3年後、デュエルアカデミアを卒業した時間軸の物語です。
万丈目VSエド・フェニックス
プロリーグの選手控室。
大勝負を前にプロデュエリストがデッキを確認したり、精神集中をする大事な時間を過ごす部屋。
万丈目準が滞在している部屋に、二人の男が入室する。
無論、万丈目はそれを咎めたりしない。何せ実の兄達なのだから。
「兄さん達…一体どうしたんです?」
「準。俺達はお前の実力を疑ってはいない。だが、今度の相手は。」
「素人目でも、分が悪いと感じている。」
万丈目長作、庄司。二人の顔色は良くない。
「わかっています。それでも、ここまで来たら戦って勝つしか道はありません。」
「…準。お前は、サイバー流の事をどう思っている?」
「気に入らない相手とカードをリスペクトに反すると決めつけ、侮辱するデュエリストの風上にも置けない連中です。」
「そうだな。だが、準。お前はおかしいとは思わなかったか?何故、そんな連中が政界、財界の支援を受けられたのか。」
「それは、それだけ才災の経営手腕と交渉能力が高かったからと。」
「それは認める。だが、話はそれだけではない。デュエルモンスターズについて素人からすれば、攻撃力2800や4000と言った高いステータスのモンスターはそれだけで頼もしいのだ。しかもそれがさらに攻撃力が上がり、一撃で勝敗を決する事すら可能というなら、話は違ってくる。」
デュエルモンスターズについて、ジュニア時代から関わってきた万丈目準は、兄の言葉に眼を見開く。
万丈目準の周りにいたのは、デュエリストばかり。その中に「デュエルモンスターズの素人」という知り合いなど、皆無。
故に、そういう視点から見たデュエルモンスターズ界への評価というのは、目から鱗が落ちる思いだった。
確かにデュエルモンスターズにおいて攻撃力は重要な要素だ。だが、攻撃力だけで決するわけでは無い。
「兄者。この辺にしておきましょう。」
「庄司。」
「準の言うとおり、もはやここまで勝ち進んだ以上、勝つしかない。相手が世界に1枚しかないレアカードを操る強豪だろうと。」
「長作兄さん、庄司兄さん。俺はこの試合、勝ちます。」
「二言は無いな?」
「ありません。」
「わかった。信じているぞ、準。」
二人の兄が退出した後、万丈目はデッキから二枚のモンスターカードを取り出し、見つめる。
「待っていろ、エド。デュエルアカデミアで俺が得た物。その全てをぶつける。」
『ついに始まりました!第一回シュレイダーグランプリ決勝戦!並み居る強豪を打ち破り、決勝戦まで勝ち進んだのはエド・フェニックス選手と万丈目 準選手!』
「まさかお前が勝ち進んでくるとはな。」
「そんなに意外だったか?エド・フェニックス。」
「まぁ、誰が相手だろうと勝つのはボクだ。」
互いにデュエルディスクを起動する。
『準決勝で万丈目選手は才宮選手に、残りライフ1600ポイントで勝利。エド・フェニックス選手はセシリア選手にノーダメージで勝利しています!故に、先攻はエド・フェニックス選手からとなります!』
このシュレイダーグランプリでは、一回戦はコイントスで先攻・後攻を決めるが、その後の試合は残りライフを多く残して勝利した選手が次の試合で先攻を取れるルールとなっている。
同じライフだった場合は、残りのデッキ枚数が多い方が先攻となる。どちらも同じ場合はコイントスというルールだが、この大会ではその状況は起きていない。
「「デュエルッ!!」」
万丈目 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
エド ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
「ボクの先攻、ドロー!魔法カード、デステニー・ドロー!手札のD-HEROダッシュガイをコストに2枚ドロー!魔法カード、オーバー・デステニーを発動!墓地のD-HEROを選択、そのレベルの半分以下のレベルを持つD-HEROをデッキから特殊召喚する。カモン、D-HEROデビルガイ!」
「だが、その効果で特殊召喚したD-HEROはエンドフェイズに破壊されるはず!」
「このままエンドフェイズに入る訳が無いだろう。魔法カード、トランスターンを発動!レベル3、闇属性、戦士族のデビルガイを墓地に送り、デッキからD-HEROダイヤモンドガイを特殊召喚!ダイヤモンドガイのエフェクト発動!デッキの一番上をめくり、それが魔法カードなら次のターン、発動が確定する。デッキトップは魔法カード、終わりの始まり!よって発動が確定!」
