とある女学生の混沌とした日常   作:きりきりばい

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ずっと1000字ぐらいで止まってたけど、急に謎のスイッチ入って3000字ぐらい増えたよ。おかしいね。
次回はもう1つの方を……と言いたいんですがその前に1つ。

私きりきりばい、紆余曲折あってTwitterアカウント作りました。日常生活を呟いたり、小説の執筆状況を呟いたり、神絵師の絵を見たりします。1〜2日に1ツイートペースですが、宜しければフォローお願いします。

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朱里、京都へ往く 後半戦

「……あっつい」

「なんで朱里はそんなに汗かいてるの……?」

 

京都旅行2日目。ホテルのバイキングにて、何故かブラウスとスカートというとんでもなく通気性のいいセットを着こなしながらも、かなり額に汗が浮かんでいる朱里を傍目に未来はもう片方の親友を流し見る。

 

「………Zzz………ハッ、美味しそうな匂い……!」

「コッチは寝てるのか起きてるのか分かんないし……」

 

コチラはバイキングに並べられた朝食から漂ってくる匂いを嗅いで一瞬覚醒しては、また直ぐに睡眠に入るという器用な事をしていた。当然倒れられては困るので、色々考えた結果直ぐに脇下に両手を突っ込んで上に跳ね上げる。

 

「うひゃあっ!?」

「こら、なんでそんなに眠そうなの?」

 

予想外の所から強烈な衝撃を受けた当人は盛大に飛び起き、見事に親友から説教を受ける羽目に。既に着席していた数名の友人から呆れ目で見られる2人はともかく、汗を垂れ流していた朱里は、あまりに状況が異様過ぎて直ぐに心配されていた。

 

「あっつ……いや、あっつ……なんで?」

「なんで貴方、そんなに汗かいてるのかしら……?」

「いやあの、マリアさん……これがですね、分からないんですよ」

「どうする?今日は朱里は休む?あと1日は余裕あるし、その時にでも……」

「あぁいや、行けるんで大丈夫っす」

「……そう。あまり危険そうなら無理矢理にでも送り返すわよ」

「うっす…… 」

 

調子が恐ろしい程に悪そうだが着いて行く事を決めた朱里。流石に汗を垂れ流しながら行く訳にも行かないのでその対策を色々考えた結果、何故か額にタオルを巻く事に。

ブラウスとスカートで可愛らしい衣装だったのに色々と台無しである。しかも現在、朱里は本当に調子が悪いのか顔がしかめっ面である。しかめっ面に額にタオル巻。この状況は……

 

 

「……ラーメン屋の店主?」

あ゛あ゛っ!?

「ごめんなさい!」

 

 

敢えて誰も触れてなかった部分に堂々と触れた響、見事にキレられる。それにしてもこの店主、キレる時は元気そうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁひんやりしてますなぁ〜」

「そこ、手水鉢に手を突っ込まない。ちゃんとしなさいとちゃんと」

「いやでもひんやりしてて気持ちいいですもん。やっぱり下鴨神社を……最高やな!」

「誰かこの無礼者引っ張り出しなさい。今すぐ」

「よし朱里、この近くにみたらし団子の美味しい店がだな──」

「行きましょう今すぐ行きましょう翼さん何処にあるんですかそこ──」

「………立花響だけに限らず、彼女も随分と食い意地が張ってるわね」

 

 

「…………うーん」

「どうしたの朱里?ずっと悩んでるけど……何かあったの?」

「ん、二条城は撮影不可だからさ……」

「うん、それで?」

「どうやって爪痕残してやろうかと」

「やっぱりいつもの朱里だった。待って、写真撮影OKなら逆に何してたの……?」

「あそこにカメラを持ったセレナさんが居るじゃん?」

「………えぇ………?」

 

 

「んぐ……ふー、ふー……はぐっ、ん〜美味し〜!」

「……さっきから行く先行く先、みたらし団子ばかり食べてないか、朱里」

「いんやぁ……美味いですねコレ。翼さんもどうです?無限に食べれますよ」

「遠慮しておこう。それよりも頬に餡蜜が付いているぞ……もう少し落ち着いて食べないか」

「私のお母さんですか貴方は……」

「お前の事を心配してるんだぞ私は?」

「やーいツンデレラ〜──ヒィッ!?」

今度そのような事を公然で言うと説教だ

「ウッス………」

 

