猫シンクロ使いが行く遊戯王GX!   作:交響魔人

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SIDE形式の書き方、ダイジェストデュエルの書き方を試してみたくて投稿します。
時系列は、猫シンクロ使いが行く遊戯王GX!の本編開始前の物語になります。



前日譚
前日譚!如月同盟『前編』


???side

 

 海覇(かいは)市、2月の昼。天気予報では寒風吹きすさぶ日と言っていたが、私にとっては涼しい程度だ。

 何より、私の呼びかけに集まってくれた者達は、この程度の寒さを吹き飛ばすような熱気に包まれている。

 

 

 

 

「私は、速見 信乃(はやみ しの)!諸君はデュエルキング、武藤遊戯様がグールズのエクゾディア使い、ギドーに告げたセリフを知っているか!彼はこう述べた!『グールズよ!今、お前が持ちうる最高の戦術で挑んできな!だが、俺のデッキが粉砕する!』と!」

 

 

 一拍置いて、私は続ける。

 

 

「これこそが、デュエリストが目指すべき道である!サイバー流はリスペクトに反すると相手の戦略・戦術を批判、否定しているが…。相手が今持ちうる最高の戦術で挑んでくる以上、それに対して行うべきは批判や否定では無く、真っ向から己の信じたデッキで挑む事である!故に、私はここに宣言する!サイバー流に対抗する組織の設立を!」

 

 

 私は、高らかに右腕を伸ばして宣言する!

 

 

「今は2月!旧暦でいえば如月(きさらぎ)…故に!私は如月同盟(きさらぎどうめい)と名付ける!私と共に立ち上がる者は、今しばし、この場にとどまるがいい!」

 

 

 誰も去らなかった事で、私はその場に集まってくれた者全員と一人一人、眼を合わせる。

 

 

「決まりだ。今から、我々はサイバー流のリスペクトデュエルと対立する組織、如月同盟である!」

 

 

 湧き上がる歓声。だがそこに待ったをかける者があらわれる。

 

 

「待てぃ!サイバー流の正しい・リスペクト・デュエルに逆らうとは、お前達には対戦相手に対する敬意が無いのか!」

「早速嗅ぎつけて来たか、サイバー流!言いたいことがあるなら…私に勝ってから言うがいい!」

 

 私はデュエルディスクを構える。さぁこい、サイバー流!お前達のリスペクト・デュエル、真っ向から受けてたつ!

 

 

速見sideout

 

 

???side

 

 俺は滝川、サイバー流の門下生だ。

 サイバー流の才災師範が掲げる、正しい・リスペクト・デュエル。それに疑問を抱くという愚か者が決起集会を開くという情報を密かに入手した俺は、他の門下生と一緒に網を張っていた。

 本来なら、証拠を確保したうえで上に報告するべきなのだろうが…。ここで、サイバー流に逆らう愚か者の首領を倒せば、サイバー流での俺の地位は鰻登り!

 

 そうなれば、サイバー・ランカーズへの昇格デュエルだって夢ではない!

 

 相手は前髪をぱっつんと切りそろえ、綺麗な長い青い髪を後ろで結び、青いジャケットを羽織り、青い短パンとロングブーツを履き、デュエルディスクには青色の塗装が施されている。

 目鼻立ちは整っており、正直、好みのタイプだがデュエルである以上油断はしない!

 

 

「「デュエルッ!!」」

 

 

速見 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

滝川 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

 俺は余裕をもって告げる。

 

「先攻は譲ってやろう。」

「では遠慮なく貰う。ドロー!私はモンスターをセット、これでターンエンドだ」

 

 

 何かするのかと思ったら、拍子抜けだ。見た目は良いが…可哀そうに食べた物は頭では無く胸と太ももに行っているようだ。

 

 俺は手札をチラりとみる。最強の手札、これはもう勝ったも同然だ。

 

 

 

速見 ライフ4000

手5 フィールド セットモンスター 

    魔法・罠 

滝川 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「それで終わりか!俺のターン、ドロー!魔法カード、パワー・ボンドを発動!手札のサイバー・ドラゴン3体を融合!現れろ、サイバー・エンド・ドラゴン!」

 

 俺は意気揚々と、かつてサイバー流で一子相伝だったが、才災師範の『英断』により、優秀な門下生にも支給されるようになったエースモンスターを呼び出す。

 パワー・ボンドにより、攻撃力は元々の攻撃力分アップするため攻撃力は8000!しかも貫通効果持ち!

