最強の能力者? なにそれおいしいの? 僕は無能力者ですけど? 作:暇です
ここ、聖内学園では常に何かしらの大会が開かれていた。そこまでこの学校は人数が多いわけではないが、それでも3学年の人数を合わせればかなりの数となる。
そして、開かれる大会には大小様々なものがあり、狭いコミュニティの中で行われる数人しか参加者がいないものから、生徒の大半が参加するようなものまである。
けれど強制的に参加させられるようなものは殆どないので、僕には全く関係ないものだと思っていた。
しかしーー
「武さん? 私と一緒に大会に参加してもらえますよね?」
放課後に、またまた「偶然」鈴さんに出会った。
そして、急に鈴さんにそんなことを言われた。なんで、まるで僕が了承することが当たり前のような言い方なのだろうか。
「いや、それはm」
「もらえますよね?」
「あっ、はい」
ものすごい威圧感を放たれ、強制的に了承させられた。いつも天使の翼が生えている鈴さんの後ろに悪魔の翼が生えているように見えた。
大会に出るのはこれが初めてじゃないし、怪我をする心配もないからまあいいか。
「というか、大会ってどんなのですか?」
「これです」
そう言って一枚のパンフレットを渡された。どれどれ・・・・・・大会としてはそこそこ大きめの部類に入るものなんじゃないか?
それよりも、
「これ三人で一チームみたいですけど、あと一人はどうするんですか?」
「武さんが決めてください」
「はい?」
え、なんで? 生徒会長なら人脈なんていくらでも持ってるだろうに、なんで僕なんだ。確か山田くんは忙しいらしいし、じゃあ凛さんだな。
「あと、凛以外でお願いします」
最後の選択肢を秒で潰されたんだが・・・・・・なんでだめなんだ、姉妹だろ。
「では決めておいてください」
そう言い残して鈴さんはさっさと去っていった。
どうしよ……あいにくと大会に参加できそうな知り合いなんて僕にはほとんどいない。
歩きながら、ひたすら頭の中を探ってみるが、あいにくと心当たりは浮かぶこともない。
実際には如月 灯などが一応いるのだが、もはや武はその存在すらも忘れ去っていた。
すると、見知った顔の人が道に立っているのが見えた。おそらく、あの日曲がり角でぶつかった少女だろう。あの時のお礼も言いたいし、話しかけみるか。
「久しぶり、前会った子だよね?」
「あっ、う、うん」
やはり話し方がたどたどしい。緊張してるのかな?
「この前はありがとう。君が助けてくれたんだよね?」
「う、うん。でも、あれは私のせいだから……」
やはりこの子は狙われているのか? 高ランク能力者だろうし、そのせいだろうか。面倒ごとに巻き込まれる可能性はあるが、それでも助けてくれたこともある、事情ぐらいは知っておきたい。
「君は何者? あそこで何をしてたの?」
「うっ、えっと」
少しこの聞き方はまずかったか? もう少し優しく聞かないと。
「ああ、ごめん。責めたりしてるわけじゃないんだ。とりあえず……君は何歳?」
「16歳」
えっ、まじ? 本当に16歳なのか……とても背格好や雰囲気から僕と同じ高校生には見えなかった。
「じゃ、じゃあ学校は?」
「聖内学園」
まじですか。同じ高校だったのか……、それにしては一回も見かけたことないし、登校してるのか?
