今回、御簾(ID:187478)氏の執筆小説『歌を響かせ、紫雲の彼方へ羽ばたいて』とコラボさせていただく運びとなりました。両者完全初コラボでかなりグダつきましたが、なんとかここまで進捗させる事が出来ました。
で、私の方なのですが……少しばかり注意点があります。
・本作の過去編『とある女学生の混沌とした過去 前・後編』読了済を前提とした設定
・御簾氏執筆『歌を響かせ、紫雲の彼方へ羽ばたいて』のコラボ話と一部異なる展開
・同上 の読了済を前提としたごく一部の会話
なんというか、御簾氏の小説の裏話的な書き方になってしまいました。全能的状態の朱里ちゃんが何を思いながらこのコラボを乗り切るのか、良ければご覧ください。
「それで未来がさ、『姫は渡さない!』とか劇で死ぬほど迫真の演技しててさ」
「やめて…それは掘り返さないで…」
「良いじゃん。よっ、響姫に守護騎士未来」
「本当に恥ずかしいから…」
私服で大通りを歩いている響、未来、朱里。夏休みの真っ最中で暇を持て余した三人は、取り敢えずリディアンの近くにある大通りで様々な店を冷やかしていた。
「どうよこのアクセサリー」
「それは女の子より男の子の方が似合うんじゃないかな…?」
「えぇ?」
「ぶーたれない。朱里のセンスは独特過ぎるの」
「ちょっと未来さんや、それはド直球過ぎやしませんかい?」
「もうこの会話だけでも独特のセンス出てるの分かってる?」
「…ふぁい」
「ねぇ響。この蟹、どう思う?」
「すごく…美味しそう」
「素材の時点で旨味感じちゃうかぁ…じゃなくて、実はこれめっちゃ殻が柔らかい奴でさ。ほら押してみ」
「こんな見た目してるのに?…うわ、本当だ」
「海鮮って面白いよねー」
「…ん?終わり?」
「だって普通の市場なんだから面白い魚売ってる訳無いじゃん。うんちくの出しどころも無いよ」
「そ、そっか」
そんな他愛の無い会話をしつつも様々な店を冷やかしていた3人だが、朱里だけが急にとある路地裏の前で急停止した。
「……ん?朱里?どうしたの?」
「…なんでだろう、呼ばれている様な気がする」
「助けを誰かが求めてるの!?」
「ちょっと静かにしてて人助け狂い」
「えっ、ちょっと今の酷くない!?」
そんな風な会話をしつつも怪訝な顔をして路地裏を進んでいく朱里と、それを追う2人。しばらく歩いていた所
「────しまった罠かッ!?」
「えっ──何この大穴!?」
「急にッ──キャアアアア!?」
3人を軽々と飲み込む程の巨大な大穴が出現。
数秒もすれば、そこに居たはずの3人はもう居なかった。
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「──あだッ」
「いたっ」
「よッ、と……」
とある公園。空から3人の少女が降ってきた。
盛大に尻餅をついた朱里、三点着地に成功したものの少し手を痛めた未来、平然と着地に成功した響の3人であった。
大穴に落ちたハズの3人は、見知らぬ公園へと転送されていた。取り敢えず何処かも分からない場所に空中から着地するというファンタジーもビックリな超展開。そんな展開真っ只中に放り込まれた三人は
「取り敢えず歩きまわってみようよ!」
「携帯で場所特定出来るだろうしここに留まるのはどうでござんしょ?」
「周りの人に聞いたら…?」
三意見に分かれ、混迷を極めていた。
一生言い合ってても何も進まない事は全員百も承知なので、まずは最も手早く済む未来の意見から聞く事に。だが……
「人……居なくない?」
「一人も居ないね……」
「お昼時だし絶対一人ぐらい座って呆けてるおじおば居るでしょ…」
「シレっとすごいおじいちゃんおばあちゃんディスらなかった?」
「気の所為気の所為」
まさかの公園内に見える範囲で人っ子一人居ないという大問題。ということで次は朱里の意見が試される事に。だが……
「……圏外ってマジ?」
「私の携帯もつながってないね……電波が悪いのかな?」
「公園出てすぐとかどう見ても普通の街だし電波通ってない方がおかしいと思うんだけどなぁ……」
どうやら電波が一切無い模様。これにより響の意見が試される事となった。
「うーん……下手に歩き回って大丈夫だろうか」
「こういう時こそ歩き回って情報を集めなきゃ!」
「遭難した時真っ先に死んでそう」
「ド直球過ぎない!?」
思いっきり響の事をディスったりしながら歩いていた三人。だが、十分ぐらい公園内を歩き回っても全く人っ子一人居ない。結局疲れ果てたのがここに一名。
「…だぁー!無人都市かココは!」
「確かに一人もさっきから見かけてないね…」
「……未来と響さ、二人で向こう探してきてくれない?後で追いつくから」
「えっ?良いけど…朱里は?」
「足がちょっと…」
疲労困憊で歩けなくなった朱里。響と未来の二人に捜索を任せて彼女は近くのベンチで休む事に。
遠くからでも分かるピンク色の空間を展開しながら歩いていく二人を眺めながら、彼女は決して手放した事の無いペンダントを手で弄んで独り言を呟いていた。
「特にペンダントに反応は無し。ただし《声》も無反応……《転換点》じゃない?そもそもこんな事象は確認した未来には
独り言を呟きつつも、足の調子が治ったのかベンチから立ち上がって小走りで朱里は二人を追いかけていった。
「未来さんや、お待たせしまし──えっ、天羽奏?マジ?」
「おっ、私のファンか?」
「サインください」
追いかけた先で響と未来は何故か天羽奏、
「やっぱり奏はファンが多いわね…」
少なくとも
「「えっと……どちら様ですか?」」