 

 相手の場に伏せカードがあれば、奈落の落とし穴とかで妨害される心配があったが…。伏せカードが無いためその心配もない。

 すると、相手が何やら動きを見せる。

 

 

 

「この瞬間、手札のドラゴン・アイスの効果発動!相手がモンスターを特殊召喚した時、手札を1枚捨てる事で手札か墓地から特殊召喚できる!海皇の重装兵を捨てて手札から守備表示で特殊召喚!」

「守備力2200か!そんなモンスターなど、サイバー・エンド・ドラゴンの敵ではない!」

 

 

 俺のターンなのに、上級ドラゴン族を特殊召喚したのには驚いたが、それだけだ。

 というより、手札から捨てて手札か墓地から特殊召喚が出来るなら…ドラゴン・アイス自身を捨てて墓地から特殊召喚すればいいだろう。

 やっぱり馬鹿だ。

 

 

「ここで、水属性モンスターの効果を発動するために墓地に送られた重装兵の効果発動!相手の場の表側表示のカードを破壊する!」

 

 突如、気持ち悪い半魚人がサイバー・エンド・ドラゴンを破壊する!

 な、なんてことを!

 

 

「さ、サイバー・エンド・ドラゴンが!卑怯だぞ!」

「攻撃力8000の貫通効果を持つ融合モンスターで、後攻ワンターンキルを狙っておいてよく言う…。お前のターンはまだ続いているが、どうする?」

「くそっ!俺はサイバー・ジラフを召喚!このカードをリリースして、効果ダメージを0にする…魔法カード、悪夢の鉄檻を発動!これで、どんなモンスターも2ターンの間、攻撃は出来ない!ターンエンドだ」

 

 卑怯な方法を使われてしまった。こういう事があるから、才災師範の教えが正しいという事を再確認できる。

 正直、状況は不味いが…。俺の場には、あのマリク・イシュタールとゴースト骨塚も採用していた超優秀な防御カード、悪夢の鉄檻がある。

 

 だから2ターンは大丈夫だ!その間に、サイバネティック・フュージョン・サポートと融合かパワー・ボンドを引き当てれば…こんな状況、訳なく覆せる!

 

 

滝川sideout

 

速見side

 

 

速見 ライフ4000

手3 フィールド セットモンスター ドラゴン・アイス 

    魔法・罠 

滝川 ライフ4000

手0 フィールド 

    魔法・罠 悪夢の鉄檻(2)

 

 

 初手サイバー・エンド・ドラゴンを出せるサイバー流門下生は、サイバー流でもエリートに属する。大半はサイバー・ドラゴンを特殊召喚するか、サイバー・ツイン・ドラゴン止まり。

 優秀な部類に入るが。既に勝負は決している。

 

 

「私のターン、ドロー!アビス・ソルジャーを通常召喚!ドラゴン・アイスを攻撃表示に変更!さらにペンギン・ナイトメアを反転召喚!これにより、私の場の水属性モンスターの攻撃力は200ポイントアップ!リバースしたことで効果発動、悪夢の鉄檻を手札に戻す。」

「あ、あわわわ…」

 

 戦意喪失、といった所か。如月同盟の初陣としてはやや物足りないが、まぁ勝利は勝利だ。

 

「バトルだ!ペンギン・ナイトメア、アビス・ソルジャー、ドラゴン・アイスでダイレクトアタック!」

「うわああああああ!」ライフ4000から2900、2900から900、900から0

 

 

 襲撃したサイバー流門下生を倒し、私は拳を突き上げる。

 湧き上がる歓声!周りからこそこそ逃げ出そうとしている者が居る。どうやらサイバー流の門下生のようだ…だったらこのまま蹴散らすまで!