 

「ね〜未来〜」

「どうしたの朱里」

「暑いんだけど」

「私には扇子扇ぐぐらいしか出来ないよ」

「脱いでいい?」

「絶対にダメ」

「下に1枚シャツ着てるからさ」

「ダメ」

「ねぇ、だめ?」

「上目遣いにしてもダメ」

「そっかぁ……」

 

 

「ここが清水寺……いやこわっ!何この高さ!」

「朱里ちゃん高い所は苦手なんだ?」

「ねぇなんで響は悪い笑顔してるの?」

「ねぇねぇ、あそこが清水の舞台だよ!」

「待って引っ張る力強い!強いって!ごめんなさい勘弁してください!ホントにダメなんだって!?ヒィィィイ!?」

 

「……………何を見せられてるのかしら」

「面白い事を知った」

「こら翼。悪い笑顔をしない」

「へぇ……」

「奏、貴方もよ」

 

 

 

 

結局様々な事がありつつも観光名所は一通り回れた彼女達。日が落ちてホテルに戻り次第、各々が自由な時間を過ごす中……

 

 

「……朱里ちゃん、一緒にお風呂入らない?」

「──ッ!?げっほ、ゲホッ!」

「あ、朱里ちゃん!?」

 

 

響は珍しく、未来を()()()に朱里に入浴の誘いをしていた。

唐突な誘いに噎せ返るも、困り顔ながら承諾した朱里は着替えを持ってホテル内の浴場に向かう。いつもなら必ず一緒に入っているであろうもう1人はどうしたのかと問う彼女は、響の返答で全てを察した。

 

 

「……昨日の夜、何してたのか気になって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぅ……いい湯だねぇ」

「あったかい……けど、聞きたい事は答えてくれるよね?」

「あーうん。ちょっと待って、整理するから」

「うん……」

 

 

湯船の端に2人並んで浸かった朱里と響。ナニカを見てしまったのであろう響の様子に困った朱里は、返答の内容に困っているのか表情が安定しない。

 

「ちょっと昔の友人に用があってさ、あの時間じゃないと友人とは会えなかったんだよ」

 

確実に尾けられていたと感じた朱里は、少しずつ内容に触れていく。だが、彼女の前にはそれは無意味という物か。

 

 

「……朱里ちゃんが、2人居た。それに、私達を見殺しにしたって……」

 

 

あちゃー、と言わんばかりの顔をする朱里。完全に尾けられるどころか、顔が見える距離まで寄られていたのかと後悔すると同時に、何故自分が気付けなかったのかと困惑しながらも朱里は遂に諦める事にした。

 

 

「……響はさ、ドッペルゲンガーって知ってる?」

「……聞いたことならあるよ」

「なら、説明からしようか」

 

「ドッペルゲンガーってのは、簡単に言うと自己像幻視。存在しないハズの()()1()()()()()がそこに居る、そんな風に見えてしまう……それを指してる」

「なら、私が見た朱里ちゃんはドッペルゲンガーって事?」

「……それなら、簡単な話だったんだけどねぇ」

「え?」

 

「何の因果か、私のドッペルゲンガーは、実像を持つ様になり始めた。それどころか、存在しないハズのアナザーまでも────」

「ストーップ!待って、分からないよ……」

「んん……もう1人の私、それが肉体を持った、って言えば分かりやすい?」

「えっ……そんな事が有り得るの?」

「有り得ちゃったんだよ……なんでか知らないけど。で、それが昔の私の友人って訳」

「じゃあ、私達を見殺しにしたって朱里ちゃんが叫んでたのは……?」

「あの幻影、別の世界線での記憶があるらしいんだよね。そこで響達を見捨てて生き延びたって言ってたから、まぁ久しぶりにカッと来ちゃって……」

「……うーん?」

「まぁ、うん、また分かりやすく何処かで話すよ」

「じゃあ、お願いするね?」

「任せんしゃい!」

 

 

明らかに浴場でする会話では無かったものの、人が1人も居なかったのもあって奇異な目で見られる事は無かった。しかし、この発言が後々、様々な問題を引き起こす事になる。

 

 

 

 

最終日。

寝起き1番に強烈な欠伸をした朱里は、ベッドからモゾモゾと這い出る。冷蔵庫に入れておいた水を1杯飲んでカーテンを全開。

 

