SEVEN's CODE二次創作夢小説【オレンジの片割れ】短編集   作:大野 紫咲

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ふと昨日の朝このやり取りを思いついたので書いてみました。
きゅんきゅんしたくなりました。きゅん。


見つめるひと

「あんたの植能さ、子宮《ウーム》……って、 聞いた事ないんだけど。魅了《チャーム》に近いような能力ってことなんだよね?」

「うん。まあ、簡単に言ったらそんな感じかな。敵を誘惑したり、判断能力を奪ったり」

「ちょっと、使ってみてよ」

 

 

 好奇心でヨハネにそう尋ねられたムラサキは、「いいよ」と答えながら、背の高いヨハネの前にちょんと立つ。

 

 

「じゃあ、普通にここに立って」

「うん」

「こっちをよーく見ててね」

 

 

 そして、いつも話す時と同じように、向かい側に立ったままでじぃっとヨハネのことを見上げてきた。

 頭一つ分ほど背の高いヨハネのことを、ムラサキはいつも見上げるような形になる。

 何度かぱちぱち瞬きしながら、てっぺんに髪留めを飾って髪をポニーテールに纏めた小柄な顔で、じいいっとヨハネを見つめてくるムラサキ。

 観察するように、けれどどこか嬉しそうな目で、血色のよい頬が僅かに緩んだまま、口元には微笑みを湛えていた。

 ただ向かい合っているだけなのに、その視線を平然と捉えながらも、どこか落ち着かない気分になるヨハネは、普段まじまじと見ないムラサキの顔を、自分も観察するように見つめ返す。

 

 

「……」

「……」

 

 

 小さく呼吸音が響く。

 ぱちん、と音を立てそうなほど長い睫毛で瞬きする瞳はきらきらと輝いていて、何がそんなに楽しいのか、肌に朱が差した頬は、やっぱりどこか照れているようにも、幸せそうにも見える。

 ひたとヨハネを見据えていたムラサキは、真面目な顔のヨハネを見て不意に笑顔になった。

 

 

「どう?」

「どうって?」

「私。可愛い?」

 

 

 後ろに腕を組んだままで、覗き込むようにそう問われる。

 にこーっ、と笑い掛けられたヨハネは、一瞬状況が飲み込めないように呆けて。

 次の瞬間、ぼんっと音がしそうなほど顔じゅうに血が上るのを感じた。

 

 

「バッ……! バ、バカじゃないの! 別にいつもと変わんないよそんなん!」

 

 

 裏返りかけた声でそう言ってから、自分の発言が誤解を招くのを恐れたように、尚も慌てた顔で言い直し、

 

 

「い、いつも可愛いって思ってるわけじゃないからッ! そうだよッ、植能が効いてるからそう見えるだけで……べべ別にさっきのは、いつもと変わらず可愛いとかそういう意味で言った訳じゃないからねッ!?」

 

 

 とムラサキが聞いてもいないことを叫びながら身を翻すと、腕で赤くなった顔を覆いつつ、すったかと立ち去ってしまった。

 

 

 あっけに取られたようにぽかんとその言動を見ていたムラサキだが、やがて面白そうに着物の肩を震わせて笑い出す。

 

 

「ふ……ふふっ……」

 

 

 一人取り残されたその場で、おかしくてたまらないというように、袴を結んだ腹を抱えている。

 涙の滲んだ目元を拭いながら、ムラサキは呟いた。

 

 

「別に、何も使ってないんだけどなぁ……今……」

 

 

 ヨハネは、いつもそうだ。

 本当に効くのか、と興味本位で聞いてくるくせに、ムラサキが何もしなくても、ただいつもの彼女で視線を注ぐたび、恥ずかしくなって逃げ出してしまう。

 本人は植能の効果だと思っているみたいだが、一体いつになったら気付くのだろう。

 

 

「でも……うれしいな」

 

 

 いつかこんな茶番じゃなくて、本当の気持ちを伝えられたらいい。

 可笑しいやら可愛いやらで、ムラサキは暫くの間、小柄な背に柔らかい日差しを浴びながら、小さく笑って目を閉じた。

 

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