むかしむかし、ある所に、平和に暮らしている一家がありました。
3人暮らしで父は聖遺物研究者、母は生物学研究者、その間に産まれた子は琴音と名付けられました。
聖遺物と生物学、この2つの学問の専門家の親からありとあらゆる英才教育を受けた子は、年長の頃には親の同年代の研究者とも並ぶ程の知識を得ました。
そんな子がとある高校に進学するとなった時、子は親からとある真実を伝えられました。
私達は────足立家は、5000年余も前から秘匿され続けている縺。繧?≧縺ヲ縺?@繧の役割を担った一族だ。────と
当然、神童とまで呼ばれていた当時の琴音の頭脳を持ってしても、言われている事は全くもって分かりませんでした。
────ですが、ある物を親から譲り受け、嫌という程に理解してしまいました。
『これを、お前に託す』
『私達は役目を終えた。次は貴方の時代よ』
『この力は足立朱里、必ずお前のやる事を助けてくれる』
『貴方は、神に近しい存在になるのよ』
それだけを言い残し、2人の親は莫大な資産と、ペンダントを家に残してどこかへ行ってしまいました。
琴音は、足立朱里 となりました。
今の時間軸から7年前、アメリカのF.I.Sという研究所で1つの事件があった。
ネフィリム と呼称される聖遺物。それを起動させようとする実験の最中、件の聖遺物が暴走。多数の犠牲者が出た。
──そう、上層部には報告されている。
『やめて……やめて……!』
『ごめんなさい、姉さん。でも私がやらないと』
『やらなくていいの!今スグここから逃げましょう!こんな中で──』
『でも、私しか止められないんでしょ?』
『──
1人の少女が悲壮な決意を固め、暴れ狂うネフィリムと対峙する。
図体が目測5mを超えている怪物相手に殴り合いが出来るのか?勿論この少女はそれが出来るだけの
『Seilien coffin airget-lamh tron──』
シンフォギアの起動。アガートラームの力によってネフィリムに少しずつ被害を与えていく。
しかし……如何せん相手が悪過ぎた。片手剣で少しずつ体表に傷をつけていくが、その都度ネフィリムが再生していく。
端的に言えば、彼女は現在火力不足の状態にあった。
孤立無援。
火力不足。
相手の体力は無尽蔵。
そんな状況だからこそ、彼女は──唄った。
『Gatrandis babel ziggurat edenal──』
『ッ!?セレナッ!』
知っていたからこそ彼女の姉も叫ぶ。
絶唱。文字通り生命を燃やして歌う、シンフォギアの最終攻撃手段。生半可な方法ではやり過ごせない、強力な攻撃や能力が発揮出来る切り札。それを彼女は切った。
『──fine el zizzl……』
最後の詞が紡がれ、アガートラームの絶唱特性である ベクトル変換 が発揮される。彼女──セレナが思い付いた方法、それはベクトル変換によってネフィリム自体のエネルギー方向を変更し、内部のエネルギーを発散させ切る事で休眠状態へ戻す事だった。
無事に成功したのか、ネフィリムが鎮静化し起動前の白石にまで戻る。
その状況に驚きつつも、燃え盛る研究所に立ち続ける妹の元へ駆ける姉──マリア。呼び掛けに応じてゆっくりと振り向いた妹は──顔の穴という穴全てから血を出していた。
それと同時に天井が崩落。セレナの元へ巨大な欠片が降り注ぐ。
『セレナアアアアアアア!!!』
目の前で失われようとしている妹の命を救おうと飛び出したマリア。
──そんな彼女達に、ある種の救いが訪れた。
『…………え?』
『……生き、てる?』
次の瞬間、
『……お父さんとお母さんはどこ?』
『ヒッ!?』
顔どころか身体中、血管が通っていて赤いハズの場所が全て黒く染まり、白眼と黒目のオッドアイでコチラを無感情に見つめる
『──あ、あれ?』
『姉さん?どうしたの?』
『さ、さっきそこに子供が!』
『子供?でも、姉さんの見てた方向は
『──え?』
……だが、見えたのはマリアだけであるらしい。妹であるセレナには瓦礫しか見えておらず、確かに少女が居たハズの方向にはもう人っ子一人居ない。
なんとか気を落ち着かせた後、研究者達と合流する事に成功し大喜びされる事になるのだが、どれだけ確認してもマリアの見た子供は見つからなかった。
更に奇妙な事に、あれだけの大事故でありながらも死亡者はネフィリムの暴走に直接巻き込まれた数人だけであり、行方不明になっていた研究者達も全員が
全員が証言した中で『オッドアイの不気味な子供が自身の父と母の居場所を聞いてきた』という事だけが唯一、マリアと全く同じ事を指していた。
そこから時は進み五年後、日本の某所にて……
『なんだぁ?緊張してるのか翼?』
『うわっ!?か、奏……ビックリした』
『アッハッハ!そんな固くなってちゃダメだぞ〜?』
ツヴァイウィングと呼ばれる2人組が、ライブ会場の舞台裏で会話していた。風鳴翼と天羽奏の二名で構成されるこのユニットは、現在日本で最も有名とも言える程の知名度を得ていた。
今回のライブも数万人が収容出来る超巨大会場にも関わらずとんでもない程の応募が集まり、その当選倍率は数十倍を超えたとかなんとか。
そして、その厳正な抽選を勝ち残った人の1人として……
『……ココなら、見つかるというの?』
