最強の能力者? なにそれおいしいの? 僕は無能力者ですけど?   作:暇です

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ギャンブルなんてやるべきじゃない (裏)

side〜麻雀打ち〜

 

(まあ、こんなものか)

 

 そう思いながらあたりを見渡す。

 俺は誰にも言ったことはないが、麻雀が唯一の趣味である。あまり褒められた趣味とは言えないので公言することはないが、実力にはそれなりに自信を持っている。

 ちょうど文化祭でカジノが開かれると聞きつけ、やってきたのだ。結果としては想像以上に設備は整っていた。周りの腕前も初めて打ったとは思えないほど高く、満足していた。

 

(ん? なんだ?)

 

 『クラスの生徒に勝ったら景品プレゼント』か……。どうせだしやって行くか、俺なら勝てるだろう。

 

 指定された台に座る。他の二人は客でもう一人が生徒らしい。よくその生徒を見ると、なんと斎藤武だった。

 

(なっ!)

 

 ここでこんな有名人が出てくるとは思わなかったな。麻雀打てるのか? まあここにいる以上は打てるんだろうが。

 

 悪いが俺も負けるわけにはいかない。相手が何だろうがぶっ潰してやる。

 

 親が牌を配った後、手牌を見る。まあ……まずまずと言ったところか。

 

 ガシャン!

 

 (なんだ?)

 

 見ると斎藤武が手牌を倒していた。一瞬ただのミスかと思ったが、違う。斎藤武の手牌は役が完成していた。

 

「て、天和だと……」

 

 天和とは親の配牌の時点で役が完成している、上がれる状態にあることを言う。滅多に起こる事ではないが、長く麻雀を指しているものなら一度くらい遭遇することもある。

 

(いきなり天和なんて、運がいいな)

 

 まあ、まだ一回上がられただけだ。まだまだ巻き返せる。

 

 しかしーー

 

 ガシャン!

 

(な、また……!)

 

 また天和だ。いくらなんでも2回目はおかしい。

 その後も

 

 ガシャン! ガシャン! ガシャン!

 

 何回やっても天和で上がってくる。もはや勝負にすらなってない。イカサマを疑ったが、牌を俺が配っても天和だった。能力を使ったとしても牌配の時点でどうにかするのは難しいだろう。

 

 そもそも、こんな麻雀ごときでイカサマをするのか? しかもこんなあからさまな方法で。それはない、明らかにデメリットの方が大きい。そもそも能力者にとって麻雀が上手い必要はないのだ。

 

 となると、無意識で発動しているのか……? 自分にとって都合のいいことが無条件に起こる能力なのか。そうだとしたら強いなんてもんじゃない、誰も勝てないだろう。

 

 そして試合はそのまま斎藤武の一人勝ちで終了した。

 

 この出来事は誰一人として景品をゲットできなかったことで噂になるのだが……

 

 

side〜ギャンブル能力者〜

 

(これは千載一遇のチャンスだ……ものにしなくては)

 

 この世の能力のランクはなにが基準で決められるのか、それは汎用性と強力さだ。いくら強力であろうと、使い所が少ない能力は必然的に低ランクに位置付けられる。

 

 まさに俺はそう言う能力を持っている。強力ではあるが使い勝手が悪すぎる。

 『ギャンブル中に相手のチップがなくなった時、代わりに魂や能力を賭けさせることができる』能力だ。

 条件が厳しくて複雑すぎる。一度使った相手には2度と使えないのもネックだ。

 発動しても普通に負けてチップがなくなると能力が解けてしまう。勝負がつくまで逃げられないようにはなっているのだが。

 

 そして今はその能力を使いながら斎藤武とポーカーをしている。なんとか能力を使っていることがバレずにゲームを有利に進めることが出来ている。チップを全回収したところで能力を明かせば、まず余裕で勝てるだろう。

 

 ついに相手のチップを全て奪い切ることに成功した。ここで能力を明かす。

 

 

「くくっ! お前はもう俺の能力の掌の上だ。チップがなくなった今、お前の賭けれるものは自分の寿命と能力だけだ! そして俺はチップを全て賭ける!」

 

 しかも手札はあろうことか♠️のロイヤルストレートフラッシュ、絶対に負けることのない最強の手だ。

 

「そうか、なら僕も全ての寿命……魂と能力を賭けよう」

 

 いきなり全BETだと、バカな……!

 

「なっ、何だと! いきなり全て賭けるというのか!」

 

「ただし、ここまで賭けたんだ。お前もそれ相応の物をかけてもらうぜ」

 

「まさか、俺の命か?」

 

 いや、ただのハッタリだな。仮に強い手が入ったのだとしても俺はロイヤルストレートフラッシュだ。負けることはない。

 

 ふと、壁に貼り付けられてある紙に目が行く。そこにはポーカーの説明が書いてあり、ロイヤルストレートフラッシュの上にファイブカードなるものが書かれていた。

 

(なんだと……!)

 

 このトランプにはジョーカーが入っていることに初めて気がついた。このカジノは本格的だったからノーマークだったが、たしかに同じ数字の4枚プラスジョーカーで出来ないことはない。

 

 まさか……可能性は低いがファイブカードなのか? そう考えれば、この一切揺らぎがない態度も納得出来る。

 

 とてもじゃないが命をかけて勝負は出来ない。

 

「くっ、くそ! 降りる、俺は降りるぞ!」

 

 そう言って俺はゲームを降りた。くそ……高ランク能力者は運まで持ってるのか!?

 

 

 

 

 




一番武の正体に近づいた気がする
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