードを回収している頃。
「…?!新手か!」
ようやく終わったと思い、呼吸を整えていた才光と才花の前に新たな人形が現れる。
かなり大きい。金髪で翡翠の眼を持ち、緑色の服を纏っている。
「…貴方達は、サイバー流の関係者ですか?」
「そうだ。」
「…ここにあるのは、不必要と言われて捨てられた人形と、リスペクトに反するとされたカード達。」
「そうね、才災師範ならばリスペクトに反すると断ずるカードばかりだわ。」
「…でも、貴方達はリスペクト精神が無いのか、と私達に言わなかった。何故ですか?」
「色々考えたんだ、リスペクト精神とは何か、を。」
「その結果、相手がどんなカードを使おうと批判・否定する事はやめたわ。」
人形は、しばし沈黙する。
「…リスペクトに反しているデュエルをするデュエリストは変われるでしょう。では、リスペクトに反しているとされるカードは、変われるのでしょうか?」
「それは…。」
サイバー流は声高に、リスペクト精神を掲げる。
だが、リスペクトに反したという烙印を押されたカードは、変われるはずが無い。
人形はじっと二人を見つめる。
「…行方不明者が居る部屋はあちらです…。」
そこまで言うと、人形は音もなく崩れ落ちる。
「……行きましょう、才光。」
「そうだな。」
闇獏良が戻ると、才光と才花が子供を連れていた。
「才獏様!ご無事でしたか!」
「行方不明者は助けました!」
「…ふん。」
手間が省けた。
「もうここに用は無い。」
行方不明者の子供を家に帰し、報酬を頂いた闇獏良に対し才光と才花は相談する。
「才獏様。修行に付き合ってくれませんか?」
「お忙しいのであれば、無理にとは言いませんが。」
言下に断ろうとした闇獏良の眼に、カース・ネクロフィアのカードが映る。
「おい、そのカードはなんだ?」
「?!失礼しました。先ほど回収したカードです。」
「見せろ。」
かなり強い口調で言われたため、才花はデッキごと差し出す。
「…こいつを譲るというなら、使い物になるよう鍛えてやる。」
「えっ?それで良ければ。」
リスペクトに反するカードのオンパレードだが、なぜか琴線に触れたらしい。
ようやく、自身好みのデッキが組めた闇獏良は酷薄な笑みを浮かべる。
数時間後。
人選を間違えたかもしれない。
才光と才花はぼんやりと思いながら、大の字になって横たわる。
疲弊していたが、おかげで見えてくるもの、得る物は少なからずあった。
「…こんな物か。」
「ありがとう、ございます。才獏様から頂いたこの戦士族のカード、大事にします。」
「そいつは貴様の戦略と相性がいい。どうだ、キメラテック・オーバー・ドラゴンのリスクを回避できただろう?そのカードも貴様のデッキには合うはずだ」
「は…い…。この植物族モンスター、大事にします…才獏様。リスペクト精神とは何でしょう?」
中々再構築できなかったオカルトデッキを再構築できるという喜びの赴くまま、徹夜でスパルタ教育したためか闇獏良自身、疲労している。
それでも投げかけられた問いに対し、思考をめぐらす。
「デュエルに勝ちたいなら、あらゆる手段を使って勝つべきだ。貴様は俺様とデュエルしたが、勝ちたいと思ったはずだ。」
「それは…」
「そして勝つ為に除去カードが、カウンター罠が必要なら使うべきだ。それをせず、相手に使われたら文句を言うのは…ガキの我儘だ。」
元サイバー・ランカーズのブロック代表を才光と才花は見つめる。あまり交流は無かったが、少なくとも才災勝作の『正しい・リスペクト・デュエル』を盲信していた彼が、ここまで変わるとは。
よほど才災師範の行動がショックだったのだろう。
「リスペクト精神というのは、言葉に出来るようなモノじゃあねぇ事は今更言うまでも無いだろう。才災の思想が広まったのは明確な言葉にしたからだが…。こうなっちまった以上、サイバー流の門下生は今一度、それぞれ見直す時期が来たんじゃあねぇか。」
「才獏様…。」
「さて、俺様はそろそろ行くぞ。今日の続きについては、また追って開催日と場所を知らせる。連絡先を寄越しな」
…どうやら本当に人選を誤ったかもしれない。
内心後悔する二人。
闇獏良自身、特訓と言いつつ早々に切り上げるつもりだったが…。この二人は中々教えがいという物があった。
自身には及ばないが、相応の『引きの強さ』がある。
しかもこの二人は無意識の内に…僅かではあるがヘカを込めている。
とはいえ、3000年前と違い魔力の濃度が希薄な上に千年アイテムの類も持っていない為、デュエルで人間に危害を加えるには至らない。
最も、鍛えれば相手がオカルト関連の存在であれば少なからず効果は出てくる。派手に動くつもりは無いが、保険をかけておいて損は無い。