「誰?」
言い方の齟齬はあれど、完全一致であった。
それに対しての彼女達の返答は、予想の斜め上を行く物であった。
「は?シウに決まってんじゃんか。……あっ、さては雰囲気変わり過ぎて分かんなくなっちったかー?」
「えっと……
「……おい響?」
「は、はい?」
「
「……え?」
「そういう事かよッ!」
響の一言と共に急に場が緊密状態となる。天羽奏?は即座のバックステップと共に臨戦態勢に入り、響はオロオロ、未来は大困惑。
そんな中普通に会話を交わすのは「シウ」と呼ばれた女性と、朱里だった。
「……なんか面倒そうな事になってるこれ」
「そうね……何処かで話し合わない?」
「良いっすねそれ。ていうかこのバチバチ状態なんとかしません?」
「まずはそっちね……私に任せてもらって良いかしら?」
「面倒そうですし、一番槍どうぞ」
争いの場を収める一番槍をシウに譲った朱里。譲られた彼女はそのまま緊張状態の三人組の元へ歩いていき……
「──ん?なんだよs──」
フラッ、と突然天羽奏?が倒れる。丁寧にお姫様抱っこでそんな彼女を抱き抱えたシウは「着いてきて」とだけ言い放って街の方へと歩いていった。
「……え?あの人、今何したの?」
「分からないけど……手刀じゃないかな?」
「恐ろしく早い手刀……私じゃなきゃ見逃しちゃうね」
「朱里ちゃんそんな事言ってる場合じゃないよ!早く追いかけよう!」
「あーはいはい……」
いつもの三人組も直ぐにその後を追った。
「少なくとも元の世界の装者を遥かに超える力量が二人……特に シウ と呼ばれてる方の攻撃は恐らく
「今はあなたの存在を信じるけど……二人に被害を出そうものなら、私も全力で相手させてもらうよ。シウ」
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公園からしばらく離れた街のおそらく中心部付近、その一角にある高層ホテルの最上階部屋を難なく抑えたシウによって会談の場は設けられた。
いつの間にか目を覚ました天羽奏?も加えて始まった情報交換、その口火を切ったのは朱里。
「取り敢えず部屋を抑えてもらったのは感謝します。だけど私達は貴方達の事を知らない。特に問題なのは奏さん、貴方だ」
「あ?」
「貴方、明らかに
「ハッキリ言う。貴方達は何者だ?」
初動から珍しいかなり強めの語意で攻める朱里。それに対する二人の反応は、何処か納得した様な雰囲気だった。
「朱里ちゃん……だったかしら」
「私の事であれば。というか私貴方のちゃんとした名前知らないんですけど?」
「それは失礼したわね……風鳴紫羽、それが私の名前よ」
「ーーかざ、なり?」
「ええそうよ。何か問題でも?」
「……いえ、何も」
「じゃあコチラも貴方の名前を教えてもらえるかしら?」
「…足立。足立朱里」
「取り敢えず情報交換としゃれ込みたいのだけれど……」
そう言いながら紫羽は朱里の肩を抱き寄せてひそひそ話を始めた。完全に置いてけぼりの三人は顔を見合わせていた。一名何故か「私のだぞォ!!」とか軽く怒っていたが。
「少し四人の共通点が特殊だから席を外してもらっていいかしら?」
「……あぁ、なんかその手の奴ですか…まぁいいですけど」
「助かるわ。財布貸したげるから好きなだけなんか買ってきなさい」
「ーー好きなだけ、だと?」
「えぇ」
二人にしか聞こえない密談を終わらせた後、朱里は紫羽の財布を受け取ってサムズアップしつつ部屋を出ていった。ちなみに後の響曰く「滅多に見ない笑顔だった」そうな。
さて、朱里が居なくなったこの部屋。そんな中、紫羽は胸元からペンダントを取り出して見せた。それにより響と未来の顔が一気に引き締まる。
「それって……」
「二人とも恐らく知ってるんじゃないかしら?」
「シンフォギアのペンダント…」
「私の勝手な予測だけど、恐らく私達と貴方達は別世界の存在なんじゃないかしら。私の知ってる響と未来はもっと違った反応するはずだし」
「な、なるほど…」
「ま、彼女は一般人なんでしょう?」
「え、いつそれを……」
「奏に一般人だから誤魔化してとか言ってたの丸聞こえよ。取り敢えずココには機密を知ってる組しか居ないわ。安心して話しましょう」
そうして四人は一般人には到底聞かせれない機密を交換していった。
一方その頃朱里はというと……珍しくコンビニで軽く買い物をした後、また公園に足を運んでいた。
「明らかに紫羽はシンフォギア絡み、もしくは装者。更に風鳴、か……親戚関係の名簿は全部確認したつもりだったけど記憶に無い……隠し子か?それなら何故あのジジイは言わなかった?シンフォギア装者で風鳴の性なんて、ジジイは必ず国防の剣の一振りとして私にも通達するハズ。完全なる極秘部隊か?いや、それにわざわざシンフォギアは使わないか……分からない事が多すぎる」
「しかも最悪だ……
「そろそろ時間掛けすぎたか…これ以上黄昏れてると怪しまれかねないし……ホテル戻るか」
中々文構成が決まらず、筆も進まない状態で強引に進めた様な気がして仕方有りません。なんだこのきったねぇし読みにくい文…(遠目)
コラボ相手である御簾氏執筆『歌を響かせ、紫雲の彼方へ羽ばたいて』のリンクは以下となります。読みやすく、カオスでシリアスなミックスを楽しみたい方へはぶっ刺さると思いますのでぜひぜひ。
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https://syosetu.org/novel/251317/