『出ました!運命を操るHERO、「D」シリーズの真骨頂!ダイヤモンドガイ!なんとエド・フェニックス選手、このシュレイダーグランプリにおいて全試合、ダイヤモンドガイの効果でドロー効果を持つ通常魔法カードを当て続けています!』
「フィールド魔法、幽獄の時計塔を発動!D-HEROドレッドサーヴァントを召喚!ドレッドサーヴァントのエフェクト発動!召喚成功時、時計塔に時計カウンターを乗せる!これにより、時計塔は3時を指す!カードを1枚伏せ、ターンエンドだ!」
万丈目 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
エド ライフ4000
手1 フィールド D-HEROドレッドサーヴァント D-HEROダイヤモンドガイ
魔法・罠 幽獄の時計塔(1) 伏せ1
「俺のターン、ドロー!」
「このスタンバイフェイズに、幽獄の時計塔に時計カウンターが乗る!さらにチェーンして罠発動!エターナル・ドレッド!これにより、時計塔に2つカウンターを乗せる!これで時計塔のカウンターは4つ!」
『これは、シュレイダーグランプリにおけるエド・フェニックス選手の必勝パターン!12時を指した時計塔が場にある限り、エド・フェニックス選手は戦闘ダメージを一切受けません!このまま決勝戦もノーダメージで突破してしまうのでしょうかー!』
「何を慌てている、エド?」
「何だと!」
「まぁいい、俺は俺のデュエルをするまで!俺はレスキューキャットを召喚!」
万丈目の目の前に、ヘルメットをかぶった小さな猫が現れ、ニャアと鳴く。
「れ、レスキューキャット?!まさか、万丈目?!」
『な、ななななんとー!レスキューキャットです!かつては使えないカードと言われていましたが、今ではそんな事を言うデュエリストは一人もいないでしょう!これはまさか、万丈目選手、この大勝負で新たな召喚法、シンクロ召喚を決めるつもりでしょうかー!』
「このカードを墓地に送り、効果発動!デッキからレベル3以下の獣族モンスターを2体特殊召喚!ただし、モンスター効果は無効となり、エンドフェイズに破壊される。現れろ、二体のおジャマ・ブルー!」
「…どちらもチューナーでは無いなら、シンクロ召喚は行えない。」
『おっと、どうやらシンクロ召喚は行わないようです。このままエンドフェイズに移行しても破壊されるだけ。万丈目選手は一体どうするつもりなのでしょうか!』
「バトル。おジャマ・ブルーでドレッドサーヴァントを攻撃!」
「血迷ったか!迎え撃て!」
「っつ」ライフ4000から3600
「だが、戦闘破壊されたおジャマ・ブルーの効果発動!デッキからおジャマと名の付くカードを二枚手札に加える!俺はおジャマッチングとおジャマジックを手札に加える!さらに二体目のおジャマ・ブルーで、ドレッドサーヴァントを攻撃!」
「フン、返り討ちだ!」
「ぐっ…」ライフ3600から3200
『これは驚きです!モンスターを自爆させました!どうやらおジャマ・ブルーのサーチ効果は戦闘破壊でなければ発動しないようです!』
「戦闘ダメージは受けたが、おジャマ・ブルーの効果発動!デッキからおジャマッチングを2枚手札に加える!いくぞ、手札のおジャマジックをコストに速攻魔法発動!おジャマッチング!さらにチェーンして2枚目のおジャマッチングを発動!先ほど発動した1枚目のおジャマッチングをコストにする!さらに速攻魔法、3枚目のおジャマッチングを発動!2枚目のおジャマッチングをコストにする!」
「ボクにチェーンするカードは無い。好きにしろ」
「なら遠慮なく効果を処理させてもらう!3枚目のおジャマッチングの効果により、デッキからおジャマ・ブルーとアームド・ドラゴンLv3を手札に加え、アームド・ドラゴンLv3を召喚する!2枚目のおジャマッチングによりデッキからアームド・ドラゴンLv5を手札に加え、墓地からおジャマ・ブルーを回収!アームド・ドラゴンLv3をリリースして、アームド・ドラゴンLv5をアドバンス召喚!1枚目のおジャマッチングの効果でデッキからアームド・ドラゴンLv10とおジャマ・レッドを手札に加える!さらに墓地へ送られたおジャマジックの効果発動!デッキからおジャマ三兄弟を手札に加える!」
「一気に手札を増やしてきたか。だが大半がおジャマカード、ボクの敵ではない!」
『場ががら空きの状態から、一気にアームド・ドラゴンLv5を展開!バトルフェイズ中の特殊召喚は攻撃宣言が可能!という事は!』
「バトル続行、アームド・ドラゴンLv5で、ダイヤモンドガイを攻撃!」
「だが、戦闘ダメージは幽獄の時計塔により0となる。残念だったな?万丈目!」
「構わん。このバトルフェイズ終了時、アームド・ドラゴンLv5の効果発動!バトルに勝利したアームド・ドラゴンLv5を墓地に送り、デッキからアームド・ドラゴンLv7を特殊召喚!さらにアームド・ドラゴンLv7を生贄に、アームド・ドラゴンLv10を特殊召喚!」