足立朱里も居た。
5年前と異なり
肝心の本人はライブチケットを片手に受付に並んではいるが……心ここに在らず、といった感じであった。取り敢えず会場内に入った朱里は、自分の指定された座席にまで向かいライブの開始まで待つ事にした。
『凄まじい人の量ね……それだけ有名という事かしら』
『あれ程小さな子まで……本当に凄いわね』
止まない独り言を呟きつつ周囲を見渡していたが、突如会場の照明が消えて観客達の話し声も消える。どうやら、開始の時間の様であった。
『これが……ツヴァイウィング』
『これが……
他の観客がペンライトを振って盛り上がる中、朱里だけは独り言を呟きつつ視線を完全にツヴァイウィングから離して観客側に振っていた。
『このまま2曲目行くぞー!』
『まだまだ行きますよ!』
朱里が別方向に視線を向けている間に1曲目が終わり、2曲目が始まろうとした瞬間────
『ノイズだぁぁぁぁあ!!!!』
会場の一角が大爆発。それと同時に多数のノイズが出現し、観客達を容赦無く炭化させていく。
ありとあらゆる障害物を薙ぎ倒して我先にと出口に全ての人間が駆け出す中
『……
朱里だけはその場で棒立ちしつつ、またも独り言を呟いていた。当然、ノイズがそれを見逃すハズもなく──
『おいそこのアンタ!危ない!?』
いつの間にかシンフォギアを纏った天羽奏に呼び掛けられているにも関わらず棒立ちでいる朱里に、背後からクロールタイプが十数体もロケットの様な速度で襲いかかる。
ゆったりとした速度で振り向いて迫り来るノイズを視認した朱里は──
『────はっ?』
『……つまらない、
平然と全てを必要最低限の動きでかわしきり、あまつさえ小言を漏らす始末。かわしきった後、ゆっくりと奏の方を振り向いた朱里は、何かを悔やむ様な顔をしつつもある物を奏へ放り投げた。
『おい!いきなり物を投げつけ──これは……!?』
『
『なんでアンタみたいな一般人がコレを持ってる!?』
『どうでもいい。そんな事より早くしないと犠牲者が増えるよ』
『チッ……クソッ!』
問い詰めようとする奏であったが、朱里の述べた事もまた真実。急いでLINKERを自身に投与して戦闘を再開した奏を見送った朱里だったが、その場にもう1人。
『……貴方は、一体何者ですか』
風鳴翼。シンフォギアを纏った状態の彼女は、周囲のノイズを蹴散らしつつも朱里へ問い掛けていた。
しかし、朱里は何も答えず背を向けてその場を去ろうとする。急いで朱里を引き留めようと朱里の方へ駆け出す翼。あと少しで肩を掴めるといった所で朱里はゆっくりと翼の方へと振り返り──
『貴方はまだ稚拙過ぎる』
そう言い切った瞬間、翼は
さっきまで自分が見ていたのは幻だったのか?いや、確かに奏が受け取ったLinkerを自分に投与していたのは見たし、実際今の奏の戦闘を見た感じ、適合係数の低下は見られない。むしろ絶好調なぐらいだ。
ならば何故私はライブ会場内を瞬間移動しているのか?
その長考が仇になった。
『翼ッ!』
『え──ッ!?』
意識外にあった大型ノイズからの射撃。普段の翼なら何の問題もなく躱せるが、現在の翼は完全に呆けてしまっており今から全力で躱しても身体のどこか一部位に直撃するのは間違いなかった。
そこに飛び込んできたのが奏だった。急いで自身の持つ槍を弾に向けて差し込み、無効化か受け流そうと試みる。
しかし、その膨大な質量から撃ち出される轟速の弾は咄嗟の一撃で防ぎ切れる訳もなく──
『ぐ……クソッ!』
『ごッ!?ゲホッ、ゲホッ!』
『翼ッ──しまった!?』
まさかの槍が破砕。弾を防ぎきれず翼も刀での受け流しに失敗し、威力が減衰しているとはいえ胸部に直撃を貰ってしまう。
それだけでなく、欠けた槍の破片がまさかの避難が遅れた
『おいッ!おいッ!しっかりしろ!頼む、目を開けてくれッ!』
『生きるのを諦めるなッ!』
必死の呼び掛けによりなんとか意識を取り戻した少女。その様態を見て一息ついた奏は、とある決心をする。
『……フゥ。今日はこれだけの観客がアタシの歌を聞きに来てくれてるんだ。こっちも、全力で応えてやらないとな』
『──奏、まさかッ!?』
『──絶唱』
『いけないッ、それは!』
絶唱。シンフォギア装者が生命を燃やし唄う、最期の歌。
相方の制止は意味を成さず、彼女の絶唱は完遂された。莫大なエネルギーの暴風によりノイズは全て消滅。歌った張本人は、ライブ会場の中央で倒れていた。
『奏ッ!奏!』
『……翼、アタシはやってやったぞ』
『なんで、なんで!?』
『こうでもしなきゃ、そこの子供が救えなかったろ……ハハッ』
『奏……奏!』
ライブ会場を襲った悲劇の翌日。直ぐにこの大事件は新聞となった。
死傷者
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「──あァッ!?」
「……ハッ、ハッ、ハァッ……」
「……夢、か……見たくもない過去を……」
「何が神に近しいよ……何がやる事を助けてくれるよ……」
「こんな物、
「終わらせないと……こんな最悪の連鎖」
なんかもう色々読みにくかったと思います。というか無理くりバックストーリー組み上げたんですけどそもそもこれ要ります?(本末転倒)