 

速見sideout

 

 

???side

 

 サイバー流の門下生を速見が一蹴し、強さを見せつけた事で如月同盟は勢いを増し、不穏な動きを察知して集まってきていたサイバー流門下生を撃破。

 

 

「あたしのターン、ドロー!罠発動!暗黒よりの軍勢!墓地から暗黒界の刺客カーキと暗黒界の策士グリンを手札に戻すわ!ここで罠発動!光の召集!手札を二枚捨てて、墓地から緑光の宣告者と紫光の宣告者を手札に戻すわ!」

「あ、暗黒界が捨てられたという事は…」

「そのとおーりっ!暗黒界の刺客カーキと暗黒界の策士グリンの効果発動っ!お前のサイバー・ドラゴンと伏せカードを破壊するわっ!」

「だ、だが!緑光の宣告者の攻撃力は低い…次のターンで」

「速攻魔法、暗黒界に続く結界通路を発動!墓地から暗黒界の魔神レインを特殊召喚!」

「げえええっ!」

「あーはっはっは!これで終わりねっ!バトル!暗黒界の魔神レインで、ダイレクトアタック!」

「うわああああ!」

 

 

 暗黒界と宣告者の混成デッキを使うハイテンションな黒髪ツインテールの少女、陸奥(むつ)がサイバー流の門下生を圧倒し。

 

 

「た、ターンエンド…」

「ここで、終焉のカウントダウンの効果発動!俺の勝ちだ!」

「くそおおおっ!」

 

 終焉のカウントダウンの大井がサイバー流の門下生に特殊勝利を決め。

 

 

 

「スタンバイフェイズ、永続魔法、黒蛇病の効果発動!そしてメインフェイズに永続魔法、ご隠居の大釜の効果発動だ!」

 

 

 上田が効果ダメージでサイバー流の門下生を沈め。

 

 

 

「罠発動!ヘル・ポリマー!これでサイバー・エンド・ドラゴンのコントールを得る!」

「ひ、卑怯者~~!!」

 

 

 

「罠発動、オーバースペック!パワー・ボンドで攻撃力が元々の攻撃力分アップしている、サイバー・エンド・ドラゴンは破壊だ!」

「そんなあああああ!」

 

 

 コントロール奪取や対策罠がサイバー・エンド・ドラゴンを翻弄。

 

 

 

「スライムトークンに、下克上の首飾りを装備!湿地草原で攻撃力が1200ポイントアップ!さらにスライムトークンはレベル1でサイバー・エンド・ドラゴンはレベル10!よって攻撃力は4500ポイントアップする!」

「攻撃力が6200のスライムトークンだとぉ!もう駄目だぁ!」

 

 

 

「俺は重装武者-ベン・ケイを召喚!魔法カード、フォースを発動!これでサイバー・エンド・ドラゴンの攻撃力を半分にして、ベン・ケイの攻撃力をアップする!これでサイバー・エンド・ドラゴンの攻撃力は4000になり、ベン・ケイの攻撃力は4000ポイントアップ!さらにドーピングと凶暴化の仮面を装備する!これで攻撃力は1700ポイントアップして、3回攻撃が可能だぁ!」

「うわああああ!」

 

 

 ベン・ケイ使いの飯守(いいもり)がワンターンキルを達成する。

 

 

 

 こうして、サイバー流の門下生たちは次々と打ち破られて、敗走する…。

 

???sideout

 

 

???side

 

 私は、海覇市のサイバー流の門下生を束ねている七階堂 史郎(ななかいどう しろう)だ。

 如月同盟とかいう小娘が起こした騒動。この事態に対し、配下の門下生が役立たずなせいで後手に回っている。

 

 

「くっ、おのれ…!」

 

 

 この海覇市を制することで、サイバー流での地位を確固たるものにしよう、としていた私にとってこの事態は想定外だ…。

 私は当選して議員になったが…失言を繰り返して批判の対象になり、離党させられ、耐え切れなくなった事で父に泣きついて会社を貰った。

 

 だが…私が社長に就任し、効率化と成果主義を前面に押し出し、残業を行わせてもタイムカードを改竄して残業代を未払いにするというコストカットを行った結果、退職者が続出し従業員から訴訟を起こされ…。受け継ぐまでは順調だった会社は3年で倒産した。

 

 父親に再度泣きついて、今度はこうしてカードゲーム界のポストを貰ったのだが…ここでも追い詰められていた。

 何故私の人生はこうも障害が多いんだ!私はただ楽して金が欲しいだけなのに!