アームド・ドラゴンLv10の登場に沸き立つ会場。
一方でエドは冷たい眼でアームド・ドラゴンLv10を見つめる。
バトルフェイズは終了している今、攻撃力3000が出てきたところでライフを削れるわけでもないからだ。
『出ました!万丈目選手のデュエルを支える双璧の一つ、アームド・ドラゴンの最終進化形態!』
「アームド・ドラゴンLv10の効果発動、手札の攻撃力0のモンスターをコストに、ダイヤモンドガイを破壊する!」
「くっ、よくもダイヤモンドガイを!」
「俺様は魔法カード、おジャマ改造を発動!エクストラデッキの光属性・機械族の融合モンスターを公開し、手札、フィールド、墓地からおジャマモンスターを除外することでその機械族の融合素材を一種類ずつ特殊召喚する!XYZ-ドラゴン・キャノンを見せることで手札からおジャマ・イエロー、グリーン、ブラックを除外し、代わりにデッキからX-ヘッド・キャノン、Y-ドラゴン・ヘッド、Z-メタル・キャタピラーを特殊召喚だ!」
「ここで、X、Y、Z…となれば」
「俺は場のX-ヘッド・キャノン、Y-ドラゴン・ヘッド、Z-メタル・キャタピラーを除外し、エクストラデッキからXYZ-ドラゴン・キャノンを特殊召喚!いくぞ、XYZの効果発動!手札のおジャマ・レッドをコストに、幽獄の時計塔を破壊!」
「フン、幽獄の時計塔が破壊されたことで効果発動!デッキからD-HEROドレッドガイを特殊召喚!効果発動、墓地からD-HEROを二体特殊召喚する!蘇れ、D-HEROダッシュガイ!デビルガイ!」
『万丈目選手、幽獄の時計塔の破壊に成功!しかし、時計塔に幽閉されていたD-HEROが解放されてしまいます!ドレッドガイは特殊召喚したターン、場のD-HEROの破壊を防ぐ効果があります!こうれではXYZ-ドラゴン・キャノンでも破壊は出来ません!』
「さらに二枚目のおジャマ改造を発動!手札のおジャマ・ブルーと墓地のおジャマ・レッドを除外し、V-タイガー・ジェットとW-ウィング・カタパルトを特殊召喚!この二体を除外し、VW-タイガー・カタパルトをエクストラデッキから特殊召喚!俺は、XYZ-ドラゴン・キャノンとVW-タイガー・カタパルトを除外し、VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノンを特殊召喚!」
『なんと!万丈目選手の双璧であるアームド・ドラゴンLv10に続いて、VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノンまで繰り出しました!この決勝戦、総力戦を挑んでいます!』
「VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノンの効果発動!D-HEROドレッドガイを除外する!」
「ドレッドガイッ?!」
『破壊耐性を付与するドレッドガイと言えど、除外までは防げません!ここでドレッドガイを失ったのは痛い!』
「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ!」
万丈目 ライフ3200
手2 フィールド アームド・ドラゴンLv10 VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン
魔法・罠 伏せ1
エド ライフ4000
手1 フィールド D-HEROダッシュガイ D-HEROデビルガイ
魔法・罠
「ボクのターン、ドロー!ここで魔法カード、終わりの始まりのエフェクト発動!デッキからカードを3枚ドローする!」
「…さぁ、どう来る。」
「ボクはD-HEROディバインガイを召喚!行くぞ、場の三体のD-HEROをリリース!」
「三体リリース、来るか、ドグマガイ!」
「フッ。ボクが出すのはこっちだ!現れろ、D-HERO Bloo-D!」
「くっ、ここで…!」
『ついにエド・フェニックス選手、切札であるドレッドガイに続き、D-HERO Bloo-Dを繰り出しました!その効果は強力の一言!』
エドと準決勝で戦った金髪縦ロールの女性デュエリストは、D-HEROへの対策としてサイファー・スカウターを主力に、カウンタークリーナーで時計塔のカウンターを取り除いた上でゲート・ブロッカーにより追加のカウンターを置かせなくさせていたが…。それらの戦略をエドはD-HERO Bloo-DとD-フォースで正面から叩き潰した。
