最強の能力者? なにそれおいしいの? 僕は無能力者ですけど?   作:暇です

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鈴さんとのお出かけ? (表)

 

 今朝、鈴さんから出かける日程が決まったと連絡が来た。ちょうど明日予定が空いたらしい。

 美少女との2回目のデートに胸を小躍りさせながらベットに入ったが、なかなか眠りにつくことは出来なかった。

 

 

 朝、時計を見るとちょうど八時半。余裕を持って起きれたようだ。

 歯を磨きながら自分の顔を見ると薄いクマができていた。どうやら楽しみにしすぎたようだ。身支度をし、家を出る。

 

 待ち合わせ場所に着くと鈴さんが居た。姿形が凛さんと似ていることもありなんとなく既視感を覚えるがそんな考えは彼女の服装を見て吹き飛んだ。

 

 彼女はいつも制服を着ていてどこかお堅い雰囲気を纏っていたが、今は白いスカート、可愛らしい帽子まで被っている。

 印象がまるで違う。包み込むような可愛さを醸し出し、後ろに天使の翼がついているような幻覚まで見えた。

 

「お、おはようございます。鈴さん」

 

「えぇ、おはようございます」

 

 彼女は柔らかい笑みを浮かべながらそう言う。周りの視線が鈴さんと主に嫉妬の視線が僕に降り注ぐ。まあ、僕も思わず顔を赤くしてしまっているのだが。

 

「武さん、どうしましたか?」

 

 僕がフリーズしてしまっているのを不思議に思ったのだろう、鈴さんはそんなことを聞いてくる

 

「い、いえ。なんでもないです」

 

「それじゃあ行きましょうか」

 

 

 その後、一体どこに行くのかと思っていたらありとあらゆる場所に連れて行かれた。ゲームセンター、ボーリング場、デパート、公園…とにかく多くの場所へ行った。

 

 あらかた回って一息つくと、すでにあたりは暗くなっていた。

 

 今僕は一人で少し不穏な空気が漂う暗闇の中淡々と輝く星を見ていた。風が吹き木の枝が揺れガサガサと物音が鳴る。風も肌寒い。

 

 ここで僕の厨二心がくすぐられる。僕が昔妄想していたシチュエーションとかなり似ている状況で思わず心が揺さぶられる。

 

そしてついにーー

 

「そこにいるのは分かってるぞ」

 

 小声で声に出してしまう。

 

(決まった!)

 

………改めて考えると恥ずかしいよな。誰に聞かれてなかったよな?

ふと横を見ると鈴さんがいた。あまりの驚きに体がのけぞってしまう。

 

「ど、どうしましたか?」

 

「い、いえ。何でもないです」

 

 き、聞かれてないよな?聞かれてたら僕死ぬんだけど…

 

 ふと、ポケットに何が入っていることに気がついた。取り出してみると昔作った「超絶魔王最終形態ハマラーノ」の缶バッジだった。缶バッジというには大きく、不恰好だったが。

 

 思わず僕はその缶バッジを遠くへ思い切りぶん投げる。全力で投げた結果装備により強化された僕の力で凄い速度で缶バッジが飛んでいく。

 

 隣の鈴さんは驚いた顔をしていたが特にその後触れることもなくスルーしてくれた。

 

 その後寮に帰ったが、思い出してしまった忌まわしい記憶に苦しめられ眠りにつくことはなかった。

 

 

 




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