 

 

 

「お困りのようですね、七階堂様。」

「お前は…西条(さいじょう)か」

 

 私が悩んでいると、門下生の一人が入ってくる。

 整った顔立ちで高身長な少年、西条 多門(さいじょう たもん)。

 正直、若き日の私を見ているような好青年だ。一人娘が慕っているのが少々気に食わないが…。まぁいい。

 

 

七階堂sideout

 

???side

 

 俺は西条 多門。

 今回の反サイバー流を掲げる如月同盟は窮地ではあるが、同時に好機でもある。

 

 これを解決すれば、サイバー・ランカーズへの昇格デュエルを挑む上での足掛かりになるからだ。

 

 

 

「任せてください。指揮権を渡して下されば、解決してご覧にいれましょう。」

「し、指揮権を…だ、だがそれでは手柄は」

「事態を解決した後は、この地のサイバー流の指揮権はお返しします。誓約書をしたためましょうか?」

「い、いや…それならよい。だ、だが!如月同盟の女首領の身柄は私に引き渡してもらうぞ!」

「わかりました。こちらにサインを」

 

 

 

 書類を受け取った俺は一礼して退出。

 如月同盟に敗北したサイバー流門下生達を呼び集め、俺は事情聴取を開始する。

 

 

「如月同盟と戦ったそうだな…構成員の使用カード、性格。なんでもいい、感じた事があれば話せ。」

 

 俺はまず情報収集から始める。優れた戦略家というのは、戦う前から勝つための準備を怠らない。

 

 

(如月同盟…お前達の戦術は、俺の戦略で倒す。)

 

西条sideout

 

 

 

 

速見side

 

 

 この日、如月同盟のアジトではパーティが開かれていた。

 実家が町中華をしている如月同盟のメンバー、五反田(ごはんだ)が作った東坡肉(トンポーロウ)、ニラ玉、野菜たっぷり餃子、辣子鶏、空心菜炒め…。

 町中華が所狭しと並べられている。

 

 和・洋・中、どれも好きだが…バナナだけは苦手だ。ある時、クラスメイトの男子からバナナを加えてピースしてほしいと頼み込まれてやったことがあるのだが…。

 それ以降、クラスメイトの男子が妙な目で私を見るようになったからだ。

 

 

 

「サイバー流の門下生を蹴散らす事15回!全戦全勝!」

「サイバー流、おそるるに足らず!」

「ねぇねぇっ!このまま、サイバー流道場まで攻め落とし、才災勝作まで倒してしまうってのはどう!」

 

 

 勢いづく一部のメンバーに、私は待ったをかける。

 少し図に乗り過ぎだ。

 

 

「待て、才災はプロデュエリストだ。そうそう勝てる相手では無い。今は力を蓄えて」

「姫、一つよろしいでしょうか?」

 

 

 結成から連戦連勝を重ねた事で、私はメンバーから姫と呼ばれるようになった。

 なんというか、姫というほどお淑やかでは無いからやめて欲しいのだが、皆がそう呼びたいならそうしておく…。

 

 

 私がリクエストした中華風オムレツ…味覇で味付けした半熟卵で刻んだ長ネギとチャーシューを包んだ物、をテーブルに置きながら五反田が尋ねる。

 

 

「構わない」

「どうしたいのですか、サイバー流を。壊滅までもっていくのですか?それとも適当な所で手打ちにするつもりですか?」

「そ、それは…。」

 

 壊滅というのは、現実的ではない。動員数が違い過ぎる。

 手打ち、というのが現実的か。だが、サイバー流がどこまでこちらの条件を飲むか、皆目見当がつかない。

 

 思わず答えに詰まる。だが他のメンバーが声を荒げる。

 

 

「姫に聞くまでも無い!壊滅させるべきだ!」

「才災はプロだし、それにマスター鮫島が出てきたら」

「だったら、マスター鮫島も倒せばいいじゃない!何を怖がっているの!」

「無茶いうな!サイバー流と我ら如月同盟は、規模が違い過ぎるんだぞ!」

 

 

 白熱する議論、本来なら結論を私が決めねばならないのだが…。私にはそれが出来ない。

 最終的に『サイバー流をどうするか?』という『青写真』を持ち合わせていない事を私は突き付けられた。

 

 

 何とかその場は収めたが…この日以降、如月同盟は二分していく事になる。

 過激派と、慎重派に。

 

 私は、どうすれば…。

 

速見sideout

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