「D-HERO Bloo-Dが場に存在する限り、お前の場のモンスター効果は無効になる。D-HERO Bloo-Dの効果発動、お前のVWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノンを装備カードとして装備!その元々の攻撃力の半分、攻撃力がアップする!」
「攻撃力、3400…。」
「魔法カード、融合を発動!」
「な、何?!」
「ボクは手札のD-HERO ドグマガイとフィールドのD-HERO Bloo-Dを墓地に送り、現れろ、最後の『D』!Dragoon D-ENDを融合召喚!」
『な、なんと!D-HERO ドレッドガイとD-HERO Bloo-Dの融合モンスターです!』
「攻撃力3000…これが、D-HEROの集大成か。」
「墓地のD-HEROディバインガイのエフェクト発動!ボクの手札が0枚の時、このカードとD-HEROドレッドサーヴァントを除外してカードを2枚ドローする!いくぞ、Dragoon D-ENDの効果発動!相手モンスターを選択、それが表側表示ならばその攻撃力分のダメージを与える!消えろ、アームド・ドラゴンLv10!インビンシブル・D!」
「ぐあああああああああっ!」ライフ3200から200
『なんと、万丈目選手のライフは残り200!このターンで終わってしまうのでしょうか!』
「残念だが、Dragoon D-ENDの効果を発動したターン、攻撃宣言は出来ない。万丈目、ボクは見抜いているぞ。」
「な、何?」
「お前の墓地には超電磁タートルがあるんだろう?」
「?!」
『おっと、これはどういう事でしょうか!』
「お前はアームド・ドラゴンLv10の効果を発動した時にこういった。『攻撃力0のモンスターをコストにした』と。おジャマ・ブルーを回収していたからおジャマ・ブルーをコストにしたと思わせたかったんだろうが、あいにくボクは眼がいいんでね。カードを1枚伏せてターンエンド。」
万丈目 ライフ200
手2 フィールド
魔法・罠 伏せ1
エド ライフ4000
手1 フィールド Dragoon D-END
魔法・罠 伏せ1
「俺のターン、ドロー!」
「ここで永続罠発動!D-タクティクス!ボクの場にレベル8以上のD-HEROか、Dragoon D-ENDが特殊召喚された時、相手の手札、フィールド、墓地のカードを1枚ゲームから除外する!」
「……」
「そしてDragoon D-ENDは破壊されても、次のスタンバイフェイズに墓地のD-HEROを除外することで蘇る。万丈目、お前の道は二つ、Dragoon D-ENDのダイレクトアタックを受けて敗北するか、効果ダメージで敗北するか。どちらかだけだ!」
「それはどうかな?」
「何?」
『なんと、万丈目選手、ここから切り返す方法があるというのでしょうか!』
「俺は墓地のアームド・ドラゴンLv7と、VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノンを除外する!」
「な、何?風属性と光属性のモンスターをコストに特殊召喚するモンスターだと?」
「現れろ、アームド・ドラゴン・カタパルトキャノン!」
半透明になったアームド・ドラゴンLv7が出現。そこに破損したVWXYZのパーツが装着されていく。
VWXYZのエネルギーが注ぎ込まれ、アームド・ドラゴンLv7の半透明だった体に血色が蘇る。数秒後、アームド・ドラゴンLv7は咆哮を上げながら起動する!
『こ、これは…ドラゴン族なのでしょうか?それとも機械族?個人的には海竜族であって欲しいのですが。』
「…ふざけたカードだな。だが、そのモンスターでもボクには届かない。残念だったな!」
「今。俺のライフはお前よりも低い。」
「それがどうし…?!」
エドはアームド・ドラゴン・カタパルトキャノンの攻撃力が3500という事。Dragoon D-ENDが攻撃表示でその攻撃力が3000である事。
自分の残りライフが無傷とはいえ、4000という事に気づく。
「まさか!」
「装備魔法、巨大化をアームド・ドラゴン・カタパルトキャノンに装備!これにより、攻撃力は7000!」
アームド・ドラゴン・カタパルトキャノンが巨大化し、Dragoon D-ENDを見下ろす!
「くっ、こんな所で!」
「バトルだ、アームド・ドラゴン・カタパルトキャノンで、Dragoon D-ENDを攻撃!」
「うわあああああああああ!」ライフ0
決着はついた。
『な、なんと!シュレイダーグランプリを制したのは、万丈目選手!』
「…ボクの負けだ。だが、ボクのD-HEROが負けた訳では無い。ボクの腕が未熟だったからだ。」
「…エド。」
「万丈目、この借りはプロリーグで必ず返す。その時まで待っていろ。」