「えーと、じゃあ能力は?」
「人を治癒する能力。Sランク」
……何言ってんだこいつ。そんな重要なこと大した関係があるわけでもないやつに教えちゃダメだろ。
確か事前調べた情報だと、ずっと自分の屋敷に引きこもってるんじゃなかっけ? たまたま出かけてたのかな。
よくよく考えたらこの子も大会に出られるんじゃ? 実力も申し分ないから、ダメ元で誘ってみるか。
「ちょっといいかな? 今大会に出るために、後一人生徒を集めてるんだけど……一緒に大会に出ない?」
まあ流石に無理だろう。ほぼ初対面みたいなものだし。
「出る」
即答された。随分とフットワークが軽いなまだ内容すら聞いてないのに、まぁ本人がいいって言ってるんだし大丈夫だろう。
「えっとじゃあ9月○日の×時に○○に集合ね。これパンフレット」
「分かった」
その後軽い説明をして、彼女とは別れた。
…………やべえ名前聞いてなかった。
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名前は調べたらすぐに出てきたから申し込み自体はどうにでもなった。それよりも問題なのは……
「……」
「……」
何故か鈴さんと彼女、平野 愛が顔を合わせてから睨み合っているのだ。おかげで場がギスギスしている。
これから大会だっていうのに、この雰囲気はまずいんじゃないのか。
そんな思いも虚しく、開始時間が来てしまう。案内を受け、会場へと移動していると、ある部屋に連れてこられた。疑問に思いながらも中に入ると……
シュン!
急に周りの景色が一変し、どこかに転移した。
ここは……ジャングルか? 木が一面に生い茂っていて見通しが悪い。
鈴さんと平野さんはおらず、僕一人だけみたいだ。
しばらくするとアナウンスが鳴り響いた。
「では、バトルロワイヤルを始めます」
……ちょっと待て。聞いてない。そこまで注意深く読んでなかったけど、バトルロワイヤルってチームじゃなく一人一人別れてたたかうの? チーム組ませた意味は?
「はっ、てめえが斎藤武だな。もらった!」
「うおっ!」
いきなりthe 熱血みたいな奴が炎を出して攻撃してきた。何とか間一髪で避けたが、髪が焦げた。
周りを見ると、二十数名程が僕の正面におり、僕のことを見ていた。おそらく、この会場にいる半分ほどの人数と思われる。そして、ほぼ全員が僕に向かって銃を構えていたり、能力を発動しようとしている。
よし! 逃げよう!
全速力で後ろを向いて逃げる、僕の横をありとあらゆる攻撃が飛んでいくのが見える。殺意高すぎないか……
がむしゃらに全速力で走りまわる。少しは撒いたかと思って後ろを見ると……人数がさっきの倍に増えていた。この会場にいる全員が集まっていた。
戦えよ! お前ら! バトルロワイヤルなんだろ、これはただのいじめだわ!
奇跡的に逃げ切れていたが
「やばい、行き止まりだ」
袋小路に追い詰められてしまった。後ろを見ると、少し離れてはいるが依然減る様子もない集団が僕の方に向かってきている。
「これでとどめだ!」
そのうちの一人がめちゃくちゃでかい岩をこちらに向けて放ってくる。ああ、もうどうにでもなれ!
岩に向かってパンチを繰り出す
ドゴオ!
どこか既視感を覚えるような音がして、岩が砕け散った。そして、そのまま衝撃波と岩の破片が、後ろにいる奴ら全員を吹き飛ばした。
「……僕すごくね?」
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そのあと僕たちは優勝した。やはりSランク能力者だけあって二人とも余裕で勝ったらしい。
鈴さんなんかは特に「飛行」「瞬間移動」「千里眼」「念能力」のみで勝ったらしい。9つのうち4つのみ。僕からしたら全部チートにしか見えないのだが、鈴さんが持っている中では全て弱い能力だとか。
Sランク能力者って怖い……
平野さんは開始数秒で決着が着いたなんてことを言っていた。いくら何でも早すぎないか。
あの一件の後、僕には特別な能力があるんじゃないかと思いはじめた。試しに木を殴ってみるとーー
すごく痛かったです。特別な力なんてものはありませんでした。おかしいな……
いや、まだ希望を捨てちゃダメだ。ピンチになったら発揮される力なのかもしれない。
ちょっと待てよ? そうだとしても、僕自身は大して成長せず。Sランク能力者二人と知り合いになり、大会に優勝したという事実が広まってしまったわけだ。必然的に僕はSランク能力者と同等の力を持っていると思われるだろう。
何か自分で自分の首を絞めてないか?
自分の力を勘違いし始める主人公。そっちじゃない。
3000文字なので二つ勘違い要素入れときました。