最強の能力者? なにそれおいしいの? 僕は無能力者ですけど?   作:暇です

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こんなにお金はいらないです (表)

 お金。お金とはあんなただの紙切れにも関わらず、みんなが欲しくたまらないものである。

 まあそりゃそうだ。お金があれば大抵のことは何でもできる。と言うか、お金とは生きていく上で必須の存在だ。出来ることなら、あるだけあった方がいい。

 

 ーーなんて思ってたよ、つい最近までは。

 改めて考えると、お金を手にしても使うものがほとんどない。そりゃあ生活費は使うが、それは元から支給された額で足りるのだ。

 僕には趣味らしい趣味もないため、使う事がなく減ることもない。まあ多少使ったところでほとんど減りもしないのだが。

 

「おーい、聞こえてるか武ー」

 

 そんな声で、頭の世界から引き戻される。横を向くと山田くんがこちらを向いて僕を見つめていた。

 

「あぁ、ごめんごめん。ボーッとしてたよ」

 

 そうありきたりな返事をする。

 

「大丈夫か? 何かあったのか?」

 

 どうやら僕のことを心配してくれてるみたいだ。優しいな、たまにこの人がホモだと言うことを忘れそうになる。

 

「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう」

 

 そう言うと、もう山田くんにそれ以上聞かれることはなかった。

 

「山田くん。ちょっと良い?」

 

「ん、なんだ?」

 

「もし自分が億万長者になったとして、もしそのお金を使い切らないといけないとしたら、何に使う?」

 

「おぉ、なかなか難しい問題だな。まぁ……寄付とかじゃないか?」

 

「まぁ……やっぱりそうだよね」

 山田くんは優しいし、それに自分のために使ってお金を使い切るのはかなり難しいだろう。山田くんの答えは当然のことだ。

 

 

 

 「ハァ、何とかしないとなあ」

 

 放課後の帰り道、そんなことを呟きながら歩く。さっさと使わないといつ面倒ごとが起きるかわからない。

 やはり、一番寄付が現実的なのだろう。長々と考えて出た答えは結局それだけ。

 確か配布された端末から直接寄付出来るらしいし、もうしちゃおうかな。

 

「いや、ちょっと待てよ」

 

 いくらなんでも一つの団体にあの額をぶち込むのはやばいだろう。絶対何らかの形で広まって勘違いされる。やるとしたら少しずつ均等にだな。

 

 まず、メジャーな寄付の団体へ少額だが寄付していく。すると、メジャーな知ってる団体がなくなって来たので、マイナーな団体にも寄付していく。けれども、金は全然減らないのにも関わらず、寄付する宛だけはどんどん少なくなっていく。

 

 次第にはもう手当たり次第に寄付をしていた。意味の分からない団体から難病で苦しんでいる娘を救いたいと言う個人の寄付まで。

 

 金をほぼ全て使い切った時にはとっくに家に着き、窓から外を見るとすっかり暗くなっていた。

 

「何時間寄付し続けてたんだ……?」

 

 無我夢中でそんなに時がたっているとは気が付かなかった。だな、その甲斐もあって預金額を見ると、残高が元に戻っていた。

 

 まあ、念のため少し残しておいたのだが。これくらいは良いだろう。

 

「まあ、きっかけはどうあれ良いことしたなぁ」

 

 こんだけの善行をすれば、神様も僕の味方をしてくれるだろう。

 

 

$ $ $ $ $

 

 翌朝、何となくテレビをつけるとニュースがやっていた。そしてニュースで僕のことが報道されていた。

 僕の名前とついでに僕の過去の実績(嘘)がさらに過大評価されて、報道されていた。

 

 ……………おい、神様。何してんだ。

 

 




神様も武の味方をしてくれたみたいです()
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