「……まぶし」

 

即座にカーテンを閉め直し、着替えていく。まだ身体の火照りは治まらないので今日も薄い生地の物でも着ようと思ったが、生憎ブラウスの様な薄地は昨日の1着のみ。諦めていつものパーカーを着てジーンズを履いた朱里は、真下を見つつ今日も一言。

 

「……急におっきくならないかなぁ」

 

悲しい悩みであった。

 

 

 

「……あの、奏さん?」

「どうした、未来」

「……アレ、どういう状況ですか?」

「アレか?危ない思想に取り憑かれたヤツの末路だよ」

 

2人の視線の先には、凄まじい量の牛乳を飲み続ける朱里の姿があった。

 

「……なんで翼さんもその横で少しずつ牛乳飲んでるんですか?」

「……色々あるんだよ、色々」

 

翼も仲間な様であった。

 

「……うーん」

「響?どうしたの?」

「ベーコン無くなっちゃったぁ……」

「えっ」

 

言われてみれば、つい30分前まではバイキングのトレーに山盛り乗っていたハズのベーコンは既にその姿を消していた。

響のトレーの皿の上には大量の油が凄まじい跡を引いている。どれだけの油が使われた料理が載っていたのだろうか。皿と響の胸部と腹部を2度見した未来は一言。

 

「……私も」

 

牛乳を飲み続ける謎の集団が出来たそうな。

 

 

 

帰りの新幹線に乗る前にノルマと言わんばかりに囲まれたツヴァイウィングが居たりしたが、何とか乗車に成功した7名。結局行きと似たような事になった車内で1時間程、遂に東京に帰ってきた。

 

「うわわ!?どんだけ人居るんだよ!?」

「奏、ちょっ、変装……これ!」

「今更このサングラスと帽子だけでなんとかなんのかぁ!?」

 

その通りである。

ハイライトの消えた目でその状況を見守る朱里。奇しくも行きと似通った風景であった。締まらないのでまたも無理矢理2人を輪の中から引きずり出した朱里は、7人を輪の形に集めて駅内にて一言。

 

「はい、それじゃ今回の京都旅行」

 

「「「「「「「お疲れ様でした!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……夜なのに暑っついなぁ」

 

 

深夜2時。朱里はまたも外を歩いていた。

軸の定まらない、ふらついた足取りで少しずつ、街道を歩いていく。

 

「……同期のズレが、収まらない」

 

「……エネルギー量は問題無い。適合すれば、出力可能量も問題無く規定ラインに乗るはず。後は、私がこのズレを抑えるだけ」

 

「……響には随分と雑なウソ、ついちゃったなぁ。昔の私なら、どうしてたんだろ」

 

()()()()()()()()()()、全てを終わらせにいこう」

 

 

建物の裏路地。都市部とはいえ一切の光が差し込まないそこに入り込んだ朱里は、その瞬間、その場から()()()()

 

 

 

「随分と、特殊な方法で来たのね」

「数日前のアレ、やらかして尾けられてたみたいでね……ワープするしか無かった」

 

「適合率は?システムを問題無く作動させる為には──」

「うるっさいなぁ。ちゃんと今は70%を超えてる。あと数日もすれば完全に同期するよ」

「あのクソッタレを消し去って遮断するには生半可な力じゃ足りない。それを分かってるの?」

「分かってるのと理解するのは別なの、分かる?」

「ッ、アンタねぇ!」

「おーこわ。どんな世界線なら私はこんな風になるんだろうね?」

「私の様な存在を生まない為にはアレを消し去る必要がある!アンタ、このままだと()()()()()()()()()()()可能性があるの分かってるの!?」

 

「あのね、今私は京都旅行を楽しんでるの。今この瞬間を楽しんでる時にさ、()()()()()()とはいえ私に指図するの止めてくんない?」

「……もういいっ。5日以内に同期さえしてくれれば良い。私は一旦帰る」

「ありゃりゃ。んじゃ、そういう事で〜」

 

 

 

「……システムとの同期まで6日。()()まで4ヶ月。()()は……冬の始まり」

 

「シェム・ハが消え去るその時、私は始まり、私は………()()()

 

 

 

「……………怖いなぁ……」

 

 

「怖いよ……助けてよ……響……」

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